2018年12月4日火曜日

Jumpin' Jack Flash

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Rolling Stonesでもトップクラスの代表曲。私も好きな曲だ。何といってもカッコいいし、PVも印象的だ。

この曲がカッコいいのは、やはり何といってもリフだ。シンプルなのにカッコいい。と、いうよりカッコいいリフはシンプルでなければいけない。
しかしこのリフ、シンプルなのに意外に面白い。ちゃんと見てみよう。

まず、この曲のキーは「B」だ。だがメジャー・キーなのになぜか暗さが残るような不思議な感じがある。
イントロは「B」「E/A」の繰り返し。最初はギターのみだが、途中からドラムとベースが入って来る。このベースがポイントだし面白い。「B」に対してはもちろん「B音」で、「E」に対しても「E音」。ここまでは良いが、「A」に対し、「D音」を経て「C#音」になる。多分、「E音」から「B音」へ滑らかに繋がるようにしているだけなのだが、特に「D音」がクセモノだ。つまり「Bマイナー・スケール」の音だからだ。それで少し暗い感じになる。

続く印象的なリフは、「B」のパワーコードを2発入れた後、4弦5弦の7F、9F、3弦4弦の7Fの3音を繰り返す。これだけ印象的なリフなので、普通はベースも同じことをやるだろうし、やりたくなる。しかしStonesはやらない。なぜかずっと「B音」だ。つまりコードはずっと「B」ということだ。
このリフのパワーコードの後の3音を見てみると、コード的には「A」「B」「D」となる。どの音もそれぞれの1度5度だから、「ラミ」「シファ#」「レラ」だが、これをコード「B」として見てみると、「7度4度(11度)」「1度5度」「3度7度」となる。特に注目は3番目の「レラ」だ。イントロに続いてまた「レ」だ。また「ラ」もマイナー・スケール上の音だ。

そもそもキーが「B」での3コードは「E」と「F#」だし、ここまでに登場したコードは、ダイアトニック・コードでいえば、「B」に対して「A」ではなく「A#m(♭5)」、「D」ではなく「D#m」になるはずだ。
逆にダイアトニック・コードから探すと、一番近いのはキーを「A」と見ること。そうすると「E」も「A」も「D」もあるが、肝心の「B」が「Bm」になる。つまり、「Bメジャー」の曲なのに「Bマイナー」に聴こえるというのは、このあたりのポイントがあったということだ。
途中のギターのオカズ的なフレーズが「Bマイナー・スケール」で弾かれているところを見ると、Stonesはこの曲のキーを「Bm」と見ているのかもしれない。なかなか不思議だ。キーが「Bm」なら「D」や「A」はOKで、「E」が変だが、「Bm」の代理コードと見れば問題ない。一番変なのは出だしの「B」ということになる。

さて、次のパート「But it's all right now」の部分だが、「D」「A」「E」「B」の繰り返しだ。またもやこのコードだ。ギターがハイポジションで修飾しているが、2弦3弦でコードトーン、1弦でメロディというパターンだ。メロディの部分を見ると、「D」の時は「ファ# ミ レ」、「A」の時が「ド# シ ラ」、「E」の時が「レ ド# シ」、「B」が「ド# シ ラ」となる。やはり「Bマイナー・スケール」だ。

この曲はイントロを抜かすとこの2パートしかないことになる。Stonesの曲にはよくこのような2パートしかない曲が見られる。
それともう一つ面白いのはドラムだ。オカズがない。せいぜい「スッタンタン」となる程度だ。延々と、淡々と同じようなことを繰り返し、しかもシンバルもない。一体どういうつもりでこういうドラムにしたのだろう。これも不思議だ。

他にもStonesの曲にはキーがよくわからない曲があったりする。「Satisfaction」などが良い例だが、また改めて取り上げたいと思う。

2018年11月26日月曜日

Steal Away

Whitesnake [ D.Coverdale/M.Moody/B.Marsden/N.Murray/P.Solley/D.Dowle ]

1978年、WhitesnakeのデビューEPSnakebite(4曲入)』の収録曲で、最初期Whitesnakeのライブでの重要なレパートリーだった曲。Whitesnakeがブルースやカントリーの影響を受けていることがよく分かる曲だ。
ミッキー・ムーディ得意のスライド・ギターが使われているが、個人的には後の「Love Hunter」や「Slow An' Easy」よりも大好きな曲だ。そういえばライブ・アルバムの『Live…In The Heart Of City』の中でミッキーのソロ・タイムの中でこの曲のリフを少し弾いて、結構歓声が上がっていたなぁ。

そのスライド・ギターを見ていこう。出だしからズ太いレスポールの音で、スライドならではのラフな雰囲気を出していて、とても印象的なフレーズだ。曲の半分はこのスライドのリフだけで決まりだろう。
このスライド・ギターだが、オープンG・チューニングで弾かれている。6弦から順に「GBDGBD」でチューニングする。2~4弦はレギュラー・チューニングと同じだ。ノーマル・チューニングでも感じは出せるが、オープンGの方が何かと便利なのだ。

まず最初のリフ。オープンGなのでお間違えなきよう。同弦移動はすべてスライドで。6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8F、6弦0F、これを2回。6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、6弦7F、指で9Fを半音チョーキング、9F、4弦7Fのハーモニクス、3弦7Fのハーモニクス、2弦7Fのハーモニクス。3回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8Fまで弾いて、「C」と「B♭」のコードを弾く。3Fと1Fで、もちろんスライドっぽく下からせり上がるように。4回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、8F、4弦0F、「F(10F)」「G(12F)」となる。

途中でこのリフがオクターヴ高くなる。ヴォーカルが1オクターヴ上がったのに合わせる形だ。この時も非常に便利なのが、オープンG・チューニング。最初のリフは6弦5弦4弦で弾いていたが、それをそのまま3減2弦1弦で弾くだけだ。フィンガリングはまったく同じ。そもそもチューニングが低音弦3本と高音弦3本でオクターヴになっているのだから当たり前だ。

ノーマル・チューニングだと、2弦と3弦のチューニングが他と音程差が違うためにフィンガリングが変わってしまう。それでもあえてノーマル・チューニング用にざっと書いておくと、6弦10F、12F、5弦10F、14F、12F、10Fというような感じになるが、その後の低い「G音」は諦める。あった方が断然カッコいいが、6弦3Fなので、ポジション移動が激しい上にすぐに次の音があるので仕方がない。
2~4弦のチューニングは変わらないので気にしなくて良い。だからオクターヴ上げの場合も3弦と2弦はオープン・チューニングの時と同じで、1弦だけ気にすれば良い。しかも1弦は1音だけだ。

曲構成を見るためにコード進行を記す。Aパートは、リフのところだが、「G」「G」「G」「D」「G」「C」「B♭」「G」「G」だ。Bパートはバンドで合わせ部分で、コードで出来たリフのように弾く。「D・C/B♭G・B♭G」「G」「F・D/CG・B♭C」「C」「D・C/B♭G・B♭G」「G/B♭」で、その後、ミッキーのスライド・ソロになる。ソロのコード進行は「C」「C」「C」「C/B♭」「G」「G」「G」「G/B♭」で、これをもう1回。結構長いソロだ。一番最後の「G」のところからは、トーキング・モジュレイター使用で変化を出している。恐らくバーニーだろう。

この後、Bパートにもう一度戻る感じになるが、スタジオ版では安っぽいエレキ・ドラムの音が入っているのが少し笑える。泥くさいスライドのブルースに当時最新鋭のエレキ・ドラムの音の取り合わせ。その対比の面白さを狙ったものだろう。
ドラムといえば、この曲のドラム・パターンはマーチング・バンド形式になっていて、スネアを「タカタカ タッタカ」と叩いていて、アクセントは8ビートの3拍目ではなく、行進曲さながらに全拍に入る。右!、左!、右!、左!、2拍子だ。

この曲の良さはスライド・ギターもあるが、何といってもヴォーカルだ。普通のギターよりスライドの方がより人間らしい感じのフィーリングが出るが、人間らしさで言えばもちろんヴォーカルの方が圧倒的に上だ(当たり前)。それを見せつけられるから、スライドの上に乗っかっているヴォーカルはカッコいい。それもほぼユニゾンのようになると、双方の良いところが相乗効果のように表われるように思う。デイヴィッドのようなブルージなディープ・ボイスの持ち主のヴォーカルは最高に相性が良いと思う。

2018年11月11日日曜日

I Don't Know

Ozzy Osbourne [ O.Osbourne/B.Daisley/R.Rhoads ]

Ozzyのソロ第1弾『Blizzard of Ozz』の1曲目を飾り、当時のライブでもよく1曲目で演奏された。長いOzzyのキャリアのほぼすべてのライブで演奏されている。

ドラがフェードインして来る音(テープの逆回転かな?)の後にギターのスライド・ダウンの音(6弦15Fから)で始まり、印象的で分かりやすいリフが始まるという、ランディの曲の典型例。
「A」のコード(4弦と3弦の2F)を鳴らし、2拍目から4拍目までは5弦開放(A音)をブリッジ・ミュートで16分で刻む。続いて「B」(2本の弦の4F)を鳴らし、同じようにミュートの16分を刻む。更に「C」(2本の弦の5F)に16分の刻み。そして2拍ずつ「G」と「D」のコード。実に分かりやすい。「G」と「D」のところはノーマル・ハーモニクスの場合もある。「Crazy Train」等と並び、つい弾きたくなってしまうリフだ。

ちなみに、ライブでは合間合間にオブリガードが入る。それがかなり個性的。強力なピッキング・ハーモニクスが多いが、トリルや開放弦を利用したもの、低音でのもの、ノーマル・ハーモニクスと色々ある。歴代ギタリストの比較をする際に、オブリに注目するのも面白い。(例、ジェイクはまったく独自の細かいフレーズを入れ、ザックはランディと同じような路線で勝負等)
とりあえずここでは一番最初のヴォーカル前に入るオブリを見てみよう。弾き方は、2弦1Fと開放を3回、3弦2Fと開放を2回、4弦2Fと開放を1回、5弦3Fと開放という具合だ。シンコペーション的に最初のをもう1回多くやる場合もある。ピッキング・ハーモニクス気味に弾くと感じが出る。
何回か後には超早弾きのオブリもあって、弾き方はシンプルだがとにかく早いというのがある。3弦の5F、4F、2Fをハンマリングとプリング・オフを繰り返すパターンだが、1拍で3回ハンマリングとプリング・オフをするので、6音鳴っていることになる。1小節で24音だ。

リフもライブでは少し弾き方が違っていて、2つめのコードはオクターヴ上も一緒に弾いているように思う。つまり押さえ方は、4弦から1弦にかけて、4F、4F、7F、7Fとなる。次のコードも同様。

その次のパートのコード進行を見ていくと「G」「F」「G」「F」「G」「F」「F/ConE」「D/C・G」で最初のリフに戻る。
「F」の部分はアルペジオっぽいフレーズだが、8分で4弦3F、3弦5F、4弦3F、2弦6F、3弦5F、1弦3Fと弾く。3回目はこれをダブル・ピッキングで2音ずつ16分で弾く。曲の後半ではディストーション系のエフェクトを更にONにして(すでに充分歪んでいるのに)、「ジョォワァァァー」という音を出すというフレーズ以外でのオカズを入れている。(バンド・メンバーは「フライパン」と呼んでいたという話しを聞いた気がする)

次のパートは、スタジオ・バージョンとライブとでは結構弾き方が違っていて、スタジオ・バージョンは「Dsus4」的な感じで弾く。スタジオ・バージョンはよく譜面が出ているので、ここではライブ・バージョンを優先するが、まず5弦開放を8分で2回鳴らした後、3・4弦の7Fをダブル・チョーキングとチョーキングなし、そして7Fと5Fの音、2小節目の3拍目と4拍目が「C」と「G」。この繰り返しだ。

そしてミドル・セクション。テンポが半分になり、曲調はガラッと変わる。そして私が好きなパートでもある。
コード進行は「D」「DonC」「DonB」「F」の繰り返し。このパートでランディは3本のアコースティック・ギターで色々やっている。よりメロディックなのだが、ここでは一人で弾けるライブ・バージョンを取り上げよう。
まず、ライブではギタリストは一人なので、音はそのままで優しいピッキングに変えて弾いている。コード・アルペジオとメロディ、ところどころにオブリガードという感じのプレイだが、こちらもなかなか聴き応えがある。
まず最初の「D」は、1拍目にコードを鳴らし、ヴォーカル・メロディと同じタイミング(1回目はヴォーカルはないが)で2減でメロディを弾く。「DonB」のところは「G」かもしれないが、それれは明確に「G音」を鳴らしているからだ。「D」なら4度の音になる。
「F」の時が色々変わり、6thや9thの音も使っている。1回目は多分6弦1F、4弦0F、3弦2F、2弦3F、3F、2F、0F、3弦0Fでのアルペジオだろうと思う。2回目は2・3弦の10F、3弦の12Fのハンマリングとプリング・オフ、3・4弦の10F、4弦12Fのハンマリングとプリング・オフ、以下省略、3回目は6弦1F、1弦3F、3弦0F、4弦3F、1弦3F、3弦0F、1弦3F、5Fではないか。1弦3F、3弦0Fは9度の音、もしかしたら2弦0F(♭5)の音も入っているかもしれない。
あともう1~2パターンある。

それからソロだ。基本的にGマイナー・ペンタトニックでのプレイだが、ところどころにトリッキーなフレーズが散りばめられている感じだ。2弦10Fを押さえておいて、13Fをピックでタッピングするトリル技や、半音ずつ下がっていってスケール・アウトしたものなど、弾いていてなかなか楽しい。早弾きもあるが、結構キチッとしているので意外と弾きやすい。全部コピーしても損はないものだ。公式にはランディのライブは2種とスタジオ・バージョンがあって、どれも同じ構成のソロになっているが、よく聴くと結構あちこち変えて弾いている。ランディも楽しみながら気分で色々弾いていたということなのだろう。
ちなみに、ジェイクはこのソロを、少しだけ長く繰り返しを増やしたが大筋で似たような構成、ザックはほぼ同じように弾いていた。

見てきたように、この曲には様々なオブリガードが入っている。入れられるスペースが沢山あるということだし、ランディをできるだけ尊重しようという前提でも、ランディ自身が色々なオブリを毎回違った感じで様々に入れているのだから、勝手に色々入れても冒涜にはならないだろう。曲としてきちんと成り立ちながら色々遊べる曲というのは最高だと思う。キッチリと作られている場合が多いメタル曲にはなおさらだ。曲自体にダイナミクスもあるし、ライブ向きの曲と言えるのではないかと思う。

2018年11月6日火曜日

Hallelujah, I Love Her So

Ray Charles [ Ray Charles ]

1950年代のロックンロール・オールディーズ曲。結構有名な曲でたくさんの人がカヴァーしている。
50年代のオールディーズというと単純な3コードの曲かと思うが、この曲は結構複雑だ。パッと聴くと他の3コードの曲と同じように聴こえるので、私も長い間特に気にしていなかったが、最近テレビで偶然に耳にして、意外に面白そうな曲だと思い、初めて音をとってみた。どう解釈して良いか分からない部分もあったが、ネット上に大量に弾き方等が出ているので、それも参考にした。なかなかカッコいい曲なので、是非どうぞ。

まずメイン・リフ。キー「A」として、「ラ、ド#、レ、レ#ーミ」(ベースはもう少し動くが)というのは単にコード「A」に対するありふれたリフ。これを繰り返すような曲だが、アレンジの妙で素晴らしい曲になっている。
この2小節に渡るメインのリフにコードをつけてみる。ずっと「A」として弾いても悪くはないが、それぞれにコードを当てた方がリフが強調され、それだけで曲っぽくなる。
「A/AonC#」「D/D#dim7・E9」となる。最後の「E9」は「E」や「E7」でも構わない。これを2回繰り返し、次の展開に移る。

ざっとコード進行を書いておくと、「A」「A7 (A7#5)」「D」「D#dim7」「A/C#7」「F#m/D7」「B7/E9」「A」となる。「A7#5」は4拍目にジャッと入るだけだが、ちゃんと弾いた方がカッコいい。「E9」のところは「E69」とかただの「E」でも大丈夫。それよりもシンコペーションする部分など、リズムに気を付けて弾くべきだろう。
コードで注目すべきは「A/C#7」「F#m/D7」の部分で、最初のリフに対し、もう1種類別にコードをつけた感じになっていて、こちらの方がよりドラマチックになる。特に「C#7」が効いている。「F#m/D7」もスムーズに弾くために、ギターの場合、「F#m」を高めの10Fセーハの形で抑えた場合、「D7」も10Fセーハの形か、4弦→1弦の順に「7F 7F 7F 8F」と弾く。

続いてBパート。「D」「Ddim7」「A」「A7」「D9」「C9」「B9」「E9」がコード進行。最後の9thの連発はナシでも雰囲気は出る。Beatlesがカヴァーした音源なんかはかなりシンプルに直している。

結局パートはこれだけだ。こんなにシンプルな作りなのに素晴らしい曲だ。おそらくレイ・チャールズはピアノなので、「リフに合わせてコードを弾いていると、結果こういうコード・ネームにになりました」ということなのだろう。「A」のコードとリフのメロディを意識して弾くと自然にこんなコードになる。

2018年11月1日木曜日

Friday On My Mind

Gary Moore [ H.Vanda/G.young ]

The Easybeatsのヒット曲のカヴァーだ。1987年のアルバム『Wild Frontier』収録。

個人的には素晴らしいカヴァーだと思う。オリジナルのEasybeats版はモロに60年代のビート・バンドっぽい感じで、Beatlesの出来損ないのような雰囲気があったが、ゲイリー版は80年代仕様にブラッシュアップされてカッコ良くなっているし、ちょっとダサかったアレンジも見事に修正されている。オリジナルと比較しながら見ていくことにしよう。

まずテンポが随分遅くなった。と言っても、スローになったのではなく、Easybeatsが早すぎたのであって、ゲイリー版は普通に感じる。
そして印象的なギターのリフがキーボードに変わっている。2つめのコードは「D」にまとめられ、「A」の時のちょっとした変化が省略された。あまり効果的でなかったからやめたのだろう。
「G」のところで歪んだ激しいギターが一発入って来る。ハードロック・ゲイリーがカッコいい。
「B7」のところでリード・ギターがやっていたフレーズをシタールの音で入れている。
コーラス・ハーモニーでやっていたオカズもキーボードやシタールになっていて、だいぶ雰囲気が変わっている。

個人的にオリジナルでダサいと感じていたバンドで合わせる部分(「E/C」「AF#/BE」の部分)のアレンジが大幅に変わっていて、「C/G」「AE/AE」になっている。変な凝り方をするのではなく、シンプルにしたということか。

それから、大きな違いだと思うのが、ゲイリーのギター・バッキングがパワー・コード中心、つまり1度5度の音が強調されているということ。これはどういうことかというと、3度がないということは長短の区別が出来ないということで、「Am」→「A」はずっと同じコードに聴こえるし、特徴的な「B7」のところも「B7」なのか「Bm」なのか「B」なのか分からなくなっている。

もう一つ、結構重要だと思う変更は、サビの中に出て来る「Tonight」のコーラス・ハーモニー。3回出て来るが、1回目は「D」の時、2回目は「B7」の時、3回目はまた「D」になる。オリジナル版は、1回目は「to」が「ミソ#」、「-night」が「ファ#ラ」で、2回目は同様に「ミラ」「ファ#シ」で、3回目は「ファ#シ」「ラレ」となる。2回目の下のパートが1回目と同じで、これはつまり「B7」の調性を示す音を省略していることになる。主旋律に対して5度の音だからだ。3回目も同様。そのせいで少し不思議なコーラスになっている。
これに対しゲイリーは1回目から変化しない。メイン・ボーカルも変化しないので、つまり変化しているのはコードだけになる。「B7」の時のコーラスは5度と7度の音になりコード・トーンだ。このあたりはパワー・コードの多用と関連があるかもしれない。こちらの方がずっと現代的で良いように思う。
が、カヴァーしている他のアーティストのものを聴くとどれも原曲に従っているようだが、気にならないのだろうか?原曲へのリスペクトなのか、慣れすぎて違和感を感じなくなっているからか・・・?

サビでは、結構印象的な「F#7」の部分を、オリジナルは「トゥトゥトゥトゥ」とコーラス・ハーモニーでやっていたが、ゲイリーはキーボードで置き換えている。これでイントロからキーボードを使う必然性も出て来るというものだ。

ゲイリー版はこの後ギター・ソロが入る。ソロといっても、ゲイリーにしてはかなり控え目な部類に入る。まず、ドラムだけ残してブレイクし、キーボードでリフのようなメロディを入れる。曲調にも合わせてややエキゾチックな雰囲気。そしてギターが応えるように入る。キーボードとギターの掛け合いだ。
その後が好きだ。同じキーボードのフレーズを繰り返しながら、「Em」「Em」「GonD」「GonD」「AonC#」「AonC#」「CM7」「CM7」と進むのを2回。下降するベースに対し、ギターは5弦7Fから「ミー」「ラシー」「レミー」「ラシー」とどんどん上がっていって盛り上げる。最後は1弦22Fのチョーキングのトリルだ。そして「E」を刻んだ後、6弦開放をアームダウン。最高音から最低音だ。

この曲ではゲイリーのアレンジ力や曲の解釈の力が発揮されていると思う。原曲以上にカッコ良くするカヴァーは最高だ。それにゲイリーが変更した部分のいくつかは私もオリジナルを聴いて同意見だった部分なので、それも嬉しかった。

2018年10月26日金曜日

Friday On My Mind

The Easybeats [ H.Vanda/G.young ]

60年代のオーストラリアのバンドの曲。作曲のジョージ・ヤングはEasybeatsのリズム・ギタリストだが、ヤング4兄弟の長男。3男のマルコムと末弟のアンガスはAC/DCのギタリストとして有名。もう一人の作曲者・リード・ギターのハリー・ヴァンダもジョージとともにAC/DCのデビュー・アルバムをプロデュースしている。

そのEasybeatsの66年の曲がこの曲。60年代らしくビート系で、今聴くと結構時代を感じさせるものがある。映像も見たことがあるが、ヴォーカルのスティーヴィー・ライトが、ニヤケつつ余裕こいて歌っているように見せているのがちょっと気に食わない。ジョン・レノンの余裕感やオチョクリ感を出したいのかもしれないが、こちらは何となく小物感になっているような・・・。
曲自体は結構カッコいいのだが、アレンジがダサく、ヴォーカルもリズムに乗っていないので下手クソに聴こえる。ワイルドな勢いは感じさせるが、ちょっと外している感じ(The Whoなどもこれに近い雰囲気を醸す時があるが)。
出だしのギター・リフなどは1度5度を連発しているだけだが、結構斬新に聴こえる。アメリカっぽさは全然なくて、少しイギリスっぽいかなという感じだが、メロディも結構凝っていて独特のセンスを感じさせる不思議な魅力もある。

もう少し曲を見ていこう。独特のメロディは、ハーモニックマイナー・スケールで成り立っているからで、この時代にはほとんど聴かないものだ。偶然見つけたのか、勉強の賜物なのかは不明だが、これも斬新だ。そしてギターもこれを強調するようにメロディを弾いている。出だしのギターがシンプルなだけに、当然展開するようにハーモニック・マイナーが出て来ると曲の広がりが強調されるようだ。
もう一つのポイントはマイナーからメジャーへの露骨な変換だ。例えば「Am」の時に「ミファミレミレドシ」と来て最後に「ド#ー」と伸ばす印象的なメロディだ。最後の音以外はマイナー・コードの中でのマイナー・スケールだが、最後に3度の音が来るようにしてメジャーを強調する作戦。

歌のバックの印象的なリズム・ギターのタブ譜を載せておく。イントロは出だしと一緒だから省略してあり、いきなり歌の出だしからだ。(あくまで「オジナルが弾いている通り」ではなく、「私が弾くならこう」という感じ。例えば後半の「A」や「Dm」のところは弦飛びで違うポジションで弾いている可能性もある)
いくつかポイントがあるが、まずはコードが「B7」のところで、クロマチックに降りていくところが面白い。この時リード・ギターも印象的なフレーズを弾いている。3段目の「A」のところからはハーモニック・マイナーのメロディと絡んだフレーズで面白い。
最後の2小節は合わせるところだが、結構ダサく感じる。「C/E」のところの2拍目と4拍目の音が分からなくて悩んだが、最近休符だと知った。鳴っているのは他の楽器だったのね。



テンポがかなり早いので、意外にもテクニカルだ。ちょっと早過ぎな感じもして、そのためにヴォーカルが乗れていないのではと思わせる。

ざっとコード進行を抑えておこう。歌が入ってからはタブ譜の通りだが、「Em」「Em」「A」「D」「Em」「Em」「A」「D」「G」「G」「B7」「B7」となり、後半が「Em」「Em」「Am」「Am」「A」「A」「Dm」「Dm」「Dm」「Dm」「C/E」「AF#/BE」となりサビへ行く。サビは「A」「A」「C#m」「C#m」「A」「A」「C#m」「C#m」「D」「D」「F#7」「F#7」「Bm」「Bm」「D」「D」「B7」「B7」「D」「D」「A」「A」「E」「E」「Am」「D」「E」「Em」という感じ。結構長いが、テンポが早いので、普通の曲の1小節分で2小節くらいある。

ミュージシャンには結構人気の曲のようで、David BowieやBruce Springsteen、Gary Moore等がカヴァーしている。

一応、UKロックに分類しておこう。オーストラリアのバンドではあるが、オーストラリア人は一人もおらず、メインはイギリス人だから。

2018年10月23日火曜日

Race With Devil On Spanish Highway

Al DiMeola [ Al Dimeola ]

屈指の早弾きギタリストとして名を馳せたAl DiMeolaの代表作『Elegant Gypsy』からの1曲。ロック界のアルヴィン・リーやリッチー・ブラックモア等、早弾きギタリストと呼ばれる達人が何人もいたが、それらを遥かに凌ぐ凄腕として登場したのが、ジャズ/フュージョン界のアル・ディメオラだ。ヴァン・ヘイレンもイングヴェイも登場以前のことだ。
「早弾き」という言葉自体、一部の人以外にはそれほど使われるものでもなかったが、彼の登場以降は「早弾き」というだけで「凄い」と思われる時代になり、ロック界も含めてそれから10年以上も早弾き合戦のような時代が続くことになる。これをディメオラの影響と責任だというつもりは全くないが、彼の登場によりギター界全体が一段レベルアップしたような感じになった。まあ、ロック界ではペンタトニック、ジャズ界でもブルーノート等が全盛の中、それらが一段落ついて次のステージに上がるべき時代だったのかもしれない。
一応、ジャズというか、フュージョンに分類されるが、私個人的にはちょっとオシャレなロック・ギタリストという感じで捉えている。

で、この曲。特にディメオラの「早弾き」を世に知らしめたような1曲だ。タイトルのイメージぴったりの曲で、まさにデビルがスペインの高速道路をレースしているような曲だ。スペインを意識したメロディなのだろう。

最初から、単なる8ビートでないところに「ロックとは違うな」と思わせる。ベースとコンガのリズムが「これから何か始まるぞ」と思わせるワクワク感がある。
そして期待通り、ギターとのユニゾンでの16分音符の早弾きが登場。これは凄い。ギター、ベース、キーボードでのユニゾンも出て来るが、凄まじい限りだ。この後、バンドで合わせてブレイクしつつ、早弾きという繰り返しだ。
実際このテンポでの16分は結構早い。滅茶苦茶に早いというのではなく、キッチリとリズムに乗せた16分音符であるところが返って難しい(ロック系では符割無視の早弾きは結構多く、楽譜に書くと9連符とか11連符のような意識しているとは到底思えない符割になってしまう場合も多い)。そしてハンマリングやプリングが一切なく、すべてピッキングによる音だ。正確無比なピッキング・テクニックといえる。まさにマシンガン・ピッキング、凄いの一言。少し歪ませているとはいえ、ピッキングによる音の大小(強弱)もない。

最初のイントロの合わせが終わるといよいよ本編だ。主題のようなゆったりしたメロディ。ヂィメオラのビブラートは弦を横に揺らす(チョーキングのように)のではなく、縦(弦のテンションを強めたり弱めたりするように)に揺らす感じで、ジャークオフ(ジャックオフ)・ビブラートっぽい。コードは「Bm7 9」一発。時折11thの音も入っているようだ。
中盤には「Bm/A」「GM7/F#7・A7」のような感じになる部分もあるが、だいたい「Bm7」だ。

中盤から終盤にかけても16分音符の早弾きと2拍3連のフレーズが交互に出て来る感じで経過。ソロは基本的にダイアトニックで、このあたりはペンタトニック・ベースのロックとは決定的に違うところか。だが、それほどジャズっぽいわけでもなく、起承転結っぽく解決するわけでもない。終わり方もフェイド・アウトだし。
ドラムのグルーヴ感がさすがと言う感じだ。

余談だが、イングヴェイはこの曲を含めてディメオラを結構意識していると思う。「Trilogy Suite Op: 5」や「Krakatau」あたりに展開が少し似た部分がある。
また、HR/HMバンドのRiotが1990年にカヴァーもしている。割と忠実にコピーしている。

2018年10月21日日曜日

Inflation Blues

B.B. King [ B.B.King/A.Alexander/L.Jordan/T.Southern ]

ブルーズの王様・BBキングだ。もはやわざわざ紹介するまでもなく、ミスター・ブルーズといってもいいくらいの存在で、もちろん3大キングの他の2人やもっと古い時代のロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズ、あるいは新しい時代のステーヴィー・レイ・ヴォーン等、偉大なブルーズ・ミュージシャンはいくらでも存在するが、最も影響力のある一人がこのBBだと言っても否定できる人は少ないだろう。この1曲に絞ってもあまり意味がないが、最近聴いたBBの中でも凄さがよくわかる曲かなと思ってセレクトした。

で、BBを語る前にブルーズとは、というのに少しだけ触れる。(それがないと始まらないので)
一口にブルーズといってもあまりにも広すぎて、説明だけで膨大になってしまうので、超端的に言うと、20世紀全般に広まったアフリカ系アメリカ人の音楽の代表だということになる。もともとは黒人霊歌等をルーツに持つ悲しみを表現する音楽だが、その後幅広く広まって、ジャズにもロックにもポップスにもその影響は強く見られるようになっている。

ここでは歴史ではなく、音楽的に見ていきたい。ブルーズを語る上で絶対に避けては通れないものに「ブルーノート・スケール」がある。「ブルーな音(ノート)」とは「悲しみの音」のことだ。基本になっている「ペンタトニック・スケール」に何音か加えると「ブルーノート・スケール」になる。
例えば「Aメジャー・ペンタトニック・スケール」は「ラ シ ド# ミ ファ#」で、「Aマイナー・ペンタトニック・スケール」は「ラ ド レ ミ ソ」だが、最も多く使われるのは「メジャー」の場合は「m3rd」である「ド」、「マイナー」の場合は「♭5th」である「ミ♭」だ。ペンタトニックにこの音を足して「ブルーノート・スケール」とする場合が多いが、基本的にペンタトニック以外の音の微妙な音程操作をすべて「ブルーノート」としても問題ないように思う。特に「m3rd」「♭5th」「m7th」はその代表だが。

で、BBの凄さをここでは2点挙げておきたいと思う。
まず1点目は、微妙な音程だ。「ブルーノート」の3音「m3rd」「♭5th」「m7th」は、正確にその音というのではなく、かなり微妙な音程なのだ。ギターの場合、チョーキングで表現する場合が多いが、その音程を半音の半分、1/4 チョーキングで表現する。
例えば、「メジャー」の場合、「m3th」の音(Aスケールなら「ド」)の音を出しておいてから少しチョーキングをする。少しというのがだいたい 1/4 だ。「メジャー」の中で「m3rd」は「外れた音」だが、それを少し持ち上げる。そうすると、普通のメジャー・スケールの音に近くなるが、少しマイナーの悲しみも感じるということになる。この微妙さが感情表現になるわけだ。
(ピアノではこの微妙な音程が出せないので、トリルにしたり、半音でぶつかる2つの音を同時に鳴らしたりしてソレっぽく聴かせる)
BB(に限らずブルーズ・ミュージシャンは皆そうだが)の出す1音1音に音程による微妙な表現がつまっている。微妙に音程を変化させるにしても、最後の締めの音で使って、終わったなと思わせ、消え入る時に音程を上げたりもするので、音が聴こえなくなるギリギリまで聴かなくてはならない。1音をとても大事にするのがブルーズだ。「早弾きによる100万音よりBBの出す1音の方が凄い」と言われるのはこのあたりのことだ。

第2点目。「間」だ。音楽的に言えば「休符」だ。「音を弾かないだけなのにテクニックも何もないだろう」と思われるかもしれないが、そうではない。「弾かない」ことは「弾く」ことよりも難しい。特に腕に自信があればあるほど「どうだーーー、凄いだろーーー!」となってしまいがち。そういう最悪のブルーズ・セッションを何度も目撃したし、かく言う私自身もそういう一人だったと思う。ギターでは特に間をとることがおろそかになりがちだ。サックスやトランペットのような楽器は息継ぎが必要なので、嫌でも間を取らざるを得ないが、ギターではずっと弾き続けることが出来るからだ。
BBは歌も歌うので、そういう間を心得ているのかもしれない。この絶妙の間が取れるからこそ世界トップクラスのギタリストなのだ。逆にいえば、それ以外のギタリストは間がうまく取れないからBBには敵わない。それくらい「間」は難しいテクニックなのだ。
試しに、デタラメに適当に隙間を多めに開けてソロを弾いてみたことがある。弾いている時はその気になっていたが、自宅に帰り録音を聴いてみると退屈で仕方がない。やはり感情の高まりによる表現や他のドラムやベース等との呼吸など、色々意味があるのだ。
つまり、鳴らした音の1音1音はもちろん、鳴ってすらいない空間までがブルーズだといえる。こうなるともの凄い話しでついていけない領域だ。ほとんど宗教の領域のようだ。

ブルーズにはお決まりのコード進行のパターンがあって、この曲も例外に漏れず。12小節1パターンで、「I」「IV」「I」「I」「IV」「IV」「I」「I」「V」「V」「I」「V」の繰り返し。「I」が「A」なら「IV」は「D」、「V」は「E」となる(各コードに7thをつけるとよりソレっぽくなる)。
この決まりきったパターンの中で、休符も含めた無限の音表現をしているのだ。

2018年10月12日金曜日

Ain't No Love In The Heart Of City

Whitesnake [ Michael Price/Dan Walsh ]

初期Whitesnakeの曲でスタジオ版はデビューEPの『Snakebite』収録、ライブ・バージョンも数多く出ている。何しろ数少ない現役初期Snake曲だ。サイクス時代も、絶頂期もヴァイ期もそれ以降もずっとセットリストから外されていない。

実はこの曲はWhitesnakeのオリジナルではない。Bobby Blandがオリジナルで、イントロはギターのコード弾きで始まり、あのWhitesnake版の有名なリフはない。

しかしこの曲というと、あのリフを思い浮かべる人は多く、実際、他のアーティストがこの曲を演奏する際もWhitesnakeのリフを弾いている場合が多い。

この印象的なリフはWhitesnake初代ギタリストのミッキー・ムーディ作によるものだ。サイクス時代以降、華やかなギタリストばかりのWhitesnakeだが、サイクスより前の時代はかなり地味。このミッキーとバーニー・マースデンのコンビが初代ということになるが、ヒゲのミッキーと太めのバーニーは見た目がとても地味で、サイクス以降からWhitesnakeに入ったファンは、あまりの落差に驚き、とても受け入れ難い。
が、後世の派手なメタル・バンドという色眼鏡を外して見ればこの2人、なかなか素晴らしいツイン・ギター・コンビだ。ツイン・ギターというと、Iron MaidenやHelloween等をイメージするかもしれないが、ミッキーとバーニーの場合は本人達自らも認めているように、サザンロック・タイプのギターコンビと考えるべきだろう。
そして私はこのコンビが大好きだ。渋いブルーズ・ギタリストのミッキーとイキの良いハード・ロッカーのバーニー。音もフレーズもコンビネーションも素晴らしい。ピッキング・ハーモニクスがなくても充分にアピールするカッコ良さだと思う。初期Whitesnakeに根強いファンが多いのも頷ける。(私も長い間、メタルバンドのWhitesnakeしか受け入れられなかったのだが・・・)

この曲のリフは、ミッキーによると、Beatlesの「Come Together」と似ているのだそう。全く気付かなかったが、そういえば音使いはとても似ている。ブルージーな「m7」コードのリフということで自然に似るのだろうが、確かに下から上昇していくフレーズとかもソックリだ。
弾き方は、5弦の開放の「A音」を鳴らし、5Fから7Fへのスライドし4弦5F、3弦5F、そして、3弦5F、5弦7Fから9Fへのスライド、4弦7F、3弦7Fと、視覚的に見ると結構簡単。「Dm7」になる部分は、4弦開放の「D音」を鳴らして、5弦10Fからに全体を横に移動させたポジションになるだけだ。

PVを見ると、このリフをミッキーが弾き、バーニーはダブルネックのギターで高い音でコード弾きをしている。出だしは1弦2弦3弦の順に12F、13F、14Fを弾き、4拍目だけ14F、15F、16Fを弾いている。16Fは「B音」で、「D」コードの6thに当たる。
リズムは、オリジナルのこの曲とソックリだ。
後年のライブでは、このパートはほとんどが省略されてしまっているが、意外にもヴァイ期にスティーヴがちょっとだけ変えてこの音を弾いていた。オリジナルを知っているとも思えないので、初期Whitesnakeを勉強したのだろう。
逆に、こういう曲調に一番理解がありそうなエイドリアンは、この有名なリフを1音だけ違って弾いている。最後から2番目の音を「G音」で弾いているのだ。恐らくその前の音を4弦の4Fで弾いているからであろうが、あまり効果的とも思えないので、多分たんに間違いなのだろうと思う。(ペンタトニックの基本的な形からほぼ手を動かさずに弾けるパターンだし、最後の3音を4弦、3弦、2弦で弾くとスライドする感じとはかけ離れてしまうから)

コード進行は「Am7/D6」「Am7/D6」「Dm7」「Am7/D6」が1パターン。2度目の繰り返しは「Am7/D6」「Am7/D6」「FM7/Dm7」「Am7」と少し変わる。6thの響きがなかなかだが、最近のライブでは省略されてしまっている。
ブリッジ部は少しバンドで合わせる感じになって、「Am/C」「Dm7」「G」「Am」「Am/C」「Dm7」「G」「F/C」となって元に戻る。
サビはAメロと同じ。つまりこの曲は2パートしかないことになる。

少し面白いのはバーニーのコーラス・ハーモニーで、出だしデイヴィッドが「D音」で「Oh~」と入ってからメロディの最初が「E音」で歌い始める。これに対しバーニーは「G音」。「Am7」の5thと7thだ。次の2音目、デイヴィッドは「D音」に対しバーニーが「F#音」。ペンタトニックにはない音。ブルーノート・スケールでメロディを作る場合に、「D音」の上でハモる時にどの音を選択するかはちょっと考える。
そしてすぐ直後に「Dm7」になるので、ハーモニーが「F音」になる。半音の出し入れで、歌うのがちょっとだけ難しい分だけ楽しい。

スタジオ・バージョンでのギター・ソロ。中間のソロはミッキーで、エンディングのソロはバーニー。どちらもサイクスのような早弾きのメタル・ソロを期待するとまったく期待外れだが、ブルージーでとても味わい深いソロだ。ミッキーのソロは5thの「E音」とルートの「A音」をチョーキングとビブラートで強調した素晴らしい心震えるソロ。バーニーの方がハードロックっぽいソロだが、「G音」から入って、マイナースケール上の「F音」ではなく「F#音」が出て来るあたり、バーニーのヴォーカル・ハーモニーとリンクしている。
ライブではそれぞれのギタリストが思い思いのソロを披露しているが、どんなソロでも大抵カッコ良く決まる。ブルージーで感動的なソロになりやすいので、あまりギターの腕に自信がないギタリストにもオススメの曲だ。

2018年10月10日水曜日

Under My Thumb

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Stones1966年発表のポップな魅力がある曲だ。タイトルや歌詞の内容が少々エロいが、ここでは触れないことにする。
この時代のロック界(特にイギリス)は、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、ピアノ、オルガンといった一般的な楽器から、少し変わった音を求める風潮があって、珍しい楽器がよく使用された。Beatlesではフルートや、「Yestarday」の弦楽四重奏は有名だが、Stonesも「Paint It Black」でのシタール等があった。ギターのエフェクトで歪んだ音を積極的に使用するようになったのもこの頃。
で、この曲の場合はマリンバだ。いわゆる木琴だが、木を叩いて音を出すものだが、ロック界ではあまり使用されない珍しい楽器だ。叩くのでアタック音が非常に強い(というかそれだけだが)が、残響音が少ないからか優しい音でもある。ちなみに演奏しているのはブライン・ジョーンズ。

そのマリンバがイントロから大活躍。コード・トーンに1音加えただけのシンプルなメロディで使用されているが、とても印象的だ。そしてロックらしく、裏拍から入って、3拍目、4拍目も裏を強調している。
これがライブ盤の『Got Live If You Want It!』になると、いきなり太いギターの音になるのでだいぶ印象が変わる。テンポも早いし演奏も粗いのでポップさは完全になくなっている。

もう一つ、この曲といえば、1969年に起きたオルタモントの悲劇の曲としても結構有名。この曲を演奏中にヘルズ・エンジェルスによ黒人殺害事件が起きた。

具体的に曲を見ていくと、印象的なイントロは「F#m」「E」「D」「D」の繰り返し。Aメロも同じ。
Bメロは「A」「A」「D」「B」の3コードで、すぐにまたAメロのコード進行に戻る。
何と曲の構成はこれですべてだ。Stonesらしい2つのパートしかない曲。静かになる間奏のギター・ソロもAメロと同じコード進行。低めの音で抑えたようなソロになっている。

この曲は同時期のバンド・The Whoにカヴァーされている。Stonesの3人がマリファナ所持で逮捕された時に、Stones救済のためにレコーディングされた。The Whoも激しいバンドだが、それはキース・ムーンの手数の多いドラムによる印象によるところが大きく、それ以外はBeatlesに近いようなコーラス・ハーモニーを聴かせているので、興味のある方は聴いてみると面白いかも。