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2019年1月9日水曜日

The Show Must Go On

Queen [ Brian May / John Deacon / Roger Taylor ]

Queenの実質的ラスト・アルバムのラストを飾る曲。初めて聴いた時はそれほどピンと来ず、Bon Joviの「Runaway」をスローにしたようなよくあるリフだなと思ったくらいだったが、その頃からフレディのボーカルは凄いと思っていた。
Queenの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』では一番最後のエンド・ロールの時にかかる曲。その前が「Don't Stop Me Now」で実際のフレディの姿が映った後にこの曲。個人的に一番泣けたのは映像がないこの部分だった。

リリースから1年も経たない間にフレディ・マーキュリーが亡くなってしまい、重々しい決意表明のような曲は涙なくしては聴けない曲になってしまった。「ショーを続けよう(続けなくてはいけない)」という感じだ。
この曲でのフレディは、正に全身全霊をかけて歌っているようで、まるでこれが最後のレコーディングになることを予見していたかのよう。作者のブライアン・メイもボーカルのメロディ・ラインが高すぎることを危惧していたようだが、体調が芳しくないフレディが見事に歌い切っており、感動ものだ。

高音のボーカルが続くが、やはりフレディはロック・ボーカリストと思わせる盛り上げ方や迫力がさすがだ。
ブリッジ部の転調するパートは、フレディの優しさや美しさを感じさせる。と思ったらすぐに元の重々しい雰囲気に戻る変幻自在さも健在だ。

だが、鳥肌ものはそこではない。サビで「The show must go on」と歌った後の「Inside my heart is breaking~」の部分をよく覚えておいてほしい。その上でギター・ソロの後のサビでの同じ部分、歌詞は「I'll face it with a grin, I'm never giving in, on with the show」の部分。歌詞も凄いが、やはりボーカルだ。
これがなくても充分ハイトーン・ボーカルなのに、この天にも昇るようなメロディとフレディの歌いっぷりはどうだ。信じられない。何も知らなかった昔に聴いた時も涙が出そうになるほど感動したが、フレディの死という背景を知った今ではもはや涙を止めることは出来ない。

ざっとコード進行を追っておこう。
キーは「Bm」だ。ギターで弾く場合(特にアコースティック)は「Am」にして弾くか、2Fにカポをしてコードのポジションを「Am」にして弾くと開放弦の関係で弾きやすくなる。ここでは「Am」として示すので注意してほしい。バンド形式の1ギタリストの立場なら「Bm」のままで充分だ。

まずイントロのリフ。コード的には「Am」「Am」「F」「F」「Dm」「E」「Dm」「Dm」だ。このうち「Am」の場合は1音が動いて変化をつける。3度の音が2度、4度、3度と変わる。「F」の時も同じ音で、度数でいうと5度、♭5度、6度、5度のようになる。「Dm」の時も7度、6度、「E」の時は「E7sus4」のような形になる。
この曲で驚くのは、ほとんどこの4つのコードだけで出来ている点だ。イントロからサビも最初のメロディも同一。2番目のパートは全体が1音上がるだけで、進行的には同じで、「Bm」「Bm」「G」「G」「Em」「F#」「Em」となるだけ。この際の戻し方は、「Dm」「Am」と繋ぐだけ。また、この転調に入る部分は「Em9」のような音、即ちアルペジオで「ファ# ミ シ ソ」というフレーズが印象的。

唯一、ギター・ソロの後のブリッジ部のみ全然違うパターンになる。重々しい雰囲気を散々聴かされた後だけに、このブリッジ部はハッとするようなパートだ。フレディはとても美しく歌っているが、音をよるのが意外に難しい。コードは「E♭/F」「Dm/Gm」「E♭/F」「Dm/Gm」「Bdim/ConB」「C」となる。そしてすぐに元に戻る。

この曲のブライアンのソロも素晴らしい。短いがハッキリと組み立てが分かる考えられたソロだ。

2018年12月25日火曜日

Bohemian Rhapsody

Queen [ Freddie Mercury ]

Queenの代表曲というだけではなくロック界全体の代表曲。本当に凄い曲だ。
Queenはもともとオペラっぽいコーラス・ワークの曲が多いグループだったが、この曲はその極致で、中盤はまさにオペラそのものといえるほどだ。
今上映中の映画『ボヘミアン・ラプソディー』も良いが、この曲で映画というと個人的には1992年の『ウェインズ・ワールド』を思い出す。バカバカしいコメディだが、この曲のシーンは最高だ。

曲は組曲のように全然違う雰囲気のパートがいくつもある。まず出だしは重厚なアカペラ・ハーモニー。続いてピアノの弾き語りによる静かなバラード。それにバンドが加わってきてだんだん盛り上がる。すると中盤にイキナリ曲調が変わる。まんまオペラだ。よほど人がいないとライブでは再現不可能というくらい作り込まれている。そしてまたイリナリ変わる。一転してハードロックになり、最後は前半のピアノのバラード調、アウトロで少しだけアカペラの雰囲気に戻るという構成。文字で書いても結構複雑だ。
重要なポイントだと思うのは、ピアノのバラードとオペラ部との対比だ。これがこの曲の肝。普通はキレイなバラードで纏めて終わるはずだ。「人を殺してしまい、人生もう終わりだ。皆とも別れなければならないが、どうか悲しまないでこれからも生きていってください」というような内容を美しく歌い上げる。ところがオペラになると一転、人間の本性が出る。色々な解釈があるが、心の内を歌っているのは間違いないだろう。不安な様子、心の葛藤を歌っているのも間違いないだろう。キレイ事で終わらないのがさすがだし、ロックだ。
ハードロック調の部分は更にハッキリと本音が出て、不安を通り越して開き直る。「そんならお前は俺に石を投げつけようって言うんだな」「唾を吐きかけようっていうんだな」という感じだ。
そして最後は「どっちにしろ風は吹く」という感じに悟りの境地に達する。

曲を見ていこう。かなり複雑だ。まずアカペラの重厚なハーモニー。4声を何回かオーバーダビングしているようだが、実際に歌うのは出だしからなかなか難しい。最初の音は下から「レ♭ ファ ソ シ♭」だが、特に「ファ」と「ソ」を同時に歌うのが難しい。レコーディングでは別録りだろうが、それでも難しい。コード的には「Gm7」「C7」「F7」「B♭」「Gm7」「B♭7」「E♭」「Cm7」「F7」「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「E♭/B♭onD」「D♭dim/F7onC」「F7onC」で次のパートへ入る。コード進行を見ただけでも難しそうだ。ピアノでコードを鳴らすだけでも結構楽しい。

次のピアノ・パートは「B♭」からアルペジオのように弾く。フレディは3拍目(ソ)と4拍目(ファ)の時にオクターヴ高い音を左手で加えて印象付けている。2小節のイントロの後の歌の部分から「B♭」「Gm」「Cm」「Cm7/F7」「B♭」「Gm」「Cm/Baug・E♭onB♭」「Am7♭5/A♭M7・E♭onG」で、後半は「E♭」「Cm」「Fm(ベースがファ ミ ミ♭ レと下りていく)」「B♭7」「E♭/B♭onD」「Cm/A♭m7」「E♭/A♭・E♭・Edim・Fm7onE♭」で「B♭」に戻る。コード・ナームにすると難しそうだが、弾いてみると意外と難しくなく、フレディが歌いながら音を探して作曲したのが見えるように、結構生々しい感じがする。
この後繰り返しとギター・ソロのパート。ブライアン・メイのハンド・ビブラートとタメ、そして特徴あるギターの音が素晴らしい。ベースが下りていく何度かめの「Fm」の後、更に「D♭ C B B♭」と下りて、「A」の四分打ちに変わる。ここからいよいよオペラ・パートだ。

ピアノがメインなのは変わらない。コードを見ると2小節のイントロの後の歌の部分から、「D A Adim A」「D A Adim A」「D A D A」「Adim A D A」「D♭onA♭/A♭7」「ConG/E7」「A」という感じ。この後が「ガリレオ」の部分。「I'm just a Poor boy nobody love me」の直前が「E」で、「B B♭ A B♭」「B B♭ A B♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭onE♭ E♭ E♭dim E♭」「A♭/E♭onG」「F/B♭」「A♭ E♭onG F#dim Fm7」という感じで続く。この部分の最後の
この後、コードを示すだけではよく分からないのでこの後は省略するが、4声の重厚なハーモニーだ。オペラ・パートの最後の「B♭7」を伸ばすところなどは、5声か6声くらいになっている。

そして今度はハードロック・パート。複雑なオペラ・パートの後だけにシンプルなギター・リフがとてもカッコ良い。コードもほとんど「E♭」と「B♭」「A♭」のみのシンプルさ。前のパートの続きなのでちょっと変なキーだが、ギターではあまり関係ない。このパートの後半で3連符で上昇するフレーズが良い。そしてそれをピアノが引継ぎ、次のパートへと移る。素晴らしい。
「E♭/B♭onD」と次の「Cm」の部分でギターがコード・トーンを鳴らし、その後のハーモニー・パートが実に美しい。ビデオ・クリップを見るとブライアンがライト・ハンド奏法のような右手の動きを見せるが、ここにライト・ハンドは出て来ておらず、おそらく指でピッキングのニュアンスをコントロールしているのだろう。
「Nothing really matters」の部分からは「Cm/Gm」「Cm/Gm」「Cm/A♭m7」「A♭onB♭」「E/A♭onE」「E/E♭dim」「B♭monD/onD♭」「C7」「C7/F」と来て、最後に「B♭ FonA BdimonA♭ C7sus4onG」「F」で終幕。
「A♭m7」や「A♭」の使い方など、最後までフレディっぽく流石と思わせる。

一番最後の4拍全部違うコードのところもとても難しそうだが、実際は「シ♭ レ」「ラ ド」「ラ♭ シ」「ソ シ♭」と下がっていき、間に「ファ」を挟んでいるだけで、とてもシンプル。それを無理にコード・ネームにしているだけで、曲全体的にそんな感じだ。弾いてみると、コードはそれほど難しくない。
だが、長くて複雑な曲を完璧に把握することと、1音1音意味を込めて弾くこと、そして何といってもコーラス・ワークに重点を置いて演奏するのは至難の業といえる。だからこそ、すべてを再現ではなく、ピアノ等でコードを追っているだけでも結構楽しいものだと思う。