Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richrds ]
Rolling Stones初のオリジナル曲。1stに収録されている曲で唯一のオリジナルだからだ。
アルバム・バージョンをフェイド・アウトにしたものや間奏等を編集して短くしてシングルにしたものがある。
初めての曲でも充分にカッコいい。意外にも穏やかに始まるが、途中で激しくなりまた穏やかになる、いわば静と動の対比のような曲だ。
まずイントロはコードは「A」一発で、3度の音がメロディになっている。伸ばしている音はリズム・オフで、適当に伸ばし、その合間にドラムが一発入る。超シンプルなのに、イントロとして充分カッコいい。
Aパートも「A」から始まるが、1小節の後半(厳密には3拍目裏から)は3度の音が開放になるため「Aadd9」の響きになる。「E」の時も同様で「Eadd9」になる。コード進行は「A」「A」「E」「E」と何回か繰り返し、「I know you find it hard」のところから「C#m」「D」「E」「A」「C#m」「D」「B7」「E」となり、サビは「A」「A」「F#m」「F#m」「D」「D」「E」「E」と進んで元に戻る。
この2パートしかない。ロックやポップスの曲はだいたいAパートとBパートとサビがあって、間奏の前か後にCパートがある場合が多いが、この曲はAパートとBパートのみ。Stonesの曲は結構このような2パートしかない曲がある。
それにしても演奏はかなり雑だ。下手だと言ってもいい。
サビのハーモニーもいい加減で、ハモリもハモっているのかどうかよく分からないようなレベル。キースにやる気がないのではなく、「ただ勢いでやったらこうなった」という感じだろう。同時期のライバル・Beatlesが完璧で重厚なハーモニーを聴かせているだけにもの凄い差だ。
間奏は、ギターソロというよりは、ただのアルペジオ。7フレット以上を使って、ちょっと違いを出しているが、ちゃんと弾けていない。音がツマっているのはそう弾きたかったのではなく、ただのミス・タッチだろう。
ただ、この雑さがまったくマイナス・ポイントにならないところが凄い。それどころか「凄み」さえ感じさせる。これはミックの歌の雰囲気によるのだろうか?
音で印象的なのは何といってもエレクトリック・ギターの音。サステインはほとんどなさそうな、ズ太い音だ。リバーブくらいしかかかっていないのではないかと思うが、たまに「A」から「C#m」に移る時などに5弦をスライドさせる音がとても目立っていてアクセントになっている。低音弦を中心に弾いていて、何も難しいことはしていないのにカッコいい。
イントロから鳴るのはアコースティック・ギターで、こちらはアコGらしく少しきらびやかな音で低音弦ではなく全体的に弾いている。
アコGとエレキのコンビネーションはBeatlesでもよく見られるパターンだが、Beatlesが軽快な感じでやるのに対し、Stonesはルーズでヘヴィだ。だからダークなイメージになるのだろう。
Stonesにも軽快な曲はあるので、それしか出来ない訳ではないだろうが、しかしBeatlesのようには出来ないだろう。真似にならないようにとわざとワイルドにしたというが、たんに出来ないというのも大きいのではないかと思う。
しかし、ルーズでワイルドで黒っぽいStonesの偉大な歴史の始まりである。個人的に大好きなのも正にここで、Beatlesには絶対にない魅力なのである。