1998年12月31日木曜日

君だけのTomorrow

前田亘輝 [ 前田亘輝 ]

日本テレビの『進め!電波少年』の中でお笑いコンビのドロンズがヒッチハイクをする企画の応援歌だった曲。この番組自体を積極的に見ていたわけではないのだが、1度か2度見たのと、ゴールする時のスペシャルを見た。「笑わせつつ最後はドラマチックに感動させようってんでしょ」と思いつつも、様々なドラマや苦難があり、それを乗り越えて一つのことを成し遂げるというのは、いつでも感動的だ。

この曲の歌詞はとても分かりやすく、「安易に生きるよりも一生懸命アタックする方が価値がある」ということを言っている。「そんなことは言われなくても分かっている」と言いたくなるが、これが曲の中でメロディに乗った途端に説得力が何倍にもなるから不思議だ。

人生の中には辛い選択もあるだろうが、結局は一生懸命ぶつかる以外にない。その末での結論であるなら、それは前向きに受け入れるべきだ。(受け入れるしかない)大切なのはその選択をしっかり考えること。過去には戻れない分、その選択によって起こる未来から見れば今が過去に当たる。「あの時」と嘆くなら、今の判断を考えることが大切。そういうメッセージと理解したくなった。

さて、音楽的な部分を見てみると、この曲の場合はサビでの盛り上がりと歌詞がマッチしていて、一気に感動を高めてくれる。
サビのコード進行は「Am」「F」「G」「E」といったところか(キーがわからないのでプラスマイナス半音くらい違うかも)。私が特に気に入っているコード進行、というかコードの使い方の一つがあって、キーが「C」または「Am」の場合の「E」の存在だ。もちろん「E7」扱いで構わない。 代表曲はJohn Lennonの「Imagine」だが、他にもいくらでもある。この「E」の時の展開、ドラマチック性は感動を生む。おそらく「E」のコードトーンの3度である「G#」のせいだろう。「C」や「Am」のキーでは「G」だから、これが半音上がる分だけ感動する(?)。

それにしてもシンプルなコード進行ながらこんなにも感動的な曲を作ってしまう前田亘輝は凄い。複雑なものを作るより、シンプで分かりやすく、そして感動を生むものを作る方が凄いと思う。そして歌詞も良いなんて!

ちなみにこの曲はギターでZakk Wyldeが参加しているバージョンもある。カントリーチックな部分があるからの起用かもしれないが、期待するような効果は得られていない気がする。

1998年は今日で終わる。新しい年はどうなるだろう。自分に明日があると良いが、「Tomorrow Never Knows」という曲もある(Beatles,ミスチルにもあったか?)。

1998年12月24日木曜日

My Heart Will Go On

Celine Dion [ J.Horner/W.Jennings ]

御存知、映画『タイタニック』でバンバンに使われている曲だ。今年はウンザリするほどあちこちでかかりまくってさすがに食傷気味。しかし、今日、クリスマス・イブに聴くと素直に説得力を感じるしやはり良い曲だと思える。ソウルフルなボーカルは迫力満点で圧倒的な声量。愛がテーマの曲だけに、イブに一人で聴き込むのもオツなものだな。しかも、今は部屋を暗くしてヘッドホンで聴いている。(ちょっとアブナイ人みたい?)

さて曲だが、まずイントロだ。映画を見た人はこのイントロだけでウルウル来るかもしれない。この独特の音はIrish Tin Whistleで、楽器も使用音階もアイルランドのものだ。アイルランド民謡などのアイルランド音楽は、意外にもロックに多大な影響を与えており、また日本人が好む泣きの雰囲気も充分にある。 そもそもタイタニック号がアイルランドで作られ、アイルランド人が沢山犠牲になっている。だからこそのこのイントロなのだろう。海の神秘や悲劇の結末を感じさせる荘厳な雰囲気Zが感動を誘う。

感動的な歌詞を覗いてみよう。「2人は遠く離れているのにあなたの気持ちがわかる。夢の中で姿を見せてくれた」「あなたがどこにいようと信じている。あなたの心が近づいたと」最高の相手と過ごしている人はウンウンと頷くだろう。「遠く離れている」というのは物理的な距離だろうか、心の距離だろうか・・・。言うまでもない。「もう一度あなたは扉を開き、私の心の中に入って来た」なぜ「もう一度」なのだろう。考え込んでしまった。

この世の「永遠」というものはない。結婚する時でさえ、最後に「死が2人を永遠に分かつまで」と言う。死後は2人は別々になるという意味だ。結婚式は永遠を誓うものではない。それを知っているからこそ人は「永遠」に憧れるのだろう。決して叶わないものこそ、ないものねだりになる。


一人、そんなことを考えてみた。(音楽的な話題がほとんどなかったな・・・)

1998年10月29日木曜日

Butterfly

Mariah Carey [ J.Horner/W.Jennings ]

昨年リリースされたアルバムからの曲で、いつも通りの抜群の歌唱力で聴かせる。私生活では色々あったようだが、相変わらずの歌声だ。

ソウル系に影響されてるであろうマライアの声は、序盤は抑え気味にささやくような感じで歌い、後半には天まで届くような圧倒的な声量となる。まさに殻を破ってチョウが空を舞うイメージそのままだ。しかもそのチョウが最高に美しい。声も美しければ見た目も美しい。マライアは殻を破って更に美しく羽ばたくのだろう。

ささやくような部分はサナギのようでかわいらしい感じすらする。それでいて声のセクシーさ、後半の圧倒的な存在感、そして美、感情表現。女性の素晴らしさを全部持っているような曲だ。

曲はピアノで静かに始まる。まさに外に出る直前のようだ。この音は本物の生ピアノに違いない。最近ではサンプリングした音や、生だとしても周波数を細かくコントロールしているものがほとんどで、ピアノの音が好きな者には高音が強調され、抜けが良すぎるような音は違和感を覚えるものが多いが、この曲のピアノはまさに本物の音だ。

ピアノの音に加え、ベースの音も好きだ。土台を支える重低音は、主張することなく縁の下の力持ちに徹している。アタック音がそれほど強くなく、高音の成分も少ないこのような音が本来のベースの醍醐味ではないかと思う。

この曲のサビは重厚なハーモニーになっている。最近のマライアの曲は比較的このようなタイプが増えてきているように思う。私は重厚なハーモニーと自由にフェイクするリード・ボーカルというパターンが好きだ。この曲もその典型例だ。しかもマライアのフェイクはとてもテクニカルで、そしてエモーショナルだ。終盤はハーモニーが聴こえなくなってしまうほど引きつけられてしまう。

静かでムードのある序盤から圧倒的な後半、そして最後は静かなピアノで終わる。起伏が凄まじく、曲が終わる頃には本を読み終わったり映画を見終わった時のような心地よい疲労感すら漂う。わずか数分の曲だが、起伏に富んだ感情の旅を終えた感じだ。これこそが音楽を聴く価値であり、素晴らしい時間の過ごし方のように思う。

何だか最後は大袈裟な話しにまで発展してしまった。^_^;

1998年9月20日日曜日

Ancient Sun(Piano Version)

1回目から自分の曲で恐縮だが、今日はこの曲にハマっている。このピアノをMIDIでイジっていたからだ(MIDIは全部マウスで打ち込んだもの。面倒で強弱はほとんどつけていないし、ダンパーペダルもなし。MIDIキーボードが欲しい)。まだMIDI初心者のため、左右のバランスが悪かったりコード弾きがカッコ悪かったりするが「一応こんな曲です」程度に聴いて。
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もともとは夏前まで活動していたバンド・Urayasu Machine Headのための曲だったのだが、曲を作っているうちにどんどんイメージが膨らんで、かなり気に入ったものに仕上がった。気に入った曲は色々なアレンジで試してみたくなる。この曲は原曲(Urayasu Machine Headバージョン)をピアノ曲に直したものだ。

どのアレンジも、この曲で一番気に入っている部分は、「D9」のコードから始まる部分だ。ギターで色々弾いていたら偶然出て来たコードで、「あ、このコードの雰囲気良いな」と思いながらあれこれ弾いていたら出来た部分だ。その時はそれが何のコードか等、まったく考えていない。自分で気に入るように適当に弾いて出来たのだから、気に入るのは当たり前だ。(すぐに飽きてしまう場合もあるが)

この気に入っている部分のコード進行は、「D9」「C#7」「Bm7」「C#sus4」だ。別にどうというものではないのだが、ギターで弾いていた時のリズムを生かしてある。

もう1箇所、とても気に入っている場所があって、それは原曲でいうとエンディングのギターソロの部分だ。これは完全にアドリブで、弾く瞬間に頭にあったものを弾いただけなのだ。深い考えなど何もない。このピアノバージョンでも多くの部分がそのままピアノに移植してある。出だしのすぐ後の、3連になるあたりが特に好きだ。メインギターのレスポールではなく、昔使っていた白いフェルナンデスのギターを使用し、レスポールらしくないものをと思って弾いてみた。24フレット仕様なので、出来るだけ高い音も使うようにして、MIDIバージョンもそんな感じにしてみた。「時間の流れの無情さ」が表現したかったことの一つなのだが、何となくそんなイメージの曲になったと思っている。コード進行的には「F#m」をキーにしたもので、単純そのものだ。

曲の生まれ方も気に入ったソロも、適当に弾いていたら出来てしまったというのだから、ラッキーそのものだ。