2019年1月24日木曜日

Smoke On The Water

Deep Purple [ R.Blackmore/I.Gillan/R.Glover/J.Lord/I.Paice ]

Deep Purple最大のヒット曲にして、HR/HM界で最も有名で、ロック界全体でも有数な曲。
これだけ有名な理由は何と言ってもリフだ。一度聴いたら忘れない、必殺のリフ。早くもなく、複雑でもなく、もともと曲もミドル・テンポだし、超シンプルなリフだ。
最初はギターのみ、そしてハイハット、スネア、ベースとだんだん入って来るアレンジも良い。その中でもドラムが16分で入って来るのが最高。

このシンプルなリフ、作ったリッチーは何となく作っただけかもしれないが、意外に色々な要素が含まれている。
音の種類としてはたった4種類の音しか出て来ない。すべて2音の和音で4度のハーモニーだ。4度というか、シンプルな5度ハーモニーの上の音をオクターヴ下げたものだ。最初の音は「レソ」でコード「Gm」に対し「ソ」はルートで、「レ」は5度。3度がないので、この音だけではメジャーかマイナーか判別出来ない。最もシンプルで単音ではないパワーがあり、ダークな感じも漂わせる音だ。
最初の3音「レソ」「ファシ♭」「ソド」は普通に4分で頭のリズムで入れるのに、繰り返しの2回目は裏で入れるカッコ良さ。そして4番目の音である「ソ#ド#」の不安定さから来るスリル。「ド#」は「Gm」でのブルーノートになる。
3回目の繰り返しはまたシンプルに頭打ちのリズムだが、3音目の「ソド」の時に全体のコードが「C」になり、これに合わせるカッコ良さ。

このリフをリッチーはアップ・ピッキングで弾いているという(高崎晃の証言)。普通アップ・ピッキングはオルタネイト・ピッキングにおいて裏のリズムの時に使う場合がほとんどだが、スピードも早くないこの曲でなぜアップ・ピッキングなのだろう? と考えれば、アップなので、当然先に高い方の音の弦にピックが当たるので、高い音が大きくなるはず。4度のハーモニーではなく、5度のハーモニーでオクターヴ下を使うという所以だ。
また、ライブでは更にドラマチックなイントロにするため(だと思う)、全体を4度下げて、即ちキーを「Dm」にして「ラレ」の音からリフを弾き始め、2回目から通常のキーに戻すというアレンジを採用していた時期もあった。

このリフや曲があまりにも簡単で覚えやすいので、バンドを始めたばかりのアマチュア・バンドが初期に採用する定番中の定番になっている。そのため「素人でも弾ける簡単なクズ曲」みたいな扱いを受けることも結構ある。つまりこの曲を練習している間は初心者、これを楽々こなすバンドは脱初級。そしてそれ以上のバンドはこの曲は相手にしない、逆に演奏しているとちょっと恥ずかしい、というような感じだ。まあ、そういう部分も理解出来るが、簡単なこととこの曲が「クズ」であることとは根本的に違う。誰にでも覚えられるような簡単でキャッチーなリフを作り出すなんて、普通まず無理だし、ここまでシンプルなのに力強さを感じさせる曲というのもそうそうない。どんなに複雑でハイ・レベルの曲を作っても、この曲の以上に万人に覚えてもらうのは不可能だろう。何しろ一時期は「国歌の次に有名な曲」と言われていたほどだ。

ヴォーカルが入った後を順に追っていくと、コード進行は「Gm」「Gm」「Gm/F」「Gm」の繰り返し。3小節目の「Gm」を「B♭」にした方が分かりやすくなるように思うが、ギターもベースもオルガンも完全に「Gm」だ。
要所要所にリフが出て来るのもハードロック曲のお手本のよう。
サビは「C」「A♭」「Gm」「Gm」の繰り返し。「A♭」が印象的だ。そしてその後の部分で、ボーカルはオクターヴのハモり、楽器もベースを中心に合わせている感じだ。キッチリと合わせた方がカッコいいように思う。

ギターソロ。これも有名なソロだ。なかなかキチッと構成されている完成されたソロなので、完コピしても損はないと思うが、実は私は完コピしたことはない。リッチーの雰囲気は残しつつ自由な発想で弾きたいからだ。だいたい出だしと最後だけリッチーのフレーズを拝借している感じ。
リッチーのソロでは、リッチーにしては比較的大人しめのソロでキチッとしている展開が続くが、「C」になるところで一気に盛り上げて開放感や爽快感があるのが凄いと思う。ここで5度(レ)の音を使うためにその前を結構長く狭い音域の中でソロをとっていたんだなと思う。
そして最後にリフをバックに弾くようになるが、そこでのチョーキングから少しずつダウンしていくところがミソだなと思う。

さて、この曲、当時に本当にあった火事のエピソードをそのまま歌詞にしていることはロック界では結構有名。歌詞にある通りスイスのレマン湖のほとりのモントルーで、フランク・ザッパのマザーズのライブの最中に観客の放った花火(信号弾のような)が引火し火事になる。その煙が湖の上に漂ったという話しだ。「water」は「レマン湖」の湖面ということになる。日本語直訳アーティスト(?)の王様の訳『湖上の煙』は正しい訳だ。

逆に言えば、歌詞は結構適当に作ったともいえる。ここまで散々称えて来て言うのも何だが、このシンプルすぎるリフもリッチーがあまりリキを入れず適当に作ったということでもある。この曲を作った当時、この曲は数が足りないから作った捨て曲で、アルバムでも後半の盛り上がり(「Lazy」と「Space Trakin'」)前の目立たない位置に配置した。もちろんライブで演奏もされなかったのだが、リリース後に高い評価を受けた後、メンバーも気に入り、今や代表曲となったというオチがある。

2019年1月9日水曜日

The Show Must Go On

Queen [ Brian May / John Deacon / Roger Taylor ]

Queenの実質的ラスト・アルバムのラストを飾る曲。初めて聴いた時はそれほどピンと来ず、Bon Joviの「Runaway」をスローにしたようなよくあるリフだなと思ったくらいだったが、その頃からフレディのボーカルは凄いと思っていた。
Queenの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』では一番最後のエンド・ロールの時にかかる曲。その前が「Don't Stop Me Now」で実際のフレディの姿が映った後にこの曲。個人的に一番泣けたのは映像がないこの部分だった。

リリースから1年も経たない間にフレディ・マーキュリーが亡くなってしまい、重々しい決意表明のような曲は涙なくしては聴けない曲になってしまった。「ショーを続けよう(続けなくてはいけない)」という感じだ。
この曲でのフレディは、正に全身全霊をかけて歌っているようで、まるでこれが最後のレコーディングになることを予見していたかのよう。作者のブライアン・メイもボーカルのメロディ・ラインが高すぎることを危惧していたようだが、体調が芳しくないフレディが見事に歌い切っており、感動ものだ。

高音のボーカルが続くが、やはりフレディはロック・ボーカリストと思わせる盛り上げ方や迫力がさすがだ。
ブリッジ部の転調するパートは、フレディの優しさや美しさを感じさせる。と思ったらすぐに元の重々しい雰囲気に戻る変幻自在さも健在だ。

だが、鳥肌ものはそこではない。サビで「The show must go on」と歌った後の「Inside my heart is breaking~」の部分をよく覚えておいてほしい。その上でギター・ソロの後のサビでの同じ部分、歌詞は「I'll face it with a grin, I'm never giving in, on with the show」の部分。歌詞も凄いが、やはりボーカルだ。
これがなくても充分ハイトーン・ボーカルなのに、この天にも昇るようなメロディとフレディの歌いっぷりはどうだ。信じられない。何も知らなかった昔に聴いた時も涙が出そうになるほど感動したが、フレディの死という背景を知った今ではもはや涙を止めることは出来ない。

ざっとコード進行を追っておこう。
キーは「Bm」だ。ギターで弾く場合(特にアコースティック)は「Am」にして弾くか、2Fにカポをしてコードのポジションを「Am」にして弾くと開放弦の関係で弾きやすくなる。ここでは「Am」として示すので注意してほしい。バンド形式の1ギタリストの立場なら「Bm」のままで充分だ。

まずイントロのリフ。コード的には「Am」「Am」「F」「F」「Dm」「E」「Dm」「Dm」だ。このうち「Am」の場合は1音が動いて変化をつける。3度の音が2度、4度、3度と変わる。「F」の時も同じ音で、度数でいうと5度、♭5度、6度、5度のようになる。「Dm」の時も7度、6度、「E」の時は「E7sus4」のような形になる。
この曲で驚くのは、ほとんどこの4つのコードだけで出来ている点だ。イントロからサビも最初のメロディも同一。2番目のパートは全体が1音上がるだけで、進行的には同じで、「Bm」「Bm」「G」「G」「Em」「F#」「Em」となるだけ。この際の戻し方は、「Dm」「Am」と繋ぐだけ。また、この転調に入る部分は「Em9」のような音、即ちアルペジオで「ファ# ミ シ ソ」というフレーズが印象的。

唯一、ギター・ソロの後のブリッジ部のみ全然違うパターンになる。重々しい雰囲気を散々聴かされた後だけに、このブリッジ部はハッとするようなパートだ。フレディはとても美しく歌っているが、音をよるのが意外に難しい。コードは「E♭/F」「Dm/Gm」「E♭/F」「Dm/Gm」「Bdim/ConB」「C」となる。そしてすぐに元に戻る。

この曲のブライアンのソロも素晴らしい。短いがハッキリと組み立てが分かる考えられたソロだ。

2018年12月25日火曜日

Bohemian Rhapsody

Queen [ Freddie Mercury ]

Queenの代表曲というだけではなくロック界全体の代表曲。本当に凄い曲だ。
Queenはもともとオペラっぽいコーラス・ワークの曲が多いグループだったが、この曲はその極致で、中盤はまさにオペラそのものといえるほどだ。
今上映中の映画『ボヘミアン・ラプソディー』も良いが、この曲で映画というと個人的には1992年の『ウェインズ・ワールド』を思い出す。バカバカしいコメディだが、この曲のシーンは最高だ。

曲は組曲のように全然違う雰囲気のパートがいくつもある。まず出だしは重厚なアカペラ・ハーモニー。続いてピアノの弾き語りによる静かなバラード。それにバンドが加わってきてだんだん盛り上がる。すると中盤にイキナリ曲調が変わる。まんまオペラだ。よほど人がいないとライブでは再現不可能というくらい作り込まれている。そしてまたイリナリ変わる。一転してハードロックになり、最後は前半のピアノのバラード調、アウトロで少しだけアカペラの雰囲気に戻るという構成。文字で書いても結構複雑だ。
重要なポイントだと思うのは、ピアノのバラードとオペラ部との対比だ。これがこの曲の肝。普通はキレイなバラードで纏めて終わるはずだ。「人を殺してしまい、人生もう終わりだ。皆とも別れなければならないが、どうか悲しまないでこれからも生きていってください」というような内容を美しく歌い上げる。ところがオペラになると一転、人間の本性が出る。色々な解釈があるが、心の内を歌っているのは間違いないだろう。不安な様子、心の葛藤を歌っているのも間違いないだろう。キレイ事で終わらないのがさすがだし、ロックだ。
ハードロック調の部分は更にハッキリと本音が出て、不安を通り越して開き直る。「そんならお前は俺に石を投げつけようって言うんだな」「唾を吐きかけようっていうんだな」という感じだ。
そして最後は「どっちにしろ風は吹く」という感じに悟りの境地に達する。

曲を見ていこう。かなり複雑だ。まずアカペラの重厚なハーモニー。4声を何回かオーバーダビングしているようだが、実際に歌うのは出だしからなかなか難しい。最初の音は下から「レ♭ ファ ソ シ♭」だが、特に「ファ」と「ソ」を同時に歌うのが難しい。レコーディングでは別録りだろうが、それでも難しい。コード的には「Gm7」「C7」「F7」「B♭」「Gm7」「B♭7」「E♭」「Cm7」「F7」「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「E♭/B♭onD」「D♭dim/F7onC」「F7onC」で次のパートへ入る。コード進行を見ただけでも難しそうだ。ピアノでコードを鳴らすだけでも結構楽しい。

次のピアノ・パートは「B♭」からアルペジオのように弾く。フレディは3拍目(ソ)と4拍目(ファ)の時にオクターヴ高い音を左手で加えて印象付けている。2小節のイントロの後の歌の部分から「B♭」「Gm」「Cm」「Cm7/F7」「B♭」「Gm」「Cm/Baug・E♭onB♭」「Am7♭5/A♭M7・E♭onG」で、後半は「E♭」「Cm」「Fm(ベースがファ ミ ミ♭ レと下りていく)」「B♭7」「E♭/B♭onD」「Cm/A♭m7」「E♭/A♭・E♭・Edim・Fm7onE♭」で「B♭」に戻る。コード・ナームにすると難しそうだが、弾いてみると意外と難しくなく、フレディが歌いながら音を探して作曲したのが見えるように、結構生々しい感じがする。
この後繰り返しとギター・ソロのパート。ブライアン・メイのハンド・ビブラートとタメ、そして特徴あるギターの音が素晴らしい。ベースが下りていく何度かめの「Fm」の後、更に「D♭ C B B♭」と下りて、「A」の四分打ちに変わる。ここからいよいよオペラ・パートだ。

ピアノがメインなのは変わらない。コードを見ると2小節のイントロの後の歌の部分から、「D A Adim A」「D A Adim A」「D A D A」「Adim A D A」「D♭onA♭/A♭7」「ConG/E7」「A」という感じ。この後が「ガリレオ」の部分。「I'm just a Poor boy nobody love me」の直前が「E」で、「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭/E♭onG」「F/B♭」「A♭ E♭onG F#dim Fm7」という感じで続く。この部分の最後の
この後、コードを示すだけではよく分からないのでこの後は省略するが、4声の重厚なハーモニーだ。オペラ・パートの最後の「B♭7」を伸ばすところなどは、5声か6声くらいになっている。

そして今度はハードロック・パート。複雑なオペラ・パートの後だけにシンプルなギター・リフがとてもカッコ良い。コードもほとんど「E♭」と「B♭」「A♭」のみのシンプルさ。前のパートの続きなのでちょっと変なキーだが、ギターではあまり関係ない。このパートの後半で3連符で上昇するフレーズが良い。そしてそれをピアノが引継ぎ、次のパートへと移る。素晴らしい。
「E♭/B♭onD」と次の「Cm」の部分でギターがコード・トーンを鳴らし、その後のハーモニー・パートが実に美しい。ビデオ・クリップを見るとブライアンがライト・ハンド奏法のような右手の動きを見せるが、ここにライト・ハンドは出て来ておらず、おそらく指でピッキングのニュアンスをコントロールしているのだろう。
「Nothing really matters」の部分からは「Cm/Gm」「Cm/Gm」「Cm/A♭m7」「A♭onB♭」「E/A♭onE」「E/E♭dim」「B♭monD/onD♭」「C7」「C7/F」と来て、最後に「B♭ FonA BdimonA♭ C7sus4onG」「F」で終幕。
「A♭m7」や「A♭」の使い方など、最後までフレディっぽく流石と思わせる。

一番最後の4拍全部違うコードのところもとても難しそうだが、実際は「シ♭ レ」「ラ ド」「ラ♭ シ」「ソ シ♭」と下がっていき、間に「ファ」を挟んでいるだけで、とてもシンプル。それを無理にコード・ネームにしているだけで、曲全体的にそんな感じだ。弾いてみると、コードはそれほど難しくない。
だが、長くて複雑な曲を完璧に把握することと、1音1音意味を込めて弾くこと、そして何といってもコーラス・ワークに重点を置いて演奏するのは至難の業といえる。だからこそ、すべてを再現ではなく、ピアノ等でコードを追っているだけでも結構楽しいものだと思う。

2018年12月4日火曜日

Jumpin' Jack Flash

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

Rolling Stonesでもトップクラスの代表曲。私も好きな曲だ。何といってもカッコいいし、PVも印象的だ。

この曲がカッコいいのは、やはり何といってもリフだ。シンプルなのにカッコいい。と、いうよりカッコいいリフはシンプルでなければいけない。
しかしこのリフ、シンプルなのに意外に面白い。ちゃんと見てみよう。

まず、この曲のキーは「B」だ。だがメジャー・キーなのになぜか暗さが残るような不思議な感じがある。
イントロは「B」「E/A」の繰り返し。最初はギターのみだが、途中からドラムとベースが入って来る。このベースがポイントだし面白い。「B」に対してはもちろん「B音」で、「E」に対しても「E音」。ここまでは良いが、「A」に対し、「D音」を経て「C#音」になる。多分、「E音」から「B音」へ滑らかに繋がるようにしているだけなのだが、特に「D音」がクセモノだ。つまり「Bマイナー・スケール」の音だからだ。それで少し暗い感じになる。

続く印象的なリフは、「B」のパワーコードを2発入れた後、4弦5弦の7F、9F、3弦4弦の7Fの3音を繰り返す。これだけ印象的なリフなので、普通はベースも同じことをやるだろうし、やりたくなる。しかしStonesはやらない。なぜかずっと「B音」だ。つまりコードはずっと「B」ということだ。
このリフのパワーコードの後の3音を見てみると、コード的には「A」「B」「D」となる。どの音もそれぞれの1度5度だから、「ラミ」「シファ#」「レラ」だが、これをコード「B」として見てみると、「7度4度(11度)」「1度5度」「3度7度」となる。特に注目は3番目の「レラ」だ。イントロに続いてまた「レ」だ。また「ラ」もマイナー・スケール上の音だ。

そもそもキーが「B」での3コードは「E」と「F#」だし、ここまでに登場したコードは、ダイアトニック・コードでいえば、「B」に対して「A」ではなく「A#m(♭5)」、「D」ではなく「D#m」になるはずだ。
逆にダイアトニック・コードから探すと、一番近いのはキーを「A」と見ること。そうすると「E」も「A」も「D」もあるが、肝心の「B」が「Bm」になる。つまり、「Bメジャー」の曲なのに「Bマイナー」に聴こえるというのは、このあたりのポイントがあったということだ。
途中のギターのオカズ的なフレーズが「Bマイナー・スケール」で弾かれているところを見ると、Stonesはこの曲のキーを「Bm」と見ているのかもしれない。なかなか不思議だ。キーが「Bm」なら「D」や「A」はOKで、「E」が変だが、「Bm」の代理コードと見れば問題ない。一番変なのは出だしの「B」ということになる。

さて、次のパート「But it's all right now」の部分だが、「D」「A」「E」「B」の繰り返しだ。またもやこのコードだ。ギターがハイポジションで修飾しているが、2弦3弦でコードトーン、1弦でメロディというパターンだ。メロディの部分を見ると、「D」の時は「ファ# ミ レ」、「A」の時が「ド# シ ラ」、「E」の時が「レ ド# シ」、「B」が「ド# シ ラ」となる。やはり「Bマイナー・スケール」だ。

この曲はイントロを抜かすとこの2パートしかないことになる。Stonesの曲にはよくこのような2パートしかない曲が見られる。
それともう一つ面白いのはドラムだ。オカズがない。せいぜい「スッタンタン」となる程度だ。延々と、淡々と同じようなことを繰り返し、しかもシンバルもない。一体どういうつもりでこういうドラムにしたのだろう。これも不思議だ。

他にもStonesの曲にはキーがよくわからない曲があったりする。「Satisfaction」などが良い例だが、また改めて取り上げたいと思う。

2018年11月26日月曜日

Steal Away

Whitesnake [ D.Coverdale/M.Moody/B.Marsden/N.Murray/P.Solley/D.Dowle ]

1978年、WhitesnakeのデビューEPSnakebite(4曲入)』の収録曲で、最初期Whitesnakeのライブでの重要なレパートリーだった曲。Whitesnakeがブルースやカントリーの影響を受けていることがよく分かる曲だ。
ミッキー・ムーディ得意のスライド・ギターが使われているが、個人的には後の「Love Hunter」や「Slow An' Easy」よりも大好きな曲だ。そういえばライブ・アルバムの『Live…In The Heart Of City』の中でミッキーのソロ・タイムの中でこの曲のリフを少し弾いて、結構歓声が上がっていたなぁ。

そのスライド・ギターを見ていこう。出だしからズ太いレスポールの音で、スライドならではのラフな雰囲気を出していて、とても印象的なフレーズだ。曲の半分はこのスライドのリフだけで決まりだろう。
このスライド・ギターだが、オープンG・チューニングで弾かれている。6弦から順に「GBDGBD」でチューニングする。2~4弦はレギュラー・チューニングと同じだ。ノーマル・チューニングでも感じは出せるが、オープンGの方が何かと便利なのだ。

まず最初のリフ。オープンGなのでお間違えなきよう。同弦移動はすべてスライドで。6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8F、6弦0F、これを2回。6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、6弦7F、指で9Fを半音チョーキング、9F、4弦7Fのハーモニクス、3弦7Fのハーモニクス、2弦7Fのハーモニクス。3回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、10F、8Fまで弾いて、「C」と「B♭」のコードを弾く。3Fと1Fで、もちろんスライドっぽく下からせり上がるように。4回目は6弦7F、9F、5弦8F、12F、4弦12F、5弦12F、10F、8F、8F、4弦0F、「F(10F)」「G(12F)」となる。

途中でこのリフがオクターヴ高くなる。ヴォーカルが1オクターヴ上がったのに合わせる形だ。この時も非常に便利なのが、オープンG・チューニング。最初のリフは6弦5弦4弦で弾いていたが、それをそのまま3減2弦1弦で弾くだけだ。フィンガリングはまったく同じ。そもそもチューニングが低音弦3本と高音弦3本でオクターヴになっているのだから当たり前だ。

ノーマル・チューニングだと、2弦と3弦のチューニングが他と音程差が違うためにフィンガリングが変わってしまう。それでもあえてノーマル・チューニング用にざっと書いておくと、6弦10F、12F、5弦10F、14F、12F、10Fというような感じになるが、その後の低い「G音」は諦める。あった方が断然カッコいいが、6弦3Fなので、ポジション移動が激しい上にすぐに次の音があるので仕方がない。
2~4弦のチューニングは変わらないので気にしなくて良い。だからオクターヴ上げの場合も3弦と2弦はオープン・チューニングの時と同じで、1弦だけ気にすれば良い。しかも1弦は1音だけだ。

曲構成を見るためにコード進行を記す。Aパートは、リフのところだが、「G」「G」「G」「D」「G」「C」「B♭」「G」「G」だ。Bパートはバンドで合わせ部分で、コードで出来たリフのように弾く。「D・C/B♭G・B♭G」「G」「F・D/CG・B♭C」「C」「D・C/B♭G・B♭G」「G/B♭」で、その後、ミッキーのスライド・ソロになる。ソロのコード進行は「C」「C」「C」「C/B♭」「G」「G」「G」「G/B♭」で、これをもう1回。結構長いソロだ。一番最後の「G」のところからは、トーキング・モジュレイター使用で変化を出している。恐らくバーニーだろう。

この後、Bパートにもう一度戻る感じになるが、スタジオ版では安っぽいエレキ・ドラムの音が入っているのが少し笑える。泥くさいスライドのブルースに当時最新鋭のエレキ・ドラムの音の取り合わせ。その対比の面白さを狙ったものだろう。
ドラムといえば、この曲のドラム・パターンはマーチング・バンド形式になっていて、スネアを「タカタカ タッタカ」と叩いていて、アクセントは8ビートの3拍目ではなく、行進曲さながらに全拍に入る。右!、左!、右!、左!、2拍子だ。

この曲の良さはスライド・ギターもあるが、何といってもヴォーカルだ。普通のギターよりスライドの方がより人間らしい感じのフィーリングが出るが、人間らしさで言えばもちろんヴォーカルの方が圧倒的に上だ(当たり前)。それを見せつけられるから、スライドの上に乗っかっているヴォーカルはカッコいい。それもほぼユニゾンのようになると、双方の良いところが相乗効果のように表われるように思う。デイヴィッドのようなブルージなディープ・ボイスの持ち主のヴォーカルは最高に相性が良いと思う。

2018年11月11日日曜日

I Don't Know

Ozzy Osbourne [ O.Osbourne/B.Daisley/R.Rhoads ]

Ozzyのソロ第1弾『Blizzard of Ozz』の1曲目を飾り、当時のライブでもよく1曲目で演奏された。長いOzzyのキャリアのほぼすべてのライブで演奏されている。

ドラがフェードインして来る音(テープの逆回転かな?)の後にギターのスライド・ダウンの音(6弦15Fから)で始まり、印象的で分かりやすいリフが始まるという、ランディの曲の典型例。
「A」のコード(4弦と3弦の2F)を鳴らし、2拍目から4拍目までは5弦開放(A音)をブリッジ・ミュートで16分で刻む。続いて「B」(2本の弦の4F)を鳴らし、同じようにミュートの16分を刻む。更に「C」(2本の弦の5F)に16分の刻み。そして2拍ずつ「G」と「D」のコード。実に分かりやすい。「G」と「D」のところはノーマル・ハーモニクスの場合もある。「Crazy Train」等と並び、つい弾きたくなってしまうリフだ。

ちなみに、ライブでは合間合間にオブリガードが入る。それがかなり個性的。強力なピッキング・ハーモニクスが多いが、トリルや開放弦を利用したもの、低音でのもの、ノーマル・ハーモニクスと色々ある。歴代ギタリストの比較をする際に、オブリに注目するのも面白い。(例、ジェイクはまったく独自の細かいフレーズを入れ、ザックはランディと同じような路線で勝負等)
とりあえずここでは一番最初のヴォーカル前に入るオブリを見てみよう。弾き方は、2弦1Fと開放を3回、3弦2Fと開放を2回、4弦2Fと開放を1回、5弦3Fと開放という具合だ。シンコペーション的に最初のをもう1回多くやる場合もある。ピッキング・ハーモニクス気味に弾くと感じが出る。
何回か後には超早弾きのオブリもあって、弾き方はシンプルだがとにかく早いというのがある。3弦の5F、4F、2Fをハンマリングとプリング・オフを繰り返すパターンだが、1拍で3回ハンマリングとプリング・オフをするので、6音鳴っていることになる。1小節で24音だ。

リフもライブでは少し弾き方が違っていて、2つめのコードはオクターヴ上も一緒に弾いているように思う。つまり押さえ方は、4弦から1弦にかけて、4F、4F、7F、7Fとなる。次のコードも同様。

その次のパートのコード進行を見ていくと「G」「F」「G」「F」「G」「F」「F/ConE」「D/C・G」で最初のリフに戻る。
「F」の部分はアルペジオっぽいフレーズだが、8分で4弦3F、3弦5F、4弦3F、2弦6F、3弦5F、1弦3Fと弾く。3回目はこれをダブル・ピッキングで2音ずつ16分で弾く。曲の後半ではディストーション系のエフェクトを更にONにして(すでに充分歪んでいるのに)、「ジョォワァァァー」という音を出すというフレーズ以外でのオカズを入れている。(バンド・メンバーは「フライパン」と呼んでいたという話しを聞いた気がする)

次のパートは、スタジオ・バージョンとライブとでは結構弾き方が違っていて、スタジオ・バージョンは「Dsus4」的な感じで弾く。スタジオ・バージョンはよく譜面が出ているので、ここではライブ・バージョンを優先するが、まず5弦開放を8分で2回鳴らした後、3・4弦の7Fをダブル・チョーキングとチョーキングなし、そして7Fと5Fの音、2小節目の3拍目と4拍目が「C」と「G」。この繰り返しだ。

そしてミドル・セクション。テンポが半分になり、曲調はガラッと変わる。そして私が好きなパートでもある。
コード進行は「D」「DonC」「DonB」「F」の繰り返し。このパートでランディは3本のアコースティック・ギターで色々やっている。よりメロディックなのだが、ここでは一人で弾けるライブ・バージョンを取り上げよう。
まず、ライブではギタリストは一人なので、音はそのままで優しいピッキングに変えて弾いている。コード・アルペジオとメロディ、ところどころにオブリガードという感じのプレイだが、こちらもなかなか聴き応えがある。
まず最初の「D」は、1拍目にコードを鳴らし、ヴォーカル・メロディと同じタイミング(1回目はヴォーカルはないが)で2減でメロディを弾く。「DonB」のところは「G」かもしれないが、それれは明確に「G音」を鳴らしているからだ。「D」なら4度の音になる。
「F」の時が色々変わり、6thや9thの音も使っている。1回目は多分6弦1F、4弦0F、3弦2F、2弦3F、3F、2F、0F、3弦0Fでのアルペジオだろうと思う。2回目は2・3弦の10F、3弦の12Fのハンマリングとプリング・オフ、3・4弦の10F、4弦12Fのハンマリングとプリング・オフ、以下省略、3回目は6弦1F、1弦3F、3弦0F、4弦3F、1弦3F、3弦0F、1弦3F、5Fではないか。1弦3F、3弦0Fは9度の音、もしかしたら2弦0F(♭5)の音も入っているかもしれない。
あともう1~2パターンある。

それからソロだ。基本的にGマイナー・ペンタトニックでのプレイだが、ところどころにトリッキーなフレーズが散りばめられている感じだ。2弦10Fを押さえておいて、13Fをピックでタッピングするトリル技や、半音ずつ下がっていってスケール・アウトしたものなど、弾いていてなかなか楽しい。早弾きもあるが、結構キチッとしているので意外と弾きやすい。全部コピーしても損はないものだ。公式にはランディのライブは2種とスタジオ・バージョンがあって、どれも同じ構成のソロになっているが、よく聴くと結構あちこち変えて弾いている。ランディも楽しみながら気分で色々弾いていたということなのだろう。
ちなみに、ジェイクはこのソロを、少しだけ長く繰り返しを増やしたが大筋で似たような構成、ザックはほぼ同じように弾いていた。

見てきたように、この曲には様々なオブリガードが入っている。入れられるスペースが沢山あるということだし、ランディをできるだけ尊重しようという前提でも、ランディ自身が色々なオブリを毎回違った感じで様々に入れているのだから、勝手に色々入れても冒涜にはならないだろう。曲としてきちんと成り立ちながら色々遊べる曲というのは最高だと思う。キッチリと作られている場合が多いメタル曲にはなおさらだ。曲自体にダイナミクスもあるし、ライブ向きの曲と言えるのではないかと思う。

2018年11月6日火曜日

Hallelujah, I Love Her So

Ray Charles [ Ray Charles ]

1950年代のロックンロール・オールディーズ曲。結構有名な曲でたくさんの人がカヴァーしている。
50年代のオールディーズというと単純な3コードの曲かと思うが、この曲は結構複雑だ。パッと聴くと他の3コードの曲と同じように聴こえるので、私も長い間特に気にしていなかったが、最近テレビで偶然に耳にして、意外に面白そうな曲だと思い、初めて音をとってみた。どう解釈して良いか分からない部分もあったが、ネット上に大量に弾き方等が出ているので、それも参考にした。なかなかカッコいい曲なので、是非どうぞ。

まずメイン・リフ。キー「A」として、「ラ、ド#、レ、レ#ーミ」(ベースはもう少し動くが)というのは単にコード「A」に対するありふれたリフ。これを繰り返すような曲だが、アレンジの妙で素晴らしい曲になっている。
この2小節に渡るメインのリフにコードをつけてみる。ずっと「A」として弾いても悪くはないが、それぞれにコードを当てた方がリフが強調され、それだけで曲っぽくなる。
「A/AonC#」「D/D#dim7・E9」となる。最後の「E9」は「E」や「E7」でも構わない。これを2回繰り返し、次の展開に移る。

ざっとコード進行を書いておくと、「A」「A7 (A7#5)」「D」「D#dim7」「A/C#7」「F#m/D7」「B7/E9」「A」となる。「A7#5」は4拍目にジャッと入るだけだが、ちゃんと弾いた方がカッコいい。「E9」のところは「E69」とかただの「E」でも大丈夫。それよりもシンコペーションする部分など、リズムに気を付けて弾くべきだろう。
コードで注目すべきは「A/C#7」「F#m/D7」の部分で、最初のリフに対し、もう1種類別にコードをつけた感じになっていて、こちらの方がよりドラマチックになる。特に「C#7」が効いている。「F#m/D7」もスムーズに弾くために、ギターの場合、「F#m」を高めの10Fセーハの形で抑えた場合、「D7」も10Fセーハの形か、4弦→1弦の順に「7F 7F 7F 8F」と弾く。

続いてBパート。「D」「Ddim7」「A」「A7」「D9」「C9」「B9」「E9」がコード進行。最後の9thの連発はナシでも雰囲気は出る。Beatlesがカヴァーした音源なんかはかなりシンプルに直している。

結局パートはこれだけだ。こんなにシンプルな作りなのに素晴らしい曲だ。おそらくレイ・チャールズはピアノなので、「リフに合わせてコードを弾いていると、結果こういうコード・ネームにになりました」ということなのだろう。「A」のコードとリフのメロディを意識して弾くと自然にこんなコードになる。

2018年11月1日木曜日

Friday On My Mind

Gary Moore [ H.Vanda/G.young ]

The Easybeatsのヒット曲のカヴァーだ。1987年のアルバム『Wild Frontier』収録。

個人的には素晴らしいカヴァーだと思う。オリジナルのEasybeats版はモロに60年代のビート・バンドっぽい感じで、Beatlesの出来損ないのような雰囲気があったが、ゲイリー版は80年代仕様にブラッシュアップされてカッコ良くなっているし、ちょっとダサかったアレンジも見事に修正されている。オリジナルと比較しながら見ていくことにしよう。

まずテンポが随分遅くなった。と言っても、スローになったのではなく、Easybeatsが早すぎたのであって、ゲイリー版は普通に感じる。
そして印象的なギターのリフがキーボードに変わっている。2つめのコードは「D」にまとめられ、「A」の時のちょっとした変化が省略された。あまり効果的でなかったからやめたのだろう。
「G」のところで歪んだ激しいギターが一発入って来る。ハードロック・ゲイリーがカッコいい。
「B7」のところでリード・ギターがやっていたフレーズをシタールの音で入れている。
コーラス・ハーモニーでやっていたオカズもキーボードやシタールになっていて、だいぶ雰囲気が変わっている。

個人的にオリジナルでダサいと感じていたバンドで合わせる部分(「E/C」「AF#/BE」の部分)のアレンジが大幅に変わっていて、「C/G」「AE/AE」になっている。変な凝り方をするのではなく、シンプルにしたということか。

それから、大きな違いだと思うのが、ゲイリーのギター・バッキングがパワー・コード中心、つまり1度5度の音が強調されているということ。これはどういうことかというと、3度がないということは長短の区別が出来ないということで、「Am」→「A」はずっと同じコードに聴こえるし、特徴的な「B7」のところも「B7」なのか「Bm」なのか「B」なのか分からなくなっている。

もう一つ、結構重要だと思う変更は、サビの中に出て来る「Tonight」のコーラス・ハーモニー。3回出て来るが、1回目は「D」の時、2回目は「B7」の時、3回目はまた「D」になる。オリジナル版は、1回目は「to」が「ミソ#」、「-night」が「ファ#ラ」で、2回目は同様に「ミラ」「ファ#シ」で、3回目は「ファ#シ」「ラレ」となる。2回目の下のパートが1回目と同じで、これはつまり「B7」の調性を示す音を省略していることになる。主旋律に対して5度の音だからだ。3回目も同様。そのせいで少し不思議なコーラスになっている。
これに対しゲイリーは1回目から変化しない。メイン・ボーカルも変化しないので、つまり変化しているのはコードだけになる。「B7」の時のコーラスは5度と7度の音になりコード・トーンだ。このあたりはパワー・コードの多用と関連があるかもしれない。こちらの方がずっと現代的で良いように思う。
が、カヴァーしている他のアーティストのものを聴くとどれも原曲に従っているようだが、気にならないのだろうか?原曲へのリスペクトなのか、慣れすぎて違和感を感じなくなっているからか・・・?

サビでは、結構印象的な「F#7」の部分を、オリジナルは「トゥトゥトゥトゥ」とコーラス・ハーモニーでやっていたが、ゲイリーはキーボードで置き換えている。これでイントロからキーボードを使う必然性も出て来るというものだ。

ゲイリー版はこの後ギター・ソロが入る。ソロといっても、ゲイリーにしてはかなり控え目な部類に入る。まず、ドラムだけ残してブレイクし、キーボードでリフのようなメロディを入れる。曲調にも合わせてややエキゾチックな雰囲気。そしてギターが応えるように入る。キーボードとギターの掛け合いだ。
その後が好きだ。同じキーボードのフレーズを繰り返しながら、「Em」「Em」「GonD」「GonD」「AonC#」「AonC#」「CM7」「CM7」と進むのを2回。下降するベースに対し、ギターは5弦7Fから「ミー」「ラシー」「レミー」「ラシー」とどんどん上がっていって盛り上げる。最後は1弦22Fのチョーキングのトリルだ。そして「E」を刻んだ後、6弦開放をアームダウン。最高音から最低音だ。

この曲ではゲイリーのアレンジ力や曲の解釈の力が発揮されていると思う。原曲以上にカッコ良くするカヴァーは最高だ。それにゲイリーが変更した部分のいくつかは私もオリジナルを聴いて同意見だった部分なので、それも嬉しかった。

2018年10月26日金曜日

Friday On My Mind

The Easybeats [ H.Vanda/G.young ]

60年代のオーストラリアのバンドの曲。作曲のジョージ・ヤングはEasybeatsのリズム・ギタリストだが、ヤング4兄弟の長男。3男のマルコムと末弟のアンガスはAC/DCのギタリストとして有名。もう一人の作曲者・リード・ギターのハリー・ヴァンダもジョージとともにAC/DCのデビュー・アルバムをプロデュースしている。

そのEasybeatsの66年の曲がこの曲。60年代らしくビート系で、今聴くと結構時代を感じさせるものがある。映像も見たことがあるが、ヴォーカルのスティーヴィー・ライトが、ニヤケつつ余裕こいて歌っているように見せているのがちょっと気に食わない。ジョン・レノンの余裕感やオチョクリ感を出したいのかもしれないが、こちらは何となく小物感になっているような・・・。
曲自体は結構カッコいいのだが、アレンジがダサく、ヴォーカルもリズムに乗っていないので下手クソに聴こえる。ワイルドな勢いは感じさせるが、ちょっと外している感じ(The Whoなどもこれに近い雰囲気を醸す時があるが)。
出だしのギター・リフなどは1度5度を連発しているだけだが、結構斬新に聴こえる。アメリカっぽさは全然なくて、少しイギリスっぽいかなという感じだが、メロディも結構凝っていて独特のセンスを感じさせる不思議な魅力もある。

もう少し曲を見ていこう。独特のメロディは、ハーモニックマイナー・スケールで成り立っているからで、この時代にはほとんど聴かないものだ。偶然見つけたのか、勉強の賜物なのかは不明だが、これも斬新だ。そしてギターもこれを強調するようにメロディを弾いている。出だしのギターがシンプルなだけに、当然展開するようにハーモニック・マイナーが出て来ると曲の広がりが強調されるようだ。
もう一つのポイントはマイナーからメジャーへの露骨な変換だ。例えば「Am」の時に「ミファミレミレドシ」と来て最後に「ド#ー」と伸ばす印象的なメロディだ。最後の音以外はマイナー・コードの中でのマイナー・スケールだが、最後に3度の音が来るようにしてメジャーを強調する作戦。

歌のバックの印象的なリズム・ギターのタブ譜を載せておく。イントロは出だしと一緒だから省略してあり、いきなり歌の出だしからだ。(あくまで「オジナルが弾いている通り」ではなく、「私が弾くならこう」という感じ。例えば後半の「A」や「Dm」のところは弦飛びで違うポジションで弾いている可能性もある)
いくつかポイントがあるが、まずはコードが「B7」のところで、クロマチックに降りていくところが面白い。この時リード・ギターも印象的なフレーズを弾いている。3段目の「A」のところからはハーモニック・マイナーのメロディと絡んだフレーズで面白い。
最後の2小節は合わせるところだが、結構ダサく感じる。「C/E」のところの2拍目と4拍目の音が分からなくて悩んだが、最近休符だと知った。鳴っているのは他の楽器だったのね。



テンポがかなり早いので、意外にもテクニカルだ。ちょっと早過ぎな感じもして、そのためにヴォーカルが乗れていないのではと思わせる。

ざっとコード進行を抑えておこう。歌が入ってからはタブ譜の通りだが、「Em」「Em」「A」「D」「Em」「Em」「A」「D」「G」「G」「B7」「B7」となり、後半が「Em」「Em」「Am」「Am」「A」「A」「Dm」「Dm」「Dm」「Dm」「C/E」「AF#/BE」となりサビへ行く。サビは「A」「A」「C#m」「C#m」「A」「A」「C#m」「C#m」「D」「D」「F#7」「F#7」「Bm」「Bm」「D」「D」「B7」「B7」「D」「D」「A」「A」「E」「E」「Am」「D」「E」「Em」という感じ。結構長いが、テンポが早いので、普通の曲の1小節分で2小節くらいある。

ミュージシャンには結構人気の曲のようで、David BowieやBruce Springsteen、Gary Moore等がカヴァーしている。

一応、UKロックに分類しておこう。オーストラリアのバンドではあるが、オーストラリア人は一人もおらず、メインはイギリス人だから。

2018年10月23日火曜日

Race With Devil On Spanish Highway

Al DiMeola [ Al Dimeola ]

屈指の早弾きギタリストとして名を馳せたAl DiMeolaの代表作『Elegant Gypsy』からの1曲。ロック界のアルヴィン・リーやリッチー・ブラックモア等、早弾きギタリストと呼ばれる達人が何人もいたが、それらを遥かに凌ぐ凄腕として登場したのが、ジャズ/フュージョン界のアル・ディメオラだ。ヴァン・ヘイレンもイングヴェイも登場以前のことだ。
「早弾き」という言葉自体、一部の人以外にはそれほど使われるものでもなかったが、彼の登場以降は「早弾き」というだけで「凄い」と思われる時代になり、ロック界も含めてそれから10年以上も早弾き合戦のような時代が続くことになる。これをディメオラの影響と責任だというつもりは全くないが、彼の登場によりギター界全体が一段レベルアップしたような感じになった。まあ、ロック界ではペンタトニック、ジャズ界でもブルーノート等が全盛の中、それらが一段落ついて次のステージに上がるべき時代だったのかもしれない。
一応、ジャズというか、フュージョンに分類されるが、私個人的にはちょっとオシャレなロック・ギタリストという感じで捉えている。

で、この曲。特にディメオラの「早弾き」を世に知らしめたような1曲だ。タイトルのイメージぴったりの曲で、まさにデビルがスペインの高速道路をレースしているような曲だ。スペインを意識したメロディなのだろう。

最初から、単なる8ビートでないところに「ロックとは違うな」と思わせる。ベースとコンガのリズムが「これから何か始まるぞ」と思わせるワクワク感がある。
そして期待通り、ギターとのユニゾンでの16分音符の早弾きが登場。これは凄い。ギター、ベース、キーボードでのユニゾンも出て来るが、凄まじい限りだ。この後、バンドで合わせてブレイクしつつ、早弾きという繰り返しだ。
実際このテンポでの16分は結構早い。滅茶苦茶に早いというのではなく、キッチリとリズムに乗せた16分音符であるところが返って難しい(ロック系では符割無視の早弾きは結構多く、楽譜に書くと9連符とか11連符のような意識しているとは到底思えない符割になってしまう場合も多い)。そしてハンマリングやプリングが一切なく、すべてピッキングによる音だ。正確無比なピッキング・テクニックといえる。まさにマシンガン・ピッキング、凄いの一言。少し歪ませているとはいえ、ピッキングによる音の大小(強弱)もない。

最初のイントロの合わせが終わるといよいよ本編だ。主題のようなゆったりしたメロディ。ヂィメオラのビブラートは弦を横に揺らす(チョーキングのように)のではなく、縦(弦のテンションを強めたり弱めたりするように)に揺らす感じで、ジャークオフ(ジャックオフ)・ビブラートっぽい。コードは「Bm7 9」一発。時折11thの音も入っているようだ。
中盤には「Bm/A」「GM7/F#7・A7」のような感じになる部分もあるが、だいたい「Bm7」だ。

中盤から終盤にかけても16分音符の早弾きと2拍3連のフレーズが交互に出て来る感じで経過。ソロは基本的にダイアトニックで、このあたりはペンタトニック・ベースのロックとは決定的に違うところか。だが、それほどジャズっぽいわけでもなく、起承転結っぽく解決するわけでもない。終わり方もフェイド・アウトだし。
ドラムのグルーヴ感がさすがと言う感じだ。

余談だが、イングヴェイはこの曲を含めてディメオラを結構意識していると思う。「Trilogy Suite Op: 5」や「Krakatau」あたりに展開が少し似た部分がある。
また、HR/HMバンドのRiotが1990年にカヴァーもしている。割と忠実にコピーしている。