2018年11月11日日曜日

I Don't Know

Ozzy Osbourne [ O.Osbourne/B.Daisley/R.Rhoads ]

Ozzyのソロ第1弾『Blizzard of Ozz』の1曲目を飾り、当時のライブでもよく1曲目で演奏された。長いOzzyのキャリアのほぼすべてのライブで演奏されている。

ドラがフェードインして来る音(テープの逆回転かな?)の後にギターのスライド・ダウンの音(6弦15Fから)で始まり、印象的で分かりやすいリフが始まるという、ランディの曲の典型例。
「A」のコード(4弦と3弦の2F)を鳴らし、2拍目から4拍目までは5弦開放(A音)をブリッジ・ミュートで16分で刻む。続いて「B」(2本の弦の4F)を鳴らし、同じようにミュートの16分を刻む。更に「C」(2本の弦の5F)に16分の刻み。そして2拍ずつ「G」と「D」のコード。実に分かりやすい。「G」と「D」のところはノーマル・ハーモニクスの場合もある。「Crazy Train」等と並び、つい弾きたくなってしまうリフだ。

ちなみに、ライブでは合間合間にオブリガードが入る。それがかなり個性的。強力なピッキング・ハーモニクスが多いが、トリルや開放弦を利用したもの、低音でのもの、ノーマル・ハーモニクスと色々ある。歴代ギタリストの比較をする際に、オブリに注目するのも面白い。(例、ジェイクはまったく独自の細かいフレーズを入れ、ザックはランディと同じような路線で勝負等)
とりあえずここでは一番最初のヴォーカル前に入るオブリを見てみよう。弾き方は、2弦1Fと開放を3回、3弦2Fと開放を2回、4弦2Fと開放を1回、5弦3Fと開放という具合だ。シンコペーション的に最初のをもう1回多くやる場合もある。ピッキング・ハーモニクス気味に弾くと感じが出る。
何回か後には超早弾きのオブリもあって、弾き方はシンプルだがとにかく早いというのがある。3弦の5F、4F、2Fをハンマリングとプリング・オフを繰り返すパターンだが、1拍で3回ハンマリングとプリング・オフをするので、6音鳴っていることになる。1小節で24音だ。

リフもライブでは少し弾き方が違っていて、2つめのコードはオクターヴ上も一緒に弾いているように思う。つまり押さえ方は、4弦から1弦にかけて、4F、4F、7F、7Fとなる。次のコードも同様。

その次のパートのコード進行を見ていくと「G」「F」「G」「F」「G」「F」「F/ConE」「D/C・G」で最初のリフに戻る。
「F」の部分はアルペジオっぽいフレーズだが、8分で4弦3F、3弦5F、4弦3F、2弦6F、3弦5F、1弦3Fと弾く。3回目はこれをダブル・ピッキングで2音ずつ16分で弾く。曲の後半ではディストーション系のエフェクトを更にONにして(すでに充分歪んでいるのに)、「ジョォワァァァー」という音を出すというフレーズ以外でのオカズを入れている。(バンド・メンバーは「フライパン」と呼んでいたという話しを聞いた気がする)

次のパートは、スタジオ・バージョンとライブとでは結構弾き方が違っていて、スタジオ・バージョンは「Dsus4」的な感じで弾く。スタジオ・バージョンはよく譜面が出ているので、ここではライブ・バージョンを優先するが、まず5弦開放を8分で2回鳴らした後、3・4弦の7Fをダブル・チョーキングとチョーキングなし、そして7Fと5Fの音、2小節目の3拍目と4拍目が「C」と「G」。この繰り返しだ。

そしてミドル・セクション。テンポが半分になり、曲調はガラッと変わる。そして私が好きなパートでもある。
コード進行は「D」「DonC」「DonB」「F」の繰り返し。このパートでランディは3本のアコースティック・ギターで色々やっている。よりメロディックなのだが、ここでは一人で弾けるライブ・バージョンを取り上げよう。
まず、ライブではギタリストは一人なので、音はそのままで優しいピッキングに変えて弾いている。コード・アルペジオとメロディ、ところどころにオブリガードという感じのプレイだが、こちらもなかなか聴き応えがある。
まず最初の「D」は、1拍目にコードを鳴らし、ヴォーカル・メロディと同じタイミング(1回目はヴォーカルはないが)で2減でメロディを弾く。「DonB」のところは「G」かもしれないが、それれは明確に「G音」を鳴らしているからだ。「D」なら4度の音になる。
「F」の時が色々変わり、6thや9thの音も使っている。1回目は多分6弦1F、4弦0F、3弦2F、2弦3F、3F、2F、0F、3弦0Fでのアルペジオだろうと思う。2回目は2・3弦の10F、3弦の12Fのハンマリングとプリング・オフ、3・4弦の10F、4弦12Fのハンマリングとプリング・オフ、以下省略、3回目は6弦1F、1弦3F、3弦0F、4弦3F、1弦3F、3弦0F、1弦3F、5Fではないか。1弦3F、3弦0Fは9度の音、もしかしたら2弦0F(♭5)の音も入っているかもしれない。
あともう1~2パターンある。

それからソロだ。基本的にGマイナー・ペンタトニックでのプレイだが、ところどころにトリッキーなフレーズが散りばめられている感じだ。2弦10Fを押さえておいて、13Fをピックでタッピングするトリル技や、半音ずつ下がっていってスケール・アウトしたものなど、弾いていてなかなか楽しい。早弾きもあるが、結構キチッとしているので意外と弾きやすい。全部コピーしても損はないものだ。公式にはランディのライブは2種とスタジオ・バージョンがあって、どれも同じ構成のソロになっているが、よく聴くと結構あちこち変えて弾いている。ランディも楽しみながら気分で色々弾いていたということなのだろう。
ちなみに、ジェイクはこのソロを、少しだけ長く繰り返しを増やしたが大筋で似たような構成、ザックはほぼ同じように弾いていた。

見てきたように、この曲には様々なオブリガードが入っている。入れられるスペースが沢山あるということだし、ランディをできるだけ尊重しようという前提でも、ランディ自身が色々なオブリを毎回違った感じで様々に入れているのだから、勝手に色々入れても冒涜にはならないだろう。曲としてきちんと成り立ちながら色々遊べる曲というのは最高だと思う。キッチリと作られている場合が多いメタル曲にはなおさらだ。曲自体にダイナミクスもあるし、ライブ向きの曲と言えるのではないかと思う。

2018年11月6日火曜日

Hallelujah, I Love Her So

Ray Charles [ Ray Charles ]

1950年代のロックンロール・オールディーズ曲。結構有名な曲でたくさんの人がカヴァーしている。
50年代のオールディーズというと単純な3コードの曲かと思うが、この曲は結構複雑だ。パッと聴くと他の3コードの曲と同じように聴こえるので、私も長い間特に気にしていなかったが、最近テレビで偶然に耳にして、意外に面白そうな曲だと思い、初めて音をとってみた。どう解釈して良いか分からない部分もあったが、ネット上に大量に弾き方等が出ているので、それも参考にした。なかなかカッコいい曲なので、是非どうぞ。

まずメイン・リフ。キー「A」として、「ラ、ド#、レ、レ#ーミ」(ベースはもう少し動くが)というのは単にコード「A」に対するありふれたリフ。これを繰り返すような曲だが、アレンジの妙で素晴らしい曲になっている。
この2小節に渡るメインのリフにコードをつけてみる。ずっと「A」として弾いても悪くはないが、それぞれにコードを当てた方がリフが強調され、それだけで曲っぽくなる。
「A/AonC#」「D/D#dim7・E9」となる。最後の「E9」は「E」や「E7」でも構わない。これを2回繰り返し、次の展開に移る。

ざっとコード進行を書いておくと、「A」「A7 (A7#5)」「D」「D#dim7」「A/C#7」「F#m/D7」「B7/E9」「A」となる。「A7#5」は4拍目にジャッと入るだけだが、ちゃんと弾いた方がカッコいい。「E9」のところは「E69」とかただの「E」でも大丈夫。それよりもシンコペーションする部分など、リズムに気を付けて弾くべきだろう。
コードで注目すべきは「A/C#7」「F#m/D7」の部分で、最初のリフに対し、もう1種類別にコードをつけた感じになっていて、こちらの方がよりドラマチックになる。特に「C#7」が効いている。「F#m/D7」もスムーズに弾くために、ギターの場合、「F#m」を高めの10Fセーハの形で抑えた場合、「D7」も10Fセーハの形か、4弦→1弦の順に「7F 7F 7F 8F」と弾く。

続いてBパート。「D」「Ddim7」「A」「A7」「D9」「C9」「B9」「E9」がコード進行。最後の9thの連発はナシでも雰囲気は出る。Beatlesがカヴァーした音源なんかはかなりシンプルに直している。

結局パートはこれだけだ。こんなにシンプルな作りなのに素晴らしい曲だ。おそらくレイ・チャールズはピアノなので、「リフに合わせてコードを弾いていると、結果こういうコード・ネームにになりました」ということなのだろう。「A」のコードとリフのメロディを意識して弾くと自然にこんなコードになる。

2018年11月1日木曜日

Friday On My Mind

Gary Moore [ H.Vanda/G.young ]

The Easybeatsのヒット曲のカヴァーだ。1987年のアルバム『Wild Frontier』収録。

個人的には素晴らしいカヴァーだと思う。オリジナルのEasybeats版はモロに60年代のビート・バンドっぽい感じで、Beatlesの出来損ないのような雰囲気があったが、ゲイリー版は80年代仕様にブラッシュアップされてカッコ良くなっているし、ちょっとダサかったアレンジも見事に修正されている。オリジナルと比較しながら見ていくことにしよう。

まずテンポが随分遅くなった。と言っても、スローになったのではなく、Easybeatsが早すぎたのであって、ゲイリー版は普通に感じる。
そして印象的なギターのリフがキーボードに変わっている。2つめのコードは「D」にまとめられ、「A」の時のちょっとした変化が省略された。あまり効果的でなかったからやめたのだろう。
「G」のところで歪んだ激しいギターが一発入って来る。ハードロック・ゲイリーがカッコいい。
「B7」のところでリード・ギターがやっていたフレーズをシタールの音で入れている。
コーラス・ハーモニーでやっていたオカズもキーボードやシタールになっていて、だいぶ雰囲気が変わっている。

個人的にオリジナルでダサいと感じていたバンドで合わせる部分(「E/C」「AF#/BE」の部分)のアレンジが大幅に変わっていて、「C/G」「AE/AE」になっている。変な凝り方をするのではなく、シンプルにしたということか。

それから、大きな違いだと思うのが、ゲイリーのギター・バッキングがパワー・コード中心、つまり1度5度の音が強調されているということ。これはどういうことかというと、3度がないということは長短の区別が出来ないということで、「Am」→「A」はずっと同じコードに聴こえるし、特徴的な「B7」のところも「B7」なのか「Bm」なのか「B」なのか分からなくなっている。

もう一つ、結構重要だと思う変更は、サビの中に出て来る「Tonight」のコーラス・ハーモニー。3回出て来るが、1回目は「D」の時、2回目は「B7」の時、3回目はまた「D」になる。オリジナル版は、1回目は「to」が「ミソ#」、「-night」が「ファ#ラ」で、2回目は同様に「ミラ」「ファ#シ」で、3回目は「ファ#シ」「ラレ」となる。2回目の下のパートが1回目と同じで、これはつまり「B7」の調性を示す音を省略していることになる。主旋律に対して5度の音だからだ。3回目も同様。そのせいで少し不思議なコーラスになっている。
これに対しゲイリーは1回目から変化しない。メイン・ボーカルも変化しないので、つまり変化しているのはコードだけになる。「B7」の時のコーラスは5度と7度の音になりコード・トーンだ。このあたりはパワー・コードの多用と関連があるかもしれない。こちらの方がずっと現代的で良いように思う。
が、カヴァーしている他のアーティストのものを聴くとどれも原曲に従っているようだが、気にならないのだろうか?原曲へのリスペクトなのか、慣れすぎて違和感を感じなくなっているからか・・・?

サビでは、結構印象的な「F#7」の部分を、オリジナルは「トゥトゥトゥトゥ」とコーラス・ハーモニーでやっていたが、ゲイリーはキーボードで置き換えている。これでイントロからキーボードを使う必然性も出て来るというものだ。

ゲイリー版はこの後ギター・ソロが入る。ソロといっても、ゲイリーにしてはかなり控え目な部類に入る。まず、ドラムだけ残してブレイクし、キーボードでリフのようなメロディを入れる。曲調にも合わせてややエキゾチックな雰囲気。そしてギターが応えるように入る。キーボードとギターの掛け合いだ。
その後が好きだ。同じキーボードのフレーズを繰り返しながら、「Em」「Em」「GonD」「GonD」「AonC#」「AonC#」「CM7」「CM7」と進むのを2回。下降するベースに対し、ギターは5弦7Fから「ミー」「ラシー」「レミー」「ラシー」とどんどん上がっていって盛り上げる。最後は1弦22Fのチョーキングのトリルだ。そして「E」を刻んだ後、6弦開放をアームダウン。最高音から最低音だ。

この曲ではゲイリーのアレンジ力や曲の解釈の力が発揮されていると思う。原曲以上にカッコ良くするカヴァーは最高だ。それにゲイリーが変更した部分のいくつかは私もオリジナルを聴いて同意見だった部分なので、それも嬉しかった。

2018年10月26日金曜日

Friday On My Mind

The Easybeats [ H.Vanda/G.young ]

60年代のオーストラリアのバンドの曲。作曲のジョージ・ヤングはEasybeatsのリズム・ギタリストだが、ヤング4兄弟の長男。3男のマルコムと末弟のアンガスはAC/DCのギタリストとして有名。もう一人の作曲者・リード・ギターのハリー・ヴァンダもジョージとともにAC/DCのデビュー・アルバムをプロデュースしている。

そのEasybeatsの66年の曲がこの曲。60年代らしくビート系で、今聴くと結構時代を感じさせるものがある。映像も見たことがあるが、ヴォーカルのスティーヴィー・ライトが、ニヤケつつ余裕こいて歌っているように見せているのがちょっと気に食わない。ジョン・レノンの余裕感やオチョクリ感を出したいのかもしれないが、こちらは何となく小物感になっているような・・・。
曲自体は結構カッコいいのだが、アレンジがダサく、ヴォーカルもリズムに乗っていないので下手クソに聴こえる。ワイルドな勢いは感じさせるが、ちょっと外している感じ(The Whoなどもこれに近い雰囲気を醸す時があるが)。
出だしのギター・リフなどは1度5度を連発しているだけだが、結構斬新に聴こえる。アメリカっぽさは全然なくて、少しイギリスっぽいかなという感じだが、メロディも結構凝っていて独特のセンスを感じさせる不思議な魅力もある。

もう少し曲を見ていこう。独特のメロディは、ハーモニックマイナー・スケールで成り立っているからで、この時代にはほとんど聴かないものだ。偶然見つけたのか、勉強の賜物なのかは不明だが、これも斬新だ。そしてギターもこれを強調するようにメロディを弾いている。出だしのギターがシンプルなだけに、当然展開するようにハーモニック・マイナーが出て来ると曲の広がりが強調されるようだ。
もう一つのポイントはマイナーからメジャーへの露骨な変換だ。例えば「Am」の時に「ミファミレミレドシ」と来て最後に「ド#ー」と伸ばす印象的なメロディだ。最後の音以外はマイナー・コードの中でのマイナー・スケールだが、最後に3度の音が来るようにしてメジャーを強調する作戦。

歌のバックの印象的なリズム・ギターのタブ譜を載せておく。イントロは出だしと一緒だから省略してあり、いきなり歌の出だしからだ。(あくまで「オジナルが弾いている通り」ではなく、「私が弾くならこう」という感じ。例えば後半の「A」や「Dm」のところは弦飛びで違うポジションで弾いている可能性もある)
いくつかポイントがあるが、まずはコードが「B7」のところで、クロマチックに降りていくところが面白い。この時リード・ギターも印象的なフレーズを弾いている。3段目の「A」のところからはハーモニック・マイナーのメロディと絡んだフレーズで面白い。
最後の2小節は合わせるところだが、結構ダサく感じる。「C/E」のところの2拍目と4拍目の音が分からなくて悩んだが、最近休符だと知った。鳴っているのは他の楽器だったのね。



テンポがかなり早いので、意外にもテクニカルだ。ちょっと早過ぎな感じもして、そのためにヴォーカルが乗れていないのではと思わせる。

ざっとコード進行を抑えておこう。歌が入ってからはタブ譜の通りだが、「Em」「Em」「A」「D」「Em」「Em」「A」「D」「G」「G」「B7」「B7」となり、後半が「Em」「Em」「Am」「Am」「A」「A」「Dm」「Dm」「Dm」「Dm」「C/E」「AF#/BE」となりサビへ行く。サビは「A」「A」「C#m」「C#m」「A」「A」「C#m」「C#m」「D」「D」「F#7」「F#7」「Bm」「Bm」「D」「D」「B7」「B7」「D」「D」「A」「A」「E」「E」「Am」「D」「E」「Em」という感じ。結構長いが、テンポが早いので、普通の曲の1小節分で2小節くらいある。

ミュージシャンには結構人気の曲のようで、David BowieやBruce Springsteen、Gary Moore等がカヴァーしている。

一応、UKロックに分類しておこう。オーストラリアのバンドではあるが、オーストラリア人は一人もおらず、メインはイギリス人だから。

2018年10月23日火曜日

Race With Devil On Spanish Highway

Al DiMeola [ Al Dimeola ]

屈指の早弾きギタリストとして名を馳せたAl DiMeolaの代表作『Elegant Gypsy』からの1曲。ロック界のアルヴィン・リーやリッチー・ブラックモア等、早弾きギタリストと呼ばれる達人が何人もいたが、それらを遥かに凌ぐ凄腕として登場したのが、ジャズ/フュージョン界のアル・ディメオラだ。ヴァン・ヘイレンもイングヴェイも登場以前のことだ。
「早弾き」という言葉自体、一部の人以外にはそれほど使われるものでもなかったが、彼の登場以降は「早弾き」というだけで「凄い」と思われる時代になり、ロック界も含めてそれから10年以上も早弾き合戦のような時代が続くことになる。これをディメオラの影響と責任だというつもりは全くないが、彼の登場によりギター界全体が一段レベルアップしたような感じになった。まあ、ロック界ではペンタトニック、ジャズ界でもブルーノート等が全盛の中、それらが一段落ついて次のステージに上がるべき時代だったのかもしれない。
一応、ジャズというか、フュージョンに分類されるが、私個人的にはちょっとオシャレなロック・ギタリストという感じで捉えている。

で、この曲。特にディメオラの「早弾き」を世に知らしめたような1曲だ。タイトルのイメージぴったりの曲で、まさにデビルがスペインの高速道路をレースしているような曲だ。スペインを意識したメロディなのだろう。

最初から、単なる8ビートでないところに「ロックとは違うな」と思わせる。ベースとコンガのリズムが「これから何か始まるぞ」と思わせるワクワク感がある。
そして期待通り、ギターとのユニゾンでの16分音符の早弾きが登場。これは凄い。ギター、ベース、キーボードでのユニゾンも出て来るが、凄まじい限りだ。この後、バンドで合わせてブレイクしつつ、早弾きという繰り返しだ。
実際このテンポでの16分は結構早い。滅茶苦茶に早いというのではなく、キッチリとリズムに乗せた16分音符であるところが返って難しい(ロック系では符割無視の早弾きは結構多く、楽譜に書くと9連符とか11連符のような意識しているとは到底思えない符割になってしまう場合も多い)。そしてハンマリングやプリングが一切なく、すべてピッキングによる音だ。正確無比なピッキング・テクニックといえる。まさにマシンガン・ピッキング、凄いの一言。少し歪ませているとはいえ、ピッキングによる音の大小(強弱)もない。

最初のイントロの合わせが終わるといよいよ本編だ。主題のようなゆったりしたメロディ。ヂィメオラのビブラートは弦を横に揺らす(チョーキングのように)のではなく、縦(弦のテンションを強めたり弱めたりするように)に揺らす感じで、ジャークオフ(ジャックオフ)・ビブラートっぽい。コードは「Bm7 9」一発。時折11thの音も入っているようだ。
中盤には「Bm/A」「GM7/F#7・A7」のような感じになる部分もあるが、だいたい「Bm7」だ。

中盤から終盤にかけても16分音符の早弾きと2拍3連のフレーズが交互に出て来る感じで経過。ソロは基本的にダイアトニックで、このあたりはペンタトニック・ベースのロックとは決定的に違うところか。だが、それほどジャズっぽいわけでもなく、起承転結っぽく解決するわけでもない。終わり方もフェイド・アウトだし。
ドラムのグルーヴ感がさすがと言う感じだ。

余談だが、イングヴェイはこの曲を含めてディメオラを結構意識していると思う。「Trilogy Suite Op: 5」や「Krakatau」あたりに展開が少し似た部分がある。
また、HR/HMバンドのRiotが1990年にカヴァーもしている。割と忠実にコピーしている。

2018年10月21日日曜日

Inflation Blues

B.B. King [ B.B.King/A.Alexander/L.Jordan/T.Southern ]

ブルーズの王様・BBキングだ。もはやわざわざ紹介するまでもなく、ミスター・ブルーズといってもいいくらいの存在で、もちろん3大キングの他の2人やもっと古い時代のロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズ、あるいは新しい時代のステーヴィー・レイ・ヴォーン等、偉大なブルーズ・ミュージシャンはいくらでも存在するが、最も影響力のある一人がこのBBだと言っても否定できる人は少ないだろう。この1曲に絞ってもあまり意味がないが、最近聴いたBBの中でも凄さがよくわかる曲かなと思ってセレクトした。

で、BBを語る前にブルーズとは、というのに少しだけ触れる。(それがないと始まらないので)
一口にブルーズといってもあまりにも広すぎて、説明だけで膨大になってしまうので、超端的に言うと、20世紀全般に広まったアフリカ系アメリカ人の音楽の代表だということになる。もともとは黒人霊歌等をルーツに持つ悲しみを表現する音楽だが、その後幅広く広まって、ジャズにもロックにもポップスにもその影響は強く見られるようになっている。

ここでは歴史ではなく、音楽的に見ていきたい。ブルーズを語る上で絶対に避けては通れないものに「ブルーノート・スケール」がある。「ブルーな音(ノート)」とは「悲しみの音」のことだ。基本になっている「ペンタトニック・スケール」に何音か加えると「ブルーノート・スケール」になる。
例えば「Aメジャー・ペンタトニック・スケール」は「ラ シ ド# ミ ファ#」で、「Aマイナー・ペンタトニック・スケール」は「ラ ド レ ミ ソ」だが、最も多く使われるのは「メジャー」の場合は「m3rd」である「ド」、「マイナー」の場合は「♭5th」である「ミ♭」だ。ペンタトニックにこの音を足して「ブルーノート・スケール」とする場合が多いが、基本的にペンタトニック以外の音の微妙な音程操作をすべて「ブルーノート」としても問題ないように思う。特に「m3rd」「♭5th」「m7th」はその代表だが。

で、BBの凄さをここでは2点挙げておきたいと思う。
まず1点目は、微妙な音程だ。「ブルーノート」の3音「m3rd」「♭5th」「m7th」は、正確にその音というのではなく、かなり微妙な音程なのだ。ギターの場合、チョーキングで表現する場合が多いが、その音程を半音の半分、1/4 チョーキングで表現する。
例えば、「メジャー」の場合、「m3th」の音(Aスケールなら「ド」)の音を出しておいてから少しチョーキングをする。少しというのがだいたい 1/4 だ。「メジャー」の中で「m3rd」は「外れた音」だが、それを少し持ち上げる。そうすると、普通のメジャー・スケールの音に近くなるが、少しマイナーの悲しみも感じるということになる。この微妙さが感情表現になるわけだ。
(ピアノではこの微妙な音程が出せないので、トリルにしたり、半音でぶつかる2つの音を同時に鳴らしたりしてソレっぽく聴かせる)
BB(に限らずブルーズ・ミュージシャンは皆そうだが)の出す1音1音に音程による微妙な表現がつまっている。微妙に音程を変化させるにしても、最後の締めの音で使って、終わったなと思わせ、消え入る時に音程を上げたりもするので、音が聴こえなくなるギリギリまで聴かなくてはならない。1音をとても大事にするのがブルーズだ。「早弾きによる100万音よりBBの出す1音の方が凄い」と言われるのはこのあたりのことだ。

第2点目。「間」だ。音楽的に言えば「休符」だ。「音を弾かないだけなのにテクニックも何もないだろう」と思われるかもしれないが、そうではない。「弾かない」ことは「弾く」ことよりも難しい。特に腕に自信があればあるほど「どうだーーー、凄いだろーーー!」となってしまいがち。そういう最悪のブルーズ・セッションを何度も目撃したし、かく言う私自身もそういう一人だったと思う。ギターでは特に間をとることがおろそかになりがちだ。サックスやトランペットのような楽器は息継ぎが必要なので、嫌でも間を取らざるを得ないが、ギターではずっと弾き続けることが出来るからだ。
BBは歌も歌うので、そういう間を心得ているのかもしれない。この絶妙の間が取れるからこそ世界トップクラスのギタリストなのだ。逆にいえば、それ以外のギタリストは間がうまく取れないからBBには敵わない。それくらい「間」は難しいテクニックなのだ。
試しに、デタラメに適当に隙間を多めに開けてソロを弾いてみたことがある。弾いている時はその気になっていたが、自宅に帰り録音を聴いてみると退屈で仕方がない。やはり感情の高まりによる表現や他のドラムやベース等との呼吸など、色々意味があるのだ。
つまり、鳴らした音の1音1音はもちろん、鳴ってすらいない空間までがブルーズだといえる。こうなるともの凄い話しでついていけない領域だ。ほとんど宗教の領域のようだ。

ブルーズにはお決まりのコード進行のパターンがあって、この曲も例外に漏れず。12小節1パターンで、「I」「IV」「I」「I」「IV」「IV」「I」「I」「V」「V」「I」「V」の繰り返し。「I」が「A」なら「IV」は「D」、「V」は「E」となる(各コードに7thをつけるとよりソレっぽくなる)。
この決まりきったパターンの中で、休符も含めた無限の音表現をしているのだ。

2018年10月12日金曜日

Ain't No Love In The Heart Of City

Whitesnake [ Michael Price/Dan Walsh ]

初期Whitesnakeの曲でスタジオ版はデビューEPの『Snakebite』収録、ライブ・バージョンも数多く出ている。何しろ数少ない現役初期Snake曲だ。サイクス時代も、絶頂期もヴァイ期もそれ以降もずっとセットリストから外されていない。

実はこの曲はWhitesnakeのオリジナルではない。Bobby Blandがオリジナルで、イントロはギターのコード弾きで始まり、あのWhitesnake版の有名なリフはない。

しかしこの曲というと、あのリフを思い浮かべる人は多く、実際、他のアーティストがこの曲を演奏する際もWhitesnakeのリフを弾いている場合が多い。

この印象的なリフはWhitesnake初代ギタリストのミッキー・ムーディ作によるものだ。サイクス時代以降、華やかなギタリストばかりのWhitesnakeだが、サイクスより前の時代はかなり地味。このミッキーとバーニー・マースデンのコンビが初代ということになるが、ヒゲのミッキーと太めのバーニーは見た目がとても地味で、サイクス以降からWhitesnakeに入ったファンは、あまりの落差に驚き、とても受け入れ難い。
が、後世の派手なメタル・バンドという色眼鏡を外して見ればこの2人、なかなか素晴らしいツイン・ギター・コンビだ。ツイン・ギターというと、Iron MaidenやHelloween等をイメージするかもしれないが、ミッキーとバーニーの場合は本人達自らも認めているように、サザンロック・タイプのギターコンビと考えるべきだろう。
そして私はこのコンビが大好きだ。渋いブルーズ・ギタリストのミッキーとイキの良いハード・ロッカーのバーニー。音もフレーズもコンビネーションも素晴らしい。ピッキング・ハーモニクスがなくても充分にアピールするカッコ良さだと思う。初期Whitesnakeに根強いファンが多いのも頷ける。(私も長い間、メタルバンドのWhitesnakeしか受け入れられなかったのだが・・・)

この曲のリフは、ミッキーによると、Beatlesの「Come Together」と似ているのだそう。全く気付かなかったが、そういえば音使いはとても似ている。ブルージーな「m7」コードのリフということで自然に似るのだろうが、確かに下から上昇していくフレーズとかもソックリだ。
弾き方は、5弦の開放の「A音」を鳴らし、5Fから7Fへのスライドし4弦5F、3弦5F、そして、3弦5F、5弦7Fから9Fへのスライド、4弦7F、3弦7Fと、視覚的に見ると結構簡単。「Dm7」になる部分は、4弦開放の「D音」を鳴らして、5弦10Fからに全体を横に移動させたポジションになるだけだ。

PVを見ると、このリフをミッキーが弾き、バーニーはダブルネックのギターで高い音でコード弾きをしている。出だしは1弦2弦3弦の順に12F、13F、14Fを弾き、4拍目だけ14F、15F、16Fを弾いている。16Fは「B音」で、「D」コードの6thに当たる。
リズムは、オリジナルのこの曲とソックリだ。
後年のライブでは、このパートはほとんどが省略されてしまっているが、意外にもヴァイ期にスティーヴがちょっとだけ変えてこの音を弾いていた。オリジナルを知っているとも思えないので、初期Whitesnakeを勉強したのだろう。
逆に、こういう曲調に一番理解がありそうなエイドリアンは、この有名なリフを1音だけ違って弾いている。最後から2番目の音を「G音」で弾いているのだ。恐らくその前の音を4弦の4Fで弾いているからであろうが、あまり効果的とも思えないので、多分たんに間違いなのだろうと思う。(ペンタトニックの基本的な形からほぼ手を動かさずに弾けるパターンだし、最後の3音を4弦、3弦、2弦で弾くとスライドする感じとはかけ離れてしまうから)

コード進行は「Am7/D6」「Am7/D6」「Dm7」「Am7/D6」が1パターン。2度目の繰り返しは「Am7/D6」「Am7/D6」「FM7/Dm7」「Am7」と少し変わる。6thの響きがなかなかだが、最近のライブでは省略されてしまっている。
ブリッジ部は少しバンドで合わせる感じになって、「Am/C」「Dm7」「G」「Am」「Am/C」「Dm7」「G」「F/C」となって元に戻る。
サビはAメロと同じ。つまりこの曲は2パートしかないことになる。

少し面白いのはバーニーのコーラス・ハーモニーで、出だしデイヴィッドが「D音」で「Oh~」と入ってからメロディの最初が「E音」で歌い始める。これに対しバーニーは「G音」。「Am7」の5thと7thだ。次の2音目、デイヴィッドは「D音」に対しバーニーが「F#音」。ペンタトニックにはない音。ブルーノート・スケールでメロディを作る場合に、「D音」の上でハモる時にどの音を選択するかはちょっと考える。
そしてすぐ直後に「Dm7」になるので、ハーモニーが「F音」になる。半音の出し入れで、歌うのがちょっとだけ難しい分だけ楽しい。

スタジオ・バージョンでのギター・ソロ。中間のソロはミッキーで、エンディングのソロはバーニー。どちらもサイクスのような早弾きのメタル・ソロを期待するとまったく期待外れだが、ブルージーでとても味わい深いソロだ。ミッキーのソロは5thの「E音」とルートの「A音」をチョーキングとビブラートで強調した素晴らしい心震えるソロ。バーニーの方がハードロックっぽいソロだが、「G音」から入って、マイナースケール上の「F音」ではなく「F#音」が出て来るあたり、バーニーのヴォーカル・ハーモニーとリンクしている。
ライブではそれぞれのギタリストが思い思いのソロを披露しているが、どんなソロでも大抵カッコ良く決まる。ブルージーで感動的なソロになりやすいので、あまりギターの腕に自信がないギタリストにもオススメの曲だ。

2018年10月10日水曜日

Under My Thumb

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Stones1966年発表のポップな魅力がある曲だ。タイトルや歌詞の内容が少々エロいが、ここでは触れないことにする。
この時代のロック界(特にイギリス)は、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、ピアノ、オルガンといった一般的な楽器から、少し変わった音を求める風潮があって、珍しい楽器がよく使用された。Beatlesではフルートや、「Yestarday」の弦楽四重奏は有名だが、Stonesも「Paint It Black」でのシタール等があった。ギターのエフェクトで歪んだ音を積極的に使用するようになったのもこの頃。
で、この曲の場合はマリンバだ。いわゆる木琴だが、木を叩いて音を出すものだが、ロック界ではあまり使用されない珍しい楽器だ。叩くのでアタック音が非常に強い(というかそれだけだが)が、残響音が少ないからか優しい音でもある。ちなみに演奏しているのはブライン・ジョーンズ。

そのマリンバがイントロから大活躍。コード・トーンに1音加えただけのシンプルなメロディで使用されているが、とても印象的だ。そしてロックらしく、裏拍から入って、3拍目、4拍目も裏を強調している。
これがライブ盤の『Got Live If You Want It!』になると、いきなり太いギターの音になるのでだいぶ印象が変わる。テンポも早いし演奏も粗いのでポップさは完全になくなっている。

もう一つ、この曲といえば、1969年に起きたオルタモントの悲劇の曲としても結構有名。この曲を演奏中にヘルズ・エンジェルスによ黒人殺害事件が起きた。

具体的に曲を見ていくと、印象的なイントロは「F#m」「E」「D」「D」の繰り返し。Aメロも同じ。
Bメロは「A」「A」「D」「B」の3コードで、すぐにまたAメロのコード進行に戻る。
何と曲の構成はこれですべてだ。Stonesらしい2つのパートしかない曲。静かになる間奏のギター・ソロもAメロと同じコード進行。低めの音で抑えたようなソロになっている。

この曲は同時期のバンド・The Whoにカヴァーされている。Stonesの3人がマリファナ所持で逮捕された時に、Stones救済のためにレコーディングされた。The Whoも激しいバンドだが、それはキース・ムーンの手数の多いドラムによる印象によるところが大きく、それ以外はBeatlesに近いようなコーラス・ハーモニーを聴かせているので、興味のある方は聴いてみると面白いかも。

2018年10月8日月曜日

Shot In The Dark [Live]

Ozzy Osbourne [ P.Soussan/O.Osbourne ]

個人的に大好きなこの曲のライブ・バージョンを取り上げる。時期は1991年、ギタリストはZakk Wylde、ベーシストはGeezer Butlerの時で、ミニ・ライブ・アルバム『Just Say Ozzy』のバージョンだ。この曲は他にもライブ・バージョンは存在するが、オリジナル・スタジオ・バージョンを含めても、『Just Say Ozzy』のバージョンが一番好きだ。ギターがカッコいい。
というわけで、ここでは主にギターを中心に見ていきたい。ザックとオリジナルのジェイクの比較で両者の個性やギタリストとしてのアプローチの違いがハッキリして面白い。

まず、イントロがオリジナルより伸びている。ギター抜きで静かに始まるアレンジだ。この後、ハーモニクスの部分、メイン・リフの部分とあってからヴォーカルになるので、イントロが3段階に盛り上がるという、なかなかドラマチックなアレンジといえる。
ベースの存在感が素晴らしい。ギーザーだからか、ライブだからか、結構音がデカいし、時折入る16分のハンマリングなんかが最高にカッコいい。
そして特筆すべきはキーボード。ジェイク時代のライブはキーボードの比重が大きすぎて(アルバムでは目立たなくて良かったのに)、それがカッコ良くない原因になってしまっていたのが大きく改善されている。ヒューマンボイスの音もなかなかだ。

続いてイントロその2。ギターの登場だ。しかし、ボリュームをかなり絞って、クリーン目な、か細い音での登場。
オリジナルの時に触れたが、とても難しいハーモニクスの音程操作のテクニックだ。ジェイク以外ではザックが一番だったと指摘したが、ザックはネックの上から抑える作戦で弾いている。レスポールなので、もちろんアームはない。(詳しくはスタジオ・バージョンの方を参照のこと)

イントロその3はメイン・リフだ。ギターのボリュームがフルテンになる。そしてノイズ・グリスを入れた直後に馬のイナナキのような幅の大きなビブラートで本格登場。実にカッコいい。これだけの揺れ幅と速度、そして正確性は結構難しい。たった1音でザック・ワールドに引き込まれる存在感。

そしてザックとジェイクの違いが大きく出るリフの解釈。ザックは変則チューニングを使わない。だから5弦開放は使用できず、ちゃんと2フットを押さえる。ブリッジ・ミュートをしたズ太い音だ。そして、ジェイクは3度と7度でメロディを作っていたが、ザックはなんと3度を使わない。4弦、3弦の順に「4F、4F」「2F、2F」で弾く。1度5度と「A」の1度5度だ。ジェイクの「Bm7」の時のリフの音と比較すれば一つも同じ音がないことになるが、ちゃんとソレっぽく聴こえる。つまり7度の音はもちろん、3度の音さえ省略してしまっても、「B」と「A」のコンビネーションだけでこの曲に聴こえるのだ。
オシャレなジェイクは色々なテンション・コードを使用するが、反対にザックは直球一本。私は、ヘヴィなメタル・ミュージックにおいて、オシャレな雰囲気をカッコ良くまぶすジェイクに憧れ追いかけていたのだが、この時にその真逆、単純明快豪球ド真ん中のザックのアプローチに心奪われてしまったのだ。ザックは単純明快化して分かりやすく簡単にしているが、それは単に下手という意味ではない。それどころか、ジェイクにも劣らないテクニシャンなのだ。その辺りもこれから見ていく。
それと、ジェイクの時にも少し触れた「ジャズズ、ジャーダガダガダ」の「ダガダガダ」の部分だが、ザックの方が動いている。音で言うと「シラファ#ラシ」となる。普通に押さえているのだから、動いても特に関係なしということか。
リフの後半。ジェイクはずっと3弦4弦を使っていたが、ザックはこれを2弦3弦で弾く。3弦は開放の「G音」で間の5弦「B音」をやめてこの音に置き換えている。またもやジェイクとは違う音だが、こっち方がコード感が出て、分かりやすく、ドラマチックに聴こえる気がする。メイン・リフの最後のピッキング・ハーモニクはジェイクより強力だ。

ヴォーカルが入ってからのアルペジオ。ジェイクは「Bmadd9」と「G6」を弾いていたが、ザックはヴォーカル・メロディと絡めたような「Bm」(9thの音もあるが)と「Gのパワーコード」とやはりヴォーカルに絡めたフレーズを弾いている。弱めのピッキングで弾いているが、ギターのエフェクトは変えていない。
このパートの一番最後のオブリガードでザックの得意技のタッピング技が出る。ある音をチョーキングした後にオクターヴ上(12F上)をタッピングするもの。これはよく使われるザックの得意技。
このようなオブリが随所に見られる。ジェイクも計算されたような結構カッコいいオブリを沢山入れていてカッコ良かったが、ザックの思いつき一発で弾いているオブリも違う意味でカッコいい。入れる場所もアプローチも全然違うので、これを比較するのも結構興味深いし勉強になる。

Bパートはジェイクはメイン・リフと似たアプローチで弾いていたが、ザックもザック流のメイン・リフと同じアプローチで弾く。ここでも随分シンプルに直している。
ここで凄いのはこのパートの最後のオブリだ。ペンタトニックの音だが、1拍6連×4の早弾きだ。それが乱れることなくキッチリ弾かれている。この曲で初めて見せるザックの凄技だ。そして豪快なビブラート。このビブラートもザックの大きな特徴だ。

サビは比較的大人しいし、ジェイクが入れていたオブリの場所はほとんど無視してピッキング・ハーモニクスなどを入れているのみ。
ギターソロ。ジェイクは他人の曲のソロを弾く場合も自分の色を全面に出した別フレーズを弾く場合が多いが、ザックは他人の曲でも大筋で同じように弾く。ビブラートやピッキング・ハーモニクスで自分っぽさを出しているくらいだ。この曲の場合もそうで、だいたいジェイクのフレーズをなぞって(ちょっと違うが)いるが、一番最後のピックを打ち付けるタッピング技は無視し、単にノーマルなトリルで締めている。ただし、一番最後の音が、ジェイクは薄味だったのに対し、強力なビブラートでザック印になっている。

圧巻はエンディング・ソロだ。ライブではジェイクもエンディングにソロを入れていたが、結構あっさりしたものだったが、ザックのソロは凄い。だいたいペンタトニックの手グセ・フレーズのようだが、ここまで連発されるとタメ息が出るほど凄い。
まずは1拍6連の早弾き。1弦の14F、10F、2弦の12F、10Fのポジションと、1弦が12Fと10Fに変わる2ポジションだが、8音1パターンでの繰り返しだ。これを6連譜に乗せるから、少しずつズレていくような感じになる。これで結構難しいプレイになるのだ。しかもこれだけの長さを弾き切らなければならない。
ソロが始まってから9小節目のプレイも見るものがある。2弦17Fのハーフ・チョーキング後のプレイだ。16分の早弾きで、1弦14Fの後は3音で1パターンになっていてその繰り返しだが、ストレッチ気味で結構キツい。2弦18F、1弦14F、17Fの3音と、2弦18F、1弦14F、19Fの2パターン。ザックの手グセ・フレーズだ。
こういう早弾きと、揺れ幅の大きなビブラートのコンビネーションがザック・ソロの肝で、ほぼペンタトニックだ。

Yngwie出現以来、古くさいブルースのフレーズではなく、クラシカルな響きを持つ音やディミニッシュ、ハーモニックマイナー・スケール等様々な音使いが広まっていたが、その時代のド真ん中で最も古典的で単純なペンタトニックを、ハイテク・ギタリストのザックが連発することの新鮮さに驚いたものだ。「ペンタトニックはバカの一つ覚え」のように感じていたものが「ペンタトニックはカッコいい」と思えるようになったものだ。そしてビブラート一発で黙らせるカッコ良さ。ザック最高!

2018年10月7日日曜日

Shot In The Dark

Ozzy Osbourne [ P.Soussan/O.Osbourne ]

Ozzyの1986年にシングルになった曲。ギタリストはJake E. Leeだ。この曲のみベースのPhill Soussanの作で、他の曲よりポップだが、個人的にはOzzyで一番好きかも。(邦題では「暗闇にドッキリ!」なんて間抜けなタイトルがついていたが)

ジェイクらしく、色々なギターの技が使用されているので、それを見ていこう。(これらの独特の技をジェイク・フェイクという)
まずはギターのチューニングだが、アルバム全体で全弦半音下げになっているが、その状態から5弦と6弦のみ1音上げる。つまり、ノーマルな状態から5,6弦は半音上がっているわけだ。変なチューニングで他では見たことがない。多分、メインのリフに5弦の開放を絡ませたいための工夫だろう。開放を使えるなら、その他のフレーズを高めのポジションにしても問題ないからだ。

で、メインのリフ。5弦の開放以外の音だが、私は長く3音に聴こえていたので随分苦戦したが、実際には2音だと気がついて楽になった。4弦、3弦の順に前半が「7F、7F」「7F、6F」「7F、7F」「7F、6F」の4音、後半が「5F、7F」「5F、6F」「2F、2F」「5F」「5F、4F」となる。この後のフレーズは、変則チューニングなので、変な押さえ方になるが、一番最後のピッキング・ハーモニクスは4弦の5Fで出して、すぐにベンディングする感じになる。
それと5弦の開放だが、よく聴くと「ジャズズ、ジャーダガダガダ」の「ダガダガダ」の部分に1音だけ別の音が混じっている。4番目の音が1音下がっている。(無視しても良いと思うが)

いきなり一番手強いのがイントロだ。まずは、普通のハーモニクス。2弦の12フレット(F)、7F、5Fを弾くが、その次が問題だ。同じく5Fを弾いた瞬間、弦を引っ張るのだ。フレットを押さえている場合は結構簡単なのだが、ハーモニクスなので、弦のすべてを使用しているため、引っ張る場所は振動していない場所、つまりヘッドの方、ナットより先の部分だ。ナットとペグの間だ。(ロック・ナット式のギターでは意味がない(出来ない)ので注意が必要)
この後、3F(実際は3Fより少し高い方。少しというのは、厳密に言えば 1/3)のハーモニクスでも同じ技を使うが、この2度目の方は音程も複数出てくるので更に難しい。ハーモニクス音と次の1音上げまでがかなり素早いので大変だ。しかも1音上げ下げした後、2音上げてからキッチリと半音ずつ下がる。
私はこの3Fの方が出来ないので、最初から手をネックの上から出して備えるようにしているが、それでも音程やリズムを合わせるのはとても難しい。アームがあるギターの場合はアームを使った方がいいだろう。
ちなみに、この部分をジェイク以外でキチッとアルバムと同じように弾けているのを見たことがない。一番いい線をいっているのがZakk Wyldeだ。テクニシャンでならすGus GやAlexi Laihoですら弾けていない(アレキシは3Fハーモニクスの部分をノーマルな弾き方で弾いている)。ネット上でも多くの人が腕前を披露しているが、誰も弾けていない。しかしジェイクは弾けている。それどころか最近のライブでは一番難しい部分を更にビブラートをかけて弾いたりしているようだ。まったく恐れ入る。

ソロにもジェイク・フェイクがある。ボトル・ネックを使ったりしているが、ジェイクにしては比較的おとなしいソロだ。ちょっとした技は一番最後のトリルの部分だ。単純なトリルではなく、左手でメロディになるフレットを押さえ(最初が3弦11F、12F、14F、16F、後半が2弦12F、14F、15F、17F)、ピッキングの代わりにピックで19Fのところを素早く連打する(タッピング)技だ(前半が3弦、後半が2弦)。まぁイントロと比べれば楽な技だが。

この曲の場合、ジェイク・フェイク以外のギター・プレイが結構カッコいい。ところどころにちょっとしたオブリガードが出て来て、それがカッコいいので是非チェックしてみてほしい。(サビのところより、リフの周辺)

コード進行も見ておこう。アルバム全体でギターが半音下げになっているため、ギターの押さえ方優先に表記する。つまり「Bm」とあっても、それは押さえ方が「Bm」であって、実際に出ている音は「B♭m」になるので、少し注意。
イントロは「Bm7/AonB」「Bm7/AonB」「G/AonG」「G/AonG」を繰り返す。リフに入っても同じ。
Aパートはアルペジオで「Bmadd9」「Bmadd9」「G6」「G6」の繰り返し。9thの音を足すことでちょっとオシャレになるというか、マイナーっぽさが薄れる。実際、ギターで3度の音は鳴っていない。押さえ方は、5弦をルートにして5弦から1弦に向かって2F、4F、4F、2F、2Fだが、ジェイクは他の曲でもこのコードをとてもよく使う。「G6」は1弦開放が6thにあたる。
Bパートは「GM7」「GM7」「Bm」「Bm」「GM7」「GM7」「F#7」「F#7」。
サビは「Bm」「Bm」「Em・D・Bm」「Bm/C」の繰り返し。

ギターソロも別のコード進行になっていて、ボトルネックの部分が「D」「D」「C」「C」の繰り返しで、後半が「Bm」「Bm」「EonG#」「G」の繰り返し。前半は少し雰囲気が変わるので良い導入部になっている。後半は「EonG#」がミソだ。少し面白い響きになる。

2018年10月5日金曜日

You Really Got Me

Kinks [ Ray Davies ]

60年代ロックの代表曲。イギリス・Kinksの最大のヒット曲だ。1964年だから、Beatles絶頂期、Stonesは大物になりつつある時期だ。
この曲は「ヘヴィメタルを発明した作品」と呼ばれることも多いが、今聴くと全然そんな感じはしない。何が「発明」かというと、このリフだ。もっと言えば、ギターが1度5度での弾き方を連発していることだ。後の世でいう、いわゆるパワー・コードだ。それまでは、ここまで徹底的にパワー・コードを多用したリフはなかったと思う。Stonesの「Jumpin' Juck Flash」もBlack Sabbathよりもずっと前だ。
それに加えて、サウンドも特筆すべきものだった。ディストーション・サウンドだ。まだエフェクター等ない時代、壊れたスピーカ(意図的に壊した)から出たワイルドな音を気に入ってそのまま採用したものだ。サウンドが歪んでいるのでパワー・コードということになったのだろう。だからサウンドが先というわけだ。まだStonesの「Satisfaction」登場前のことだ。

また、ロックの都市伝説(?)として、この曲のソロをジミー・ペイジが弾いているのでは、というものがある。当時、KinksのギタリストのDave Daviesは弱冠17歳だったし、一方のペイジは様々なセッション活動をしていて、実際にKinksの1stアルバム(この曲も収録されている)でリズム・パートを弾いている。
しかし、この曲は他の1st収録曲に先だって録音されており、ペイジ本人もこの噂を否定している。
何より、ソロの内容はまるでペイジっぽくない。チョーキングしてルート音になる音を中心に、あまり工夫のない勢い一発で弾いたようなフレーズだ。あまり上手くもない。もしペイジが弾くことになれば、それはプロとしてギャラに相応しいものを提供しなければならないから、勢い重視にしろもう少し考えたフレーズになるのではないかと思う。

で、イントロだ。Van Halenの時に保留にしたまま長く忘れていたが、ようやく書く時が来た。頭から「ファソソファ ソ」と聴こえるようだが、実際は「ソソファソ(1拍半休符)ファ」だという話し。
Van Halen同様、オリジナルのKinksも「ファソソファ ソ」と聴かせるのをワザと狙っているのではないかと思う。そう思って聴いているとドラムが変なところで入ってくるので、訳が分からなくなるという仕掛け。Van Halenの場合はこれに更にギターのノイズで「カカッ」と入っているので混乱度合いが増すのだ。「カカドン 」「ソソファソ」と聴こえればそれが正解。
どちらも最初の1音を前の小節の最後だと思って聴いて、2音目が頭だと分かれば問題ない、ちょっとしたリズムのイタズラといった感じの遊びだ。

最後に、全体的な印象。ハッキリ言って、演奏は下手だし、ヴォーカルは走り気味であまりリズムにノレていないし、今から聴くとあり得ないようなレベルだ。しかし、その分勢いがあるし、ワイルドの個性は強烈だ。10年以上後のパンク・ムーブメントのバンドとしても遜色ない迫力があると思う。逆に言うと昨今のロックは小綺麗になり過ぎているのではないか。「オラオラ、どけ!下手がどうしたって?」と言わんばかりの迫力がある。実際、Kinksの頭脳であるヴォーカルのRay Daviesは病的な凄まじさがある。

2018年10月2日火曜日

やってみよう

WANIMA [ Traditional/篠原誠 ]

auの三太郎シリーズで使用され、話題になったWANIMAの曲。ロック・アレンジのカバー・バージョンで、原曲はもちろん「ピクニック」。「丘を超え行こうよ 口笛吹きつつ」という小学校でも習ったアレだ。これを歌詞だけ新しくしてヘビヴィなロック・アレンジにしている。

歌詞を見ると、ひたすらポジティブに、文字通り「やってみよう」とうながす内容だ。これだけ勢いのあるバンドに歌われると、嫌でも元気が出る。よく言われるような内容のオンパレードだが、啓発本を読んだ後のように、つい「そうだな、頑張ろうかな」という気にさせられる。

コード進行をチェックしておこう。イントロは「C・C#dim」「Dm」「F・G」で、ヴォーカルが入ってからは、「C」「F」「G・G#dim」「Am」「F・G」「C(ベースがC音・B音・A音・G音と下がる)」「Dm・G7」「C」となる。
次のパートは「G」「Am」「F(ベースがF音・E音・D音・C音と下がる)」「G」で、「やったことないことも」からは「C」「F」「G・G#dim」「Am」「C・C#dim」「Dm・F(ベースがファーミレ)」「F・G」「C」という感じ。
何度かあるベースが下がる箇所は、ベースだけでなくギターも合わせている。

繰り返しの際は「F」が「FM7」になっていたり、「C(ベースがC音・B音・A音・G音と下がる)」のところが「Em・Am」にと少しアレンジが変わるが、だいたい同じ繰り返しだ。

原曲の「ピクニック」は「C」と「F」と「G」の3コードだけで出来ている曲だと思うが、基本的には大きくは変えず、しかし「C」の時に代理コードの「Am」を使ったり、ベースを中心に下降ラインを弾いたり、半音階で上がったり(C音→C#音→D音のように)と、工夫を凝らしていて面白い。
ヘヴィメタルのようなキレの良い重低音サウンドなので、ベースのラインは非常に印象的だ。もう一つメタルっぽいのは、「初心者なんだから」の部分のように2拍3連でバチッと合わせた瞬間に休符となり、ヴォーカルのみ「なんだから」が残るようなアレンジだ。重低音サウンドでバチッと合わせるととても気持ち良い上に、直後に休符を際立たせる。古くは80年代のスラッシュ・メタル・バンドのMetallicaやAnthrax、PANTERA等が得意にしていたようなシンクロぶりだ。とてもカッコいい。

元気と勢いだけが取り柄のような雰囲気だが、その中でこういう風にバンドで合わせるのは、冷静さも併せ持たなければならず、意外に難しい。迫力あるドライヴ・サウンドでの休符もまた難しいもので、休符で雑音が入ってしまうことはよくある。そういう裏事情(?)をまったく感じさせず、ひたすら元気と勢いに任せる雰囲気を作っているのは、ひとえに実力があるという表われだ。

2018年9月29日土曜日

Tell Me (You're Coming Back)

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richrds ]

Rolling Stones初のオリジナル曲。1stに収録されている曲で唯一のオリジナルだからだ。
アルバム・バージョンをフェイド・アウトにしたものや間奏等を編集して短くしてシングルにしたものがある。
初めての曲でも充分にカッコいい。意外にも穏やかに始まるが、途中で激しくなりまた穏やかになる、いわば静と動の対比のような曲だ。

まずイントロはコードは「A」一発で、3度の音がメロディになっている。伸ばしている音はリズム・オフで、適当に伸ばし、その合間にドラムが一発入る。超シンプルなのに、イントロとして充分カッコいい。
Aパートも「A」から始まるが、1小節の後半(厳密には3拍目裏から)は3度の音が開放になるため「Aadd9」の響きになる。「E」の時も同様で「Eadd9」になる。コード進行は「A」「A」「E」「E」と何回か繰り返し、「I know you find it hard」のところから「C#m」「D」「E」「A」「C#m」「D」「B7」「E」となり、サビは「A」「A」「F#m」「F#m」「D」「D」「E」「E」と進んで元に戻る。
この2パートしかない。ロックやポップスの曲はだいたいAパートとBパートとサビがあって、間奏の前か後にCパートがある場合が多いが、この曲はAパートとBパートのみ。Stonesの曲は結構このような2パートしかない曲がある。

それにしても演奏はかなり雑だ。下手だと言ってもいい。
サビのハーモニーもいい加減で、ハモリもハモっているのかどうかよく分からないようなレベル。キースにやる気がないのではなく、「ただ勢いでやったらこうなった」という感じだろう。同時期のライバル・Beatlesが完璧で重厚なハーモニーを聴かせているだけにもの凄い差だ。
間奏は、ギターソロというよりは、ただのアルペジオ。7フレット以上を使って、ちょっと違いを出しているが、ちゃんと弾けていない。音がツマっているのはそう弾きたかったのではなく、ただのミス・タッチだろう。
ただ、この雑さがまったくマイナス・ポイントにならないところが凄い。それどころか「凄み」さえ感じさせる。これはミックの歌の雰囲気によるのだろうか?

音で印象的なのは何といってもエレクトリック・ギターの音。サステインはほとんどなさそうな、ズ太い音だ。リバーブくらいしかかかっていないのではないかと思うが、たまに「A」から「C#m」に移る時などに5弦をスライドさせる音がとても目立っていてアクセントになっている。低音弦を中心に弾いていて、何も難しいことはしていないのにカッコいい。
イントロから鳴るのはアコースティック・ギターで、こちらはアコGらしく少しきらびやかな音で低音弦ではなく全体的に弾いている。

アコGとエレキのコンビネーションはBeatlesでもよく見られるパターンだが、Beatlesが軽快な感じでやるのに対し、Stonesはルーズでヘヴィだ。だからダークなイメージになるのだろう。
Stonesにも軽快な曲はあるので、それしか出来ない訳ではないだろうが、しかしBeatlesのようには出来ないだろう。真似にならないようにとわざとワイルドにしたというが、たんに出来ないというのも大きいのではないかと思う。
しかし、ルーズでワイルドで黒っぽいStonesの偉大な歴史の始まりである。個人的に大好きなのも正にここで、Beatlesには絶対にない魅力なのである。

2018年9月25日火曜日

Imagine

John Lennon [ John Lennon ]

超有名曲で、John Lennonの理想の世界を表わしたような曲。静かに切々と語りかけるようなPVも印象的。
「Happy Xmas」という曲の歌詞の中に「War is over, if you want it」というのがあった。「戦争を終わらせるには(武力や政治や宗教の思惑が絡んだ難しい話しではなく)、ただ、あなたが想うだけでいい。その「あなた」が世界中にいれば自然に戦争は終わる。(逆に言えばやりたいヤツがいるから戦争は起こるということだ)」というような意味で、「ただ想うだけでは何も変わらない」という反論があるだろうが、まず想うことが大切で、それが沢山の人に広がれば力(Power To The People)になるという考え。
これと同じく、「人の想い」のようなものを大事にした内容だと思う。この曲も「想像してごらん」と優しく呼びかけ、「しがらみや制限がない世界を想像しよう」と呼び掛ける。ただ想像するだけでは何もならないと思うかもしれないが、想像すら出来ないのでは話しにならない。まずは第一歩として重要なのだ。
ジョンは静かに語りかける。

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

こういうことを想像していると心が落ち着き、和らぎ、安らかになるようだ。
ジョンは決して強制しない。「神を信仰しないと地獄へ落ちるぞ」とも言わない。「あなたもいつか仲間になれれば」と願うだけ。

「想うだけ」「想像するだけ」「願うだけ」というと、まるで無力なもののようだが、それがすべてのスタートになる。「世界が一つに? 無理に決まってるじゃん」というのでは何も始まらない。「無理と思ってもいい。でも、ただ想像するだけなら出来るよね? やってみよう」ということなのだ。

曲はこれ以上ないくらいにシンプルだ。
最初は「C」と「F」だけ。一瞬「シ」の音を含めた「CM7」の音になるが、コードの流れをつけるための「シ」だろう。
「ラ シ♭ シ」が少し浮遊感を感じさせて、どことなく夢の世界にいるような気分にさせる。そう、そこは夢の世界かもしれないし、想像の世界なのだ。

次のパートも「F」からベースだけ下がっていくような音使いで、「F」「FonE」「FonD」「F」「G」「G7」となる。よくコピー譜なんかでは「FonE」を「Am」、「FonD」を「Dm7」にしてあるものを見かけるが、あくまでジョンは「F」から下がっていくだけのイメージで作っていると思う。

「You may say」のところからがキレイで、コード進行は「F」「G」「C」「E7」の繰り返し。ゆったりと、淡々としている中だと「E7」が劇的に聴こえる。

ベースもドラムも最低限という感じで極めてシンプル。それだけにピアノの存在感が大きい。
ピアノもシンプルすぎるくらいだが、こうなると弾き方の強弱まで真似したくなる。

実際の音だが、出だしの「C」の音は、中央の「ド」のオクターヴ下と2オクターブ下の「ド」を左手で抑え、そのすぐ右(高い音)の「ミ」と「ソ」を抑える。つまり、中央から高音側は何もない。意外に低い音だ。裏拍の「ド」は左手の親指だけ。小指の「ド」はずっと伸ばして、コードチェンジの時だけ鳴らす。ヘヴィすぎないように優しめで(聴こえないのはダメ)。そしてどの音もとても深いタッチで弾く。「ラ シ♭ シ」はちょっと軽めだ。
「F」になっても左手はずっと変わらず、右手がちょっとだけ変わる。ピアノをやっている
人はすぐ音を沢山重ねたがるが、この曲はシンプルさが肝。ピアノ・テクニシャンには退屈極まりない曲だろうが、ほとんど和の侘び寂びの世界のようにシンプルさを追求する。オブリガードもソロもいらない。

この曲は「天国がないのを想像してごらん」とか「宗教がないのを」という歌詞があるために、宗教者からは不評だ。宗教を否定するということは、共産主義者だとか、イギリスでは葬式では使用してはいけないとか、色々言われているが、そういうことではなく、本来、宗教というのはもっと自由であるべきもので、権威づけなくても、立派な教義がなくても、信じればそれは宗教だ。「キリスト教の教えでは」とか「仏教では」と考えるから小難しくなってしまうが、それは宗教が生まれてから時間が経ち過ぎて複雑化しすぎているからだと思う。
この曲で歌われているように「想像してごらん」ということ自体が実は宗教だ。ジョンは決して宗教を否定しているのではない。宗教にまつわるシガラミとか権威とか掟とか上下関係とか、そういう面倒くさいものを嫌っているだけで、本来の宗教心は自分の心の中だけにあるものだ。このあたりは小乗仏教の考えにも近いかもしれない。

「いつの日か世界から戦争がなくなり、一つになったら」と願うこと自体が宗教だ。しかし、「そう思うなら教会に寄付をしろ」とか「それならまず他宗教をつぶせ」とか「広宣流布して折伏だ」とか、そういう方向になるとまた違う方向に行ってしまう。
まずは自分自身が心穏やかにそういう世界を想像し、「そんな世界がいいな」と思うこと。「そのためには隣人を説得して」とか思わない。今月のノルマのためでもなければ自分の宗教的地位のためでもない。
ジョンは静かに穏やかに語りかけてくる。ただ、真に願っているのか、それが重要だ。理想についてよく考え、思い続けることが力になると言っているのだと思う。

2018年9月17日月曜日

Never End

安室奈美恵 [ T.Komuro ]

昨日で引退ということでニュースや新聞でも大きな話題を集めている。スポーツ選手と違って、歌手はわざわざ「引退」と宣言しなくても活動しなければ良いだけだし、宣言しなければ、またやりたくなったらやれるというメリットもある。それなのに「引退」と宣言するということは、宣言することそのものに意味があるのだろう。つまり公私を明確に分け、これからは1個人として生きるということだろうし、何より巨大化した「安室奈美恵」というスターはここでお終いということなのだろう。巨大なスターを演じるのはそれだけ大変だということなのだろうと理解する。

個人的にはファンというわけでもないので、世間が盛り上がっている時に便乗するもどうかと思うが、まあこんな場所で多少話題にしたところで巨大なスターのは何の影響もないので問題ないだろう。
ファンではないといいながらも知っている曲が沢山あるのは凄いことだ。普段から色々な曲を聴いているので、興味のない曲が入り込んで来る余地はあまりないのに「知っている」と言えるほどなので、個人的にも凄いことだと感じる。

さて、曲の話しだが、2000年夏の九州・沖縄サミットのイメージソングになった曲だ。
サミットの舞台が沖縄であることも相まって、沖縄感を意識したアレンジで、琉球三味線が登場したり、イントロ等の音階が琉球民謡でよく使われるいわゆる「沖縄スケール」になっていたり、バックコーラスを含め沖縄関連者が多数参加していたりと、まさに沖縄ずくしの様相だ。

曲そのものの展開やコード進行は特に沖縄っぽさはなく、あくまでアレンジで沖縄を出している。
コード進行を見ていくと、まずイントロから、「B♭M7/C」「FM7」「B♭M7/C」「FM7」「B♭M7/C」「FM7」「G」「Asus4/A」となる。
歌になっても同じ。「M7」がキレイだ。
「あなたとはずっと〜」の部分は「Gm7/B♭」「C/Dm/B♭」を繰り返し、サビに入る。
サビは、「Fm/D♭M7」「E♭/A♭」「E♭onG」の繰り返し。

間奏は「A♭/B♭」「C/F/B♭」「C/F/B」「C#/F#/B」「C#」「F#」とだんだん上がって行くので、次のサビから半音上がることになる。
更に後半にもう半音転調し、最初から見ると1音上がるアレンジだ。結構力が入っているのだろう、工夫が見れて面白い。

2018年9月14日金曜日

七つの海の地球儀

チェッカーズ [ Special Turuku/ 秋元康 ]

一応、チェッカーズとしたが、実際は Cute Beat Club Band 名義でのリリース曲。チェッカーズは Beatles の戦略を意識しているのでは?と以前に書いたが、これもまるで「Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band」みたいだと思わざるを得ない。別に文句を言っているのではないのだが・・・。

Cute Beat Club Band はメンバーも変名になっていて、作曲者の Special Turuku というのはもちろん鶴久政治のことで、他に、Hellow Fujii、Crazy Tohru、Elegant Moku、Route Yuji、Knight Yoshiya、Evally Fujii となっている。高杢がエレガントだったり結構笑える。ドラムのナイト(騎士)は何となくイメージに合うし、ベースのルート(経路)は意味不明だが、ルート音(Root)のことだとこれまた笑える。Evallyもよく分からないが、60年代のイギリスの兄弟デュオのEverly Brothersを思い出した。

で、特筆すべきは、この曲はロンドン録音で、現地のミュージシャンが多数参加したということ。Micky Moody をはじめ、Gary Moore や Wham!、キーボードの Tommy Eyre 等らしいが、曲を聴いても彼ららしさは分からない。
ギター・ソロはゲイリー・ムーアか、と思いたいが、まったくゲイリーっぽさが感じられないので違うだろう。ゲイリーは一体どういう形で参加したのだろうか?

ミッキー・ムーディがアレンジで、プレイもしているということなので意識して聴いてみると、チェッカーズにしては少しギターが目立っているかなと思うが、例えば歌の背景のアルペジオ・ギター(コーラスが強めにかかっている)にしてもとても日本的だ。ミッキーが好きなブルースっぽさやスライドが入っていると嬉しいが、まったくない。もしミッキーが弾いているならアコースティックのコード弾きの方かもしれない。
間奏はギター・ソロだ。チェッカーズの場合、たいていはサックス・ソロなので、ギターは珍しい。ブルージーな感じもあるので、ひょっとするとミッキーかもしれないが、ほとんど休みなくフレーズをつなげているあたりはミッキーっぽくないなと感じる。真相はどうなのだろう?

曲を見ていくと、まずAメロは「F」「C」「B♭」「B♭sus4」「F」「C」「B♭」「B♭sus4」「F/E♭」「F/E♭」つなぎの部分が「Am」「B♭」「C」「B♭」「Am」「B♭」「C」サビが「F」「Am」「Dm」「F」「B♭/B♭m」「F/C」「F」「Am」「Dm」「F」「B♭/B♭m」「F/E♭」「F/E♭」といった感じ。

あとで調べたwikipediaによると、フミヤ以外、演奏はすべて現地ミュージシャンだという。だとすると、ミッキーやゲイリーの音も混じっている可能性が高いが・・・。(どうしてもアルペジオが日本人的に聴こえてしまう)

2018年8月26日日曜日

Slip Of The Tongue

Whitesnake [ D.Coverdale/A.Vandenberg ]

まずキーボードのイントロ。低い「B音」が鳴る中、ファンファーレ的に「B/D」「A/E」が入って来る。
ギターとベースが入ってからは一番下が「F#m」になり、「ConG」「Dsus4」「DonA」を経て本編へ。
まずメイン・リフだが、コードで表すなら「Em/A」「G」であろうか。「Em」のところは「Em」と「D」、「A」のところは「Asus4」と「A」、「G」も同様で、後2拍はスウィープ・ピッキングで5フレットと7フレットのハーモニクス音を4音ずつ上がって下がる素早いプレイ。こういうのはSteve Vaiの専売特許かと思っていたが、Adrianも普通に弾いているので、ひょっとするとAdrianのデモからあったものかもしれない。この程度のスウィープはAdrianも得意にしている。
歌が入ってからは「Bm」と「F#m」で出来ているような部分が続いた後、「Anytime, anyplace?」の部分は「Em」「G」「A」「C/D」のように少し動く。

少し雰囲気が変わるのはソロの部分。ここだけいきなりVai ワールドのよう。
「F#m」「BonF#」「DonF#」「EonC#」を繰り返し、「F#」「EonF#」「F#」「EonF#」「DonF#」「EonF#」「F#」「G#onF#」「G#onF#」、そして「E」で戻る。最後の「E」は前作の「Still Of The Night」にも通じるような休符とシンプルな音使いのコンビネーションだ。

Vaiは技巧派らしい音使いやリズムの取り方で、やたらと音を詰め込むYngwie・タイプではなく、理路整然とした譜割りになっている。例えば終盤には、この早いテンポの曲の中、3連符をキッチリとした16分音符で弾いている部分がある。リズムがズレていくようで面白いが弾くのは大変だ。
Adrianの曲でありながら、全編に渡ってVai ワールドになっているのは、ブチ壊しとも言えるし、さすがとも言える。

2018年8月25日土曜日

I Am The Walrus

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

サイケデリック時代の代表のような曲だ。そして Beatles でもトップクラスのカッコ良さを誇ると思う曲だ。どこか不気味さ、不安定さを感じさせるようなところがある。
曲名からして『不思議の国のアリス』の世界だし、「Walrus(セイウチ)」なんて滅多に題材に挙がる物ではないし、タイトルからして「私はセイウチ」とは強烈だ。曲中に出て来る「egg man」は「ハンプティ・ダンプティ」のことだろうか。

この曲はギターが入っていない。その代わりのメインはキーボード。少し歪んだ音のエレピ。
「B」で始まって、チェロ等と一緒になる2小節目から「B/A」「G/F」「E」「E7」「D」「D7」となる。よく聴くと「G」や「F」の時の2拍目に変な音が混じっていて、5度の音が半音や1音上げているようだ。意図はよく分からないが、不気味さ、不安定さを出す狙いかもしれない。
ヴォーカルが入ってからは「A/AonG」「C/D」「A/AonG」「C」「D」「A」のような進行になる。次のパートは「A/AonG」「D9onF#/F・G」「A/AonG」「F」「B」「B」「C」「D」「E」だ。シンプルなのに奇想天外な響きが不思議だ。

この曲はチェロを中心にしたストリングスが重要で、曲の印象を決定づけるような存在感がある。オブリガード的に色々なオカズが入っていて、これがまたカッコいいし、サイケっぽい感じを出していると思う。

エンディングは「A」「G」「F」「E」「D」「C」「B」と順番にどんどん下がっていく。これの繰り返し。その中でストリングスは高い「ラ」「シ」「ド」のようにどんどん上がっていく。これもサイケな感じ。

歌詞がまた面白くて、出だしから「I am he」as「you are he」as「you are me」and「we are all together」だ。奇想天外だ。全編こんな感じで続いていく。 「ググーグジュー」というセイウチの鳴きまね(?)も印象的で面白い。

2018年8月24日金曜日

It's All Right

Red Warriours [ Red Warriours ]

名盤『King's』の最後を飾る、まさかのウクレレ・ナンバー。しかしこのバンドによく似合う。
グラマラスでゴージャスなロック・ナンバーがある反面、こういうチープで軽薄そうな曲がまた最高なのだ。
ライブでもステージにユカイがウクレレを抱え、ドラムはスネア1個にシンバルだけでブラシで演奏する姿はカッコいい。

「あれはまだ3年前の話しさ」で始まる歌詞も良い。本当に3年前の「真冬のボロアパートに俺たち初めて集まったのさ」ということだ。
たった3年のサクセス・ストーリー。まさにロックンロール・ドリームの体現だ。
「レンガ通りの坂の上にある柱が邪魔なあのクラブ」というのは渋谷のライブハウス・ Lamama のことだ。ステージのちょっと前に本当に邪魔な柱があるので有名だった。

最後は「まだまだ先は長そうだぜ」で「to be continued」的に終わるのだが、解散ライブの時だけは「これで本当にお終いだぜ」に変わっていて涙を誘ったものだ。

曲構成はシンプルで、ウクレレだけになったり、他の楽器と合わせたり、ギター・ソロになったりと色々だが、コード進行は次の通り。
「D/B7」「E7/A7」「D7/G7」「E7/A7」「D/F#7」「G/Gm」「D/B7」「E7/A7」を繰り返す。7thの連発はいかにもウクレレっぽくて良い。

軽いウクレレの音に対すると、アコースティック・ギターは音色が太くて伸びやかで重厚に聴こえる。また後半にカズーのソロ(?)があって楽しい。
あくまでアンプラグド(ベースを除く)にこだわった編成だ。


ちなみにイントロ前のカウントはドイツ語での「1,2,3,4(eins, zwei, drei, vier)」だ。

2018年8月23日木曜日

You Can't Always Get What You Want

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Rolling Stones の曲の中でもトップクラスの好きな曲だ。荘厳なコーラスが入っていたりして、ルーズな感じの Stones との対比が面白い。
曲構成は超シンプルで、イントロからずっと「C」と「F」を繰り返すだけ。忘れた頃に「D」が一瞬出て来る。これで名曲を作ってしまうのだから、複雑な曲を作るよりもずっと難しいことのように思うが、彼らには簡単なことなのかもしれない。
ゆったりとした牧歌的な雰囲気から始まるが、途中はノリがよくなり、劇的な感じさえするパートもあって、私からすればまるで魔法のような曲だ。

もう少し詳細に見ていくと、まずはアコースティック・ギターのイントロ。「C」と「F」だけだが、「C」の時は「add9」的な音がハッキリ聴こえる。私が弾くならバレー・コードの「C」の、5弦から1弦に向かって3F、5F、5F、3F、3Fのコードと、普通の「C」、つまり3F、5F、5F、5F、3Fを交互に弾く感じでプレイする。Stones はオープン・コードでやっているのではないかと思うが、詳しくは知らない。3F、2F、0F、1F、0Fで弾くと「add9」っぽく弾けない。

あとはリズムの問題だ。リズム・プレイだけで様々な展開を感じさせるのが凄い。16ビートもカッコいい。

ヴォーカルも出だしは語りかけるような感じで説得するみたいな感じだが、ノリノリになったり、叫んで激しく訴えたり、ライブでは挑発したり、エロい感じになったりと様々な表情を見せる。

最高にカッコいいのはピアノで、少しだけ出て来る「D」の部分。高い「D音」から8分音符で降りて来るだけだが、とてもカッコいいし、最初はどう弾いているか分からなかった。というか最初の「D音」以外はデタラメに弾いているのかと思ったほどだ。
実際は「レ(D音)」「ドレ(順番に弾くのではなく同時に弾く)」「シレ」「ラレ」「ソレ」「ファ#レ」「ソレ」「ラレ」の8音と、次の「Fコード」の時に「ファ」「ミファ」「レファ」「ドファ」「シ♭ファ」「ラファ」「ソ♭ファ」「ドファ」の8音。特に「Fコード」の時の2音目の刺激が良い。どうというプレイでもないだが、とにかく好きだ。

2018年8月21日火曜日

1/2

川本真琴 [ 川本真琴 ]

この曲をレズの歌だという説もあるらしいが、どういう解釈をしているのだろう?「神様は何も禁止なんかしていない」で禁断の愛を連想し、「男の子になりたかった」という部分で両方女なのか?ということになるのかもしれないが、もうちょっと歌詞を読めば、ストレートな愛の歌だということは明らかだ。

この曲を聴いて最初の印象は「早口で詰め込み型の歌詞だな」というもので、その反動で「愛してる」連発の部分がとても印象的だ。そのうちに数回聴いているとだんだん歌詞が理解出来てきて、全編情熱的なラブソングだということが分かる。
歌詞の表現も独特で、「境界線みたいな体がじゃまだね」「半径3m以内の世界で」のようなものは、一瞬「ん?」となるが、すぐに「ああ」と納得する面白さがある。

音楽は、まずイントロでギターのカッティングから始まる。カッコいいロック・ソングかと思わせるもので、「E9(5弦→2弦に順に7,6,7,7F)」と「E7(2弦のみ9Fにする)」とちょっとしたオカズで出来ている。

続いて登場する彼女のヴォーカルだが、アイドル系かと思わせる雰囲気があるのに、聴けば聴くほど上手い。まずリズムが素晴らしいから歌だけでノレる。それに楽しい。例えば「唇と唇 瞳と瞳と手と手」の部分の最初のアクセントになっている「くぅ」の部分など、思わず一緒に歌いたくなるし、歌えると嬉しくなる。

これだけリズムよく歌うのはとても難しいし、最近は機械のように歌うのが流行り(?)みたいだが、このように歌えると歌っている方も聴いている方も楽しいものだ。
それから歌の表情が豊かだ。一番分かるのは2回目の「愛してる」のところで、それぞれに表情が違う(特に3回目)。恐らくレコーディング中に歌いながら感情移入してのものだろう。

曲を見ていくと、コード進行も結構ヒネってある。歌の最初から下降するパターンだが、人気曲によくあるパターンと同じにならないように工夫してある。「E」「EonD#」「EonD」「A」「AM7」「D7」「C#m7」「F#7」となる。ヴォーカルラインも半音上がっていくような感じになっていて面白い。これをもう一度繰り返した後の早口で畳み掛けるような部分は「C7」「D7」「E」「E」「C7」「D7」「AM7」「A7」「F#7」「G#7」。この曲に限らずだが、キーが「E」の曲での「C」の使い方が好きだ。「AM7」「A7」のところも面白い。
で、サビ。出だしと似ているが少し違う。「E」「EonD#」「EonD」「EonD」「A」「A」「F#7」「G#7」となり、「E」「EonD#」「EonD」「AM7」「A7」「G#7」「F#7」「C7」となってイントロの「E7」に戻る。また「AM7」「A7」が出て来て、この部分のベースがカッコいい。

全体的にすごく音楽的レベルが高い人が作ったんなという印象。素晴らしい。

2018年7月3日火曜日

Lucy With The Sky With Diamonds

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

不思議な雰囲気の漂う曲だ。中学生の頃、まるで万華鏡のような曲で、ヴォーカルは猫のようだと感じたものだ。
まず不思議なタイトルだが、 John の息子の Julian Lennon が4歳前に描いた絵に触発されたのだとか、タイトルの頭文字をとると「LSD」になるとか色々あるが、ここでは音楽のみを取り上げる。

ハープシコードのようなイントロの音色は、電子ピアノにプリセットされていた「Music Box」という音色だという。イントロはリズム楽器がないため、これが何拍子なのかも分からず、ベースが入って来て分かるという具合。このベースこそ、この曲の最重要楽器だと思う。
曲のキーは「A」。これに対し、ベースは1小節に1音しか出て来ないが、「A音」「G音」「F#音」「F音」と下がる。
「F音」?
キーが「A」なのに? よく市販の楽譜には「AonF」とコード・ネームが書いてあるが、キーボードもここだけ「E音」は外して弾いているので、ベース音だけではなく「Aaug」みたいな扱いになるはずだ。しかし「aug」の使用例としても「?」なので単に「F」と解釈するべきか。しかしそれにしても「F」にしては「C#音」なのでこれも当てはまらない。いずれにしてもこの部分がとても不安定で、不思議な感覚を増幅させる。実に印象的だ。

この部分を繰り返しながら、「Dm」「DmonC」を挟み、Bメロへ。何とイキナリ転調する。それも全体が半音や1音上がるというようなものではなく、完全に別個なパート、別個のメロディでだ。
スイングするようなリズムになって「B♭」「C」「F」「B♭」「C」「G」と来てようやくここで安定するのかと思いきや、またしても転調し、しかも8ビートに変わる。サビだ。
「D」を挟んで、「G/C」「D」を繰り返すサビになる。ベースとギターがユニゾンで上昇するリフを弾いていて、完全にロックだ。ところが不思議なことにまた最初のキーが「A」の部分に戻るのだ。このあたりが万華鏡のように感じる部分だろう。

その他、サウンド・メイキングとしては、シタールあり、スライド・ギターあり、レスリー・スピーカーあり、そしてもちろんシンプルなアコギのストロークもあり多彩。
極めつけはボーカルだ。John のダブルトラッキングになっているが、恐らくテープ・スピードを違えて録音しているいるのだろう。実際の John の声より甘い声になっているが、サビはノーマルだ。明らかに狙って変えている。当時、テープ・スピードを変える装置もなかったが、レコーダーに供給する電圧を変えることでテープ・スピードを変えたという。凄いアイディアだ。
このテープ・スピード操作も不思議さを出している要因の一つだと思う。

2018年7月2日月曜日

Stand By Me

John Lennon [ Ben E. King/Jerry Leiber/Mike Stoller ]

オリジナルは Ben E. King で、更に遡れば苦黒人霊歌の「Lord,Stand by Me」という曲になるが、そういうことは置いておいて、ここでは John Lennon がカヴァーしたバージョンを取り上げる。
John のバージョンは1975年に録音されており、とても格好良くてヒットもした。

When the night has come and the land is dark
And the moon is the only light we'll see
No I won't be afraid, no I won't be afraid
Just as long as you stand, stand by me

夜が訪れて大地が暗くなる時
月明りしか見えなくなる
恐れはしない
ただ君がそばにいてくれれば

有名な出だしの部分の歌詞だ。実に素直で素朴で説得力がある。1986年に River Phoenix で有名になった映画『Stand By Me』そのままの若者の危うさ、不安定さを感じさせるような微妙な空気感がある。

曲の組み立ては実にシンプルで、コード進行は「A」「A」「F#m」「F#m」「D」「E」「A」「A」を繰り返す。「So darlin', darlin'」の部分だけ「A」を引っ張って、後は繰り返しだ。

原曲はベース・ラインが印象的だが、John のバージョンは少しテンポ・アップして、アコースティック・ギターが全面に出ている。カッティングがカッコいいが、慣れないと意外と難しいかもしれない。ダウンストロークの時はブラッシング(ほぼミュートしてコード・カッティング)でアップストロークの時にコードの音を出す感じ。もう少し厳密に言うと、ダウンストロークの時も、普通にコードの音を出しておいて、出した瞬間に右手の親指の付け根あたりでミュートする感じだ。(単に右手でミュートしてコードを鳴らさないようにしても感じは出る)

ソロはスライドで、原曲を少し意識したようなプレイだ。コードを崩したような音使いで印象的で、似たようなプレイをしたくなるメロディだと思う。原曲のストリングスによるソロよりずっと素晴らしい。

ボーカルの聴かせどころは何と言っても「So darlin', darlin'」だ。ほとんどこの部分がカッコ良いかどうかですべてが決まると言っても良いくらいだ。
Johnのボーカルはここが最高にカッコいい。ちょっとだけハスキーな感じでワイルドなシャウトをしている。この曲はカヴァーも非常に多く、色々な人が歌っているのを聴いたが、Ben E. Kingを含めてもJohnのバージョンが一番カッコ良く聴こえる。

2018年6月29日金曜日

Please Please Me

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

Beatles のデビュー2曲目で、イギリスを制覇した曲。ハーモニカとボーカルハーモニーが印象的で、元々はもっとスローな曲で Roy Orbison 風だったらしいが「テンポアップして元気いっぱいにしたら格好良い曲になった」ということらしい。
出だしのボーカル・ハーモニーは○度のハモりというのではなく、片方(John)は下降ライン、もう片方(Paul)はずっと同じ音(E音)を歌うというもの。これを知ると、面白いので同じ音の方は歌いたくなってしまう。

このタイトル「Please Please Me」だが、「どうかどうか私を」では意味不明。最初の「please」は普通に「どうぞ」という意味だが、2回目の「please」は他動詞の「喜ばせる」という意味で使っているので、「どうが僕を喜ばせて」という意味になる。もちろん同じ単語を続けたのは狙ってやっていて、オシャレだ。
大ヒット曲だが、よく考えると結構エロい内容で、例えば最初の方の「I know you never even try, girl」なんかは、何にトライするのかは伏せてあるが・・・?タイトルからして結構エロいのだ。

この曲は、ベースもブンブン唸りを上げる感じでカッコいい。ルート連発だが、アクセントに小さなスライドを入れて、サビのところは結構動く。私はベース・ラインが大好きだ。

コード進行を見ていこう。イントロは「E」一発。歌が入ってからもしばらく「E」とちょこっと「A」で、間の合わせるところは1回目が「E・G/A・B」で2回目はユニゾンで「(一番低い)ミミ(オクターヴ上の)ミミシシ」と入る。サビは「A」「F#m」「C#m」「A」「E」「A/B」「E」「A/B」、展開するところは「A」「B」「E」「E」を繰り返す。
エンディングがなかなか良くて、「E」「A/B」を繰り返した後、コード一発とスネア・ドラムの8分打ちの「タタタタ」が4回繰り返されるところが格好良い。コードは「E」「G」「C」「B」とつなぎ、「E」で終わる。

この曲のキーは言うまでもなく「E」だが、途中やエンディングに少しだけだが「G」だの「C」だのが出て来る、これはダイアトニック・コードにないもので変だ。しかし独特な雰囲気を醸しているように感じるのではないだろうか。これは、モーダルインターチェンジといって、簡単に言うとキーを「Em」と見なす、というか「Em」のダイアトニックから借りて来た音ということ。「Eメジャー」なのに「マイナーっぽい響き」つまり「ブルージーな感じ」になるわけだ。
Beatles は意外にこういう使い方が多くて、単純なポップス曲なのに、なぜかどこかブルージーという時はこれが多い。

2018年6月8日金曜日

More Than Words

Extreme [ Nuno Bettencourt/Gary Cherone ]

Extreme の必殺のバラード。もちろん大ヒット曲だ。Gary と Nuno の美しいハーモニーがとても印象的な名曲だ。
曲調に合わせて歌詞もうっとりしてしまうようなもので、タイトルからしか「言葉よりも」だから極上のラヴ・ソングになることは間違いないだろう。

ハーモニーは基本的に3度のハモりだが、ところどころに片方は上がって片方は下がるような工夫してあるところがある。決して難しくはないが、伴奏が超シンプルなので、ボーカルの聴かせどころとも言えるし、失敗すればかなり粗が目立ってしまうとも言える。

伴奏はアコースティック・ギター1本。超シンプルだ。フォーク・ソングのようにコードをジャカジャカやるのではなく、2拍目と4拍目に弦全体を叩くパーカッシヴな音が入っていてアクセントになっている。コードはシンプルだが、シンコペーションが多いので、最初はスローで練習して慣れないとちょっと難しい。

エンディングにライトハンドやハーモニクスを絡めた凄い早弾きのソロが出て来るが、それは省略しても大勢に影響はない。確かビデオクリップも省略してあった。

コード進行を抑えておこう。イントロは「G」「Cadd9」「Am7」「C」「D」を繰り返す。歌が入ってからは、イントロと同じもの2回繰り返した後に次の展開に入って「Em」「Bm」「Am7」「D」「G」「D」「Em」「Cadd9」「Am7」「D」「G7」「C」「Cm」「G」「Em」「Am7」「D」「G」という感じ。「G7」のところは「おっ」となるし、「Cm」のところは「さすがプロ」という感じだ。
次のサビ(?)の部分は「G」「D」「Em」「C」「C」「Am7」「D」「G」を繰り返す。

この曲はビデオクリップも作られていて、白黒で2人での演奏シーン。残りのメンバー2人はソファでくつろいでいる。Nuno の唇が印象的なので、Youtube 等で探してみて。

2018年6月7日木曜日

Kickstart My Heart

Motley Crue [ Nikki Sixx ]

Motley Crue の1989年のヒット曲は、疾走感あふれる元気いっぱいの爽快ナンバー。バイクの疾走感を表わしている。

メインのドラムがハイハットではなく、スネアで8ビートを刻んでいるのが特徴的でちょっと面白い。

まず最初にギターのアーミングで低音の効果音から始まり、すぐにギターのリフになる。このザクザクした感じから最高だ。
ただ、このリフ、リズムをとっていると次のリフに移る時に変拍子のように聴こえる。1拍ない部分があるのだ。
これは変拍子なのではなく、出だしの頭を錯覚させて「あれっ」と思わせるちょっとしたイタズラのようなものなのだ。
どういうことかと言うと、まず「ダーダダー」と入って「ダッツツ、ダッツツ、ダッツダーダダー」の繰り返しに聴こえるだろうが、そうではないということだ。2拍目の裏から入ると丁度良いように感じるが、そうではなく、3拍目の裏だということだ。
つまり「(ツ)ダーダ」「ダーダー、ツツダー、ツツダー、ツダーダ」を繰り返す、という訳なのだ。一度頭に流れるリフを忘れて、新しく考え直すようにしないとピンと来ないかもしれない。

この曲は比較的シンプルなので、音を取るのにそれほど苦労はしないだろう。一度静かになる部分があって、クールダウンするが、そこもそれほど難しいものではない。「sus4」が出て来るくらい。

あとこの曲で面白いのはエンディングのギター・ソロだ。Jeff Beck や Peter Frampton、Bon Jovi 等で有名になったトーキング・モジュレータ、マウス・ワウだ(「Living On A Prayer」の時に取り上げたので、もしよろしければそちらも参照のこと)。普通のワウワウよりも更に人間ぽくて(実際に口でやっているのだから当たり前だが)、非常に印象的だ。伸ばす音の時に「ワウワウ」とやると効果的だ。
一番最後のギターの音が「やだよーっ」と聞こえる。(笑)

2018年6月5日火曜日

Battery

Metallica [ James Hetfield/Lars Ulrich ]

アコースティック・ギターで始まる。
Metallca の曲でアコーステッィクが出て来るのは、大抵、ヘヴィな部分との対比になっていて、この曲も当然、このあと来るド迫力の部分を期待して待つこととなる。そのワクワク感が堪らない。

イントロのアコースティックの部分だが、美しいというよりは、静けさの中にもやや不気味さを感じさせるような、何かが起こるような雰囲気だ。「Em」「FM7」「F#m7」「G」とだんだん上昇していくコード進行。コードで見ると「3・5・3・5拍」になっていて変拍子のようだが、「8拍・8拍」ということなのだろう。このコードを低音だけ鳴らし(一番高い音で3弦2フレットの「A音」)、低めのフレーズが乗る。更にそれがハーモニーになり、トリプルになり、そしてイキナリ歪んだヘヴィなエレキ・ギターとベースの音に変わる。フレーズやコードは同じで、なかなかドラマチックなオープニングだ。アルバムのオープニングにも相応しく「待ってました」という気持ちになる。

本編はかなり早く攻撃的なリフ。「Em」に「B♭」を続けるのも Metallica らしい。途中で裏拍を強調したリズムがいくつか入るのもこの時期の Hevey Metal らしいと思う。 ボーカルの合間の小さなソロもカッコいい。「Em」の際の1弦17フレットと12フレットを使うパターンは Kark の十八番。よく出て来る。

新しい8分のリフが出て来たブレイクし、再び戻ったところからソロになる。ダブル・チョーキングで始まるソロだが、中盤から終盤にかけてがカッコいい。ミュートでスケールを降り、そして上り、バッキングが全音符に変わると8分のメロディとなるあたり、実に考えられている。

この後の合わせ、4分で「F・B♭/B・B♭」も単純だが、カッコいい。この曲はカッコいいリフが満載なのだ。歯切れの良い攻撃的なリフは気分をスカッとさせてくれる。

あとは、これまでに出て来た様々なリフが再度出て来つつ、潔く終わる。この簡潔さも男らしくて素晴らしい。旨味が濃縮されたような曲だ。

2018年6月4日月曜日

The Rain Song

Led Zeppelin [ Jimmy Page/Robert Plant ]

大好きな曲で、アコースティック・ギターがメインの曲なので、ギター1本でもかなりソレっぽくなるところが良い。これにロマンチックなメロトロン、後半はヘヴィなドラムも入って来るという「これぞ Zep!」というような曲。「天国への階段」と似た展開を持ち、繊細で静かで壮大な曲だが、こちらの方がずっと難解で難しい。

ギターのチューニングは1音下がっているので、押さえるポジションは「A」でも、出ている音は「G」。少々分かりにくいが、以下はギター目線で書くので、実音はコードネームの1音下の音になるのでご注意下さい。

開放弦を多用するコードが美しく、ギタリストが作る曲ならではといったところ。
「A」「AM7」「A7」「F#onA」という感じにトップの音がだんだん降りて来るイントロから始まる。シンコペーションが多い上に裏のアクセントが多く、ドラムのカウントもないので、どこが頭なのか、変拍子なのか、分からなくなってしまいがちだが、変拍子はない。特に印象的な4発の和音「ミラド#」「ミラシ」「ミラレ」「ミラド」(これらに開放弦が絡む)に「ラファ#」「レファシ」のところはすべて裏拍(Back beat)になるので慣れないと弾きにくい。

この後もリズムが取りにくいフレーズが続くので、曲をよく聴いて覚えてしまう方が早道かもしれない。いずれにしてもシンコペーションから裏拍連発のリズムは苦もなく普通に弾けないと苦しい。

途中からさすが John Bonham といったドラムが登場する。Led Zeppelin の曲はどれもそうだが、ドラムの存在感が凄い。だからこそ、Bonham なしで再結成は出来ないということなのだろう。仮に別のドラマーを入れても、Bonham の真似をすべきか、自分流を出すのか、何だかどちらもダメということになってしまいそう。
この曲のようなロマンチックで繊細な曲も、彼のドラムが入ることで筋の通ったロック曲になるから凄い。

Led Zeppelin のライブの映画『The Song Remains the Same』の中でもこの曲は演奏されていて、中に幻想的なシーンが挿入されている。これがイメージにピッタリで、Robert Plant が馬で旅をし、やがて城で敵と戦ったりするものだが、ケルト神話をモチーフにしているのか、古めかしい感じがメロトロンの音とよくマッチしていて、今や伝説のバンドとなった Zeppelin のイメージを想起するのにも良い素材となっている。

2018年6月3日日曜日

Since You Been Gone

Rainbow [ Russ Ballard ]

Rainbow の有名な曲の一つだが、オリジナルではなく、カヴァーだ。レコーディングの際には Cozy Powell が「ポップすぎてロック・バンドがやるべき曲ではない」と反対し、どうしてもやりたい Ritchie Blackmore との間で殴り合いのケンカになったという。(腕っぷしの強いCozyと華奢なRitchieとでは勝負にならない気もするが、Ritchieには陰湿なイタズラのアイディアが沢山あるので、事前にCozyは萎えていてRitchieが優勢だった可能性が強い)
Graham Bonnet の迫力あるボーカルもあって、最終的にはバンドの代表的なヒット曲となり、その後も長く演奏される曲となる。Rainbow だけでなく、Graham のソロや、Graham が在籍した Alcatrazz や Impellitteri でも演奏されている。

曲はコンパクトなポップ曲といった感じで、イントロのコードも明快。「G/D」「Em/C」「G/D」「Em・C/D」で出来ているリフで、リズムに乗せてコードをそのまんま弾けば良いのでコピーしやすい。
ボーカルが入って来てからは下降するベースラインが印象的で「G/DonF#」「Em/D」「C/GonB」「Am/D」の繰り返し。ギターはアルペジオを弾くが、シンプルなだけに少し開放弦を絡めたり工夫したい。

次のパートが転調した感じになって、「E♭」「F」「E♭」「Am/D」で元の戻る。コードよりもバンドで合わせるところがカッコ良い。

サビはイントロと同じ。

ソロがあるパートは、「G/Am」「GonB/C」「GonD/B7」「Em/GonD」「C」の箇所は、後ろでピアノが素早いアルペジオで上がり下がりしている。ギターはソロというよりメロディックな間奏で、あまり崩したくないフレーズだ。Alcatrazz などは Yngwie が合間に凄い早弾きを入れていたが、基本線は崩さなかった。

このパートが終わるとすぐ転調。全体が1音上がる。従って、「A/E」「F#m/D」「A/E」「F#m・D/E」となるのだが、最後のところのみ「A/E」「F#m/F」「A/E」「F#m/F」「A・E/A」となる。この「F」が変化球でとても面白い。
そして、終わったかと思わせておいて、サビのコード進行に合わせて今度こそのソロだ。今度は自由に弾ける。Ritchie はスライドを弾いていた。スライドもまた変化球の様で面白い。
ソロの終わりは、先ほどの「F」のあるコード進行にすれば良いだろう。

それから、この曲のタイトルだが、文法的には「Since You've Been Gone」で、そのように印刷されている場合もある。

2018年6月1日金曜日

Here I Go Again

Whitesnake [ David Coverdale, Bernie Marsden ]

Whitesnake をブレイクさせた超大ヒット曲だが、ライブ・バージョンを抜かしてもスタジオ・バージョンだけで3種類ある。オリジナルはヒットする5年も前の1982年のアルバム『Saints & Sinners』に収録されていて、ギターは Bernie Marsden と Micky Moody、ベースは Neil Murray、ドラムは Ian Paice、キーボードは Jon Lord という、これはこれでスーパーバンドのラインナップ。

そして大ヒットしたバージョンは1987年のバージョンで、ギターは John Sykes にソロだけ Adrian Vandenberg、ベースは Neil Murray で同じ、ドラムは Aynsley Dunbar、キーボードは Don Airey と Bill Cuomo。よく聴くとBパートのギターもAdrianではないかと思わせる音だ。それ以外は明らかにSykesの音。

更にもう一つのバージョンは、この時にラジオ・ヒットを狙ってキーボード満載のポップなバージョンが作られた。ラインナップは、ギターが Dann Huff、ベースが Mark Andes、ドラムが Denny Carmassi、キーボードはアルバム・バージョンと同じ。このシングル・バージョンは David 以外バンドに誰もいなかった時に作られた。

ビデオクリップが作られたのはアルバム・バージョンで、MTVで散々かかっていたので、ヒット・バージョンといえばアルバム・バージョンになる。
当時のDavidの彼女・Towny Kitaen が大々的にフューチュアされ、車の上での開脚やDavidとのラブラブぶりを見せつけるようなビデオクリップになっている。(この2人は89年に結婚し、2年後に離婚している)
まるっきりTownyが主役のようなビデオだが、この「here I Go Again」のクリップが一番当時のメンバー(ツアーメンバー)がちゃんと見えるので貴重だ。Adrianのソロも半分くらいは見えるし、イントロのキーボードは右からVivian、Adrian、Rudyと3人並んで弾いている(ような演出)。

ちなみに、ライブではアルバム・バージョンとシングル・バージョンのミックス・アレンジで演奏されている。

歌詞も少しだけ変更されていて、オリジナル・バージョンは「Like a hobo I was born to walk alone」と歌われていたが、「hobo」が「drifter」に変更されている。意味は同じような「流れ者」のような感じだが、変更理由は「hobo」が「homo」に聴こえるから。

さて曲だが、結構シンプルで、コピーも楽な曲だ。3バージョンを比較してみるのも面白い。
キーボードのイントロ。オリジナルは Jon 得意のハモンド・オルガンで静かで教会にような雰囲気なのに対し、ヒット版は同じフレーズながらキラキラした音がメインになっている。シングル版は出だしからバンド演奏だ。
ソロの前のパートもほぼ同じだが、オリジナルがツイン・ギターのハーモニーになっているところが、ヒット版は強力なピッキング・ハーモニクスになっている。90年代のライブからは上昇するコード進行に変更されている。

ソロも3様で面白い。オリジナルはツイン・ギターのバンドらしいソロ。ヒット版は Adrian らしいコード・トーンを意識したメロディックなもので、音程差の大きい部分や最後の早弾きも当時の雰囲気を表わしている。シングル版は更に80年代っぽい盛り上がるソロだ。

2018年5月31日木曜日

Lazy

Deep Purple [ R.Blackmore/R.Glover/I.Gillan/J.Lord/I.Paice ]

Deep Purple の曲の中で最もカッコいいと思う曲。もちろん一番好きな曲でもある。
『Made In Japan』等のライブでの演奏も凄いし、色々挿入されているライブならではのアレンジも面白いのだが、今回はアルバム・バージョンを見てみる。アルバム・バージョンでも十分アドリブ的な曲だと理解出来るだろう。

まずはハモンド・オルガンのイントロ。教会音楽のような荘厳な雰囲気から、マーシャル・アンプを通した爆音&歪んだ音まで、ボリューム・コントロールのみでやっていて、とても面白い。歪む音は、音響で言う「割れた音」と同じ原理で、大きすぎる入力をすると、音量が許容量を越えて歪んで(割れて)しまう。ギターでの「ファズ」「ディストーション」「オーバードライヴ」等、原理的にはコレである。ハモンドをアンプに通し、小さい音なら問題なく綺麗な音、大きくすると歪んでしまうようにセッティングするわけだ。私もキーボードをギター・アンプに通してよく真似したものだ。

最初は「ソラド」の和音のフェードイン。静かに始まりが続くが、「ファソド」の和音から狂っていく。歪んだ音の登場だ。ライブではオルガンが壊れたのかと思うほど強烈で、実際に壊れたフリをして、Ian Gillan が「修理するまでちょっと待ってくれ」なんて言ったりしている場合もある。一度キレイな音に戻したと思ったらすぐにまた狂気の音になる。

しばらくすると、教会のような雰囲気はスッカリ消え失せ、ブルース調になり、「ファラシ♭」から「シドミ♭」の3連符の早弾きがいつの間にかリズミックになって、ブルーノート・スケールのフレーズになっていく。このあたりのリズミックなプレイが素晴らしい。

そして「ドミ♭ファー」のフレーズとともに長いイントロ(というか前奏)が終わり、ギターが参戦して来る。このあたりの展開も最高。みんなで合わせるブルーノートのリフも最高。ギターとオルガンのソロも最高。各メンバーの力量が試されるようなとても楽しくスリリングな曲だ。

そして忘れた頃に登場するボーカル。ボーカル登場の前に転調し1音上がる。この後もう1回転調してソロになる。だんだん上がって変化をつけつつ盛り上がる。
このようなアドリブ満載の曲はとても楽しい。そして最後に長い曲の終わりには雰囲気を変えた終わり方を用意してあって、最後まで大満足で終わるのだ。あぁ楽しかった。

2018年5月29日火曜日

Master Of Puppets

Metallica [ J.Hatfield/L.Ulrich/C.Burton/K.Hammett ]

基本的にリフで構成されている曲なので、コードネーム等はナンセンス。(しかし、音を表わせられなくなるので、ここでは一応コードとして書くが)
逆にリフ主体で作られた曲のカッコ良さを示したのが Metallica と言える。

「Em」から「D・D♭/C」を経て、6弦開放のミュート音とオクターヴ上から降りていくリフ。肝はダウンピッキング。ツブを揃え、ドライヴ感を出すために、すべてダウンのコダワリ。あえてオルタネイトを使わないとなると、このテンポでも相当早い。
続いて「Em」の5度の音が半音ずつ上がったり下がったりするリフ。5度音をイジると不安定な緊張感が増す。これも同じくダウンピッキングの嵐。
更に3番目のリフとして登場するのは、1小節すべて8分でダウンピッキングし、次の小節で細かいスライドのフレーズを挟むパターン。4小節で1パターンとなっているが、その4小節目が3拍しかない変拍子になっている。これがあるためにリズム的にも緊張感が生まれている。
このようにずっとダウンピッキングが続くので、1曲弾ききるには相当の体力・持久力が必要とされるのだ。

中盤は一転してコード感満載のアルペジオとメロディックなソロ。このあたりのクリーンで美しい部分も Metallica の醍醐味の一つ。「Em/D」「D/Cadd9」「Cadd9/Amadd9」「B7」を繰り返す。4小節のパターンだが、「2・4・4・2・4拍」のような感じになっている。このアルペジオを背景に美しいツインギターのハーモニーフレーズが登場。続いて James の単独ソロ。リズム・ギターの James だが、このようにソロ・プレイも上手いのだ。アルペジオ、ツイン・ハーモニー、そして Jame のソロと、いずれも16分の3連符が出て来て、それもそれぞれ違う箇所に出て来て印象的。

曲調は再びメタリックに戻る。今度は Kark のソロ。ストレッチ気味のフレーズや16分音符、ピッキングハーモニクスのアーミング等、多彩だ。
しかしソロよりも、この後のミュートして8分で上がり下がりするリフのようなフレーズが好きだ。細かなミュート音と「C」の伸ばすところの対比がカッコいい。

長い曲は、最後にバカ笑いの声で終わる。緊張感のある後だけに思いっきり笑い飛ばそう。

2018年5月28日月曜日

Black Dog

Led Zeppelin [ Jimmy Page/Robert Plant/John Paul Jones ]

Led Zeppelin の代表曲。個人的には一番好きな曲かもしれない。
特徴は何と言っても、ズレていくような変拍子のリズムとそれに絡むリフ。ギターとベースのユニゾンなので、慣れないとまったく演奏できない。私も最初はまったくダメだった。

まずメインのリフについてだが、すでにこれが変拍子で、合計15拍のリフと長く伸ばす「A音」。「A音」が伸びている部分にボーカルが入るわけだ。
この長く伸ばす音があるので、前が何拍かはあまり関係なくなって、それほど気にしないことになる。リズムのズレが生まれないからだ。

問題は次のパート。メインのリフの前半部分を繰り返す。これが5拍分。だが、実はこのリフの最初は8分休符のため、音が鳴っているのは4拍半。2回目からはこの休符を除いた4拍半のリフを繰り返す。4拍のリズムの中で繰り返すから、当然半拍ずつズレてしまう。その面白さを狙っているのだが、初めて聴くと訳が分からないか、間違っているように聴こえるくらいに不思議だ。頭で理解できないものは弾けもしない。そもそも、4拍半だと理解出来ただけではとても弾けない。

で、攻略法。他の人はどうやっているか知らないが、私の攻略法は次の通り。
まずリフは(ドレミで覚える必要はないが)「シレレ#ミシソーミー」だが、繰り返しのうちの1回目が終わったら、繰り返しとは思わない。次の「シレ」も前にくっついているメロディで、2回目は「レ#ミシソーミー」という別個の新しいリフと考え、これに次の「シ」がくっつく。3回目は「レレ#ミシソーミー」というこれも新しいリフと考える。つまり3種類のリフが出て来ると考え、繰り返しとは思わないようにする。
1回目が「シレレ#ミシソーミーシレ」で、
2回目が「レ#ミシソーミーシ」
3回目が「レレ#ミシソーミー」という具合になるわけだ。するとピタッとはまって気持ち良い。

このリフの部分に随分気がいってしまうが、次のパート「Hey, baby?」の部分のリフもシンプルながらとてもカッコ良い。これも頭が8分休符だ。
また、ソロはこの部分を背景にしたプレイで、ペンタトニックのソロだが、これもカッコいい。低いところから駆け上がってスライドから「A音」までいく。そのまま延々とソロが続くが、この最初のキメだけあれば、残りはアドリヴでいいだろう。

更に忘れてはならないのは、曲全体を支えるドラム。このドラムのノリ、安定感、存在感があるのが大前提で、これがいまいちだと台無しになる。特にバスドラの存在感は特筆もの。これだけでも John Bonham がどれだけ凄いか分かるというものだ。

2018年5月27日日曜日

Walk This Way

Aerosmith [ Steven Tyler/Joe Perry ]

Aerosmith の代表曲だ。この曲のリフを聴いてジッとしていられる人はいないだろう。思わず体が動いてしまう。そんな力を持ったリフを凄いと思う。
Run-D.M.C.がカバーしたことでも有名で、スティーブンとジョーは彼らのレコーディングやビデオにも出演したりして話題となっていた。

Run-D.M.C.がやったのはモロにラップだったが、Aerosmith のバージョンも辛うじてメロディがあるくらいで、魅力はほとんどラップだ。
意外にも Steven はそれまでラップにはあまり馴染みがなく、もともと Beatles が好きなようにメロディックな曲調に馴染んでいた。一方でアメリカ人らしくブラック・ミュージックにも影響を受けていて、そのあたりのミックスが彼の源流なのだ。当初はこの曲のラップ調の部分に苦労したという話しもある。ついついリズムを追うことになってしまうからだ。

当初、彼は練習するのに、歌詞ではなくスキャットで歌い込んだというが、このスキャットこそが、彼のスタイルを築く上で重要な役割を果たすことになる。後の曲の作曲時の様子などを見ても、結構スキャットで歌っているものが多いし、「Dude (Looks Like a Lady)」のように曲の途中でそのまま効果的なスキャットが出て来るようなものも多数ある。
ドラマーとしての腕も相当なもので、このあたりもリズム感の良さにつながっているのだろう。

さて、この曲、ジャム・セッションの中で、ドラマーの Joey がファンクっぽいリズムでプレイしていた際に、それに合わせた Joe が偶然弾いていたものから生まれることになるが、最初からリズミックだったことが分かる。曲の内容もセクシャルでストリートの黒人っぽい雰囲気も感じられるし、イメージ通りだ。

さて、ギターに関して一つ小さな疑問がある。
あの有名なリフは同じフレーズを2度繰り返すとというものだ。基本的に16分音符のリフで、1回目と2回目の間に16分休符がある。私は1回目と2回目は同じように弾いてしまうが、本当は休符を空振りして、2回目は1回目とは逆のピッキング・パターンになるのではないだろうか? リズミックに弾く時の基本として、休符の場合も空ピッキングをするというものがある。この曲は典型的なリズム重視の曲なのでピッタリだ。ダウン・ピッキングで始めた場合オルタネイトで弾くと、休符がダウンで、2回目の最初は今度はアップ・ピッキングになるはず。まったく同じフレーズを1回目と2回目で逆のピッキングで弾くのは意外に難しい。
ところが、ジョーが弾くのをよく見るとどうも1回目と2回目を同じように弾いているように見える。リズミックなプレイが得意な人はどう弾くのだろう?(昔からの疑問だ)

2018年5月26日土曜日

Heart Of Stone

Europe [ Joey Tempest ]

比較的地味目な曲だが、隠れた名曲と呼びたい。イントロや出だしが地味なので目立たないのだろうが、個人的に大好きな曲だ。

イントロは「D」と「Em」のリフで、ボーカルが入る直前にギターとベースが合わせる。コードをつければ「Am・G/D・E」といったところ。ボーカルが入っても、時折「C」が出て来るだけで、平凡に進む。

サビで一転し、ブ厚い3声のハーモニーになる。ライブでも3声でやっているのがさすが。Europe のライブ・ビデオか何かで練習しているシーンがあった。
コード進行は「C/D」「G/Em」「C/D」「Em」「C/D」「G/Em」「Bm」「C」。この曲は基本的にはこれだけ。

地味目の曲ながら、ソロがキラリと光る優れもの。まずコード進行を押さえておこう。
「Em」「G/Am」を4回繰り返し、4回目の最後だけ「Am/Bm」となる。ソロ後半はサビのコード進行と同じ。

ソロの出だしは、ハイポジションでの1音半チョーキングでスタート。その後のアルペジオのようなフレーズがなかなか。「シレファ#」「ラソ#ファ#レラソ#」という計3拍分の3連符だ。「Em」の5thの音から7、9、11、13とテンションの風味だ。続いてハイポジションでのコード・カッティングと決めのチョーキング、更にペンタトニックの早弾きで前半が終わる。この最後の早弾きは John Norum がよくやるプリング・オフを多用したものだ。4音が1パターンとなっている、キッチリした32分音符のフレーズ。
後半はメロディアスで最も好きな部分。後半3小節目の下降するメロディと1音置きに固定した音(このソロでは「ソ」)のフレーズが良い。これをもう一度繰り返し、最後はまた手グセのようなペンタトニックのプリング多用早弾きで締め。何度も弾きたくなってしまうソロだ。

2018年5月24日木曜日

Toe'n The Line

Pride & Glory [ Zakk Wylde ]

Black Sabatth と Ozzy とサザンロックが好き!で個人的好みとピッタリ一致。ソロになった Zakk Wylde のバンド Pride & Glory は一発で気に入った。「Ozzy らしくない」とか「こんなヘヴィなサザンロックがあるか」のような批判もあったようだが、当たり前だ、Ozzy + サザンロックなのだから。
今回はそんな Pride & Glory から、当時のライブで1曲目にプレイされていたこの曲を取り上げる。サザンロック・テイストは少ないが、アドリブのスペース満載の楽しくヘヴィな曲だ。ギターのチューニングは6弦が1音下げになっているので一番下が「D音」まで出る。

シャッフルのリズムとめちゃヘヴィなリフで始まる。「G#」3連が気持ち良い。その音色のまま「D7」のアルペジオがあったりするAパート。Bパートは「Em」から「G」「A」と上昇し元に戻る。直後の「D」「C#」「C」でのリフも気持ちが良い。ベースもウネっている。Cパートはスローなアルペジオのようなパートで「D7」「E7」を行き来し、スローダウンしたまま曲が終わる。
と思いきや終わらない。先ほどの「D」「C#」「C」でのリフが復活し、ベースとの面白い絡みがあって、ソロとなる。この辺りとても格好良い。

ソロは得意のチキン・ピッキングの早弾き+ペンタトニックのシンプル豪快系ソロだ。これもとても格好良い。とてもゆったりした2音チョーキングがあったかと思うとリズムの性格な超早弾き(1拍6連)があったり緩急も凄い。そしてもう一度歌に戻って終わる。

と思ったら、また終わらない。ワウを絡めた新たなリフが登場し、新たなメロディの歌も入る。「A7/G7」の部分で少し前の雰囲気を感じさせつつ、再びソロへ入る。
再びペンタトニックの豪快ソロ。アドリブとスローなチョーキングと早弾きのコンビネーションがこれでもかと続き、それにベースが激しく絡む。このあたりはサザンロック色はまったく感じさせず、Cream のソロのようだ。
ライブでは相当長い時間ソロがあってCDの倍くらいの演奏時間になる。このあたりも60年代後半や70年代みたいだ。ひたすら男くさい豪快な1曲だ。

2018年5月21日月曜日

Another Day

Dream Theater [ J.Labrie/K.Moore/J.Petrucci/J.Myung/M.Portnoy ]

プログレシヴ・メタル・バンド・Dream Theater の必殺のバラード。発表当時は「らしくない」と思ったものだが、慣れた現在でもとっても「らしい曲だな」と思う。
一聴して「シンプルな曲だな」と感じるが、実はとんでもない。そっくりコピーするのはほとんど不可能に近いくらい全パートとも複雑で難しい。それなのに、それを感じさせないということは「名曲」ということだろう。

まずイントロはピアノとその後のギターのメロディが印象的だが、「G#m9/onF#」「onE/onC#・F#11」の繰り返し。これは難しそうに見えるが、「シラ#ファ#」のメロディと降りていくベースと考えれば難しくない。9thにする必要もないかもしれない。ギターの部分は「G#m/D#monF#」「EM7/C#m7・F#」「G#m/D#monF#」「C#m/Eadd9」。
歌の部分は「G#m/EonG#」「G#m/F#sus4・F#」「E/B」「A/F#sus4・F#」で2回目は最後が「A/EonG#」となる。次のパートは「C#m9/B11onD#」「E/B11」「C#m9/B11onD#」「E/F#11」。

長くなるので、少し飛ばしてサビ前のストリングスの部分(繰り返しのボーカルも)が「B」「BonA」「BonG#」「F#11/E」となって、イキナリ転調し、「G」「C」「DonF#」「Em/Em9onD」「C」「Bsus4/B」「E」「F#」となる。比較的に解りやすくしてメリハリをつけている。
アウトロでイントロと同じ進行でサックス・ソロになっている。緊迫感のある曲調だからか、毛色の違う音になぜかホッとさせられる。

難しいのはコード進行や曲の展開だけではなく、ギターもメロディあり、ひねってある結構大変なアルペジオあり、かなりの早弾きのソロありで難易度は高い。
ベースも緩急織りまぜて大変だが、何といってもドラムだ。さすがは Mark Portnoy だが、例えば2拍目から3拍目にかけてのシンコペーションとか、8分のシンバルに対し、足で3連符を打つようなパターン。手数も多いし、ノリを出しながらこのレベルはまず無理と言っていいくらいに難しい。

2018年5月19日土曜日

Livin' On A Prayer

Bon Jovi [ Jon Bon Jovi/Richie Sambora/Desmond Child ]

1986年、Bon Jovi の大ヒット曲だ。高校1年生の私がハードロックに目覚めるキッカケになった曲で、とても思い出深い。
それまでハードロックというと、暗くて怖そうでマニアックというイメージだったが、Bon Jovi は明るく健康的で女の子もいっぱい、笑顔も多く楽しそうというイメージに変貌し、誰からも受け入れられるものとなり、その結果の世界的ヒットというわけだ。

私が気に入ったのは、そういう楽しさ、明るさももちろんあるが、特にこの曲はボーカルとギターだ。
まずボーカル。サビでのハイトーンが格好良かった。Jon にとって高音が少しキツそうなのが、逆にギリギリまではじけている感じで良い。その前の「Woo]」の部分の厚いハーモニーも「チーム」「グループ」といった仲間意識を感じさせ良い。
更に終盤で転調すると、何と一気に1音半も上がって高音になる。「こうなりゃヤケだ。いっちまえ」的なノリが楽しい。結構このボーカルでやられてしまっている人は多い。

そして何と言っても忘れてはならないのは MTV の影響力だ。何しろそもそも Bon Jovi のイメージを決定づけたのは MTV と言っても良いというくらい。楽しげな演奏シーンがメインで、前半は白黒のリハ風景、後半がカラーでライブ風景となっている。
そして、Jon が飛ぶ。ちょうど転調する部分でステージから一気に上へ飛ぶ姿は「スゲーッ」と盛り上がったものだ。

音楽的な話しをしよう。
ギターもまず音色が特徴的。最初のキーボードで雰囲気を作り、ベースが入り、ボーカルのセリフが入り、スネアの合図と共に最後にギターが入って来るドラマチックな展開。そしてあの音色。
マウス・ボックスとかトーキング・モジュレータとか呼ばれるもので、簡単に言うと、ギターの音を専用アンプで圧縮しホース(チューブ)へ送り、ホースを口でくわえて口の中を音を出す。それをボーカルのマイクで拾うというものだ。口の開け方によって音色が変わり、人間がしゃべっているかのようなギターの音に変換される。それであの「ウヮウヮ」といった音になる。Jeff Back や Peter Frampton、Aerosmith なんかも使っていた。

曲はいたってシンプル。「Em」「C」「D」が主で、サビは「Em/Cadd9」「D」「G/C」「D」といったところ。「Cadd9」ちょっとさわやかな感じ。
ソロもメロディックで、複雑なものではない。
最後の転調は、直前に「D」を3拍だけやる変拍子を挟んで「Gm」へと行く。サビは1音半上がるわけだ。「D」をドミナントと見なしているわけだ。嫌でも盛り上がる。

2018年5月18日金曜日

Free Bird

Lynyrd Skynyrd [ Allen Collins/Ronnie Van Zandt ]

サザンロックの雄・Lynyrd Skynyrd の代表曲。バラード曲だが、後半一転してアップテンポのソロ・コーナーになる。そのソロ・パートがギター少年に人気を博した。もともと7人編成の大所帯バンドだが、この曲もたくさんのギターが聴こえる。それにピアノとベースも絡むから、なかなかブ厚いサウンドだ。

イントロはアコースティック・ギターとオルガンとピアノ。ただのコードなのに、この出だしだけでこの曲と分かるから凄い。
「G/DonF#」「Em」「F/C」「D」の繰り返し。2回目からはエレキ・ギターのアルペジオが入るが、低音中心の少し珍しいパターンだ。3回目からはキーボードが消え、ゆったりとしたボトルネック奏法によるスライド・ギターがメインのメロディを弾く。なかなかドラマチックでカッコ良い。

前半部はなんとこれだけだ。「F/C」「D」を繰り返す部分はあるものの、ヴォーカルが入ってもボトルネック、低音アルペジオ、時折入るピアノが続く。歌詞が西部の男っぽい内容で雰囲気があって格好良い。スローテンポの中「I can't change」の「change」を伸ばす部分でギターも早いペンタトニックになっていて「変えられない」が強調されている。これを何度も繰り返し、怒濤の後半へ流れ込む。

いつの間にかテンポアップし、「G」「B♭」「C」「C」に変わる。2弦・1弦の15フレットから入る有名なソロだが、印象的なのはまったくのユニゾン・プレイになっているせいだ。チョーキングを多用しているが、ピッタリと合わせている。それなのに、わざとか偶然か時折違うフレーズになって、ハッキリと2本のギターであることが分かったりするのも楽しい。延々と同じコード進行でこれだけ多彩に変化をつけながら飽きさせないソロを聴かせられるのはさすがだ。
途中から4小節目の「C」のところで「C、E、F、F#、G」とリズムを合わせるバッキングが入ったり、ドラムを止めてギターだけにする箇所やスネアの連打の箇所があったりして、更に盛り上がる。
ギターはいずれもペンタトニック一発のフレーズだ。終盤は2本が完全に違うフレーズになっている箇所も増えるが、ユニゾンに戻る箇所ある。ソックリ再現よりはアドリブ重視でやりたい。
最終盤でのエンディングも仰々しい感じはするが、大作の終わりの相応しいと思う。

2018年5月17日木曜日

Young Man

西城秀樹 [ Jacques Morali/Henri Belolo/Victor Wills/あまがいりゅうじ ]

西城秀樹の訃報を聞いた。今回は追悼の意味も込めて彼の最大のヒット曲を取り上げる。

この曲は誰も知っている大ヒット曲で、私も子供の頃に飛び跳ねながら両手で「Y」「M」「C」「A」をやったものだ。この観客参加型も走りとも言える振り付けは、オリジナルの Village People にはなく、西城の発案だそうだ。「Y.M.C.A.」とは、「Young Man Can do Anything」のこと。

日本では曲名も『Young Man』で、さわやかな青春応援歌といったところで、当時人気者の西城秀樹のイメージにもピッタリといった感じだが、オリジナルの Village People の『Y.M.C.A.』はゲイ・ソングだというのは有名な話し。オリジナルの歌詞にはゲイにまつわる様々なキーワードが隠されているらしい。西城がカバーすることは当初は猛反対された。
しかし、さすがアメリカというべきか、ゲイ・ソングでも大ヒットし、現在でもあちこちでかかったりするのが凄い。オリンピックやプロ野球、プロサッカーでもよくかかる。

簡単にコード進行を見ておこう。イントロは「C7」で進み、歌が入る部分は「F」「F」「Dm」「Dm」「B♭」「B♭」「C7/B♭・C7」「B♭/Am・Gm」となる。これを繰り返し。
サビの部分は「C7」「F」「F」「Dm」「Dm」「Gm/GmM7」「Gm7/Gm6」「C7」といった感じ。

歌詞は見事なまでの青春讃歌。
「ほら見えるだろう、君の行く先に楽しめる事があるんだから」とか、「聞こえているかい、俺の言うことが、プライドを捨ててすぐに行こうぜ」「夢があるならば、戸惑うことなどないはずじゃないか」「青春の日々は二度と来ないから、思い出になると思わないか」「ほら両手上げて、足を踏みならして、今思う事をやって行こう」と歌う。明るく元気にさわやかに。
「若いうちはやりたい事、何でも出来るのさ」と、まさにそのまんま「Young Man Can do Anything」だ。 こんな曲最近はないな、と思う。
押し付けがましいメッセージだとウンザリする場合もあるが、ここまで徹底した青春讃歌だと逆に清々しさすら感じさせるから凄い。それだけエネルギーに満ちあふれているということだ。

2018年5月13日日曜日

Crazy Train

Ozzy Osbourne [ O.Osbourne/B.Daisley/R.Rhoads ]

Ozzy Osbourne の代表曲。Balck Sabbath をやめた後、ソロ第1弾としてこの曲を引っさげ登場して来たわけだ。後にソロで Balck Sabbath 以上の成功を収めるその輝かしい第一歩だ。

この曲(というかアルバム全体だが)で、オジーと並ぶもう一人の主人公が Randy Rhoads だ。若く小柄で色白な美少年が、見た目も音楽的にもオジーとの対比にもなっていて面白かったが、数年後に飛行機事故で他界してしまう悲劇的な彼の人生がよりドラマチックにしている。

さて、この曲はシンプルなハードロック・ナンバーで、出だしこそオジーらしい暗く重い感じで始まるが、すぐに一転して明るく軽快な感じに変わる。このリフもメタル界では超有名で、思わず弾きたくなる。6弦2Fの「F#音」をペダルにして、5弦の4Fや5Fを交互に弾く感じでメロディを作るものだ。

そして次のパート。明るく軽快だが、ギターは Black Sabbath バリにヘヴィだ。多分、ランディは Black Sabbath の Tony Iommi のギターの音を参考にして、ある程度似せているのだろうと思う。ランディでなくても周囲のスタッフがアイオミの音を目指したのかもしれない。Sabbathの『Never Say Die』あたりを聴くとそれがよく分かる。

この軽快な部分、リズムは16ビートだが、ライブでは4ビートで演奏される。16ノリの4ビートだ。そしてスタジオ盤にはないオブリガード(オカズ)をギターで色々入れる。この部分に限らず、あちこちに様々なオブリガードを入れるのが魅力の一つだし、ランディやその後の Ozzy Band のギタリストの味が出るというものだ。
オブリガードは曲の一番最初と最後にも入れられていて、一種のソロのようになっている。スタジオ盤にはない部分だ。

注目のギターソロ。出だしは1拍につき6音ずつのライトハンド奏法による早弾き。今では一般化したフレーズだが、当時は画期的な先端プレイだ。これに続いてメロディアスなフレーズと早弾きのフレーズが交互に出て来て、非常にメリハリの効いたソロだ。
このソロの部分は、他の部分にはない独自のコード進行になっていて、「F#m」から順に「E」を挟んで「D」というように降りて行くものになっている。前後が流れるようにつながる素晴らしい進行だ。

このソロに逸話があって、ウソか本当かは分からないのだが、スタジオで流麗なソロを披露した ランディが、音の太さと迫力を出すために、ダブルトラックにしたいと言い出す。それもエフェクト(ショートディレイ)によるダブリング効果ではなく、実際にもう一度弾くという。ただでさえ早くて複雑なフレーズをもう一度同じように弾けるものかと思いつつ、とりあえずトライさせると見事に弾いてみせたという。すると「今度はトリプルにしたい」と言う。一同呆れてしまったという話しだ。
トリプルにも挑戦したというが、完成した音を聴くと少なくともダブルまではハッキリと聴こえる。トリプルかどうかは分からない。
早弾きのところになるとズレが軌跡をなぞるような影武者になっているように感じられよく聴こえて面白い。

2018年5月12日土曜日

レモンティー

サンハウス [ 鮎川誠/柴山俊之 ]

実は大昔(1990年頃)に、シーナ&ロケッツ・ファンの女の子にこの『レモンティー』を聴かせてもらい、「まるっきり『Train Kept A Rollin'』のパクリじゃん」と馬鹿にした覚えがある。当時の私の理解はその程度だったのです。その女の子に謝罪したいです。ごめんなさい。

もうちょっとロックの歴史を知っていれば理解も変わってくる。
まずは『Train Kept A Rollin'』の複雑な背景については書いたが、簡単に言うと『Train Kept A Rollin'』自体がパクリだということ。パクリというと悪いイメージだが、普通のことだったということ。
なぜかというと、1960年代のロックはまだまだ市民権を得ていない時代、他のジャンルの曲をロック流に解釈・発展させて演奏するのは全く悪いことではなく、むしろ「カッコ良い」「いいセンス」というような事だった。
例えばアメリカの開拓時代のフォーク・ソングの『Red River Valley』をパクった Johnny & The Hurricanes の『Red River Rock』のような曲もあるし、クラシックの曲の一部を拝借することも日常茶飯事だ。Procol Harum の『A Whiter Shade of Pale』もバッハが元ネタだし、Cream の『Crossroad』だって Robert Johnson の『Cross Road Blues』だが、それをパクリという人いない。影響は明らかだが、元曲にはない魅力がプラスされている。

『Train Kept A Rollin'』の場合も、ブルース曲を組み合わせて作ったといったところで、そもそもオリジナルの Tiny Bradshaw Trio もジャズの Ella Mae Morse の『Cow Cow Boogie』をパクったという。

日本のロック黎明期においても同様で、『レモンティー』に限らず別の曲から拝借したものはいくらでもある。ロックの世界、文化、音楽を世に知らしめなければならなかった世代が分かりやすく日本語でロックを歌う。そこで原曲をそのまま訳し、カヴァーとして紹介した東京ビートルズのようなやり方ではなく、センスや雰囲気を見せる方がよほどダイレクトに伝わるというものだ。事実、これによりロックへの世界の扉が開いた人は数多い。レコード化する際の表記は「歌詞はオリジナル、曲は複雑な事情があります」とすれば良かったのだろうか。何しろ Yardbirds のオリジナルとも Tiny Bradshaw Trio のオリジナルともいえず、強いていうなら Johnny Burnette が元ネタかとなるが、それなら大々的に広めた Jeff Beck こそが?となる。だったら日本においては鮎川誠となるだろう。ロックが浸透している現代の B'z が洋楽をパクるのとは訳が違うのだ。

Jeff Beck がリフを強調して『Train Kept A Rollin'』を紹介したように、サンハウスの『レモンティー』もリフが強力だ。
Yardbirds よりももっと強力で直線的に前に出ている。彼の頭の中では「こうすればもっとカッコ良い」というのが聴こえてきたのだろう。

ところで、歌詞は柴山のオリジナルだが、これも元ネタがある。レモンといえばピンと来るのが Led Zeppelin の「Lemon Song」だ。実際、歌詞を見れば明らかにこの曲を意識しているのが分かる。
しかしこの曲は Howlin' Wolf の「Killing Floor」(1964年)が元といわれ、更に この曲はRobert Johnson の「Travelling Riverside Blues」(1937年)が、そしてArthur McKay & Roosevelt Sykesの「She Squeezed Me Lemon」(1937年)まで遡れるという(このあたりはネットで調べた)。
レモン一つでデルタ・ブルースまでつながる!

2018年5月11日金曜日

Train Kept A Rollin'

Yardbirds [ Tiny Bradshaw/Lois Mann/Howie Kay ]

Yardbirds の代表曲で Aerosmith もカバーしている有名曲だが、ルーツを探っていくとなかなか面白い曲だ。

Yardbirds のオリジナルではなく、作曲者の一人である Tiny Bradshaw の曲だ。1951年のブルース曲で、「Train kept a rollin'」「All night long」の掛け合いが楽しい曲だが、肝腎のあの印象的なリフはない。つまりあのリフは Yardbirds のオリジナルなのだ。
と思ったら、実はそうでもないようだ。Yardbirds が参考にしているのは、オリジナルの Tiny Bradshaw ではなく、1956年の Johnny Burnette Trio らしい。このバージョンにもあのリフはないのだが、面白いことにこのシングル盤のB面曲『Honey Hush』が何とあのリフなのだ(ちょっと違うが)。つまり Yardbirds のJeff Beck は Johnny Burnette のシングル盤を聴いて「B面のリフにA面の歌詞やメロディを乗せたら面白いんじゃね?」と思ったわけである。つまり、Yardbirds のあの名曲は、リフを作った Johnny Burnette Trio の Paul Burlison と、その良さに気づいた Jeff Beck がエライということになる。

ちなみに、70年代のバンド Foghat は、『Honey Hush』をカバーしているのだが、普通に聴けば『Train Kept A Rollin'』かと思ってしまう。本来こちらの方が『Honey Hush』らしいのだが、Yardbirds より後の時代だと『Train Kept A Rollin'』になってしまう。

更に面白いことに、というかややこしいことに、1967年の映画『欲望(Blow-Up)』の中で Yardbirds が『Train Kept A Rollin'』を演奏するシーンがあるのだが、権利を持つ音楽出版社が多額の利用料を要求したので、歌詞のみ変更し『Stroll On』という曲として演奏している。Jeff Beck と Jimmy Page のツインギター時代の貴重な映像として有名だ。

しかし考えてみると、これは『Honey Hush』のリフに『Stroll On』の歌詞ということになるので、『Train Kept A Rollin'』は無関係とも言える。しかし一般的に『Train Kept A Rollin'』の改作ということになっているのは、やはりあのリフのイメージが非常に強いからだろう。

各曲、各バージョンは Youtube 等で簡単に調べられるのでご参照あれ。

2018年5月10日木曜日

Boys & Girls

ARB [ 石橋凌 ]

これまでARBの曲を3曲取り上げて来たが、モロに代表曲というのはなかったが、これは正真正銘の代表曲だ。ノリの良いロックナンバーで、ARBが良質のロックバンドだったことを証明しているようだ。

この曲、作りは非常にシンプルだ。基本的にキーが「E」の3コードの曲で、それ以外は少ししか出て来ない。それなのにこれだけ格好良いのはノリの良い演奏とアレンジにある。ドラムも素晴らしいが、特にベースは良く考えられていて面白い。順に見ていこう。

印象的なイントロのギター・リフも「E」を「B」と「A」で出来ている。ほんの少し工夫してあるようだが、リズムに乗せて弾けば単にコードでもソレっぽくなる。
Aパートも同じ。リズムへの乗せ方と休符が肝かなと思う。ボーカルの迫力もなかなか。

続くBパート、「塀を飛び越えてみた」の部分。ここはベースが目立っていて、3弦(A弦)と4弦(E弦)の開放弦の音を挟んでスケールを上昇していくだけだが、とても印象深くオイシイ。
これに続いて、「今、音を立てて~」の部分から1、5、3度のリフのユニゾンでこれまた印象的だ。コードは「C#m」の後の「A」「B」「A」「B」の部分。
間奏のベースも凄く格好良い。派手なソロがなくても格好良さを出せるお手本のようだ。また2度目の間奏、というかブレイク後の合わせるところも格好良い。ノリに任せてガンガン行きながら、合わせるところはキチッと合わせる。
エンディングはだんだんテンポが上がって来る作戦で、嫌でも盛り上がるし、最後の最後は古くからあるようなギターのシメをゆったりとキメるという、全編最高級のアレンジだ。

2018年5月6日日曜日

あさごはんマーチ

杉田あきひろ/つのだりょうこ [ 宮川彬良/北吉洋一 ]

昔、NHK『お母さんといっしょ』内で歌われていた曲。久しぶりに聴いて子供が小さかった頃を思い出した。子供の曲らしく、明るく元気で分かりやすい感じだが、音楽的には意外にちょっと面白い。

まずは簡単にコード進行を拾ってみよう。まずはAパート。「F」「F」「D」「D」「Gm/B♭m・F」「E♭/D」「Gm7」「Fsus4/C7」「F/F6」「FM7/Dm7」という感じ。
続いてBパートは、「F/F6」「FM7/F」「D7/Em7」「Dm7/D」「Dsus4/Em」「Gaug/G」「C/D7」「C7」で、色々細工の跡が見えるコード進行だ。
そしてサビ。最初のコードが迷ったが「A♭7(♭5)/C」「F6」「FM7」「D」「D」「Dsus4」「Dsus4」「C/D♭」「C7/F」となり、間奏が「Dm/D♭7」を繰り返し、「Caug/F6」で元に戻る。
意外にも結構難しい上にテンポも早いので苦戦する。

「さあさ、朝だよ、朝ご飯
 朝、朝、朝、朝、朝ご飯
 しっかり食べよう朝ご飯」
というところがとても印象的。最初に「さあさ」と呼びかけているから、「朝、朝~」と続くところが面白く聴こえる。それまでどんどん動き回っていたコードが、この部分だけ徹底して「D」のみというのも面白い対比になっている。

更に直後の「朝ご飯、朝ご飯」でシメだが、「D♭」の部分、最初の「ご」の音がブルーノートにも聴こえちょっとドキッとする。これをブルーノートで歌えると、さりげない格好良さを見せられるように思う。

2018年4月24日火曜日

悲しいハートは燃えている

和田加奈子 [ 松本一起/井上大輔 ]

和田加奈子のヴォーカルは発声の仕方などがラテン風味があって、大人びた雰囲気の女性の魅力を感じさせるものだった。80年代の曲だが、独特の個性は他を引き離し、一発で和田加奈子ワールドに引き込まれる雰囲気は現在聴いても変わることはない。

印象的なベースのリフが中心で、思わず弾いてみたくなる。ベースは、リフ以外の部分も結構カッコ良くて、「ドーン、ドドッ」という少しハネたようなリズムが耳に残る。ラテン風味なのは、全体が16ビートなのも大きい。オクターヴのところはあまり好きではないが、ダンス・ミュージックとして聴くなら「良」だろう。
そのイントロからのリフ、コードをつけるとしたら、「Em/C」「D/Bm」の繰り返しだろう。もちろん16ビートにノセて弾く。サビのバックでもこのリフがずっとあってとても印象的だ。

リフのないAメロ部のコード進行は、「CM7」「DonC」「Bm7」「Em7」「Am7」「C」「G」「D」で繰り返しの2回目は一番最後も「G」となる。
「最後のドライブの夜に」の部分と「季節で変わるヒット曲」の部分はAメロ・Bメロと思いがちだが、ただの繰り返しだというのには少し驚いた。

Bメロは「C」「D」「G」「Bm7onD/GM7」「C」「AonC#」「D」「BonE♭」となる。「Bm7onD/GM7」は単純に「D/G」かもしれない。やはりベースラインが印象的だ。特に途中の「C」から半音ずつ上がっていくところなどは嫌でもテンションが上がる。「気づくのが遅すぎた」「だけど今諦めて」の部分が印象的なのはそのせいだ。

歌詞にも触れておこう。結局は「悲しいハートは燃えている」というそのままの内容で、つまり「自分は彼の本命ではなかったことに気がついたが、それでも心は燃え上がっている」という意味。かなり情熱的な内容なのに、それでも大人の雰囲気でクールを装っているところがドラマチック。リフに乗せたサビのところだけ本音が出て「fire love」と言っているが、他は「サヨナラを言った 水平線みつめて」「慣れてゆくたび飽きる 貴方の横顔 そう言ってる」「貴方を残して海岸線 走った」「避暑地のムードに酔っていたわ」等、映画のワンシーンのような場面が続いている。そんなところも「大人」を感じたものだ。

2018年4月21日土曜日

Sing To The Music

島田奈美 [ 杉山洋介/島田奈央子/三雲孝江 ]

この人の声が好き。清純派アイドルと言われていたが、まさにそんな感じ。
シンプルな曲だが、随所にプロっぽい装飾が施されているなという感じの曲。早速見ていこう。

実は、この曲を聴いた大昔の記憶だけを頼りに、ギターでこんな感じかなとコードをつけてみたのだが、後で実際に曲を聴いて確認すると全然違う!しかも、やはり原曲の方が良い。それで「プロっぽいな」と思ったわけだが、その辺りの比較も合わせてチェックしてみる。

まずはいきなりのサビから。「G」「Bm」「C」「Cm/D」「G」「Bm」「C」「Cm/D」「C」「Cm」「G」となる。ポイントは「Cm/D」だ。私が曲を聴く前に考えた進行は「Am/D」だった。「Am」でも変ではないが、聴き比べれば明らかに「Cm」の方がカッコ良い。
続いてAパート。私が考えたのは、前半は「C/D」「C/D」「G」「Em」だが、実際は「C」「D」「G」「Em」だ。確かに「C/D」を繰り返すのはカッコ悪いなと後から思った。
後半は「C/B」「Em/A」「C/D」「G」。私が考えたのも同じ。ここでのミソは「A」だ。

この後、繰り返しが何回かあった後、間奏になる。この間奏がなかなか。転調して気分を変える。「E♭」「F」「B♭」「B♭」「E♭/F」「Gm」「E♭/F」「G」というもの。
転調+オシャレな雰囲気のキーボードソロでとてもカッコ良い。そして「E♭/F」の上昇する進行で盛り上げつつ、元の調に戻す方向へ持っていくのがさすがプロと思わせる。1回目はキー通り「Gm」が来るようにしておいて、2回目に「G」で元に戻る。しかもちゃんと印象的になるようギターのフレーズを考えてある。

このあともう一つのパートがある。「I feel so~」の部分。一応そこも書いておくと「Em」「Bm」「C」「G」「A」「D」となる。「A」の部分からリズム・インして盛り上げる。
その後サビの繰り返しになるが、コーラスをバックに高音フェイクするようなヴォーカルがあると最高にカッコ良かったと思う。難しいけどね。

歌詞だが、一人ぼっちになってしまった主人公が街を出て羽ばたいて行くような内容だ。このアルバム自体にそういう感じも受けるが(クリスマスの少女の話しあたり)、どうしてこういう内容になっているのかは少し気になるところ。

2018年4月15日日曜日

I Will

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

美しいバラード曲で大好きな曲の一つ。大袈裟に盛り上がるのではなく、サラッとした小曲なのも返って凄い。中学生の頃に知った曲で、受験期の冬によく聴いていたので、何となく冬のイメージと結びついている。

この曲で面白いのはベースで、Paul が口ベースをやっている。口でベースを歌っているわけだ。しかし、部分的には口で歌うには低すぎるところがあるので、テープ速度を高めにして録音したのだろうと思う。

そのベースラインだが、基本的にはシンプルなラインだが、ところどころルート音とは違う音になっている。具体的には最初の方の「B♭/C7」「F」「B♭/C7」「F~」と続くところで、「C7」に対し「G音」、「F」に対し「A音」になっている。いずれもコード・トトーンだが、そうすることでスムーズに盛り上がる感じの進行に聞こえる。

簡単にコード進行を抑えておこう。イントロなしでイキナリ始まるが、「F/Dm」「Gm7/C7」「F/Dm」「Am/F7」「B♭/C7」「F」「B♭/C7」「F/Dm」「Gm7/C7」で切り返し。2回目は最後の2小節をやらずに「F/F7」を挟み、Bパートへ行く。ここまで7thコードがよく効いている。

美しいBパート。「B♭/Am」「Dm」「Gm7/C7」「F/F7」「B♭/Am」「Dm」「G7」「C7」でAパートに戻る。
戻ってからの5小節は同じだが、6小節目がちょっと違う。リズムを合わせることで印象的なアクセントとなるのだが、その部分のコードが「Dm・B♭/F」。3回目だけ「F」の後の4拍目に「Fdim」が入りエンディングへ流れる。
エンディングは直前の「C7」を受け、「D♭7」だ。リードギターも「D♭」になっていて印象的。そしてすぐに「F」に戻り、美しいBパートを少し出して終わる。素晴らしい。

ギターは全編アコースティックのみだが、途中に少し出て来るオカズのフレーズが格好良い。少し早目のフレーズで、アタック感のある自己主張の強い音で弾いている。次のコードを意識して少し変化をつけているフレーズだ。

聴いた分にはあまり気づかないが、弾いてみると、あちこちシンコペーションしたくなるところがあるが、実際はどれも淡々と弾いているだけで不思議な感じがする。
例えばBパートの「Love you forever~」の「everの部分や、直後の「and」。メロディがシンコペーションしているので、楽器もそれに合わせるのではと思ってしまう。

2018年3月29日木曜日

Let It Be

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

淡々としたピアノに乗せて Paul が訴えるように歌う、少し悲しげなバラードに聴こえるのは曲の背景を知っているからだからだろうか。
Beatles 最後のアルバムのタイトル・トラックだが、アルバムが出た時にはすでにバンドは瀕死の状態。末期状態の時に録音されたまま放置されていてテープの山を整理したものがアルバムになった。そして間もなく解散。 「なすがままに」というのは時代の流れに乗った Beatles そのものを歌っているようでもある。

この曲のメイン楽器はピアノ。ドラム、ギター、ベース、オルガンも入っているが、断然ピアノの印象が強い。
発売当時は「子供のピアノの練習曲」と蔑まれたようなシンプルなピアノだが、よく聴くとちゃんと工夫もあって、同じに弾くのは意外に難しい。
右手はコードの4分打ちがメインで、シンプルこの上ないが、左手がその合間をぬって動いている。Paul がベーシストだからか、彼のピアノは左手が独特。しかも左利きだから、少し強めの音になる。

イントロの場合、右手はコード、左手はその合間に音を入れつつルート音が中心だが、例えば最初の「C」から次の「G」へ行く時に一瞬左手の「F音」が入る。最初はコードトーンの「E音」と思っていたが、そんな単純な雰囲気ではない。
アクセントの付け方も、2拍目と4拍目を結構強調するのは、体の中に8ビートが聴こえているからに違いない。
繰り返しの多い伴奏だが、毎回微妙に違うのは生演奏ならではか。繰り返しの間の「C音」の連打も、超単純だがカッコいい。

この曲はアルバムでのものの他、シングル版は別バージョンになっている。なぜかアルバム・バージョンが一般的のようだが、個人的にはシングル・バージョンが好きだ。細かな違いは色々あるが、一番の違いは間奏のギターだ。オーソドックスなペンタトニック・ソロのアルバム・バージョンに対し、シングルの方はアレンジしたらしいメロディで、こちらの方が George らしい気がする。
また、この2つ以外にも映画『Let It Be』での演奏や、『Let It Be Naked...』のバージョンもあるのでご参照のほどを。

2018年3月10日土曜日

Time and Word

Anderson Bruford Wakeman Howe [Jon Anderson / David Foster ]

YESの2ndのタイトル・トラックだが、ずっと後に Anderson Bruford Wakeman Howe(いわゆるABWH)でのライブ『An Evening Of Yes Music Plus』のバージョンが素晴らしい。オープニングのJon のソロ・コーナー(オープニングからソロ!)の中で観客席から登場し、歌いながら歩いてステージに上がって来る演出。バックはメインがギターで、少しのキーボードがあるのみ。曲の良さが浮き彫りになるアレンジだ。
Jon の伸びやかなボーカルが夕暮れの屋外ステージ(カリフォルニアの Shoreline Amphitheatre)の雰囲気にピッタリだ。

YESのバージョンを聴くと、プログレバンドを自負するだけのことはあってソレっぽいが、しかし70年代初頭(録音1969年)の古くさいアレンジで、工夫は凝らされているが、いまいちピンと来ない。ところが、このライブ・バージョンでは、余計な装飾は一切削ぎ落とされプログレっぽさはまったくないが、逆に曲の素晴らしさが目立つ結果となった。

YESのバージョンはコード進行も平坦で、ほとんど「G」一発で、ところどころに「Em」や「D」が出て来る程度。サビは「C」「Am」「F」「C」という感じ。
ABWH でのものも、同じ曲なのでそう違いはないが、様々な工夫が見られる。まず、ずっと「G」のところは「G6(1弦開放を入れる)」に4拍目だけ「Fadd9」にして変化を出している。
間のパート(YES もほとんど同じ)は「Fm」「Em」「C」「Ddim」「Fm」を挟んで「Em」から「E」へ。そしてサビになる。
サビはYESのバージョンと多少変わっていて、「C」「Em」「Amadd9」「F」「C」という感じになる。「Em」を入れたことでドラマチックになったし、「Am」もちょっとした工夫で爽やかな夕方の雰囲気にピッタリになった。2弦の開放を入れただけかと思う。

個人的には是非カヴァーしたい曲だが、これが難しい。特に歌の平坦な部分が出来ない!

2018年3月9日金曜日

Africa

TOTO [David Paich / Jeff Porcaro ]

名曲だ!素晴らしい。まず歌詞。難解でよく分からないという意見が多いようだけど、あまりに具体的に詳細に理解しようとすると分からなくなるのでは?
曲の発表当時のアフリカのイメージは、発展途上国(当時は「後進国」と呼んでいた)で、飢餓が発生したり、政情が不安定になったり、病気が発生したり、かなり過酷な地であり、しかしそのアフリカの大地でこれから生きてゆこうとする若者を題材に、アフリカの未来の希望を歌った曲かなと思う。
飛行機でやって来る彼女は文明の国からやって来るわけで、老人はエジプト等の歴史あるアフリカを表わし、ドラムはアフリカの文化、野犬はアフリカの野性、雨はアフリカの希望。特に広大な砂漠のあるアフリカにとって雨は恵みそのものだ。

曲を見ていこう。まず冒頭のキーボードのリフ。「A」と「C#m」でその間に「G#m」の音が入る感じ。アコースティック・ギターなら1,2弦の開放を多様して弾きたくなる。歌が入ってからは「B/D#m7」「G#m7/B」「A/E」「B/A・C#m」を3回繰り返し、4回目は「B/D#m7」「G#m7」「A/C#m」「C#m」となる。
サビは「F#m/D」「A/E」を繰り返し、一番最後の回だけ「F#m/D」「A/C#m」「E/F#m」「A/C#m」となる。

印象的なのはサビでのハーモニーだ。
高音の同じ音を連発するメインに対し、起伏があるハーモニー・パートが面白い。メインは2音しか出て来ず、下がるメロディだが、ハーモニーの方はどちらかというと上昇するようなメロディだ。つい歌いたくなる。

2018年3月6日火曜日

ぼくのミシシッピー

日下まろん [服部克久/山川啓介 ]

1980年のTV番組『世界名作劇場』の中の『トム・ソーヤーの冒険』のエンディング曲。豪快・痛快・爽快といった感じの物語で、小学生だった私も熱心に見て、19世紀半ばのアメリカに憧れを持ったものだ。
この曲は番組の最後に流れる恒例の曲で、トムとハックが川沿いを走っているだけのシーンをバックに流れる。オープニング曲も元気いっぱいでなかなか良い曲だが、ちょっと静かな雰囲気のこの曲は更に素晴らしい。まず歌詞が良い。

人が生まれる前から、流れているんだね
空より広い豊かな ミシシッピー・リバー
君はいつでも明日を 指さす矢印さ
知らない世界へ行こうと 歌ってる
きっといつか 行くよぼくも
君が目指す海へ
そして君に負けないくらい
遠く旅をするんだ

未来がある若者って良いよね、と感じさせてくれる。それは年をとった者の若さへの憧れなんだろうけど。「明日」とか「知らない世界」とか「きっといつか」みたいな曖昧で抽象的な言い方がピッタリはまる。

「C」「Am」「F」「G7」「C」「Am」「F/Fm」「C」というのが最初の部分。ギターがよく似合いそうなカントリーの雰囲気のある物語なので、この曲もシンプルでカントリーにも合いそうな進行だ。「ミシシッピー・リバー」のところが、「F/Fm」のところで、メジャー→マイナーという進行が泣かせる。
次の部分は「C」「Am」「F」「G7」を繰り返す相変わらずのシンプルさだが、次のサビで少し変わる。
「C」「Am」「F」「G」「Dm」「Fm」「C」「G」「F」「C」となる。
まず最初の部分だが、「きっと」が「ソドレ」で次の「いつか」の「い」が「ファ」。Cに対し「sus4」の音だ。次の「Am」の部分でも同じ繰り返し。どちらもコード・トーンの一つ上で、コードに戻りたくなる感じが良い。「Dm」「Fm」の部分も同様のパターンで大いなる希望の未来へ向かう若者の歌にピッタリ来るような雰囲気が出ている。
そして直後の「C」で突然演奏が止まり、歌だけになる。「そこから先は一人で行くんだよ」という感じ。そして余韻を残すような「F」もまた良い。キリスト教音楽の「アーメン」のような「F」だ。

2018年3月5日月曜日

さあ太陽を呼んでこい

東京放送児童合唱団 [山本直純/石原慎太郎 ]

1963年にNHKの『みんなのうた』で紹介された曲らしいが、私は小学校の音楽の授業で習った。長い間誰が歌っていて誰が作った曲なのか、タイトルすら記憶になかったのだが、最近、覚えていた歌詞から検索して分かった。作者も蒼々たる面々で驚いた。「ララララ」の部分も記憶になかったので「こんな曲だったのか」と少し驚いた。
小学校5年生くらい(1980年頃か)、初めて徹夜した朝に空が明るくなって来るのを見て感動した時にこの曲を思い出したので印象に残っていた。

歌詞は、若者がこれからの人生を夜明けに例えて漕ぎ出して行くような内容で、とてもパワフルだ。しかし小学生の私の印象に残っていたのは「どこかで誰か口笛を」という夜のミステリアスさや、「最後の星が流れてる」という時の変わり目の感動等だった。「人生の歌」というも、実は検索して知った最近のことだ。せっかくの石原慎太郎の詞をまったく理解せずにいた。
ただ、弁解させてもらうと、その原因はミステリアスに感じさせた曲調にあると思う。当時、他の音楽の授業で歌っていた曲とは違う曲調だった、ということだ。

コード進行を見るとそれが分かる。歌い出しのところから、「Fm/C」「Fm/C」「Fm/C」「Fm」と来て、「C」「Fm」「C」「Fm」と続くのが前半。徹底的に「Fm」と「C」で出来ていて、しかもキーがマイナー(Fm)の中、「気持ち良さそに」の部分から「C」が先行するあたりから少しだけミステリアスな雰囲気もある。(このあたりは歌詞の雰囲気の印象の方が強いが)
この次の場面で「F7」「B♭m」「F7」「B♭m」と、いきなり「Fメジャー」だ。これがかなり効いている。
更に「E♭7」「A♭」と感動的に攻めて、最後に「C/Dm・Em」から「Fm」に戻る。この戻し方も、高らかに宣言しているようで更にドラマチックだ。
前半に単調な展開で印象づけておいて、後半に一気にドラマチックに攻める手法が見事なコード進行といえる。個人的には「E♭7」「A♭」の部分を「C#」「F#」にしたい気はするが・・・。

この後の「ララララ」の部分は歌詞に出て来る「口笛」なのだろうか。メジャー・キーになっていて、「F」「F」「B♭」「F」「F」「B♭」「G」「C」のようなコード進行だ。メジャーから戻すやり方は歌の時と同じ「C」から登っていく方法。

2018年3月3日土曜日

Love

John Lennon [ John Lennon ]

敬愛する John Lennon のラブ・ソング。ラブ・ソングというには生々しく恐ろしく素直というか素朴だ。超シンプルで淡々としている。

演奏もほとんどピアノだけでOKというくらいにシンプル。
イントロはピアノのフェードイン。「F#m」「C#7」「F#m」「D7」「G」「A7」「D」「F#m」「Em7」「A7」「D」というコード進行で、超シンプルなアルペジオでとても優しい音で弾いている。
歌が入っても同じ繰り返しで、Bメロだけちょっと変化がある。「F」「G」「D」「D」「Em7」「G」「D」「D」となって元に戻る。すぐに元に戻るところが「らしい」と思う。
歌が終わった瞬間に、再びフェードインする感じでイントロと同じピアノのアルペジオが聴こえて来る。
「愛」とは「かくもはかなく、しかし復活して繰り返される」という感じだ。

歌詞も恐ろしくシンプルで、「Love is real」「Real is love」のように「real」が「feeling」とか「wanting」とか「tuch」等に変わっていくだけ。それだけに、それぞれの単語に深い意味を求めてしまう。
唯一、ちょっと変わるBメロだけ歌詞もほんの少し変化を見せる。

Love is you
You and me
Love is Knowing
We can be

ここだけ他と違うパターンになっていて、「you」と「me」が出て来る。もちろん John と Yoko なのだろうが、「you」と「me」なので、誰と誰でも良い。「私」と「私の愛する者」でももちろん良いが、それだけではなく、相手が「家族」「友人」等はもちろん、「気に入らない奴」「嫌いな奴」「憎い奴」「異教徒」「侵略者」のような相容れない相手でも通じることに気づかされる。シンプルすぎて実に奥が深い。

2018年3月2日金曜日

Wind Of Change

Scorpions [ Klaus Meine ]

Scorpions の代表曲。まさに時代が変わった瞬間を歌ったパワー・バラード。ソビエト連峰が終わり、ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結した。TVのニュースだけだが、それを目にした私たちには涙なくしては聞けない曲だ。
強烈な喜びと感動と熱気の中、曲はとても静か。Klaus が淡々と歌うところが心の底から喜びを表わしている感じがする。

I follow the Moskva
Down to Gorky Park
Listening to the wind of change

この3行目が泣かせる。

An August summer night
Soldiers passing by
Listening to the wind of change

Take me to the magic of the moment on a glory night
Where the children of tomorrow dream away in the wind of change

簡単な英語だから訳すまでもなく泣ける。

さて曲だが、ドイツのバンドはアメリカと違ってマイナー調の曲が日本に通じるところがある。マイナーの使い方だろう。
まず最初はシンプルに「C」「Dm」「C」「Dm/Am」「G」となる。 サビは「C/G」「Dm/G」「C/G」「Dm/G」「Am/F」「G7」。
展開するBメロは「Am」「G」「Am」「G」「C」「Dm」「E7」と来てギターソロへ入る構成。
ギターソロは「F/G」「Em/Am」の繰り返し。(2つ目が「Am」になったりはするが)

どれもシンプルなのに名曲に感じるのは、やはり曲の背景が成せる業か。
最初のサビからAメロに戻るちょっとしたつなぎのメロディというかコードで「D音」つまりコードで言と「C9」になっているところが印象的で好きだ。こういうちょっとしたところがメロディックなのもドイツのバンドならでは。
イントロとアウトロの口笛のところは、「F」「Dm」「F」「Dm」「Am」「Dm/Am」「G」だが、アウトロは最初の4小節で切れている。「to be continued」といった感じだ。

2018年2月16日金曜日

あの娘はアトミック・ガール

ARB [ 岡部滋 ]

ARBの1985年のアルバム『砂丘1945年』収録曲。このアルバムでのARBのメインソングライターは斉藤光浩だが、この曲はベースの岡部滋の曲だ。

結構シンプルな曲だが、なぜか好きな曲だ。もともと気に入っていたが、特に好きになったキッカケは岡部滋がARBを脱退するラストツアーで演奏されたこと。1987年10月13日のライブを見たのだが、アンコールで岡部が登場し、自身の曲であるこの曲を演奏した。白浜のギターはフランジャーがずっと鳴っているような音でいまいちだったが、岡部の唸るベースはいつも以上にアグレッシヴで、アルバムにないフレーズがカッコ良く、大いにシビレたものだ。

曲はイントロが「G」「D」「Em」「C」の組み合わせで作られているリフ。
歌が入ってからは、「G」「DonF#」「Em」「D」「C」「Bm」「Am」「D」というベースが下降するパターン。この下降パターンは名曲には数多く出て来るパターンで、おいしいコード進行といえる。

次の部分が「C」「G」「B(7)」「Em」「C」「G」「B(7)」「Em」「C」「C」「D」「D」となる。この終わりの4小節を、ライブでの岡部はコードトーン+1音(「C」の場合は「ドミファソファミドミ/ファミドミファミドミ」と8分で弾いていた)でグイグイ弾いていた。最高にカッコ良かった。
サビの部分もベースが素晴らしく、恐らくベースで作ったなと思わせるもので、「Em」「C」「D」のコンビネーションで作られているパターン。
ギターソロのパートもバッキングの方がカッコ良い感じで岡部の味が出ている。

この曲のテーマはたんなるラブ・ソングかと思いきや、全然違う。「アトミック」がヒントになっているが、原爆の歌だ。爆弾を「あの娘」と女性に見立てている。原爆と思って聴くとラブ・ソングと思うよりも意味がよく通じる。さすが石橋凌だ。エンディングでギターがだんだん狂っていくあたりもソレっぽいし、その後ろで石橋は1回だけだが、ズバリ「アトミック・ボム!」と歌っている。

2018年2月13日火曜日

Mama I'm Coming Home

Ozzy Osbourne [ Ozzy Osbourne/Zakk Wylde/Lemmy Kilmister ]

Zakk の色が強く、あまり Ozzy らしくないが、メロディアスで少しだけ Beatles を感じさせるところは Ozzy っぽい。しかし、この Zakk のアメリカンの雰囲気が大好きだ。メタルの帝王とも呼ばれる Ozzy にカントリー・タッチのギター。まったく合わないと思いきや、カントリーと Black Sabbath が大好きという Zakk にかかれば見事に料理されるといったところ。

具体的に見ていくと、まずイントロの出だしのギターが Zakk 流カントリー・フレーズ。ボトルネックで演奏すればモロにカントリーになりそうだが、チョーキングを絡めた普通のフレーズだ。このフレーズ、Zakk のお気に入りのようで、ライブではギターソロの前のパートにも入れていたり、他の曲(例えば「I Don't Want To Change The World」等)でも使われている。
続いて「E」の中を3弦が下降していく印象的なフレーズ。1,2弦の開放をうまく使ったものだ。この次の「A」のコードで「add9」を使うのもカントリーっぽさがある。

ブリッジの部分は「C#m/A」「E」「C#m/A」「B」と来て、次は「A」と「E」を繰り返した後、「A/B」「Em/A」とつなぎ、サビのところ、「A/B」「C/D」「E」と、「C/D」のところでブ厚いハーモニーで一気に盛り上げる。

ギターソロもカントリー風だ。「C・D/E」のところも軽くカントリーっぽいが、エレキギターによる本編が素晴らしい。正に「大陸ノリ」のスケールの大きな演奏だ。チョーキングが大陸風。難しくないが、つい弾きたくなるフレーズだ。弾いていて実に気分が良い。ソロの一番最後の最後、カントリー風のシメは Eagles の「Hotel California」のソロに出て来る印象的なあのテクニックだ。1弦をチョーキングしたついでに2弦も一緒にチョーキングし(音は1弦だけ)、音程が上がったところで2弦の音を出すと、2弦は最初からチョーキングした状態で音が出るというもの。慣れないとちょっと難しい。

Zakk はソロでもこの曲をやっているので、結構気に入っているのだと思う。

2018年2月12日月曜日

Parisienne Walkways

Gary Moore [ Gary Moore/Phil Lynott ]

Gary Moore の1978年の『Back On The Streets』に入っている曲。エモーショナルで官能的なレスポールの音色が素晴らしい。

作詞は Thin Lizzy の盟友・Phil Lynott。 出だしの部分は

I remember Paris in '49.
The champs d'Elysees
Saint michel and old beaujolais wine

で、「'49年のパリを想い出す。シャンゼリゼ通り、サンミッシェル、そして年代物のボージョレワイン」という感じ。
明らかにフランス・パリの思い出という感じだが、実はまったく別のもう一つの意味がある。シャンゼリゼやボージョレーは目くらましだ。
Philの父はブラジル系黒人で、名前が Paris。歌詞に出て来るバリは、父親・パリスのことだ。この歌詞の後、 「そして想い出す君が僕のものだったあのパリの日々を。数枚の写真を見ると懐かしく想い出す。外のオープンカフェで過ごしたあの夏の日々を」
Phil は8月の生まれだ。父は Phil を見ることなく帰国し、Phil は父を知らないで育ち、実際に会ったのは20代後半だという。

曲を見ていこう。イントロは「Am」「Dm7」「FonG」「CM7」「FM7」「Bm7-5」「E7」「Am」という感じで、これが基本的な流れ。歌に入ると、「E7」のところから、「E」「A」「BmonA」「A」と変わる。
ギターのメロディが少し変わるところは、「Dm7」「FonG」「CM7」「FM7」「Bm7-5」「E」「Am」「F」「Am6」「A7」。
次のボーカルが入る部分も少し変わって、「Dm7」「FonG」「CM7」「FM7」「Bm7-5」までは一緒だが、「B7」「E」「F」「E7」と続く。全編泣きの展開だ。

出だしのギターのメロディが『Fly Me To The Moon』と似ている気がするが、太いレスポールの音が最高。ゆったりと伸びやかな中、たまに豪快な早弾きが入るところが格好良い。

2014年のソチ五輪でフィギュアスケート金メダルの羽生結弦がこの曲を使用した。注目すべきは、正規版ではなく1983年の『Live at the Marquee』のバージョン。これを選んだ理由はインストだからというのが理由だろうが、このライブ・バージョンは私も好きで、違うフレーズも出て来たりする素晴らしい演奏だ。

2018年2月9日金曜日

未完成交響曲

Franz Schubert [ Franz Schubert ]

『山河燃ゆ』つながり第3弾だが、これはあくまで個人的連想で、実際には何のつながりもないので悪しからず。
個人的に、この曲調がどうしても戦前・戦中の美しさと狂気が混在する雰囲気を感じてしまう。そして NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』の世界とリンクしてしまう。歪んだ時代背景と、精一杯生きぬく美しさとが狂おしいまでの破滅的美学となって胸に迫るのだ。

シューベルトの『交響曲第7番』は一般に『未完成交響曲 ロ短調』の方が通りが良い。1822年の作だが、細かいことは知らないし、曲の背景も知らない。
好きなのは第1楽章。劇的で狂気を感じさせる曲調、ダイナミクス、コード、そして繰り返される主題に涙が出てほどの感動を覚える。

出だしは重低音に静かに響く不気味なメロディ。これから始まるヘヴィな物語を暗示しているようだ。
そういえば基本リズムが3/4拍子なのも『山河燃ゆ』と共通している。

最初のダブルピッキング(ギターのテクニックの一つ)のようなリフは、早くも美しさと重々しさが同居する。その理由は「Bm」の中での「F音」の使い方にある。「C#音」の時のハモリに「F音」の時と「E音」の時がある。この半音階の使い方が不安定さを増幅させる。このリフだけで格好良が、これに主題が乗ってくる。時折入る和音が波乱含みの時代背景を思わせる。

「Bm」が何小節か続いた後、「D」「EmonG」「Aaug」「D」「F#7」と続く。「Aaug」のところは自信がないが、そう聴こえる。
更に2回目は「Bm」を4小節繰り返した後、「D」「Gm」「Em7」「F#7」と続いて行くのだが、「Gm」の時にも「A音」「C音」「E♭音」のディミニッシュのような和音から入って不安定さを増幅させる。

盛り上がりが絶頂に達した瞬間、突然ホルンだけのロングトーンが残る。闇の中からの一筋の光のように。「D音」だ。
そして2つ目の主題が流れる。キーは「G」に変わる。少し安心感のあるメロディだが、1回目を聴かせると2回目にすぐ狂おしいような展開に変わる。このあたりが狂気の時代を感じさせる部分だ。安心したと思うとすぐに狂気、静と動の対比ももの凄い。
「G」「D」「D」「G」「E」「E」「Am」「D」となる。3コードは「G」に対し「D」と「C」になるので、「E」はとても不安にさせる。この「E」が最高に格好良い。

そしてイキナリ「Adim onC」が響く。先ほどのホルンのロングトーンとは一転し、暗くヘヴィなブレイクがある。そして狂気の劇的な展開の連続。
その中で2つ目の主題が聴こえてくる中、今度は美しい展開をみせる。狂気から美へ。 すると再び最初に戻り、何も変わっていないことを思い知らされる。まったく凄い展開だ。

2018年2月8日木曜日

これぞマドロスの恋

奥田良三 [ Werner Richard Heymann / 葉巻逸雄 ]

NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』つながりで思い出した曲。ドラマの中で使用されていて、なかなか良い感じを出している。酒場(喫茶店だが)で仲間同士肩を組み、自分たちのテーマソングだと言って歌うシーンがある。 元々はドイツの映画『狂乱のマンテ・カルロ』の主題歌で、1931年に流行ったらしい。「マドロス」とは船乗りのこと。当然歌詞もドイツ語だが、日本詞のものしか知らない。日本語版も1934年にヒットしている。

これぞマドロスの恋
錨はくわせぬ俺の胸
めぐる港々に
花は咲く薔薇は咲く

甘い夢の一夜
明けりゃ『おさらば』よ
これぞマドロスの恋
俺の誠は流れる風と波

日本版は勇ましい行進曲調。長いイントロ(歌なしのメロディつき伴奏?のみで1回フルで通すところが凄い)の後、歌になる。当時の歌唱スタイルそのまま、歌い上げ型だが、案外自信満々でロマンチストな水兵さんのイメージにあっているし、そもそも男なんてそんなものという感じなのだろう。

シンプルな3コードの曲で、「G」「G」「C」「G」「G」「G」「C/D」「G」で、サビのところからは、「C」「G]「C」「G」「G」「C」「C/D」「G」という感じ。「C」から「D」へ行くところが少しらしさを感じさせる。サビの「C」のところから、一気にコードトーンを上るところが良い。

2018年2月7日水曜日

山河燃ゆ

NHK交響楽団 [ 林光 ]

1984年の NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』の主題曲。戦前・戦中・戦後の難しい時代を日系二世という更に難しい立場の主人公が生き抜き、恋や苦悩とともに歪んだ時代背景をも描いた文字通り大作のドラマ。見応え充分で劇的な展開は今でも楽しめる。
主役は松本幸四郎(当時)で、他に西田敏行、沢田研二といった豪華な出演者だが、特に大原麗子と三船敏郎が魅力的で印象に残った。

さて、音楽だが、このOPテーマ曲、バックの映像は1983年、インドネシアでの皆既日食のシーンで挟まれた、荒野に延々とつながる道を走りながら、走馬灯のように本物の写真が流れるといったもの。ドラマのイメージピッタリ。この広いだけの荒野の大地にも様々な生活の泣き笑いがあっただろうし、しかし時代は荒れているし、でも最後には日食も終わり、光が見えて来る・・・。

ドラマチックなファンファーレで幕を開ける曲は、すぐに主題が提示される。重々しさはそのまま時代の雰囲気を表わしている。
「Em」で続く中、更に緊張感を高める「F」が入り、展開するところは「Em」から「B♭」「Em」「C」「Am」「D」「G」と移り、次のパートへと入る。
このおだやかなパートは日々の楽しく懐かしい生活を表わしているのか。こんな時代でも、当然日々の生活があり、愛すべき家族や友人たちがいる。「G」「G」「C」「C」「G」「G」「D」「D」の部分だ。
しかしこの優しい感じの安定感が次第に歪んでいく。「G」から「D」「E♭dim」そして「Em」へ戻る。現実に引き戻されたかのようだ。

この曲を聴くと、どういうわけかシューベルトの『未完成』を連想してしまう。このあたり、近いうちに取り上げたいと思う。

2018年2月4日日曜日

Roudabaut

YES [ Steve Howe/Jon Anderson ]

70年代のプログレシヴロックバンド・YES の代表曲だ。8分以上ある大作で、演奏も歌詞も大変聴き所の多い曲。

「Roudabaut」とはロータリーになっている交差点のことだが、それに人間関係や大自然と重ね合わせる、難解ながら奥が深く味わいのある歌詞なのだが、今回は曲の方にスポットを当てるので、歌詞の話しはこれでオシマイ。

バンドの編成がギター、ベース、ドラムにキーボードで、全パート共テクニカルで手数の多いプレーヤーなので聴き所満載。もちろんボーカル&ハーモニーもなかなか。

まずイントロだが、アコースティック・ギターの静かな雰囲気から邪悪なキーボードが絡むワクワクするような出だし。「何が起こるのだろう」と感じさせる。リズム・インすると、手数の多いベースが入って来て、キーボードのリフとアコースティック・ギターのハーモニクス連発。難しいプレイではないが実に考えてある。
その後のパートで出て来るエレキ・ギターとの兼ね合いもそれぞれの良さを出していてなかなか。

高い声質のボーカル・Jon Anderson は複雑なバックに乗せてシンプルで分かりやすいメロディを歌う曲が多い。このあたりがYESの人気の秘密だろうと思う。この曲も同様で、目まぐるしく変化する曲調とは裏腹に、ボーカルラインは分かりやすい。

静かな中間部。イントロ同様のアコースティック・ギターが中心だが、その後ろでキーボードのコードトーン超早弾きがある。シーケンサーのような雰囲気だが、この時代は指弾きだ。
そしてこの部分が終わると一転して激しいキーボードのソロ。そしてギターへ受け継がれ、盛り上がった後に最初に戻る。
エンディングで聴けるのはボーカルのハーモニー。このハーモニーも YES の武器で、特にベースの Chris Squire が特徴ある要で、2015年に亡くなってしまったのが実に惜しい。

この曲、私はキーボード・レスのバンドで是非やってみたかった曲だ。演奏していて楽しい曲だが、最大の楽しみはキーボード・ソロのところ。かっ飛んだソロを弾いてみたかった。

2018年2月2日金曜日

夕焼けとんび

三橋美智也 [ 吉田矢健治/矢野亮 ]

1958年の曲だそうだ。演歌を好まない私だが、生まれる前の時代の演歌や民謡は古き日本の良さを表わしている気がするので例外だ。(最も演歌全般そんな感じだが)この曲を知ったのは中学時代に好きだったヤツがいてその影響だが、まさに古き日本の良さが分かるような曲。そもそも夕焼けやとんびを題材にした素朴な風景を歌っているなんて、アメリカで言えばカントリーやブルーズだ。
大空を舞うとんびに家族(兄)を想う心を託すような内容。果てなき想いと優しさがミックスしているような歌詞に、思わずホロッとする。最後は帰ると約束した兄が祭りの時期にも帰って来ずに「バカっちょ」と呼ぶあたりもかわいらしい。

曲も少し触れておくと、コード進行は、「A」「D」「A」「E7」「D」「A」と来て、「そこから東京が~」の部分が、「A」「E7」「A」「A」「E/D」「D」「A/D」「A」「A」「E7/A」という感じ。

基本的にはまんま3コードの曲になるが、サビ(?)の部分などは、ブルーズなんかと比べるとちょっと独特な進み方をする。これが演歌ということか。(演歌の知識は皆無なのでよく分からない)

「D」の持つ意味合いが独特だなと感じるが、そのあたりを解説してくれる人がいたら勉強になるのだが・・・。

2018年2月1日木曜日

CARNAVAL

大貫妙子 [ 大貫妙子 ]

大貫妙子という人をよくは知らないのだが、曲を聴けば才能ある音楽の人だなというのはすぐに分かる。このタイプの音楽人間には憧れる。自分以上の才能を持った人には敬意を表するが、その反面悔しくもある。もちろんよく訓練と努力が成す結果なので、嫉妬するのは筋違いなのだが。

この曲は YMO のメンバーが参加して制作されたもので、モロに当時の雰囲気を感じさせる曲だ。

曲は不思議な雰囲気を持つコード進行で、途中の転調のようなところから浮遊感を感じさせる展開になる。(調がよく分からないと浮遊する感じになる)

Aメロの頭からのコードは、「Cm/B♭」「A♭/B♭」「A♭M7」「B♭」「Cm/B♭」「A♭/B♭」「A♭M7」「B♭」「Dm」「DmonC」「B♭M7」「G」「Gm」「C」「Dm」と続く。
それにしても、「Dm」のところや「G」のところ、決して予測できないし、特に「G」が凄い。そしてその次ですぐに「Gm」に戻す。このあたりのセンスに脱帽という感じ。素晴らしい。
「Dm」のところから転調していることになるが、またイントロの進行を挟んで「Cm」に戻る。

同じJポップでも音楽的な刺激が強いこの手の、捻りに捻りました的な曲は音楽のパズルのようで聴いていて楽しい。

2018年1月28日日曜日

ユー・メイ・ドリーム

SHEENA & THE ROKKETS [ 鮎川誠, 細野晴臣/柴山俊之, Chris Mosdell ]

SHEENA & THE ROKKETS の代表曲。バンドの存在は大昔から知っていたのだが、「日本のバンド」「メインは女」というだけで気嫌いして聴いておらず、知らなかった。「どうせ軟弱なロックもどきバンドだろう」とタカをくくっていた。
それがYouTubeで何かの番組のものでギタリストを紹介しているものを見て鮎川誠を見た。テレビで見かけたことはあったが、まともに音楽を聴いたのは初めてだった。
「凄い!」が最初の感想。日本にこんなロックな人がいたのか。それまで日本最強のギタリストはチャーだと思っていたが、1曲聴いただけでそれに匹敵する存在だと分かった。まさに衝撃。その後、ROKKETS を聴いてその格好良さに再び衝撃。更には、この代表曲『ユー・メイ・ドリーム』でまたまた衝撃。ロックっぽいROKKETSにポップの要素もあるとは! 短期間で衝撃の連続。
昔、私の周囲で「ROKKETS は最高だよ」と教えてくれたのにバカにした扱いをしてしまった多くの皆さん、本当にすみませんでした。私が間違っていました。知らないだけなのに知ったかをすると恥かきますね。

この曲は代表的な ROKKETS の曲とは違い、細野晴臣が YMO っぽさを導入していることで有名で、何と ROKKETS の曲なのにギターがない!
鮎川誠はこの曲をリリースするのに葛藤があったというが、しかし曲調もアレンジや編成も「曲が良けりゃ、そんなのどうでもいい」と言えるところがロックだ。

で、ライブになれば、当然ギターとベースでの演奏になる。ここが聴き所。キーボードだらけの曲を編成を変え、当然アレンジも変えて演奏すれば、普通は原曲の良さは丸っきり壊れてしまい、別の曲のようになってしまうことがほとんどだ。
ところがROKKETSの場合、不思議なことに原曲の良さを損ねずに、更にパワーアップしているではないか! このパワーアップした部分が最高にカッコいい。おそるべし ROKKETS。
具体的に言うと、ライブでのギターアレンジが良いのだ。特にエンディングの方の高い音を使ったフレーズが嫌でも盛り上げるし、勢い、ヘヴィさとも最高だ。これだけで「鮎川天才!」と言いたい。
別に複雑なプレイをしているわけではない。というより、たった1音で認めさせるような、周囲を唸らせるようなプレイには、どんなに音数が多く複雑なプレイも敵わないという典型のようなプレイだ。鮎川は当たり前にように弾いているが、このプレイ、この音、このタイミングを探すのがどれだけ凄いことか。出来たものを聴かされれば「こんなの俺だって弾けるよ」と思うだろうが、何もない真っ白な状態で考えるのとでは天地の差がある。ましてや、原曲はギター・レスでポップな魅力を振りまいた曲なのだ。そういう曲にワイルドなギター・プレイを持ち込むというのは難しいものだ。
もちろん、シーナさんや他のパートの貢献もあるし、曲そのものの魅力が高いからこそであることは言うまでもないが。

「A」「F#m」「D」「Bm7」「E」というシンプルな構成で進むが、一気に爆発するようなサビ(「F」「G」「A」で畳み掛ける)が格好良い。この押せ押せ感がなかったらくだらないアイドル・ソングになりそうなのを、アイドルを一瞬で蹴散らすような凄まじさだ。サビで2ビートになるドラム・アレンジやライブでブイブイ唸るベースも心地よい。

最後にシーナさん。2015年に亡くなってしまった。石橋凌のライブCDで知ったのだが、是非生きている時に生歌を聴いてみたかった。昔、一緒にバンドをやっていたヴォーカルの女性が「最高に格好良い人で、憧れであり目標だ」と言っていた。格好良さだけでなく、凄みを感じさせるし、同時にセンスもあり、時折見せる可愛らしさもチャーミングだ。今更だけど、謹んでご冥福をお祈りいたします。

2018年1月27日土曜日

恋するフォーチュンクッキー

AKB48 [ 伊藤心太郎/秋元康 ]

もはやアイドルに興味がある年齢でもないし、人気絶大のAKBといえど、前田、大島、指原くらいしか見分けがつかないオッサンには、女の子が大量にいるグループは見ていて気持ち悪くなるほど。
曲も良くかかる曲を数曲サビだけ知っている程度なのだが、ところがどっこい、この曲だけは気に入ったのだ。(多分他の曲も聴かず嫌いなだけなのだろうが)

まず印象に残ったのは、70年代のディスコ・ソングみたいだということ。ベースラインやリズム、ハンドクラップ(手拍子)など、明らかに古いディスコを意識しているアレンジ。最近の早いダンス・ミュージックではなく、初期ディスコというのが良い。オッサンの私からしても古くさいと思えるほどだが、それがかえって若い子には新鮮だろう。
私も聴いていて、思わずノッてしまう。

このディスコっぽさに乗るように、歌詞も詰め込み型ではなく、1音に1文字乗せるゆったりとしたもの。
こういう今風でない、というか古過ぎる雰囲気を、今一番人気のアイドルにやらせるあたりが面白いのだろう。

一応展開にも触れておくが、出だしの歌の部分は「D」「Bm」「D」「Bm」「G」「A」「D」「Bm7」という感じ。
ヴァースの(「カフェテリア~」の部分)最初のコード「GM7」がキレイだ。その後、「A」「F#m7」「AonG」「Bm7」かな。「E7」でつないでサビだ。
「D」「A」「Bm7」「A」「GM7」「F#m7」「Em7」「A」「D」と続く。ギターで弾く場合、ローコードでOKだが、「F#m7」のところまではトップを2弦2フレットの「F#音」のみ固定して弾くと雰囲気が出る。ほとんどコードトーンだが、「A」のみ6thの音になる。

2018年1月23日火曜日

Fuya-Jo

Urayasu Machine Head [ Y.Hotta/M.Jirosaburow ]

1998年、Urayasu Machine Head のオリジナル。とは言っても、私はほとんど絡んでいなくて、主に編曲担当。リフとかコードのバッキングのアイディアを出したのと、ソロの上昇する部分を追加したくらい。あとは Hoi-Po の作で、個人的にとても気に入っている曲だ。(Hoi-Poの曲はなぜか魅かれるものが多い)
曲名の「Fuya-Jo」はもちろん「不夜城」のことで、映画にもなった物語のタイトルだ。

今回、アコースティック・アレンジをした際に、再度編曲が必要になって、特にピアノのパートを考えた。最初はギターと合わせてリフのパターンを弾くことを考えたが、しつこい感じだし、広がりもないので、まったく違う繰り返しのフレースをたんたんと弾く感じにしてみたら、曲の持つ退廃的な雰囲気と見事に合致したので、採用した。アコーステッィク・ギター2本とピアノだけの編成でのバージョンも興味深いものになった。

もう一つ新たな試みをしたのは、詞の英詞化だ。自分で歌うには作詞のJirosaburowにはとてもではないが及ばないので、ニュアンスを誤摩化すために措置だ。
オリジナルの日本詞をそのまま英訳したのだが、日本語との字数がまったく合わなくて苦労したのと、歌詞の意味を深く理解していなかったのとで、難しかった。1文を膨らますような作業が多かったので、例えば、出だしの「黒い夢の中」というのを「in a black dream」とするのではちょっと違うなと思い、「黒い夢」というのは何だろうと考えなければならない。「顔のないシャオリエン」も難しくて、詞では何も説明がない。「頭を切断された」というのはちょっと違う感じだし、「無表情」ということか「本性が分からない」という意味か等々考えた。(多分、一番後者)
という具合に自分なりの理解の下での英訳になったので、実際の意味と少し変わってしなっているだろうと思う。

サビのコードは、自分で得意にしている、1,2弦の開放弦を多様するやり方で、「Em」「D69」「CM7」といったところ。また最初の歌い出しのところもちょっとだけ工夫していて、コードは「Em add9」「CM7」になっている。いずれも好きなコードばかり。 ソロの後半のペンタトニックをすばやく上昇するフレーズは手強い。シンプルなフレーズながら同じ調子で長いので、ミスピッキングをすると立て直せなくなる。というかミスをしても無視して弾き切ることが必要。
1998年当時は豪快に弾き切っており、年をとった今は相当厳しいプレイになっている。

2018年1月19日金曜日

Gurdians

Helloween [ Michael Weikath ]

初めて Helloween を知った高校生の頃からずっとお気に入りの曲。最近また聴いて、どういうわけか今だに好きだと再認識した。

まず、ベースラインだ。シンプルなラインではあるが、結構目立っていて、ところどころ、つい弾きたくなるフレーズがある。歌の出だしからずっと「Am」で、「C」に変わるところや、サビの部分だ。

Helloween 自慢のツインギターももちろん聴き所。イントロはどう弾いているのか分からなくて、最近ネットで調べて初めて分かった。重視していなかったし、あんなフレーズに聴こえていなかったので、今更ながら新鮮。(確かによく聴くと分かるが)

イントロ以外のギターは高校生の頃に一通りコピーしたのを今でも覚えているから驚きだ。(部分的に間違っていたのは修正したが)
ソロも好きで、特に交代で弾く後半戦(ヴァイキーのソロ)の少しだけミュートしてスタッカートになって一気に上昇するところなど、大好き。

もちろんボーカルラインも好き。カイの金属的とも言えるようなヴォーカルが合う。自分は歌は下手なのだが、思わず歌いたくなるようなライン。

Guardians of our lives
Protect security
They turn the key and they step in
Controlling you and me
Guardians of our lives
Take care eternally
サビのところだが、語呂も良いし、最高にカッコいい。

後半で転調して1音上がる。盛り上げるのはとても単純な方法だが、これがまたはまるのだ。ヒューマンヴォイスのキーボードもとても雰囲気が出ている。
荒削りな勢いだけだが、こんな曲も作れるという手本だ。