2018年10月26日金曜日

Friday On My Mind

The Easybeats [ H.Vanda/G.young ]

60年代のオーストラリアのバンドの曲。作曲のジョージ・ヤングはEasybeatsのリズム・ギタリストだが、ヤング4兄弟の長男。3男のマルコムと末弟のアンガスはAC/DCのギタリストとして有名。もう一人の作曲者・リード・ギターのハリー・ヴァンダもジョージとともにAC/DCのデビュー・アルバムをプロデュースしている。

そのEasybeatsの66年の曲がこの曲。60年代らしくビート系で、今聴くと結構時代を感じさせるものがある。映像も見たことがあるが、ヴォーカルのスティーヴィー・ライトが、ニヤケつつ余裕こいて歌っているように見せているのがちょっと気に食わない。ジョン・レノンの余裕感やオチョクリ感を出したいのかもしれないが、こちらは何となく小物感になっているような・・・。
曲自体は結構カッコいいのだが、アレンジがダサく、ヴォーカルもリズムに乗っていないので下手クソに聴こえる。ワイルドな勢いは感じさせるが、ちょっと外している感じ(The Whoなどもこれに近い雰囲気を醸す時があるが)。
出だしのギター・リフなどは1度5度を連発しているだけだが、結構斬新に聴こえる。アメリカっぽさは全然なくて、少しイギリスっぽいかなという感じだが、メロディも結構凝っていて独特のセンスを感じさせる不思議な魅力もある。

もう少し曲を見ていこう。独特のメロディは、ハーモニックマイナー・スケールで成り立っているからで、この時代にはほとんど聴かないものだ。偶然見つけたのか、勉強の賜物なのかは不明だが、これも斬新だ。そしてギターもこれを強調するようにメロディを弾いている。出だしのギターがシンプルなだけに、当然展開するようにハーモニック・マイナーが出て来ると曲の広がりが強調されるようだ。
もう一つのポイントはマイナーからメジャーへの露骨な変換だ。例えば「Am」の時に「ミファミレミレドシ」と来て最後に「ド#ー」と伸ばす印象的なメロディだ。最後の音以外はマイナー・コードの中でのマイナー・スケールだが、最後に3度の音が来るようにしてメジャーを強調する作戦。

歌のバックの印象的なリズム・ギターのタブ譜を載せておく。イントロは出だしと一緒だから省略してあり、いきなり歌の出だしからだ。(あくまで「オジナルが弾いている通り」ではなく、「私が弾くならこう」という感じ。例えば後半の「A」や「Dm」のところは弦飛びで違うポジションで弾いている可能性もある)
いくつかポイントがあるが、まずはコードが「B7」のところで、クロマチックに降りていくところが面白い。この時リード・ギターも印象的なフレーズを弾いている。3段目の「A」のところからはハーモニック・マイナーのメロディと絡んだフレーズで面白い。
最後の2小節は合わせるところだが、結構ダサく感じる。「C/E」のところの2拍目と4拍目の音が分からなくて悩んだが、最近休符だと知った。鳴っているのは他の楽器だったのね。



テンポがかなり早いので、意外にもテクニカルだ。ちょっと早過ぎな感じもして、そのためにヴォーカルが乗れていないのではと思わせる。

ざっとコード進行を抑えておこう。歌が入ってからはタブ譜の通りだが、「Em」「Em」「A」「D」「Em」「Em」「A」「D」「G」「G」「B7」「B7」となり、後半が「Em」「Em」「Am」「Am」「A」「A」「Dm」「Dm」「Dm」「Dm」「C/E」「AF#/BE」となりサビへ行く。サビは「A」「A」「C#m」「C#m」「A」「A」「C#m」「C#m」「D」「D」「F#7」「F#7」「Bm」「Bm」「D」「D」「B7」「B7」「D」「D」「A」「A」「E」「E」「Am」「D」「E」「Em」という感じ。結構長いが、テンポが早いので、普通の曲の1小節分で2小節くらいある。

ミュージシャンには結構人気の曲のようで、David BowieやBruce Springsteen、Gary Moore等がカヴァーしている。

一応、UKロックに分類しておこう。オーストラリアのバンドではあるが、オーストラリア人は一人もおらず、メインはイギリス人だから。

2018年10月23日火曜日

Race With Devil On Spanish Highway

Al DiMeola [ Al Dimeola ]

屈指の早弾きギタリストとして名を馳せたAl DiMeolaの代表作『Elegant Gypsy』からの1曲。ロック界のアルヴィン・リーやリッチー・ブラックモア等、早弾きギタリストと呼ばれる達人が何人もいたが、それらを遥かに凌ぐ凄腕として登場したのが、ジャズ/フュージョン界のアル・ディメオラだ。ヴァン・ヘイレンもイングヴェイも登場以前のことだ。
「早弾き」という言葉自体、一部の人以外にはそれほど使われるものでもなかったが、彼の登場以降は「早弾き」というだけで「凄い」と思われる時代になり、ロック界も含めてそれから10年以上も早弾き合戦のような時代が続くことになる。これをディメオラの影響と責任だというつもりは全くないが、彼の登場によりギター界全体が一段レベルアップしたような感じになった。まあ、ロック界ではペンタトニック、ジャズ界でもブルーノート等が全盛の中、それらが一段落ついて次のステージに上がるべき時代だったのかもしれない。
一応、ジャズというか、フュージョンに分類されるが、私個人的にはちょっとオシャレなロック・ギタリストという感じで捉えている。

で、この曲。特にディメオラの「早弾き」を世に知らしめたような1曲だ。タイトルのイメージぴったりの曲で、まさにデビルがスペインの高速道路をレースしているような曲だ。スペインを意識したメロディなのだろう。

最初から、単なる8ビートでないところに「ロックとは違うな」と思わせる。ベースとコンガのリズムが「これから何か始まるぞ」と思わせるワクワク感がある。
そして期待通り、ギターとのユニゾンでの16分音符の早弾きが登場。これは凄い。ギター、ベース、キーボードでのユニゾンも出て来るが、凄まじい限りだ。この後、バンドで合わせてブレイクしつつ、早弾きという繰り返しだ。
実際このテンポでの16分は結構早い。滅茶苦茶に早いというのではなく、キッチリとリズムに乗せた16分音符であるところが返って難しい(ロック系では符割無視の早弾きは結構多く、楽譜に書くと9連符とか11連符のような意識しているとは到底思えない符割になってしまう場合も多い)。そしてハンマリングやプリングが一切なく、すべてピッキングによる音だ。正確無比なピッキング・テクニックといえる。まさにマシンガン・ピッキング、凄いの一言。少し歪ませているとはいえ、ピッキングによる音の大小(強弱)もない。

最初のイントロの合わせが終わるといよいよ本編だ。主題のようなゆったりしたメロディ。ヂィメオラのビブラートは弦を横に揺らす(チョーキングのように)のではなく、縦(弦のテンションを強めたり弱めたりするように)に揺らす感じで、ジャークオフ(ジャックオフ)・ビブラートっぽい。コードは「Bm7 9」一発。時折11thの音も入っているようだ。
中盤には「Bm/A」「GM7/F#7・A7」のような感じになる部分もあるが、だいたい「Bm7」だ。

中盤から終盤にかけても16分音符の早弾きと2拍3連のフレーズが交互に出て来る感じで経過。ソロは基本的にダイアトニックで、このあたりはペンタトニック・ベースのロックとは決定的に違うところか。だが、それほどジャズっぽいわけでもなく、起承転結っぽく解決するわけでもない。終わり方もフェイド・アウトだし。
ドラムのグルーヴ感がさすがと言う感じだ。

余談だが、イングヴェイはこの曲を含めてディメオラを結構意識していると思う。「Trilogy Suite Op: 5」や「Krakatau」あたりに展開が少し似た部分がある。
また、HR/HMバンドのRiotが1990年にカヴァーもしている。割と忠実にコピーしている。

2018年10月21日日曜日

Inflation Blues

B.B. King [ B.B.King/A.Alexander/L.Jordan/T.Southern ]

ブルーズの王様・BBキングだ。もはやわざわざ紹介するまでもなく、ミスター・ブルーズといってもいいくらいの存在で、もちろん3大キングの他の2人やもっと古い時代のロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズ、あるいは新しい時代のステーヴィー・レイ・ヴォーン等、偉大なブルーズ・ミュージシャンはいくらでも存在するが、最も影響力のある一人がこのBBだと言っても否定できる人は少ないだろう。この1曲に絞ってもあまり意味がないが、最近聴いたBBの中でも凄さがよくわかる曲かなと思ってセレクトした。

で、BBを語る前にブルーズとは、というのに少しだけ触れる。(それがないと始まらないので)
一口にブルーズといってもあまりにも広すぎて、説明だけで膨大になってしまうので、超端的に言うと、20世紀全般に広まったアフリカ系アメリカ人の音楽の代表だということになる。もともとは黒人霊歌等をルーツに持つ悲しみを表現する音楽だが、その後幅広く広まって、ジャズにもロックにもポップスにもその影響は強く見られるようになっている。

ここでは歴史ではなく、音楽的に見ていきたい。ブルーズを語る上で絶対に避けては通れないものに「ブルーノート・スケール」がある。「ブルーな音(ノート)」とは「悲しみの音」のことだ。基本になっている「ペンタトニック・スケール」に何音か加えると「ブルーノート・スケール」になる。
例えば「Aメジャー・ペンタトニック・スケール」は「ラ シ ド# ミ ファ#」で、「Aマイナー・ペンタトニック・スケール」は「ラ ド レ ミ ソ」だが、最も多く使われるのは「メジャー」の場合は「m3rd」である「ド」、「マイナー」の場合は「♭5th」である「ミ♭」だ。ペンタトニックにこの音を足して「ブルーノート・スケール」とする場合が多いが、基本的にペンタトニック以外の音の微妙な音程操作をすべて「ブルーノート」としても問題ないように思う。特に「m3rd」「♭5th」「m7th」はその代表だが。

で、BBの凄さをここでは2点挙げておきたいと思う。
まず1点目は、微妙な音程だ。「ブルーノート」の3音「m3rd」「♭5th」「m7th」は、正確にその音というのではなく、かなり微妙な音程なのだ。ギターの場合、チョーキングで表現する場合が多いが、その音程を半音の半分、1/4 チョーキングで表現する。
例えば、「メジャー」の場合、「m3th」の音(Aスケールなら「ド」)の音を出しておいてから少しチョーキングをする。少しというのがだいたい 1/4 だ。「メジャー」の中で「m3rd」は「外れた音」だが、それを少し持ち上げる。そうすると、普通のメジャー・スケールの音に近くなるが、少しマイナーの悲しみも感じるということになる。この微妙さが感情表現になるわけだ。
(ピアノではこの微妙な音程が出せないので、トリルにしたり、半音でぶつかる2つの音を同時に鳴らしたりしてソレっぽく聴かせる)
BB(に限らずブルーズ・ミュージシャンは皆そうだが)の出す1音1音に音程による微妙な表現がつまっている。微妙に音程を変化させるにしても、最後の締めの音で使って、終わったなと思わせ、消え入る時に音程を上げたりもするので、音が聴こえなくなるギリギリまで聴かなくてはならない。1音をとても大事にするのがブルーズだ。「早弾きによる100万音よりBBの出す1音の方が凄い」と言われるのはこのあたりのことだ。

第2点目。「間」だ。音楽的に言えば「休符」だ。「音を弾かないだけなのにテクニックも何もないだろう」と思われるかもしれないが、そうではない。「弾かない」ことは「弾く」ことよりも難しい。特に腕に自信があればあるほど「どうだーーー、凄いだろーーー!」となってしまいがち。そういう最悪のブルーズ・セッションを何度も目撃したし、かく言う私自身もそういう一人だったと思う。ギターでは特に間をとることがおろそかになりがちだ。サックスやトランペットのような楽器は息継ぎが必要なので、嫌でも間を取らざるを得ないが、ギターではずっと弾き続けることが出来るからだ。
BBは歌も歌うので、そういう間を心得ているのかもしれない。この絶妙の間が取れるからこそ世界トップクラスのギタリストなのだ。逆にいえば、それ以外のギタリストは間がうまく取れないからBBには敵わない。それくらい「間」は難しいテクニックなのだ。
試しに、デタラメに適当に隙間を多めに開けてソロを弾いてみたことがある。弾いている時はその気になっていたが、自宅に帰り録音を聴いてみると退屈で仕方がない。やはり感情の高まりによる表現や他のドラムやベース等との呼吸など、色々意味があるのだ。
つまり、鳴らした音の1音1音はもちろん、鳴ってすらいない空間までがブルーズだといえる。こうなるともの凄い話しでついていけない領域だ。ほとんど宗教の領域のようだ。

ブルーズにはお決まりのコード進行のパターンがあって、この曲も例外に漏れず。12小節1パターンで、「I」「IV」「I」「I」「IV」「IV」「I」「I」「V」「V」「I」「V」の繰り返し。「I」が「A」なら「IV」は「D」、「V」は「E」となる(各コードに7thをつけるとよりソレっぽくなる)。
この決まりきったパターンの中で、休符も含めた無限の音表現をしているのだ。

2018年10月12日金曜日

Ain't No Love In The Heart Of City

Whitesnake [ Michael Price/Dan Walsh ]

初期Whitesnakeの曲でスタジオ版はデビューEPの『Snakebite』収録、ライブ・バージョンも数多く出ている。何しろ数少ない現役初期Snake曲だ。サイクス時代も、絶頂期もヴァイ期もそれ以降もずっとセットリストから外されていない。

実はこの曲はWhitesnakeのオリジナルではない。Bobby Blandがオリジナルで、イントロはギターのコード弾きで始まり、あのWhitesnake版の有名なリフはない。

しかしこの曲というと、あのリフを思い浮かべる人は多く、実際、他のアーティストがこの曲を演奏する際もWhitesnakeのリフを弾いている場合が多い。

この印象的なリフはWhitesnake初代ギタリストのミッキー・ムーディ作によるものだ。サイクス時代以降、華やかなギタリストばかりのWhitesnakeだが、サイクスより前の時代はかなり地味。このミッキーとバーニー・マースデンのコンビが初代ということになるが、ヒゲのミッキーと太めのバーニーは見た目がとても地味で、サイクス以降からWhitesnakeに入ったファンは、あまりの落差に驚き、とても受け入れ難い。
が、後世の派手なメタル・バンドという色眼鏡を外して見ればこの2人、なかなか素晴らしいツイン・ギター・コンビだ。ツイン・ギターというと、Iron MaidenやHelloween等をイメージするかもしれないが、ミッキーとバーニーの場合は本人達自らも認めているように、サザンロック・タイプのギターコンビと考えるべきだろう。
そして私はこのコンビが大好きだ。渋いブルーズ・ギタリストのミッキーとイキの良いハード・ロッカーのバーニー。音もフレーズもコンビネーションも素晴らしい。ピッキング・ハーモニクスがなくても充分にアピールするカッコ良さだと思う。初期Whitesnakeに根強いファンが多いのも頷ける。(私も長い間、メタルバンドのWhitesnakeしか受け入れられなかったのだが・・・)

この曲のリフは、ミッキーによると、Beatlesの「Come Together」と似ているのだそう。全く気付かなかったが、そういえば音使いはとても似ている。ブルージーな「m7」コードのリフということで自然に似るのだろうが、確かに下から上昇していくフレーズとかもソックリだ。
弾き方は、5弦の開放の「A音」を鳴らし、5Fから7Fへのスライドし4弦5F、3弦5F、そして、3弦5F、5弦7Fから9Fへのスライド、4弦7F、3弦7Fと、視覚的に見ると結構簡単。「Dm7」になる部分は、4弦開放の「D音」を鳴らして、5弦10Fからに全体を横に移動させたポジションになるだけだ。

PVを見ると、このリフをミッキーが弾き、バーニーはダブルネックのギターで高い音でコード弾きをしている。出だしは1弦2弦3弦の順に12F、13F、14Fを弾き、4拍目だけ14F、15F、16Fを弾いている。16Fは「B音」で、「D」コードの6thに当たる。
リズムは、オリジナルのこの曲とソックリだ。
後年のライブでは、このパートはほとんどが省略されてしまっているが、意外にもヴァイ期にスティーヴがちょっとだけ変えてこの音を弾いていた。オリジナルを知っているとも思えないので、初期Whitesnakeを勉強したのだろう。
逆に、こういう曲調に一番理解がありそうなエイドリアンは、この有名なリフを1音だけ違って弾いている。最後から2番目の音を「G音」で弾いているのだ。恐らくその前の音を4弦の4Fで弾いているからであろうが、あまり効果的とも思えないので、多分たんに間違いなのだろうと思う。(ペンタトニックの基本的な形からほぼ手を動かさずに弾けるパターンだし、最後の3音を4弦、3弦、2弦で弾くとスライドする感じとはかけ離れてしまうから)

コード進行は「Am7/D6」「Am7/D6」「Dm7」「Am7/D6」が1パターン。2度目の繰り返しは「Am7/D6」「Am7/D6」「FM7/Dm7」「Am7」と少し変わる。6thの響きがなかなかだが、最近のライブでは省略されてしまっている。
ブリッジ部は少しバンドで合わせる感じになって、「Am/C」「Dm7」「G」「Am」「Am/C」「Dm7」「G」「F/C」となって元に戻る。
サビはAメロと同じ。つまりこの曲は2パートしかないことになる。

少し面白いのはバーニーのコーラス・ハーモニーで、出だしデイヴィッドが「D音」で「Oh~」と入ってからメロディの最初が「E音」で歌い始める。これに対しバーニーは「G音」。「Am7」の5thと7thだ。次の2音目、デイヴィッドは「D音」に対しバーニーが「F#音」。ペンタトニックにはない音。ブルーノート・スケールでメロディを作る場合に、「D音」の上でハモる時にどの音を選択するかはちょっと考える。
そしてすぐ直後に「Dm7」になるので、ハーモニーが「F音」になる。半音の出し入れで、歌うのがちょっとだけ難しい分だけ楽しい。

スタジオ・バージョンでのギター・ソロ。中間のソロはミッキーで、エンディングのソロはバーニー。どちらもサイクスのような早弾きのメタル・ソロを期待するとまったく期待外れだが、ブルージーでとても味わい深いソロだ。ミッキーのソロは5thの「E音」とルートの「A音」をチョーキングとビブラートで強調した素晴らしい心震えるソロ。バーニーの方がハードロックっぽいソロだが、「G音」から入って、マイナースケール上の「F音」ではなく「F#音」が出て来るあたり、バーニーのヴォーカル・ハーモニーとリンクしている。
ライブではそれぞれのギタリストが思い思いのソロを披露しているが、どんなソロでも大抵カッコ良く決まる。ブルージーで感動的なソロになりやすいので、あまりギターの腕に自信がないギタリストにもオススメの曲だ。

2018年10月10日水曜日

Under My Thumb

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Stones1966年発表のポップな魅力がある曲だ。タイトルや歌詞の内容が少々エロいが、ここでは触れないことにする。
この時代のロック界(特にイギリス)は、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、ピアノ、オルガンといった一般的な楽器から、少し変わった音を求める風潮があって、珍しい楽器がよく使用された。Beatlesではフルートや、「Yestarday」の弦楽四重奏は有名だが、Stonesも「Paint It Black」でのシタール等があった。ギターのエフェクトで歪んだ音を積極的に使用するようになったのもこの頃。
で、この曲の場合はマリンバだ。いわゆる木琴だが、木を叩いて音を出すものだが、ロック界ではあまり使用されない珍しい楽器だ。叩くのでアタック音が非常に強い(というかそれだけだが)が、残響音が少ないからか優しい音でもある。ちなみに演奏しているのはブライン・ジョーンズ。

そのマリンバがイントロから大活躍。コード・トーンに1音加えただけのシンプルなメロディで使用されているが、とても印象的だ。そしてロックらしく、裏拍から入って、3拍目、4拍目も裏を強調している。
これがライブ盤の『Got Live If You Want It!』になると、いきなり太いギターの音になるのでだいぶ印象が変わる。テンポも早いし演奏も粗いのでポップさは完全になくなっている。

もう一つ、この曲といえば、1969年に起きたオルタモントの悲劇の曲としても結構有名。この曲を演奏中にヘルズ・エンジェルスによ黒人殺害事件が起きた。

具体的に曲を見ていくと、印象的なイントロは「F#m」「E」「D」「D」の繰り返し。Aメロも同じ。
Bメロは「A」「A」「D」「B」の3コードで、すぐにまたAメロのコード進行に戻る。
何と曲の構成はこれですべてだ。Stonesらしい2つのパートしかない曲。静かになる間奏のギター・ソロもAメロと同じコード進行。低めの音で抑えたようなソロになっている。

この曲は同時期のバンド・The Whoにカヴァーされている。Stonesの3人がマリファナ所持で逮捕された時に、Stones救済のためにレコーディングされた。The Whoも激しいバンドだが、それはキース・ムーンの手数の多いドラムによる印象によるところが大きく、それ以外はBeatlesに近いようなコーラス・ハーモニーを聴かせているので、興味のある方は聴いてみると面白いかも。

2018年10月8日月曜日

Shot In The Dark [Live]

Ozzy Osbourne [ P.Soussan/O.Osbourne ]

個人的に大好きなこの曲のライブ・バージョンを取り上げる。時期は1991年、ギタリストはZakk Wylde、ベーシストはGeezer Butlerの時で、ミニ・ライブ・アルバム『Just Say Ozzy』のバージョンだ。この曲は他にもライブ・バージョンは存在するが、オリジナル・スタジオ・バージョンを含めても、『Just Say Ozzy』のバージョンが一番好きだ。ギターがカッコいい。
というわけで、ここでは主にギターを中心に見ていきたい。ザックとオリジナルのジェイクの比較で両者の個性やギタリストとしてのアプローチの違いがハッキリして面白い。

まず、イントロがオリジナルより伸びている。ギター抜きで静かに始まるアレンジだ。この後、ハーモニクスの部分、メイン・リフの部分とあってからヴォーカルになるので、イントロが3段階に盛り上がるという、なかなかドラマチックなアレンジといえる。
ベースの存在感が素晴らしい。ギーザーだからか、ライブだからか、結構音がデカいし、時折入る16分のハンマリングなんかが最高にカッコいい。
そして特筆すべきはキーボード。ジェイク時代のライブはキーボードの比重が大きすぎて(アルバムでは目立たなくて良かったのに)、それがカッコ良くない原因になってしまっていたのが大きく改善されている。ヒューマンボイスの音もなかなかだ。

続いてイントロその2。ギターの登場だ。しかし、ボリュームをかなり絞って、クリーン目な、か細い音での登場。
オリジナルの時に触れたが、とても難しいハーモニクスの音程操作のテクニックだ。ジェイク以外ではザックが一番だったと指摘したが、ザックはネックの上から抑える作戦で弾いている。レスポールなので、もちろんアームはない。(詳しくはスタジオ・バージョンの方を参照のこと)

イントロその3はメイン・リフだ。ギターのボリュームがフルテンになる。そしてノイズ・グリスを入れた直後に馬のイナナキのような幅の大きなビブラートで本格登場。実にカッコいい。これだけの揺れ幅と速度、そして正確性は結構難しい。たった1音でザック・ワールドに引き込まれる存在感。

そしてザックとジェイクの違いが大きく出るリフの解釈。ザックは変則チューニングを使わない。だから5弦開放は使用できず、ちゃんと2フットを押さえる。ブリッジ・ミュートをしたズ太い音だ。そして、ジェイクは3度と7度でメロディを作っていたが、ザックはなんと3度を使わない。4弦、3弦の順に「4F、4F」「2F、2F」で弾く。1度5度と「A」の1度5度だ。ジェイクの「Bm7」の時のリフの音と比較すれば一つも同じ音がないことになるが、ちゃんとソレっぽく聴こえる。つまり7度の音はもちろん、3度の音さえ省略してしまっても、「B」と「A」のコンビネーションだけでこの曲に聴こえるのだ。
オシャレなジェイクは色々なテンション・コードを使用するが、反対にザックは直球一本。私は、ヘヴィなメタル・ミュージックにおいて、オシャレな雰囲気をカッコ良くまぶすジェイクに憧れ追いかけていたのだが、この時にその真逆、単純明快豪球ド真ん中のザックのアプローチに心奪われてしまったのだ。ザックは単純明快化して分かりやすく簡単にしているが、それは単に下手という意味ではない。それどころか、ジェイクにも劣らないテクニシャンなのだ。その辺りもこれから見ていく。
それと、ジェイクの時にも少し触れた「ジャズズ、ジャーダガダガダ」の「ダガダガダ」の部分だが、ザックの方が動いている。音で言うと「シラファ#ラシ」となる。普通に押さえているのだから、動いても特に関係なしということか。
リフの後半。ジェイクはずっと3弦4弦を使っていたが、ザックはこれを2弦3弦で弾く。3弦は開放の「G音」で間の5弦「B音」をやめてこの音に置き換えている。またもやジェイクとは違う音だが、こっち方がコード感が出て、分かりやすく、ドラマチックに聴こえる気がする。メイン・リフの最後のピッキング・ハーモニクはジェイクより強力だ。

ヴォーカルが入ってからのアルペジオ。ジェイクは「Bmadd9」と「G6」を弾いていたが、ザックはヴォーカル・メロディと絡めたような「Bm」(9thの音もあるが)と「Gのパワーコード」とやはりヴォーカルに絡めたフレーズを弾いている。弱めのピッキングで弾いているが、ギターのエフェクトは変えていない。
このパートの一番最後のオブリガードでザックの得意技のタッピング技が出る。ある音をチョーキングした後にオクターヴ上(12F上)をタッピングするもの。これはよく使われるザックの得意技。
このようなオブリが随所に見られる。ジェイクも計算されたような結構カッコいいオブリを沢山入れていてカッコ良かったが、ザックの思いつき一発で弾いているオブリも違う意味でカッコいい。入れる場所もアプローチも全然違うので、これを比較するのも結構興味深いし勉強になる。

Bパートはジェイクはメイン・リフと似たアプローチで弾いていたが、ザックもザック流のメイン・リフと同じアプローチで弾く。ここでも随分シンプルに直している。
ここで凄いのはこのパートの最後のオブリだ。ペンタトニックの音だが、1拍6連×4の早弾きだ。それが乱れることなくキッチリ弾かれている。この曲で初めて見せるザックの凄技だ。そして豪快なビブラート。このビブラートもザックの大きな特徴だ。

サビは比較的大人しいし、ジェイクが入れていたオブリの場所はほとんど無視してピッキング・ハーモニクスなどを入れているのみ。
ギターソロ。ジェイクは他人の曲のソロを弾く場合も自分の色を全面に出した別フレーズを弾く場合が多いが、ザックは他人の曲でも大筋で同じように弾く。ビブラートやピッキング・ハーモニクスで自分っぽさを出しているくらいだ。この曲の場合もそうで、だいたいジェイクのフレーズをなぞって(ちょっと違うが)いるが、一番最後のピックを打ち付けるタッピング技は無視し、単にノーマルなトリルで締めている。ただし、一番最後の音が、ジェイクは薄味だったのに対し、強力なビブラートでザック印になっている。

圧巻はエンディング・ソロだ。ライブではジェイクもエンディングにソロを入れていたが、結構あっさりしたものだったが、ザックのソロは凄い。だいたいペンタトニックの手グセ・フレーズのようだが、ここまで連発されるとタメ息が出るほど凄い。
まずは1拍6連の早弾き。1弦の14F、10F、2弦の12F、10Fのポジションと、1弦が12Fと10Fに変わる2ポジションだが、8音1パターンでの繰り返しだ。これを6連譜に乗せるから、少しずつズレていくような感じになる。これで結構難しいプレイになるのだ。しかもこれだけの長さを弾き切らなければならない。
ソロが始まってから9小節目のプレイも見るものがある。2弦17Fのハーフ・チョーキング後のプレイだ。16分の早弾きで、1弦14Fの後は3音で1パターンになっていてその繰り返しだが、ストレッチ気味で結構キツい。2弦18F、1弦14F、17Fの3音と、2弦18F、1弦14F、19Fの2パターン。ザックの手グセ・フレーズだ。
こういう早弾きと、揺れ幅の大きなビブラートのコンビネーションがザック・ソロの肝で、ほぼペンタトニックだ。

Yngwie出現以来、古くさいブルースのフレーズではなく、クラシカルな響きを持つ音やディミニッシュ、ハーモニックマイナー・スケール等様々な音使いが広まっていたが、その時代のド真ん中で最も古典的で単純なペンタトニックを、ハイテク・ギタリストのザックが連発することの新鮮さに驚いたものだ。「ペンタトニックはバカの一つ覚え」のように感じていたものが「ペンタトニックはカッコいい」と思えるようになったものだ。そしてビブラート一発で黙らせるカッコ良さ。ザック最高!

2018年10月7日日曜日

Shot In The Dark

Ozzy Osbourne [ P.Soussan/O.Osbourne ]

Ozzyの1986年にシングルになった曲。ギタリストはJake E. Leeだ。この曲のみベースのPhill Soussanの作で、他の曲よりポップだが、個人的にはOzzyで一番好きかも。(邦題では「暗闇にドッキリ!」なんて間抜けなタイトルがついていたが)

ジェイクらしく、色々なギターの技が使用されているので、それを見ていこう。(これらの独特の技をジェイク・フェイクという)
まずはギターのチューニングだが、アルバム全体で全弦半音下げになっているが、その状態から5弦と6弦のみ1音上げる。つまり、ノーマルな状態から5,6弦は半音上がっているわけだ。変なチューニングで他では見たことがない。多分、メインのリフに5弦の開放を絡ませたいための工夫だろう。開放を使えるなら、その他のフレーズを高めのポジションにしても問題ないからだ。

で、メインのリフ。5弦の開放以外の音だが、私は長く3音に聴こえていたので随分苦戦したが、実際には2音だと気がついて楽になった。4弦、3弦の順に前半が「7F、7F」「7F、6F」「7F、7F」「7F、6F」の4音、後半が「5F、7F」「5F、6F」「2F、2F」「5F」「5F、4F」となる。この後のフレーズは、変則チューニングなので、変な押さえ方になるが、一番最後のピッキング・ハーモニクスは4弦の5Fで出して、すぐにベンディングする感じになる。
それと5弦の開放だが、よく聴くと「ジャズズ、ジャーダガダガダ」の「ダガダガダ」の部分に1音だけ別の音が混じっている。4番目の音が1音下がっている。(無視しても良いと思うが)

いきなり一番手強いのがイントロだ。まずは、普通のハーモニクス。2弦の12フレット(F)、7F、5Fを弾くが、その次が問題だ。同じく5Fを弾いた瞬間、弦を引っ張るのだ。フレットを押さえている場合は結構簡単なのだが、ハーモニクスなので、弦のすべてを使用しているため、引っ張る場所は振動していない場所、つまりヘッドの方、ナットより先の部分だ。ナットとペグの間だ。(ロック・ナット式のギターでは意味がない(出来ない)ので注意が必要)
この後、3F(実際は3Fより少し高い方。少しというのは、厳密に言えば 1/3)のハーモニクスでも同じ技を使うが、この2度目の方は音程も複数出てくるので更に難しい。ハーモニクス音と次の1音上げまでがかなり素早いので大変だ。しかも1音上げ下げした後、2音上げてからキッチリと半音ずつ下がる。
私はこの3Fの方が出来ないので、最初から手をネックの上から出して備えるようにしているが、それでも音程やリズムを合わせるのはとても難しい。アームがあるギターの場合はアームを使った方がいいだろう。
ちなみに、この部分をジェイク以外でキチッとアルバムと同じように弾けているのを見たことがない。一番いい線をいっているのがZakk Wyldeだ。テクニシャンでならすGus GやAlexi Laihoですら弾けていない(アレキシは3Fハーモニクスの部分をノーマルな弾き方で弾いている)。ネット上でも多くの人が腕前を披露しているが、誰も弾けていない。しかしジェイクは弾けている。それどころか最近のライブでは一番難しい部分を更にビブラートをかけて弾いたりしているようだ。まったく恐れ入る。

ソロにもジェイク・フェイクがある。ボトル・ネックを使ったりしているが、ジェイクにしては比較的おとなしいソロだ。ちょっとした技は一番最後のトリルの部分だ。単純なトリルではなく、左手でメロディになるフレットを押さえ(最初が3弦11F、12F、14F、16F、後半が2弦12F、14F、15F、17F)、ピッキングの代わりにピックで19Fのところを素早く連打する(タッピング)技だ(前半が3弦、後半が2弦)。まぁイントロと比べれば楽な技だが。

この曲の場合、ジェイク・フェイク以外のギター・プレイが結構カッコいい。ところどころにちょっとしたオブリガードが出て来て、それがカッコいいので是非チェックしてみてほしい。(サビのところより、リフの周辺)

コード進行も見ておこう。アルバム全体でギターが半音下げになっているため、ギターの押さえ方優先に表記する。つまり「Bm」とあっても、それは押さえ方が「Bm」であって、実際に出ている音は「B♭m」になるので、少し注意。
イントロは「Bm7/AonB」「Bm7/AonB」「G/AonG」「G/AonG」を繰り返す。リフに入っても同じ。
Aパートはアルペジオで「Bmadd9」「Bmadd9」「G6」「G6」の繰り返し。9thの音を足すことでちょっとオシャレになるというか、マイナーっぽさが薄れる。実際、ギターで3度の音は鳴っていない。押さえ方は、5弦をルートにして5弦から1弦に向かって2F、4F、4F、2F、2Fだが、ジェイクは他の曲でもこのコードをとてもよく使う。「G6」は1弦開放が6thにあたる。
Bパートは「GM7」「GM7」「Bm」「Bm」「GM7」「GM7」「F#7」「F#7」。
サビは「Bm」「Bm」「Em・D・Bm」「Bm/C」の繰り返し。

ギターソロも別のコード進行になっていて、ボトルネックの部分が「D」「D」「C」「C」の繰り返しで、後半が「Bm」「Bm」「EonG#」「G」の繰り返し。前半は少し雰囲気が変わるので良い導入部になっている。後半は「EonG#」がミソだ。少し面白い響きになる。

2018年10月5日金曜日

You Really Got Me

Kinks [ Ray Davies ]

60年代ロックの代表曲。イギリス・Kinksの最大のヒット曲だ。1964年だから、Beatles絶頂期、Stonesは大物になりつつある時期だ。
この曲は「ヘヴィメタルを発明した作品」と呼ばれることも多いが、今聴くと全然そんな感じはしない。何が「発明」かというと、このリフだ。もっと言えば、ギターが1度5度での弾き方を連発していることだ。後の世でいう、いわゆるパワー・コードだ。それまでは、ここまで徹底的にパワー・コードを多用したリフはなかったと思う。Stonesの「Jumpin' Juck Flash」もBlack Sabbathよりもずっと前だ。
それに加えて、サウンドも特筆すべきものだった。ディストーション・サウンドだ。まだエフェクター等ない時代、壊れたスピーカ(意図的に壊した)から出たワイルドな音を気に入ってそのまま採用したものだ。サウンドが歪んでいるのでパワー・コードということになったのだろう。だからサウンドが先というわけだ。まだStonesの「Satisfaction」登場前のことだ。

また、ロックの都市伝説(?)として、この曲のソロをジミー・ペイジが弾いているのでは、というものがある。当時、KinksのギタリストのDave Daviesは弱冠17歳だったし、一方のペイジは様々なセッション活動をしていて、実際にKinksの1stアルバム(この曲も収録されている)でリズム・パートを弾いている。
しかし、この曲は他の1st収録曲に先だって録音されており、ペイジ本人もこの噂を否定している。
何より、ソロの内容はまるでペイジっぽくない。チョーキングしてルート音になる音を中心に、あまり工夫のない勢い一発で弾いたようなフレーズだ。あまり上手くもない。もしペイジが弾くことになれば、それはプロとしてギャラに相応しいものを提供しなければならないから、勢い重視にしろもう少し考えたフレーズになるのではないかと思う。

で、イントロだ。Van Halenの時に保留にしたまま長く忘れていたが、ようやく書く時が来た。頭から「ファソソファ ソ」と聴こえるようだが、実際は「ソソファソ(1拍半休符)ファ」だという話し。
Van Halen同様、オリジナルのKinksも「ファソソファ ソ」と聴かせるのをワザと狙っているのではないかと思う。そう思って聴いているとドラムが変なところで入ってくるので、訳が分からなくなるという仕掛け。Van Halenの場合はこれに更にギターのノイズで「カカッ」と入っているので混乱度合いが増すのだ。「カカドン 」「ソソファソ」と聴こえればそれが正解。
どちらも最初の1音を前の小節の最後だと思って聴いて、2音目が頭だと分かれば問題ない、ちょっとしたリズムのイタズラといった感じの遊びだ。

最後に、全体的な印象。ハッキリ言って、演奏は下手だし、ヴォーカルは走り気味であまりリズムにノレていないし、今から聴くとあり得ないようなレベルだ。しかし、その分勢いがあるし、ワイルドの個性は強烈だ。10年以上後のパンク・ムーブメントのバンドとしても遜色ない迫力があると思う。逆に言うと昨今のロックは小綺麗になり過ぎているのではないか。「オラオラ、どけ!下手がどうしたって?」と言わんばかりの迫力がある。実際、Kinksの頭脳であるヴォーカルのRay Daviesは病的な凄まじさがある。

2018年10月2日火曜日

やってみよう

WANIMA [ Traditional/篠原誠 ]

auの三太郎シリーズで使用され、話題になったWANIMAの曲。ロック・アレンジのカバー・バージョンで、原曲はもちろん「ピクニック」。「丘を超え行こうよ 口笛吹きつつ」という小学校でも習ったアレだ。これを歌詞だけ新しくしてヘビヴィなロック・アレンジにしている。

歌詞を見ると、ひたすらポジティブに、文字通り「やってみよう」とうながす内容だ。これだけ勢いのあるバンドに歌われると、嫌でも元気が出る。よく言われるような内容のオンパレードだが、啓発本を読んだ後のように、つい「そうだな、頑張ろうかな」という気にさせられる。

コード進行をチェックしておこう。イントロは「C・C#dim」「Dm」「F・G」で、ヴォーカルが入ってからは、「C」「F」「G・G#dim」「Am」「F・G」「C(ベースがC音・B音・A音・G音と下がる)」「Dm・G7」「C」となる。
次のパートは「G」「Am」「F(ベースがF音・E音・D音・C音と下がる)」「G」で、「やったことないことも」からは「C」「F」「G・G#dim」「Am」「C・C#dim」「Dm・F(ベースがファーミレ)」「F・G」「C」という感じ。
何度かあるベースが下がる箇所は、ベースだけでなくギターも合わせている。

繰り返しの際は「F」が「FM7」になっていたり、「C(ベースがC音・B音・A音・G音と下がる)」のところが「Em・Am」にと少しアレンジが変わるが、だいたい同じ繰り返しだ。

原曲の「ピクニック」は「C」と「F」と「G」の3コードだけで出来ている曲だと思うが、基本的には大きくは変えず、しかし「C」の時に代理コードの「Am」を使ったり、ベースを中心に下降ラインを弾いたり、半音階で上がったり(C音→C#音→D音のように)と、工夫を凝らしていて面白い。
ヘヴィメタルのようなキレの良い重低音サウンドなので、ベースのラインは非常に印象的だ。もう一つメタルっぽいのは、「初心者なんだから」の部分のように2拍3連でバチッと合わせた瞬間に休符となり、ヴォーカルのみ「なんだから」が残るようなアレンジだ。重低音サウンドでバチッと合わせるととても気持ち良い上に、直後に休符を際立たせる。古くは80年代のスラッシュ・メタル・バンドのMetallicaやAnthrax、PANTERA等が得意にしていたようなシンクロぶりだ。とてもカッコいい。

元気と勢いだけが取り柄のような雰囲気だが、その中でこういう風にバンドで合わせるのは、冷静さも併せ持たなければならず、意外に難しい。迫力あるドライヴ・サウンドでの休符もまた難しいもので、休符で雑音が入ってしまうことはよくある。そういう裏事情(?)をまったく感じさせず、ひたすら元気と勢いに任せる雰囲気を作っているのは、ひとえに実力があるという表われだ。