2003年12月31日水曜日

Green-Tinted Sixties Mind

Mr.Big [ P.Gilbert ]

聴いた瞬間から一発で気にいった曲だ。風変わりなイントロ、落ち着いた出だしから盛り上がるサビ、厚いハーモニー、変拍子がありながら分かりやすい間奏、今と昔をつなぐようで色彩のある歌詞、どれも最高だ。Mr.Bigの代表曲ではあるが、もっとヒットしてもおかしくないように思う。

ギターのメロディが印象的なイントロだが、ギターをやっている人の方が風変わりで難しいフレーズだということが分かるだろう。難しさの原因は音程の幅だ。流れるような16分音符のフレーズでありながら、ギターで弾くとローポジションからハイポジションまで駆使しなければならない。Paul Gilbertはライトハンドを使って弾いているが、使わなくても弾ける。しかし難しいことには変わりない。

ブリッジからサビにかけてのコード進行は、ほとんどベース音が変わるだけなのだが、とてもいい感じの響きで面白い。「That's reaching into her dreams」からのブリッジ部は「EonD」 「EonC#」 「EonB・B」 「D」で、半分以上が「E」だ。サビの部分は「E」 「EonF#」 「EonG#」 「EonA」 「EonC#」 「EonB」 「A#m7(♭5)」 「A・B」で、またまたほとんど「E」。しかしベース音だけで随分違って聴こえるものだ。「A#m7(♭5)」も実に良い。

ライブでは間奏の直後に演奏を止めてアカペラ状態でハーモニーを決めていたが、Mr.Bigはハーモニーも売りにしているだけあって本当にキレイだ。メンバー4人すべて歌えるのだが、この曲は3声のハーモニーではないだろうか?あと一つは??

タイトルにも出て来るが、「60年代」というのが一つのキーワードになっている。作者のPaul GilbertはかなりのBeatlesでも有名だが、この曲はとてもBeatles的だ。曲の構成は特にBeatlesっぽいわけではないのだが、例えば間奏に出て来る16のタンバリンやコーラスワークがそう感じさせるのだろう。

歌詞も60年代の雰囲気を歌っている箇所がいくつもあって、「Janis」とはあのブルーズの女王・Janis Joplinのことだろう。タイトルの「Green」というのも、何となく昔の映画が緑っぽく変色しているような感じを連想させて、「古き良き時代」を想うようになっている。セピア色とか黄色く変色するというのはよく使われたりしてありがちだが、「緑っぽい雰囲気」というのはよく分からないのに、あの時代を想う時、どこか「緑っぽさ」を感じる。意味も分からないのに納得してしまうような表現だ。
ちなみに「あの時代」と言っているのはBeatles全盛時代の後にやって来る、フラワー・ムーブメントの時代、すなわち1960年代後半、ウッドストックをはじめとするあの時代の感覚だ。

この曲のビデオ・クリップもそれっぽくて良い。Beatlesの映画「Magical Mystery Tour」を連想させるカラフルな色使いはモロに「あの時代」のサイケデリックな感じだ。

2003年12月25日木曜日

All I Want For Christmas Is You

Mariah Carey [ W.Afanasieff/M.Carey ]

日本ではテレビ・ドラマで使われたそうで(実はよく知らない)、「恋人たちのクリスマス」という邦題でかなりの人気の曲となり、今やクリスマス・シーズンの定番の一曲となっている。
実は個人的には特に「凄く好き」と言えるほどの曲ではない。彼女の曲では、感動的に歌い上げるようなものが好きだ。ただし、ライブで聴いた時は元気なリズムも含め、とても楽しめた。CDとライブとでは違うのだ。
なぜこの曲を取り上げたかというと、今日、偶然ラジオで聴いて、色々なことがフラッシュバックするように頭に浮かんだからだ。

人は、あまりにも理想的なものを得るとどうなるだろうか。まるで手に届かないような夢のような話しが突然現実と化し、しかも自分が望んでいる以上の形で手に入り、更にはそれが自分が考えていた以上に素晴らしいものだったとしたら・・・。
実際、そんなことが起こるのかどうか、それは別として考えてみてほしい。

もちろん嬉しくなるだろうし、踊り出したくなるかもしれない。夢ではないかと頬をつねってみるかもしれない。
その後はどうなるのだろう。間違いなく現実であるということが分かり、簡単には消えてなくなることがないことも分かった。

多分、精神的にとても不安定になるのではないか。それだけ素晴らしいものを手に入れたのなら、それを失うことを極端に恐れるだろうし、傷つけたりすることも怖がるだろう。究極的に理想的なものなら、正気を保つことも難しいかもしれない。
それは精神的未熟さだろう。または経験の問題か。一度、そのような体験をしていれば、次に同じ状況になった際は比較的冷静でいられるのかもしれない。しかし、そのような理想的な状況は、人生に何度もあるものではないように思う。

クリスマスは平日であることが多い(イブのイブは祝日だが)。恋人たちは仕事等の合間をぬって時間を作る。それも叶わない人たちもいる。障害や欠点、負のベクトルがあるからこそ安定的な幸せに向かえるのではないだろうか。

もし、理想が手に入りそうな場合、急いで確保すべきだろうか。慌てずゆっくり確実に進むべきだろうか。分からない。

しかし確実に言えることは、手に入った後はゆっくり時間をかけるべきだということ。決して走ってはいけない。踊り出し、走り出したいのをジッとこらえることは、時間で想いを蓄積する楽しみでもあると言えるのではないだろうか。

2003年12月24日水曜日

Happy Xmas

John Lennon [ J.Lennon ]

キリスト教の国でもないのに、クリスマスの季節になるとあちこちでイルミネーションがとてもキレイだ。ロマンチックな雰囲気が溢れる。
この曲の中にも「so happy Xmas, and happy new Year」と出て来るように、欧米では「クリスマス休暇」のようにしてクリスマスと新年を祝う。しかしなぜか日本では12月24日がメインで、25日が過ぎれば完全にクリスマス気分は終わり、新年を迎える体勢に切り替わる。今度は和風な感じだ。

この曲で歌詞で印象的なのは「War is over if you want it」の部分だろう。まったくその通りで、あなたが望めば戦争は終わる。「あなた」とは、ある特定の一人ではなく、誰かにとっての「あなた」であり、それは複数いる。英語で「you」の複数形も「you」なのに感心してしまう。
戦争を望む誰かがいるから戦争が起こるのだ。イラク戦争のあった今年はこれが実感出来る。しかし、人類と戦争は切っても切れない関係なのかもしれない。
いやいや、「人類」などと言っている間はJohnのメッセージを分かっていないことになる。それではまるでひと事だ。「私は戦争を望まない。あなたは?」これを繰り返し、ずっとつながっていけば、やがて「Happy Xmas」ということになる。

先日発売されたJohnのビデオクリップ集のDVDにこの曲のものもあったが、あまりに悲惨な戦争の映像に、思わず目をそむけたくなった。しかし、目をそむけようとも、これが現実なのだ。現実である以上、「目をそむける」「忘れよう」というような行為は逃げにすぎず、偽善者と呼ばれても仕方がない。まずは現実であることを知り、何が起こっているかを考えることから始めなければならないと思った。それがJohnのメッセージでもあるのだろう。

曲の冒頭でJohnとYokoがささやいている。前妻、前夫との子供に呼びかけており、「複雑な事情があってもクリスマスを祝おう」ということなのだろう。

演奏で印象的なのはマンドリンだ。たくさんのコーラスが出て来る壮大な曲だが、このマンドリンのおかげで素朴な感じもして良い。

エンディングまでしっかり収録されているバージョンは意外に少ないようだが、当初からのバージョンは感動する。長いリフレインが終わって演奏が終わって、拍手や歓声が聞こえるのだが、その中からやがて「Happy Xmas」の大合唱へと変化していく。

2003年12月20日土曜日

Rising Force

Yngwie Malmsteen [ Y.Malmsteen/J.L.Turner ]

ハードロック/ヘヴィメタル界のスーパー・ギタリスト・Yngwieの初登場だ。知らない人のための簡単に紹介するが、まずこの名の発音だが、カタカナ表記ではよく「イングヴェイ」と書かれる(実際の発音とは微妙にニュアンスが違う)。スウェーデン出身なので、おそらくそちらでは普通の名前なのだろう。
1980年代中盤に登場した超ハイテク・ギタリストで、凄まじい限りのスーパープレイで世界中を早弾きブームにした。クラシック音楽からの影響を曲に大胆に取り入れ、叙情的かつ劇的な曲が人気を呼び、ギタープレイもまるでオーケストラの第一バイオリンのような演奏ぶりだ。
ただ、クラシックの影響を強調してはいるが、基本的には根っからのロック人間で、当然のことながらクラシックよりもロックからの影響の方が圧倒的に多く、優れたロック・ギタリストであることは言うまでもない。

この曲はアルバムのオープニングを飾るアップテンポの曲で、スピードメタル系の曲に通じるものがある。が、そこは彼の曲、かなりメロディアスで、単に勢いだけの曲ではない。スローにして、ピアノとかアコースティックの曲にしても通用する美しい曲でもある。

また、サウンドも素晴らしい。特にギターの音は、ストラトとマーシャル・アンプだろうが、暖かみのある太い音で、それでいてクリアで極上だ。

圧巻はやはりソロだろう。ギターとキーボードの掛け合いになっているが、出だしのギターの超速フレーズなどは全ての音を聴き取ることすら困難なほど早い。かなり早いテンポの曲にも関わらず6連符が続くので、1小節で24音もある計算になる。音的にはコードトーンにトップの音だけがメロディとして変化するものだが、とにかく早い。しかも直後には2拍ごとにオクターブ違いとなる。ギターで言えば、この早いテンポの中で一挙に12フレットもの大移動が要求されるという恐ろしいフレーズだ。これがこれでもかというほど出て来る。ライブではこれをYngwieはアクションを決めながら余裕で弾くわけである。

もう一つ圧巻なのはエンディングだ。ギターとキーボードのユニゾンによるフレーズだ。これも先程のソロほどではないにしろ、かなりの早さの上、キーボードと合わせなければならない。実質、不可能に近い。しかし、このフレーズに続いて、最後の3つのコードが「ジャ、ジャ、ジャーン」と決まると、交響曲のエンディングのようで最高にカッコいい。

最後に、このアルバムのみで共演しているボーカルのJoeの存在も忘れてはならない。彼のポップな感じがとてもうまくブレンドしていて、この曲以外も含め素晴らしい仕上がりになっている。

2003年12月17日水曜日

宝くじ

ARB [ Emma ]

連続でARBの登場だ。この曲は昨日の「淋しい街から」と同じく1stに入っている。1stは数日前にゲットしたため、初めて聴く曲も半分はあったのだが、この曲も初めて聴いた曲の一つだ。

初めて聴いた感想は、「お笑い系の曲。でも演奏はカッコいい!」という感じ。実際、歌詞は笑える。これは笑いつつ風刺になっているのだろう。当然、狙って書かれているはずだ。
ロックもギャンブルのようだが、簡単に成功はしない。「ギャンブルに生きている人はどんどんやってみな」という逆説的な批判なのだろうと思う。

この曲は、この1st限りで脱退するキーボードのEnmaによるものだ。当然、ARBの歴史の中でも珍しいタイプの曲調になっている。この曲以外にもう1曲彼の曲があるのだが、やはり他の曲とは少し雰囲気が違う。しかし最も毛色が違うように感じるのは、やはりこの「宝くじ」だろう。もちろん演奏メンバーは同じなので、ARBらしい部分もあるのだが、雰囲気は明らかに他とが異質だ。

最も他との違いを醸し出しているのはボーカルだろう。オクターヴで歌われていて、下は石橋凌だと思うが、上のパートは誰だろう?「賭けてごらんよ~」の叫びも誰だろうか。ARBでコーラスをとるのは田中一郎だし、実際、彼っぽい声に聞こえる。ひょっとしてEnma本人か。

演奏は、2ビートのリズムにマイナー全開の音使いのアヤシイ雰囲気のギターが印象的だ。このギターも左右でオクターヴになっている。ピアノだけになる部分も印象的で、ギターのリフとの対比になっていて曲に惹きつけられる。が、歌詞が笑えるというのが不思議な感覚だ。
サビの部分は突然メジャー・キーになっていて、「おやっ?」と思わせるが、それ以上に歌詞を聴いてしまう。

しかし、こうしてリリースから四半世紀近くたった今になって改めて1stを聴いてみると、かなりバラエティに富んでいるのが分かる。凌の曲はすでにこの後のARBワールドそのままだが、ここに田中一郎の曲が加わり、そして異色のEnmaがいれば結構面白かったかもしれないと今さらながら思った。(個人的にはARBと言えば、凌、一郎、キースで決まりだったから余計に)

2003年12月16日火曜日

淋しい街から

ARB [ 石橋凌 ]

あまり有名でないが、ARBは1980年代の日本のバンドだ。パンクの影響を受けた骨太ロックで、強烈な社会批判の歌詞が多いのも特長だ。
私が中学から高校の頃に結構聴いていたのだが、その頃はすでに全盛期を過ぎていた頃だ。いつ頃を全盛期と呼ぶかは解釈によってかなり違って来そうだが、私は初代ギタリストの田中一郎が在籍していた頃の末期頃ではないかと思っている。次の斉藤光浩もお気に入りのギタリストだった。
売れたという意味では3代目の白浜久の時代がピークかもしれないが、個人的にはダントツで田中一郎時代が一番だ。

さて、この曲は1978年のデビューアルバムに入っている曲で、もう15年くらい聴いていなかった曲なのだが、ずっと頭の中に残っていたものだ。それを最近、ようやくCDをゲットすることが出来て久しぶりに聴けたというわけだ。

ARBは強烈な曲が多いのだが、最もよく聴いていた中学・高校時代から随分経った今、よく思い出すのはなぜかしっとりした曲が多い。不思議なものだ。そしてそのしっとり系の曲がまた素晴らしいものが多い。

曲はレゲエのようなリズムだが、なかなか感動的な美しい曲だ。まず出だしのツインギターが好きだ。シンプルなフレーズだが、上昇フレーズのあたりなど何度も聴きたくなってしまう。

石橋凌が、故郷の久留米の街を思って書かれた曲だそうだ。久留米には行ったことがないので「灰色に痩せた街」なのかどうかは分からないが、それは久留米が悪い街という意味ではなく、若き凌には小さすぎる街だったということだろう。

ちなみにこの曲、ずっと後の1990年代に入ると、ライブで凌一人によるアコースティックの弾き語りで演奏されることも多い。ツインギターのメロディが消えてしまったのは寂しいが、これがまた美しさを強調するかのような素晴らしい出来で、アコースティックギターがとても綺麗だ。

オリジナルではシンプルに「G」「A」「Bm」「Bm」というパターンで、「Em」「A」「DM7」「F#monC#」「Bm」「G」「A」「Bm」という感じ。

アコGバージョンではもっと工夫したコードで弾いていた。

2003年12月13日土曜日

Over The Hills And Far Away

Gary Moore [ G.Moore ]

私の大好きなギタリストの一人だ。1990年代はブルーズに行ってしまったが、本来はハードロックの人だ(本人は「本来はブルーズだ」と言いそうだが)。この曲は、そのハードロック時代末期の曲で、故郷のアイルランドを強く意識して作られた作品『Wild Frontier』に入っている。
この曲もリフなどにアイリッシュなムードが漂っている。アイリッシュなメロディは意外にも日本人好みするもので耳に馴染みやすい。

何と言っても圧巻はギター・ソロだ。アームを使ったトリッキーなフレーズから入ると、すぐに超高速フレーズになる。一聴するとライトハンドでのタッピングのように聴こえるが、Garyはライトハンドはやらない。答えは左手によるタッピング的なハンマリング&プリングの連続なのだが、それにしても本当に超高速だ。これはGaryの得意技の一つなのだが、開放弦を絡めないハンマリング&プリングのの超高速トリルなどは人間技とは思えないスピードだ。私も挑戦したが、とてもではないがあのようなスピードは出せない。左手の薬指や中指を、ああも早く動かすことが出来るものなのだろうか。不思議でしょうがない。
ソロの最後はピックでのトリルで上昇するフレーズだが、凄いのは一番最後の1音、決めのロングトーンのビブラートだ。これが出来るだけで一流のギタリストと言えるかもしれないほど感動を増幅させる。

Garyはボーカルもギターも両方こなすフロントマンだが、私としてはギタリストとして見ている部分が大きい。
この曲にしろ、ライブにしろ、素晴らしい太い音で本当に気合いの入ったソロを弾く。とてもテクニカルで早弾きも多いのに、単なる腕自慢コンテストのようにならないのは、やはり根性の入った迫力のピッキングと劇的なビブラートのせいだろう。

この曲で唯一残念なのは、ドラムがあまりに平坦だということだ。それもそのはず、これは人間ではなくマシーンだ。最近は人間のようなノリを出すプログラムも可能だそうだが、1987年の時点ではまだ無理だったようで、完璧ではあっても、あまりにつまらない。これが曲の感動を随分引き下げていると思う。これはこのアルバムの全ての曲に言えることだ。
しかしそれを嘆いていたり批判したりしていてもしょうがないので、その分、Garyのギターやボーカルを堪能すべきだろう。

転調した後、エンディングでもソロが出て来て、おそらくフリーで弾いているのだろうが、こちらもカッコいい。Garyのギターは「気合い」とか「根性」という表現が似合うのが理解出来ただろうか?

2003年12月8日月曜日

Starting Over

John Lennon [ J.Lennon ]

なんと23回目にもなるJohnの命日だ。まだBeatlesを知って間もない頃は、この季節にラジオ等でBeatles関連の番組が沢山かかり嬉しかったものだ。あの頃は「Johnの3回目の命日です」というような紹介だったのに、いつの間にか、もう23回目だ。月日が経つのは本当に早い。
この日だけはJohnの曲を聴いて、色々思いにふけりたい。様々な彼のメッセージを思い出すだけでなく、自分自身の昔のピュアな心を思い出す日でもある。夢中でラジオを聴きあさっていた時代の気持ちを忘れないでいたい。

さて曲だが、鐘のような音に続くイントロはギターでコードをジャラ~ンと弾き、ボーカルと同時に曲が始まる。イキナリ歌から入るパターンはメロディを印象づけるのに有効だし、そういえばBeatlesの曲にもよくあった。

ざっとコードを拾ってみると、「A」「Aang」「A6」という風に「A」の5度の音が上がったり下がったりするだけだが、このパターン、結構Johnは得意としている。
次のパートはイントロとちょっと似ているが、「A」「Aaug」「Bm」「E」「Bm」「E」「C#m」「F#」「Bm」「E」という感じで続き、特に「F#」がドラマチックだ。
中間部は「G」「Am」「D7」「G」「Em」「Am」「D7」「G」「E」となって元に戻る。
全体としてはBeatlesの香りも漂う、60年代風の曲だと思う。

リズムはシャッフルだ。新しく始まった80年代について「再出発」を歌っているのだが、この直後に暗殺されてしまうため、まるで「天国への再出発」のような気持ちで聴いてしまいがちだが、この軽快なリズムは「くよくよ考えるな」と言っているように思える。「新しい誓いを立てて、元気を出していこうじゃないか」というメッセージかもしれない。

「Why don't we take off alone」からの部分がとても好きだ。ポジティヴな雰囲気が更に強調されて元気が出て来るようだ。 

Johnがこれだけやる気を出していただけに、23年前のこの日がとても残念だ。

2003年12月5日金曜日

Piece Of My Heart

Janis Joplin [ J.Ragovy/B.Berns ]

偶然テレビでこの曲の一部がかかったのを耳にした。久しく聴いていなかったので、とても懐かしくなった。

私にとって、Janis Joplinというとブールズの女王という感じだ。
ブルーズという音楽を味わうポイントは音楽的にも感覚的にもいくつもあるが、Janisを聴いて一番感じるのは、ものすごい説得力だ。論理的に説明して説得するのではない。心を訴えるようにして説得するのだ。

前々から「Janisっていい女だな」と思っていた。私がまだ1歳になったばかりの頃に死んでいるので、当然、会ったこともないし、性格も知らないし、特別美人というわけでもない。それでも「いい女」という言葉がピッタリのように思う。
歌詞の内容については今回は触れないことにするが、久しぶりに聴いてみてどこから「いい女」というイメージに結びついていくのかが分かった。

歌に説得力があるのは、圧倒的なパワーと太い声でたたみかける部分と、笑みを浮かべながら語りかけるように歌う部分のバランスやコントラストが絶妙だからだ。
この曲の場合、「Come on, Come on」の部分が前者で、その直後が後者だ。
前者は女性としての生き方や凄み・重みを感じさせ、後者は優しさや包容力を感じさせる。女性は子供を産むし、子育ても父親より母親の方が子供に近く愛情を注いでいるように感じる。誰もが母親から産まれ、母と子の絆は絶対的なものであり神秘的なものでもある。そういう偉大さを感じさせつつ、女性としての可愛いらしさ、優しさもあわせ持つ。これは顔の形やスタイルのことではない。 この2つを持った女性は、誰でもとても魅力的なのではないだろうか。男が絶対に叶わない圧倒的な母性を感じさせるということだ。
母の大きさと恋人の可愛さがあれば、それは男にとって「いい女」としか言いようがない。

そんなJanisは27歳の若さで孤独に死んでいってしまった。

2003年12月2日火曜日

Cocaine

Eric Clapton [ J.J.Cale ]

おととい、単独公演としては初めてのEric Claptonのライブを見た。過去にないほどの代表曲をセレクトしたセットリストだったが、その中でもハイライトの一つになったのがこの曲だ。

Creamの「Sunshine Of Your Love」を思わせるイントロのリフだ。それにボーカルの入りも同じだ。意識してか分からないが、Cream時代の雰囲気を狙ったのかと思ってしまう。
ただしこの曲、Claptonのオリジナルではない。オリジナルであるJ.J.Caleのバージョンは聴いたことがないのだが、どうやらリフはJ.J.Caleのオリジナルに近いものらしい。だとすれば「Sunshine Of Your Love」との関連を云々するのは無意味になる。たんにもともとこういうリフだったというだけかもしれない。

「Sunshine Of Your Love」と似てはいるものの、ライブでイントロを聴いた瞬間は、「Sunshine Of Your Love」ではなく「Cocaine」だということはすぐに分かった。

ハードな「Sunshine Of Your Love」と比べると、もっとレイドバックした感じになっていて、ゆったりと大きなリズムを持った曲だ。それ事体がこの曲のカッコ良さになっている。このような大きなノリを感じさせるドラムは大好きなのだ。

今回の来日でのセットリストでは「Cocaine」から「Knock On Heaven's Door」となっており、意味深な流れだ。が、私が見た日は「Knock On Heaven's Door」をやらず、一気に「Layla」へ流れ込み、盛り上がりは最高潮となった。

それにしても、日本ではこんなタイトルの曲は絶対に許されないだろうな。まして売れっ子ミュージシャンが、なんて。