2004年12月11日土曜日

The Bucket

Kings Of Leon [ A.Followill/C.Followill/N.Followilll ]

偶然、テレビでビデオクリップを見た。TVKの『Rock City』だ。何の知識もなかったが一発で気に入ってしまった。
どう見ても70年代のイギリスのバンド。小汚くて貧乏そうな風貌がたまらない。チープそうなヤツらが一生懸命やっている音楽はなぜか見ているだけでワクワクする。
ところが、これが新しいバンドで、しかもアメリカのバンドというから驚きだ。3兄弟がメインで、父親は厳格な宣教師というから更に驚きだ。

しかし、曲はやはり70年代風。とてもシンプルで覚えやすいリフがコードに合わせて平行移動するイントロ、パンクばりにダダダダと刻むだけのバッキング、そして途中で半分のリズムになるところ。初期 Black Sabbath を軟弱にしたような、新しめでは Oasis を貧乏にしたような、そんな雰囲気だ。いや、見た目が初期の Ozzy に通じるものがあるから余計にそう思うのかもしれない。ヴォーカルはサザンロック風でもある。

それに加え、ビデオクリップがまた70年代のようなチープさ。分割画面は大昔によくあったような手法だし、映像もただ部屋での演奏シーンを撮っているだけで、画質も鮮明ではないしCGなどあるはずもない。

音楽もビデオも、ただ一発やってみましたというだけのシンプルさ、潔さが最高なのだ。音楽的に凝っているかなどどうでも良いこと。耳に残るし、もう一度聴きたくなるし、ワクワク感もあるし、それ以上何が必要だというのだろう。

聞くところによると、本国アメリカよりイギリスで人気があるという。私がイギリスのバンドではないかと勘違いしたのも強ち見当違いでもないかもしれない。

演奏にも少し触れておくと、目立っているのは、ダッダッダッダッ(テンポは結構早い)と刻まれるリズムギターと、チープな音(これが良いのだ)のギターで入るオカズ、あとは愛想のないボーカル(これも良い!)だけ。刻まれるコードも何の工夫もないようなシンプルなもので、コピーするまでもない。

平行移動するイントロのギターにも触れておくと、今時こんなに簡単なギターのイントロってある? というくらいにシンプルだ。最もローポジションの「D」コードをオクターブ上げたものに、「A音」を加えてみるだけ。それをコードに合わせ平行移動。(「G」の時に加える音が「C#音」になるので、厳密に平行移動ではないが)

メインのリフは超シンプルなのに格好良い。しかもまさに平行移動。1弦の7フレット「B音」、5フレット「A音」、2弦7フレット「F#音」の3音だけで出来ていて、これを平行移動で畳み掛けてくる。このあたりが Black Sabbath っぽい感じがするのだ。
「Eighteen~」のところのオカズも、イントロと同じオクターブ上げの「D」だ。

こんなに簡単なのに格好良いとは「これがロックだ!」と大声で叫びたい。

2004年12月10日金曜日

Psycho Holiday

PANTERA [ PANTERA ]

Dimebag Darrellが殺された。ライブ中に銃を乱射したらしい。Phil Anselmoとの仲が原因なのか、詳しいことは何も分からない。殺されたのは2日前の12月8日。John Lennonが殺された日と同じだ。
とにかく衝撃と悲しみだけ。今でも信じられない。殺してどうする。どんな理由にせよ、殺しても何も始まらない。犯人を捕まえて刑務所に放り込めという次元ではないと思う。 ここは曲の話しをする場であって事件についてとやかく言う場ではないのだけれど、憤りを感じずにはいられない。
せめてDimeのプレイの話しをしよう。

この曲もギターが実にカッコいい。ボーカルは好みでないのだが、ギターを聴いているだけで最高だ。キレ味が良くてヘヴィでサウンドも最高。私にとってはギターこそがリードボーカルのようなものだ。

最初はボーカル抜きで曲を作ったのがよく分かる。
2番目のパートでギターが音を伸ばしながらゆっくりとワウを踏んでいくパートがある。切れ味の良いパートが多い中にこのように伸ばす音があるのもカッコいい上に、ワイルド感のあるワウだ。センスも最高。
本来ならここにややメロディックなボーカルが乗るのではないだろうかと思う。「起承転結」の「転」のパートだと思う。

ギターソロ。リフを刻む音とはまったく別の音で初めて聴いた時は驚いた。激烈なバンドのイメージだが、ソロだけ聴けばハードロック・バンドのようだ。
テクニカルな早弾きのオンパレードだ。左手の人指し指を出来るだけ動かさずにロスを少なく滑らかなフィンガリングをする戦法だ。ワイルドなイメージが前面に出ているが、とても滑らかで物凄いテクニシャンだ。
Van Halenバリに、ソロの後ろでバッキングギターがないのが生々しくて嬉しい。