2019年5月11日土曜日

ルート8号

チョコレートチップスリーとソープランダーズ
[ Minagawa/S.Enoki ]

自分の曲ではないアマチュア・バンドの曲だが、大好きな曲。多分知っている人はまずいないと思うが、情報を知っている人がいたら是非ご連絡を頂きたいと思い、ここに掲載しています。
そもそもバンド名も曲名も作曲者もあやふやで、ステージ上で紹介している音を聴いての表記なので、あやふやだ。

その他、分かっている情報というと、1989年の明治大学の文化祭に登場した(多分)バンドでコーラスからサックスまでいる10人編成の大所帯バンドで、バンド名からすると2つのバンドが合わさったのかなと思う。チョコレートチップスリーとは「チョコレートチップ」「スリー」で3人組、するとソープランダーズは7人組かと想像するが、全部確証はない。そもそも「チョコレートチップスリー」というのもそう聞こえるだけで間違っている可能性も高い。

この曲はバンドの核・キーボードのMinagawa氏とボーカルのEnoki氏によるオリジナル曲で、適度にポップな名曲だと思う。
大所帯バンドの割に軽めのアレンジが多く、それもオシャレに感じる。キーボードが核の割にさり気ない(目立たない)アレンジに、ところどころにしか登場しないサックス、主張しないギター、コーラス部隊も目立たない。パッと聴いて目立つのは、ドラムとアイドルっぽい高音ヴォーカル、時折チョッパーを決めるベースだ。
私などは主張したくなるし、他の楽器にも主張してほしいのでどんどん前に出て、バンドの音はグチャグチャになってしまいがちなのだが、反対に曲を生かすアレンジ重視の姿勢に感銘を受けた。各パートを贅沢に使うという感じだ。

それでは具体的に曲を見ていこう。とは言っても、あまり状態の良くない古いカセットテープが1本あるだけなので、音がこもって良く聴こえないし、テープ回転の関係でチューニングが安定せず、キーも不明で音もとり切れないので私が勝手に補っている部分もある。状態の良い音を聴いてみたいものだ。

イントロからして聴き取りが厳しいのだが、シンプルな8ビートのドラムが先行した後、多分「E」「E」「F#」「F#」「A」「A」「Am」「Am」だろうと思う。最初の「E」でジャーンと入ってギターが「sus4」の音等で修飾して、「A」「Am」のところでサックスが印象的なフレーズを入れる。メジャー→マイナーがよく分かるメロディだ。

最初のAパートは、ベース音すら聴き取れないのでメロディから想像するしかないのだ7が、「E」「E」「C#m」「C#m」「F#m」「F#m」「Am」「B7」という感じだろうか。「F#m」「Am」の流れはイントロの「A」「Am」の流れと同じだ。だが、後の間奏のような部分でイントロのコードに乗せてヴォーカルがメロディを口ずさんでいるので、単純にイントロと同じかもしれない。
9thの音を意識したようなヴォーカル・メロディがさわやかで素晴らしい。他の曲でも見られるが、メロディでの9thの音の使い方がMinagawa氏らしい。

Bパートがちょっと変わっている。「A」「A」「E」「E」「G」「A」「D」「B7」「Em」「F#m」「G」「A/B7」という感じ。後半の「G」や「Em」が再び転調している感じになっていて変化をつけているし、突き抜ける高音ヴーカルも気持ち良い。

サビに当たる部分は、サビとしては随分弱い印象だ。それが不思議な印象を与える。「E」「G」「F#m」「B7」の切り返しだ。やはりメジャーとマイナーを行き来するようなメロディが印象的で、結局全編これがテーマ的だ。

最後に歌詞について。ヴォーカルのEnoki氏の作らしい。「国道8号」というと北陸道だ。さわやかな曲調のイメージ通り、5月の海を右手に見ながらドライブしているシチュエーション。「夏に向かって2人、走り続けるだけ」というので、恋人との良い思い出の曲だろうか。

このライブの後半でやったオリジナル曲はどれも素晴らしく、機会があったら取り上げてみたい。知っている人やメンバーの目にとまらないかなと期待していマス。

2019年5月9日木曜日

ひばりのドドンパ

美空ひばり
[ 米山正夫 ]

1961年の曲。Beatlesより古い時代の曲だ。
「ドドンパ」というのは曲のジャンルというかリズムの名前でマンボとかシャッフルに近い感じのリズム。

美空ひばりというと様々なジャンルの曲を歌える幅広さが凄いと思っているが、この曲も本当に素晴らしい。

まずリズムの乗せ方が上手い。この時代の日本の他の曲を聴くとリズムに乗っていない歌い方をしている歌手が非常に多いが、この曲の美空ひばりは完璧だ。リズムの取り方がちゃんとしているのだろう。

そして、声質だ。太くて倍音を多く含んだ声が素晴らしい。この声こそが美空ひばりが女王である要因であろうが、私は演奏が好きなので曲の中で歌は何分の1かの比重しかないのだが、美空ひばりだけは歌だけあれば充分聴き応えを感じる。音程も素晴らしいし。
そういえば、80年代のラジオ番組の中で「White Christmas」や「Highway Star」をアカペラで歌っているのを聴いたことがあるが、本当に素晴らしかった。「Highway Star」なんて絶叫型ハードロックで、ジャンル違いも甚だしいがあの声ならハマるのだと驚いたことがある。

この曲での「ドドンパ」の部分の最初の音は力感を込めた歌い方をしている。演歌のコブシの掛け方とも通じるような感じがするが、少し違う。この時代の少し前、50年代の黒人ロックンローラーがやりそうな感じだ。

美空ひばりの人生を見ると何となく理解出来る気がするが、古いジャズやブルーズ、そしてロック等も取り入れているのだろうし、リズムの取り方も血の中に入っているのだろう。

2019年4月8日月曜日

War Pigs

Black Sabbath [ F.Iommi/J.Osbourne/W.Ward/T.Butler ]


個人的にはBlack Sabbathで最高の曲、ロック界でも屈指の名曲だと思っている。とにかくカッコいい。この曲のカッコ良さが分からない人はそもそもBlack Sabbathはダメだろうと思う。

恒例となっているコード進行は今回は行わない。意味がないからだ。
コードは「Em」をキーに「D」や「C」といった極めて簡単なものばかりで、コード進行を書いてもよく分からないことになるだろう。
それはこの曲が主にリフとリズムで出来ているからだ。それだけにリフもリズムも本当にカッコいい。

まずイントロ。
かなりゆったりとした雰囲気の中で、ややハネ気味のベースが目立っている。ギターは充分に音を伸ばして6弦開放も織り交ぜたヘヴィさを演出したい。ドラムは、初期の映像を見ると相当な力で引っ叩いている感じだ。「戦争の豚」に対して怒りをぶつけるように叩きたい。

続いて休符の多いパート。
私は数多くの曲のカヴァーしてきたが、これはその中でも難しい曲の一つだった。それはこのパートがあるからだ。
ちゃんとハイハットでリズムを刻んでいるから、しっかり数えていれば何の問題もないのだが、私はこの曲が大好きな余り、曲に没頭してハイハットに身を任せるような状態になってしまう。その中でキッチリ合わせるのは結構難しかった。
静と動の対比でもあるので、休符はキッチリ音を消して、「ジャジャ」の部分はヘヴィな音を出したい。そして合間のオカズもクールに決めたい。

続くパートはドラムのオカズと「G/G♭/F」と半音で下がる音がカッコいいパート。ギターは待ち切れないように「G」の前に少しフィードバック音を入れても良い。

この後、ヴォーカルの入るパートと繰り返しがあった後、1回目のギター・ソロになる。
基本的に「Emペンタトニック」で自由に弾きまくって良いと思うが、出だしとか途中の一部とか終わり方はオリジナルを真似したい。意外にリズムで遊んでいるようなフレーズもあってちょっと楽しい。
最後のコード弾きの部分は一番気合いを込めてヘヴィに。

2回目のソロの前のパート。ギターのリフを残してリズムを合わせる部分。
リフの弾き方は、「5弦7F」「4弦9F」「3弦7F」のリズミック(というほどでもないが)な組み合わせだけで出来ている。実にカッコいい。「Em」「Bm」「D」と「Em」「G」「Em」を全体で合わせるだけだ。
そしてこのリフが下がっていくパート。ルート、5度、7度の音だけなので、長短は関係なく下がれる。「Em」から「D」へ、そして「C」を経て「Bm」まで同じ音使いで下がっていくだけだが、これも最高にカッコいい。Sabbathの曲にはこういうパターンが結構出て来て「これぞSabbath印」といった印象で大好きなパターンだ。

そしてソロ。近年はオジーは出だしのフレーズを観客に歌わせることも多いが、超シンプルながらカッコいいフレーズだ。
『Paranoid』のメインリフと同じように1音目に6弦開放を鳴らしてヘヴィさをアピールしたい。
そしてこのフレーズの後は自由なパートだ。ザック・ワイルドが弾くソロなどが大いに参考になるが、基本的にどんなソロでもハマるだろう。曲全体がゆったりとしたリズムなので、結構早弾きでも対比がカッコ良くなるだろうし、チョーキング等でロングトーンにしてもハマると思う。
ソロの終わりの合図は出だしのフレーズだ。

そしてソロ前のギター・リフのパートに戻る。エンディングは、オリジナルはテープの早回しでだんだん早くなり最後はオクターヴ上で終わるようになっているが、普通に終われば問題ないと思う。フェード・アウトでもないし、このオリジナルのエンディングだけは気に入らない。ライブを参考にしたいところ。

ライブはSabbathの各時代のものが聴けるし、ソロとなったOzzyも様々なバージョンが出ている。またカヴァーも色々出ていて聴き比べするのも面白いが、個人的にはSabbathの70年のパリのライブが良い。バンドの充実した演奏がカッコいいし、まだ歌詞が固まっていないのか、またはオジーが忘れただけなのか、アドリブ(?)で適当な歌詞をつけて歌っているのが楽しい。中には言葉が足りなくなって無理矢理伸ばしている部分もあって笑える。
その他、Ozzyの『Just Say Ozzy』のバージョンが好きだ。ザックのギターがカッコいい。ザックは「Sabbath大好き」を公言しているだけあって、相性が良いと思う。もちろんトニー・アイオミと比較すると音の軽さが目立ってしまうが、ギーザーに言わせれば「若さゆえだろう。気にならない」となる。私もだ。

2019年3月21日木曜日

As Tears Go By

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Rolling Stones1965年末のバラード。とても美しい曲で個人的に大好きな曲だ。「涙あふれて」という邦題がつけられた。
ミック・ジャガーが切なそうな訴えかけるような感じで歌っているのもムード満点だ。

アコースティック・ギターがメインであることや、ドラムがないこと、ストリングスが入っている点などから数ヶ月前に発表されたBeatlesの「Yesterday」の真似などと言われたりしたが、真実はともかく美しい曲であることには変わりはない。
実際のところ、アレンジ面で影響された部分はあるのだろうと思うが、コード進行やギターの弾き方、ストリングスの使い方等は「Yesterday」とは全然違うので、「真似」と言うのはまったく当たらないだろうと思う。

まずコード進行を見ておこう。
「G」「A」「C」「D」というのが基本パターン。イントロもAメロも同じ。
Bメロは「C」「D」「G/GonF#」「Em」「C」「C」「D」「D」となる。「Em」のところは普通に弾いているが、「G」から下降していくベースラインを強調してもカッコいいと思う。(つまり「Em/EmonD」にするということ)
イントロを厳密にギターのフレーズを聴くと、「A」のところに「sus4」の音が、「D」のところには「G音」がオカズ的に入っている。

ところで、この曲はミックの彼女(この曲の少し後から)のマリアンヌ・フェイスフルのデビュー曲でもある。
こちらはStonesより一足早く1964年にリリースされている。華奢で可憐なアイドルといった感じで歌声も天使のようだったが、ミックと付き合いドラッグに溺れるようになってからはキャラクターが一変、声質までしゃがれ声になってしまったというオチがある。

2019年2月25日月曜日

Sailing Ships

Whitesnake [ D.Coverdale / A.Vandenberg ]

Whitesnake1989年のアルバム『Slip Of The Tongue』のラスト・ナンバーだ。アコースティックがメインの曲で、後半はうってかわり、強烈に盛り上がる壮大なアレンジの曲。作曲はほとんどエイドリアン・ヴァンデンバーグだが、後半は完全にスティーヴ・ヴァイ・ワールドとなる。そして詞は完全にデイヴィッド・カヴァデイルの世界と、なかなか興味深い。エイドリアンが作曲し、デモを制作後に腕を故障しギターが弾けなくなってしまい、代役としてヴァイが登場するという複雑な背景を持つ当アルバムの中でも、最もそれが顕著な1曲となった。

ちなみにエイドリアンがギターを弾いたバージョンとして、97年のライブ『Starkers In Tokyo』やVandenberg's Moonkingsでのものがあるが、どちらも同じアレンジで、後半の強烈になるパートの前で曲が終わっている。このことからも、後半の盛り上がる部分はヴァイのものだということが分かる。

イントロや最初のメロディでのコード進行は同じで、「Am/GonB」「C/F」「G/FE」「Am」というもの。親指でベース音を弾き、それ以外でトップの音のメロディとアルペジオっぽい弾き方で、エイドリアンの得意パターン。シンプルなコード進行もエイドリアンっぽいし、特に最後の「Am」の部分は「Burning Heart」と似た組み立て(Am7の2弦と4弦をスライドさせるギターの運指はほぼ同じ)のフレーズがあって、エイドリアン不在のアルバム中に彼の存在が垣間見えて少し嬉しくなった記憶がある。
この最初のパートで印象的なのは、2小節目「F」の部分の一番最後、2弦の3Fから5Fにスライドさせるところ。結構目立つが、音を残すアルペジオ奏法の中なので、必然的に小指で押さえることになり意外に難しい。

次のパートは「Dm/B♭onD」「ConD/F」「B♭onD/Csus4」「G」となる。恐らくエイドリアンは「onD」ではなく、普通に弾いているはずだし、ローコードのポジションがメインで弾いているはずだ。「F」は5弦→1弦の順に「8F 7F 5F 6F 5F」と押さえる。

この2つのパートを何回か繰り返し、また、ヴァイがムードのあるギターを重ねている。このギターのオカズもとてもヴァイ的だが、曲を壊すようなものではないので良しとしよう。

そしてサビ。このサビのギターが美しい。コードは「Em/G A」を4回繰り返し、「Am/C D」「Am/C D」「C/D」「Am」となる。
直前のBパートが「G」で終わって音を伸ばしている中で、ぎたーの低い音で「ソファ#」とつなぎ、すぐにこのパートに入る。エイドリアンはそのまま弾いているようだが、ヴァイの味付けが素晴らしく、このパートだけはエイドリアンのプレイよりも美しくカッコいい。

まず「Em」を「Emadd9」で弾いていて、「G」は普通だが、「A」の時に「G」と同じパターンと思わせて、4音のうちの後半2音をわざとに高い音で弾いている。これが効果的で印象に残る。具体的には、6弦5F、5弦4Fのあと、3弦開放、2弦開放を弾き、しかもこの音をずっと残して強調する。
「Am/C D」の部分もちょっとした工夫があり、「Am」は「Amadd9」に、「C」はそのままだが、「D」は先程の「A」と似ていて、5弦5F、4弦4F、3弦開放、1弦開放で、この音が効いている。
「C/D」の部分の「C」はルートの5弦3Fを弾いた後、4、3、2弦5Fのハーモニクス(つまり「GonC」のような音になる)、「D」はルートの5弦5Fの後、4、3、2弦7Fのハーモニクスで変化をつけ、最後は「Amadd9」をジャラーンと鳴らす。

まあ、ハーモニクスの小細工はともかく、「Em/G A」の部分のバイのアイディアは最高だと思う。
この後のソロも繊細な音でなかなか素晴らしい。ヴァイのソロというとテクニカルで速弾きで狂気じみているものを連想しやすいが、こういう優しくメロディックなものも実は結構多い。

後半の盛り上がりパートはヴァイの独断場だ。速弾きのオンパレードでハーモニー・パートも多い(それも少し変わったヴァイっぽい5度のハーモニーとか)し、転調もするし、ヴァイに乗せられてかカヴァデイルもガンガンいき、限界ギリギリのハイ・トーンを披露。前半の雰囲気は完全に消し飛び、そして最後はセイリング・シップが空を飛んでしまう。カヴァデイルのハイ・トーン1音ポルタメントとヴァイのハーモニクスのアーム・ダウン音、疲労困憊で曲もアルバムも幕を閉じる。

聴き終わった際はエイドリアンらしさは忘れてヴァイ・ワールドとそれに対抗しようと頑張るカヴァデイルが印象に残るという残念な感じになる。となると、エイドリアンが再録で後半を採用しなかったのも当然となるだろう。

2019年1月24日木曜日

Smoke On The Water

Deep Purple [ R.Blackmore/I.Gillan/R.Glover/J.Lord/I.Paice ]

Deep Purple最大のヒット曲にして、HR/HM界で最も有名で、ロック界全体でも有数な曲。
これだけ有名な理由は何と言ってもリフだ。一度聴いたら忘れない、必殺のリフ。早くもなく、複雑でもなく、もともと曲もミドル・テンポだし、超シンプルなリフだ。
最初はギターのみ、そしてハイハット、スネア、ベースとだんだん入って来るアレンジも良い。その中でもドラムが16分で入って来るのが最高。

このシンプルなリフ、作ったリッチーは何となく作っただけかもしれないが、意外に色々な要素が含まれている。
音の種類としてはたった4種類の音しか出て来ない。すべて2音の和音で4度のハーモニーだ。4度というか、シンプルな5度ハーモニーの上の音をオクターヴ下げたものだ。最初の音は「レソ」でコード「Gm」に対し「ソ」はルートで、「レ」は5度。3度がないので、この音だけではメジャーかマイナーか判別出来ない。最もシンプルで単音ではないパワーがあり、ダークな感じも漂わせる音だ。
最初の3音「レソ」「ファシ♭」「ソド」は普通に4分で頭のリズムで入れるのに、繰り返しの2回目は裏で入れるカッコ良さ。そして4番目の音である「ソ#ド#」の不安定さから来るスリル。「ド#」は「Gm」でのブルーノートになる。
3回目の繰り返しはまたシンプルに頭打ちのリズムだが、3音目の「ソド」の時に全体のコードが「C」になり、これに合わせるカッコ良さ。

このリフをリッチーはアップ・ピッキングで弾いているという(高崎晃の証言)。普通アップ・ピッキングはオルタネイト・ピッキングにおいて裏のリズムの時に使う場合がほとんどだが、スピードも早くないこの曲でなぜアップ・ピッキングなのだろう? と考えれば、アップなので、当然先に高い方の音の弦にピックが当たるので、高い音が大きくなるはず。4度のハーモニーではなく、5度のハーモニーでオクターヴ下を使うという所以だ。
また、ライブでは更にドラマチックなイントロにするため(だと思う)、全体を4度下げて、即ちキーを「Dm」にして「ラレ」の音からリフを弾き始め、2回目から通常のキーに戻すというアレンジを採用していた時期もあった。

このリフや曲があまりにも簡単で覚えやすいので、バンドを始めたばかりのアマチュア・バンドが初期に採用する定番中の定番になっている。そのため「素人でも弾ける簡単なクズ曲」みたいな扱いを受けることも結構ある。つまりこの曲を練習している間は初心者、これを楽々こなすバンドは脱初級。そしてそれ以上のバンドはこの曲は相手にしない、逆に演奏しているとちょっと恥ずかしい、というような感じだ。まあ、そういう部分も理解出来るが、簡単なこととこの曲が「クズ」であることとは根本的に違う。誰にでも覚えられるような簡単でキャッチーなリフを作り出すなんて、普通まず無理だし、ここまでシンプルなのに力強さを感じさせる曲というのもそうそうない。どんなに複雑でハイ・レベルの曲を作っても、この曲の以上に万人に覚えてもらうのは不可能だろう。何しろ一時期は「国歌の次に有名な曲」と言われていたほどだ。

ヴォーカルが入った後を順に追っていくと、コード進行は「Gm」「Gm」「Gm/F」「Gm」の繰り返し。3小節目の「Gm」を「B♭」にした方が分かりやすくなるように思うが、ギターもベースもオルガンも完全に「Gm」だ。
要所要所にリフが出て来るのもハードロック曲のお手本のよう。
サビは「C」「A♭」「Gm」「Gm」の繰り返し。「A♭」が印象的だ。そしてその後の部分で、ボーカルはオクターヴのハモり、楽器もベースを中心に合わせている感じだ。キッチリと合わせた方がカッコいいように思う。

ギターソロ。これも有名なソロだ。なかなかキチッと構成されている完成されたソロなので、完コピしても損はないと思うが、実は私は完コピしたことはない。リッチーの雰囲気は残しつつ自由な発想で弾きたいからだ。だいたい出だしと最後だけリッチーのフレーズを拝借している感じ。
リッチーのソロでは、リッチーにしては比較的大人しめのソロでキチッとしている展開が続くが、「C」になるところで一気に盛り上げて開放感や爽快感があるのが凄いと思う。ここで5度(レ)の音を使うためにその前を結構長く狭い音域の中でソロをとっていたんだなと思う。
そして最後にリフをバックに弾くようになるが、そこでのチョーキングから少しずつダウンしていくところがミソだなと思う。

さて、この曲、当時に本当にあった火事のエピソードをそのまま歌詞にしていることはロック界では結構有名。歌詞にある通りスイスのレマン湖のほとりのモントルーで、フランク・ザッパのマザーズのライブの最中に観客の放った花火(信号弾のような)が引火し火事になる。その煙が湖の上に漂ったという話しだ。「water」は「レマン湖」の湖面ということになる。日本語直訳アーティスト(?)の王様の訳『湖上の煙』は正しい訳だ。

逆に言えば、歌詞は結構適当に作ったともいえる。ここまで散々称えて来て言うのも何だが、このシンプルすぎるリフもリッチーがあまりリキを入れず適当に作ったということでもある。この曲を作った当時、この曲は数が足りないから作った捨て曲で、アルバムでも後半の盛り上がり(「Lazy」と「Space Trakin'」)前の目立たない位置に配置した。もちろんライブで演奏もされなかったのだが、リリース後に高い評価を受けた後、メンバーも気に入り、今や代表曲となったというオチがある。

2019年1月9日水曜日

The Show Must Go On

Queen [ Brian May / John Deacon / Roger Taylor ]

Queenの実質的ラスト・アルバムのラストを飾る曲。初めて聴いた時はそれほどピンと来ず、Bon Joviの「Runaway」をスローにしたようなよくあるリフだなと思ったくらいだったが、その頃からフレディのボーカルは凄いと思っていた。
Queenの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』では一番最後のエンド・ロールの時にかかる曲。その前が「Don't Stop Me Now」で実際のフレディの姿が映った後にこの曲。個人的に一番泣けたのは映像がないこの部分だった。

リリースから1年も経たない間にフレディ・マーキュリーが亡くなってしまい、重々しい決意表明のような曲は涙なくしては聴けない曲になってしまった。「ショーを続けよう(続けなくてはいけない)」という感じだ。
この曲でのフレディは、正に全身全霊をかけて歌っているようで、まるでこれが最後のレコーディングになることを予見していたかのよう。作者のブライアン・メイもボーカルのメロディ・ラインが高すぎることを危惧していたようだが、体調が芳しくないフレディが見事に歌い切っており、感動ものだ。

高音のボーカルが続くが、やはりフレディはロック・ボーカリストと思わせる盛り上げ方や迫力がさすがだ。
ブリッジ部の転調するパートは、フレディの優しさや美しさを感じさせる。と思ったらすぐに元の重々しい雰囲気に戻る変幻自在さも健在だ。

だが、鳥肌ものはそこではない。サビで「The show must go on」と歌った後の「Inside my heart is breaking~」の部分をよく覚えておいてほしい。その上でギター・ソロの後のサビでの同じ部分、歌詞は「I'll face it with a grin, I'm never giving in, on with the show」の部分。歌詞も凄いが、やはりボーカルだ。
これがなくても充分ハイトーン・ボーカルなのに、この天にも昇るようなメロディとフレディの歌いっぷりはどうだ。信じられない。何も知らなかった昔に聴いた時も涙が出そうになるほど感動したが、フレディの死という背景を知った今ではもはや涙を止めることは出来ない。

ざっとコード進行を追っておこう。
キーは「Bm」だ。ギターで弾く場合(特にアコースティック)は「Am」にして弾くか、2Fにカポをしてコードのポジションを「Am」にして弾くと開放弦の関係で弾きやすくなる。ここでは「Am」として示すので注意してほしい。バンド形式の1ギタリストの立場なら「Bm」のままで充分だ。

まずイントロのリフ。コード的には「Am」「Am」「F」「F」「Dm」「E」「Dm」「Dm」だ。このうち「Am」の場合は1音が動いて変化をつける。3度の音が2度、4度、3度と変わる。「F」の時も同じ音で、度数でいうと5度、♭5度、6度、5度のようになる。「Dm」の時も7度、6度、「E」の時は「E7sus4」のような形になる。
この曲で驚くのは、ほとんどこの4つのコードだけで出来ている点だ。イントロからサビも最初のメロディも同一。2番目のパートは全体が1音上がるだけで、進行的には同じで、「Bm」「Bm」「G」「G」「Em」「F#」「Em」となるだけ。この際の戻し方は、「Dm」「Am」と繋ぐだけ。また、この転調に入る部分は「Em9」のような音、即ちアルペジオで「ファ# ミ シ ソ」というフレーズが印象的。

唯一、ギター・ソロの後のブリッジ部のみ全然違うパターンになる。重々しい雰囲気を散々聴かされた後だけに、このブリッジ部はハッとするようなパートだ。フレディはとても美しく歌っているが、音をよるのが意外に難しい。コードは「E♭/F」「Dm/Gm」「E♭/F」「Dm/Gm」「Bdim/ConB」「C」となる。そしてすぐに元に戻る。

この曲のブライアンのソロも素晴らしい。短いがハッキリと組み立てが分かる考えられたソロだ。

2018年12月25日火曜日

Bohemian Rhapsody

Queen [ Freddie Mercury ]

Queenの代表曲というだけではなくロック界全体の代表曲。本当に凄い曲だ。
Queenはもともとオペラっぽいコーラス・ワークの曲が多いグループだったが、この曲はその極致で、中盤はまさにオペラそのものといえるほどだ。
今上映中の映画『ボヘミアン・ラプソディー』も良いが、この曲で映画というと個人的には1992年の『ウェインズ・ワールド』を思い出す。バカバカしいコメディだが、この曲のシーンは最高だ。

曲は組曲のように全然違う雰囲気のパートがいくつもある。まず出だしは重厚なアカペラ・ハーモニー。続いてピアノの弾き語りによる静かなバラード。それにバンドが加わってきてだんだん盛り上がる。すると中盤にイキナリ曲調が変わる。まんまオペラだ。よほど人がいないとライブでは再現不可能というくらい作り込まれている。そしてまたイリナリ変わる。一転してハードロックになり、最後は前半のピアノのバラード調、アウトロで少しだけアカペラの雰囲気に戻るという構成。文字で書いても結構複雑だ。
重要なポイントだと思うのは、ピアノのバラードとオペラ部との対比だ。これがこの曲の肝。普通はキレイなバラードで纏めて終わるはずだ。「人を殺してしまい、人生もう終わりだ。皆とも別れなければならないが、どうか悲しまないでこれからも生きていってください」というような内容を美しく歌い上げる。ところがオペラになると一転、人間の本性が出る。色々な解釈があるが、心の内を歌っているのは間違いないだろう。不安な様子、心の葛藤を歌っているのも間違いないだろう。キレイ事で終わらないのがさすがだし、ロックだ。
ハードロック調の部分は更にハッキリと本音が出て、不安を通り越して開き直る。「そんならお前は俺に石を投げつけようって言うんだな」「唾を吐きかけようっていうんだな」という感じだ。
そして最後は「どっちにしろ風は吹く」という感じに悟りの境地に達する。

曲を見ていこう。かなり複雑だ。まずアカペラの重厚なハーモニー。4声を何回かオーバーダビングしているようだが、実際に歌うのは出だしからなかなか難しい。最初の音は下から「レ♭ ファ ソ シ♭」だが、特に「ファ」と「ソ」を同時に歌うのが難しい。レコーディングでは別録りだろうが、それでも難しい。コード的には「Gm7」「C7」「F7」「B♭」「Gm7」「B♭7」「E♭」「Cm7」「F7」「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「E♭/B♭onD」「D♭dim/F7onC」「F7onC」で次のパートへ入る。コード進行を見ただけでも難しそうだ。ピアノでコードを鳴らすだけでも結構楽しい。

次のピアノ・パートは「B♭」からアルペジオのように弾く。フレディは3拍目(ソ)と4拍目(ファ)の時にオクターヴ高い音を左手で加えて印象付けている。2小節のイントロの後の歌の部分から「B♭」「Gm」「Cm」「Cm7/F7」「B♭」「Gm」「Cm/Baug・E♭onB♭」「Am7♭5/A♭M7・E♭onG」で、後半は「E♭」「Cm」「Fm(ベースがファ ミ ミ♭ レと下りていく)」「B♭7」「E♭/B♭onD」「Cm/A♭m7」「E♭/A♭・E♭・Edim・Fm7onE♭」で「B♭」に戻る。コード・ナームにすると難しそうだが、弾いてみると意外と難しくなく、フレディが歌いながら音を探して作曲したのが見えるように、結構生々しい感じがする。
この後繰り返しとギター・ソロのパート。ブライアン・メイのハンド・ビブラートとタメ、そして特徴あるギターの音が素晴らしい。ベースが下りていく何度かめの「Fm」の後、更に「D♭ C B B♭」と下りて、「A」の四分打ちに変わる。ここからいよいよオペラ・パートだ。

ピアノがメインなのは変わらない。コードを見ると2小節のイントロの後の歌の部分から、「D A Adim A」「D A Adim A」「D A D A」「Adim A D A」「D♭onA♭/A♭7」「ConG/E7」「A」という感じ。この後が「ガリレオ」の部分。「I'm just a Poor boy nobody love me」の直前が「E」で、「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭/E♭onG」「F/B♭」「A♭ E♭onG F#dim Fm7」という感じで続く。この部分の最後の
この後、コードを示すだけではよく分からないのでこの後は省略するが、4声の重厚なハーモニーだ。オペラ・パートの最後の「B♭7」を伸ばすところなどは、5声か6声くらいになっている。

そして今度はハードロック・パート。複雑なオペラ・パートの後だけにシンプルなギター・リフがとてもカッコ良い。コードもほとんど「E♭」と「B♭」「A♭」のみのシンプルさ。前のパートの続きなのでちょっと変なキーだが、ギターではあまり関係ない。このパートの後半で3連符で上昇するフレーズが良い。そしてそれをピアノが引継ぎ、次のパートへと移る。素晴らしい。
「E♭/B♭onD」と次の「Cm」の部分でギターがコード・トーンを鳴らし、その後のハーモニー・パートが実に美しい。ビデオ・クリップを見るとブライアンがライト・ハンド奏法のような右手の動きを見せるが、ここにライト・ハンドは出て来ておらず、おそらく指でピッキングのニュアンスをコントロールしているのだろう。
「Nothing really matters」の部分からは「Cm/Gm」「Cm/Gm」「Cm/A♭m7」「A♭onB♭」「E/A♭onE」「E/E♭dim」「B♭monD/onD♭」「C7」「C7/F」と来て、最後に「B♭ FonA BdimonA♭ C7sus4onG」「F」で終幕。
「A♭m7」や「A♭」の使い方など、最後までフレディっぽく流石と思わせる。

一番最後の4拍全部違うコードのところもとても難しそうだが、実際は「シ♭ レ」「ラ ド」「ラ♭ シ」「ソ シ♭」と下がっていき、間に「ファ」を挟んでいるだけで、とてもシンプル。それを無理にコード・ネームにしているだけで、曲全体的にそんな感じだ。弾いてみると、コードはそれほど難しくない。
だが、長くて複雑な曲を完璧に把握することと、1音1音意味を込めて弾くこと、そして何といってもコーラス・ワークに重点を置いて演奏するのは至難の業といえる。だからこそ、すべてを再現ではなく、ピアノ等でコードを追っているだけでも結構楽しいものだと思う。

2018年12月4日火曜日

Jumpin' Jack Flash

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Rolling Stonesでもトップクラスの代表曲。私も好きな曲だ。何といってもカッコいいし、PVも印象的だ。

この曲がカッコいいのは、やはり何といってもリフだ。シンプルなのにカッコいい。と、いうよりカッコいいリフはシンプルでなければいけない。
しかしこのリフ、シンプルなのに意外に面白い。ちゃんと見てみよう。

まず、この曲のキーは「B」だ。だがメジャー・キーなのになぜか暗さが残るような不思議な感じがある。
イントロは「B」「E/A」の繰り返し。最初はギターのみだが、途中からドラムとベースが入って来る。このベースがポイントだし面白い。「B」に対してはもちろん「B音」で、「E」に対しても「E音」。ここまでは良いが、「A」に対し、「D音」を経て「C#音」になる。多分、「E音」から「B音」へ滑らかに繋がるようにしているだけなのだが、特に「D音」がクセモノだ。つまり「Bマイナー・スケール」の音だからだ。それで少し暗い感じになる。

続く印象的なリフは、「B」のパワーコードを2発入れた後、4弦5弦の7F、9F、3弦4弦の7Fの3音を繰り返す。これだけ印象的なリフなので、普通はベースも同じことをやるだろうし、やりたくなる。しかしStonesはやらない。なぜかずっと「B音」だ。つまりコードはずっと「B」ということだ。
このリフのパワーコードの後の3音を見てみると、コード的には「A」「B」「D」となる。どの音もそれぞれの1度5度だから、「ラミ」「シファ#」「レラ」だが、これをコード「B」として見てみると、「7度4度(11度)」「1度5度」「3度7度」となる。特に注目は3番目の「レラ」だ。イントロに続いてまた「レ」だ。また「ラ」もマイナー・スケール上の音だ。

そもそもキーが「B」での3コードは「E」と「F#」だし、ここまでに登場したコードは、ダイアトニック・コードでいえば、「B」に対して「A」ではなく「A#m(♭5)」、「D」ではなく「D#m」になるはずだ。
逆にダイアトニック・コードから探すと、一番近いのはキーを「A」と見ること。そうすると「E」も「A」も「D」もあるが、肝心の「B」が「Bm」になる。つまり、「Bメジャー」の曲なのに「Bマイナー」に聴こえるというのは、このあたりのポイントがあったということだ。
途中のギターのオカズ的なフレーズが「Bマイナー・スケール」で弾かれているところを見ると、Stonesはこの曲のキーを「Bm」と見ているのかもしれない。なかなか不思議だ。キーが「Bm」なら「D」や「A」はOKで、「E」が変だが、「Bm」の代理コードと見れば問題ない。一番変なのは出だしの「B」ということになる。

さて、次のパート「But it's all right now」の部分だが、「D」「A」「E」「B」の繰り返しだ。またもやこのコードだ。ギターがハイポジションで修飾しているが、2弦3弦でコードトーン、1弦でメロディというパターンだ。メロディの部分を見ると、「D」の時は「ファ# ミ レ」、「A」の時が「ド# シ ラ」、「E」の時が「レ ド# シ」、「B」が「ド# シ ラ」となる。やはり「Bマイナー・スケール」だ。

この曲はイントロを抜かすとこの2パートしかないことになる。Stonesの曲にはよくこのような2パートしかない曲が見られる。
それともう一つ面白いのはドラムだ。オカズがない。せいぜい「スッタンタン」となる程度だ。延々と、淡々と同じようなことを繰り返し、しかもシンバルもない。一体どういうつもりでこういうドラムにしたのだろう。これも不思議だ。

他にもStonesの曲にはキーがよくわからない曲があったりする。「Satisfaction」などが良い例だが、また改めて取り上げたいと思う。

2018年11月26日月曜日

Steal Away

Whitesnake [ D.Coverdale/M.Moody/B.Marsden/N.Murray/P.Solley/D.Dowle ]

1978年、WhitesnakeのデビューEPSnakebite(4曲入)』の収録曲で、最初期Whitesnakeのライブでの重要なレパートリーだった曲。Whitesnakeがブルースやカントリーの影響を受けていることがよく分かる曲だ。
ミッキー・ムーディ得意のスライド・ギターが使われているが、個人的には後の「Love Hunter」や「Slow An' Easy」よりも大好きな曲だ。そういえばライブ・アルバムの『Live…In The Heart Of City』の中でミッキーのソロ・タイムの中でこの曲のリフを少し弾いて、結構歓声が上がっていたなぁ。

そのスライド・ギターを見ていこう。出だしからズ太いレスポールの音で、スライドならではのラフな雰囲気を出していて、とても印象的なフレーズだ。曲の半分はこのスライドのリフだけで決まりだろう。
このスライド・ギターだが、オープンG・チューニングで弾かれている。6弦から順に「GBDGBD」でチューニングする。2~4弦はレギュラー・チューニングと同じだ。ノーマル・チューニングでも感じは出せるが、オープンGの方が何かと便利なのだ。

まず最初のリフ。オープンGなのでお間違えなきよう。同弦移動はすべてスライドで。6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8F、6弦0F、これを2回。6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、6弦7F、指で9Fを半音チョーキング、9F、4弦7Fのハーモニクス、3弦7Fのハーモニクス、2弦7Fのハーモニクス。3回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8Fまで弾いて、「C」と「B♭」のコードを弾く。3Fと1Fで、もちろんスライドっぽく下からせり上がるように。4回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、8F、4弦0F、「F(10F)」「G(12F)」となる。

途中でこのリフがオクターヴ高くなる。ヴォーカルが1オクターヴ上がったのに合わせる形だ。この時も非常に便利なのが、オープンG・チューニング。最初のリフは6弦5弦4弦で弾いていたが、それをそのまま3減2弦1弦で弾くだけだ。フィンガリングはまったく同じ。そもそもチューニングが低音弦3本と高音弦3本でオクターヴになっているのだから当たり前だ。

ノーマル・チューニングだと、2弦と3弦のチューニングが他と音程差が違うためにフィンガリングが変わってしまう。それでもあえてノーマル・チューニング用にざっと書いておくと、6弦10F、12F、5弦10F、14F、12F、10Fというような感じになるが、その後の低い「G音」は諦める。あった方が断然カッコいいが、6弦3Fなので、ポジション移動が激しい上にすぐに次の音があるので仕方がない。
2~4弦のチューニングは変わらないので気にしなくて良い。だからオクターヴ上げの場合も3弦と2弦はオープン・チューニングの時と同じで、1弦だけ気にすれば良い。しかも1弦は1音だけだ。

曲構成を見るためにコード進行を記す。Aパートは、リフのところだが、「G」「G」「G」「D」「G」「C」「B♭」「G」「G」だ。Bパートはバンドで合わせ部分で、コードで出来たリフのように弾く。「D・C/B♭G・B♭G」「G」「F・D/CG・B♭C」「C」「D・C/B♭G・B♭G」「G/B♭」で、その後、ミッキーのスライド・ソロになる。ソロのコード進行は「C」「C」「C」「C/B♭」「G」「G」「G」「G/B♭」で、これをもう1回。結構長いソロだ。一番最後の「G」のところからは、トーキング・モジュレイター使用で変化を出している。恐らくバーニーだろう。

この後、Bパートにもう一度戻る感じになるが、スタジオ版では安っぽいエレキ・ドラムの音が入っているのが少し笑える。泥くさいスライドのブルースに当時最新鋭のエレキ・ドラムの音の取り合わせ。その対比の面白さを狙ったものだろう。
ドラムといえば、この曲のドラム・パターンはマーチング・バンド形式になっていて、スネアを「タカタカ タッタカ」と叩いていて、アクセントは8ビートの3拍目ではなく、行進曲さながらに全拍に入る。右!、左!、右!、左!、2拍子だ。

この曲の良さはスライド・ギターもあるが、何といってもヴォーカルだ。普通のギターよりスライドの方がより人間らしい感じのフィーリングが出るが、人間らしさで言えばもちろんヴォーカルの方が圧倒的に上だ(当たり前)。それを見せつけられるから、スライドの上に乗っかっているヴォーカルはカッコいい。それもほぼユニゾンのようになると、双方の良いところが相乗効果のように表われるように思う。デイヴィッドのようなブルージなディープ・ボイスの持ち主のヴォーカルは最高に相性が良いと思う。