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2004年2月10日火曜日

The Way It Is

Bruce Hornsby & The Range [ B.R.Hornsby ]

先日、ラジオでかかっているのを聴いて一発で気に入ってしまった曲だ。調べてみると、実は1986年のNo.1ヒットだった。
Bruce Hornsbyという人もまったく知らなかったのだが、かなり有名な実力派ミュージシャンで、Huey Lewis & The Newsの「The Valley Road」、Don Henleyの「The End Of The Innocence」といったヒット曲も彼のもので、他にもGrateful DeadのメンバーとしてやBob Dylan、Leon Russellといったベテランとの活動も知られている。知らなかったのは私ばかりなり。(^_^;

さて、この曲に限らず、彼の曲はどれもピアノ・サウンドが目立っているが、初めて聴いた時は最近録音されたMIDI系の音かと思った。しかし1986年なので自分で弾いているのだろう。音は本物の生ピアノとは思えないほどアタックが強くキラキラしたサウンドだ。しかし薄っぺらな音ではなく、私の大好きな中低音の暖かみは豊かなので問題なし。曲の構成はかなりシンプルなのに、なぜか盛り沢山に聴こえるのは、やはりこのキラキラのピアノ・サウンドのせいだろう。

ざっと曲をコピーしてみると、コード進行は「Am7」 「Em7」 「D」 「C」 「G」 「D」 「C」の繰り返しがほとんどだ。かなりシンプルだ。
「D」と「C」と「G」は何の数字もつけずに書いたが、実際は色々な音が混じっているので、複雑なコード名をつけるべきかもしれない。基本的には9thの音を多用していて、この3コードの時も多く出て来ている。7thもよく出て来て、これらの音がカッコ良く散りばめている感じ。

イントロの後、リズムが入って来るとすぐにピアノがバーンと3つのコードを順に鳴らす。裏で入るタイミングが最高にカッコ良い。コードでは「C」の部分で、最初が「ドレソシ」、次が「ドレソラ」、最後が「ドミソ」だと思うが、9thにトップの音が下がって来るパターンといえるだろう。このヴォイシングにもセンスを感じる。

サビに当たる部分と言えるのか、この最初のパターンから変わる部分もピアノがカッコ良い。音は「G」の時に「ラ」「シ」「ソー」、「F」の時に「ソ」「ラ」「ミー」、「C」の時に「レ」「ミ」「ソー」となる。やはり9th重視だが、この音の選び方!すぐには音をとれずに何度も聴き直してしまった。

ソロも聴きどころだ。基本的にはコードトーンを中心に崩しているのだが、とにかくカッコ良い。全部は紹介しきれないので、先のコードの繰り返しのうち、3回目の出だしの上昇ラインを例にすると「Am」の時が「ドミラシ」「ラレミミ」、「Em」の時が「ラシシレ」と来て下降ラインに入り「ソファ#レシ」。更に「D」の時は「ミレシファ#」と「レシソレ」、「C」の時は「ラソレシ」といった感じ。上昇ラインでは同じ音を連続するところもカッコいい。
選ぶ音は基本的にコードトーン、プラス7th、9thといったところなのが分かると思うが、スケールで考えてその場で弾いているだけかもしれない。

こんなピアノをさらっと弾けたら最高だろうなと思い、これからピアノに向かうところだ。

2003年12月25日木曜日

All I Want For Christmas Is You

Mariah Carey [ W.Afanasieff/M.Carey ]

日本ではテレビ・ドラマで使われたそうで(実はよく知らない)、「恋人たちのクリスマス」という邦題でかなりの人気の曲となり、今やクリスマス・シーズンの定番の一曲となっている。
実は個人的には特に「凄く好き」と言えるほどの曲ではない。彼女の曲では、感動的に歌い上げるようなものが好きだ。ただし、ライブで聴いた時は元気なリズムも含め、とても楽しめた。CDとライブとでは違うのだ。
なぜこの曲を取り上げたかというと、今日、偶然ラジオで聴いて、色々なことがフラッシュバックするように頭に浮かんだからだ。

人は、あまりにも理想的なものを得るとどうなるだろうか。まるで手に届かないような夢のような話しが突然現実と化し、しかも自分が望んでいる以上の形で手に入り、更にはそれが自分が考えていた以上に素晴らしいものだったとしたら・・・。
実際、そんなことが起こるのかどうか、それは別として考えてみてほしい。

もちろん嬉しくなるだろうし、踊り出したくなるかもしれない。夢ではないかと頬をつねってみるかもしれない。
その後はどうなるのだろう。間違いなく現実であるということが分かり、簡単には消えてなくなることがないことも分かった。

多分、精神的にとても不安定になるのではないか。それだけ素晴らしいものを手に入れたのなら、それを失うことを極端に恐れるだろうし、傷つけたりすることも怖がるだろう。究極的に理想的なものなら、正気を保つことも難しいかもしれない。
それは精神的未熟さだろう。または経験の問題か。一度、そのような体験をしていれば、次に同じ状況になった際は比較的冷静でいられるのかもしれない。しかし、そのような理想的な状況は、人生に何度もあるものではないように思う。

クリスマスは平日であることが多い(イブのイブは祝日だが)。恋人たちは仕事等の合間をぬって時間を作る。それも叶わない人たちもいる。障害や欠点、負のベクトルがあるからこそ安定的な幸せに向かえるのではないだろうか。

もし、理想が手に入りそうな場合、急いで確保すべきだろうか。慌てずゆっくり確実に進むべきだろうか。分からない。

しかし確実に言えることは、手に入った後はゆっくり時間をかけるべきだということ。決して走ってはいけない。踊り出し、走り出したいのをジッとこらえることは、時間で想いを蓄積する楽しみでもあると言えるのではないだろうか。

2003年9月23日火曜日

Be My Baby

The Ronettes [ J.Barry/E.Greenwhich/P.Spector ]

1960年代初頭にアメリカで2位になったヒット曲。The Ronettesについてはほとんど知識がないため何とも言えないのだが、多分、姉妹+親戚の女性3人組のボーカルグループだと思う。曲もただ1曲、この曲を知っているだけだ。

どこが好きかと言えば、サビだ。他の部分と比べ、半分くらいのスピードでゆったりと「Be my, be my Baby」と出て来る。しかもこれはバック・コーラスの形でのハーモニーだ。メインのボーカル・ラインはその合間にオブリガード的に歌詞を入れている。私はこの手のアレンジにとても弱く、一発で参ってしまう。
(個人的にこういうサビのアレンジを「Be My Baby的アレンジ」と呼んでいて、多分今後もここで取り上げることになると思う)
ボーカルのわざとらしいビブラートが演歌チックで気になるが、この曲はほとんどこのサビだけで決まり!だろう。

この曲を作曲し、プロデュースもしているのがPhil Spector。Beatlesの『Let It Be』をプロデュースし、Paul McCartneyが激怒したというエピソードで知られ、1970年代とはJohn Lennonとの活動でも有名。また「To Know Him Is To Love Him」の作曲者でもある(この曲も大好き)。
Ronettesのリードシンガーの Veronica Bennett と結婚をしている(後に離婚)。

彼の音作りは、当時流行った、というか Phil が流行らせた「Wall of Sound」と呼ばれるもので、これはギターやピアノ等の特定の楽器をメインに据えるのではなく、多くの楽器を重ね、コーラスも駆使するといった手法のもので、音の壁のようだからつけられたものだ。 個人的には隙間のある音作りが好きなためこの手法は好まないのだが、それでも(今回取り上げたように)彼が初期にリリースした曲には好きなものが多い。

1998年12月24日木曜日

My Heart Will Go On

Celine Dion [ J.Horner/W.Jennings ]

御存知、映画『タイタニック』でバンバンに使われている曲だ。今年はウンザリするほどあちこちでかかりまくってさすがに食傷気味。しかし、今日、クリスマス・イブに聴くと素直に説得力を感じるしやはり良い曲だと思える。ソウルフルなボーカルは迫力満点で圧倒的な声量。愛がテーマの曲だけに、イブに一人で聴き込むのもオツなものだな。しかも、今は部屋を暗くしてヘッドホンで聴いている。(ちょっとアブナイ人みたい?)

さて曲だが、まずイントロだ。映画を見た人はこのイントロだけでウルウル来るかもしれない。この独特の音はIrish Tin Whistleで、楽器も使用音階もアイルランドのものだ。アイルランド民謡などのアイルランド音楽は、意外にもロックに多大な影響を与えており、また日本人が好む泣きの雰囲気も充分にある。 そもそもタイタニック号がアイルランドで作られ、アイルランド人が沢山犠牲になっている。だからこそのこのイントロなのだろう。海の神秘や悲劇の結末を感じさせる荘厳な雰囲気Zが感動を誘う。

感動的な歌詞を覗いてみよう。「2人は遠く離れているのにあなたの気持ちがわかる。夢の中で姿を見せてくれた」「あなたがどこにいようと信じている。あなたの心が近づいたと」最高の相手と過ごしている人はウンウンと頷くだろう。「遠く離れている」というのは物理的な距離だろうか、心の距離だろうか・・・。言うまでもない。「もう一度あなたは扉を開き、私の心の中に入って来た」なぜ「もう一度」なのだろう。考え込んでしまった。

この世の「永遠」というものはない。結婚する時でさえ、最後に「死が2人を永遠に分かつまで」と言う。死後は2人は別々になるという意味だ。結婚式は永遠を誓うものではない。それを知っているからこそ人は「永遠」に憧れるのだろう。決して叶わないものこそ、ないものねだりになる。


一人、そんなことを考えてみた。(音楽的な話題がほとんどなかったな・・・)

1998年10月29日木曜日

Butterfly

Mariah Carey [ J.Horner/W.Jennings ]

昨年リリースされたアルバムからの曲で、いつも通りの抜群の歌唱力で聴かせる。私生活では色々あったようだが、相変わらずの歌声だ。

ソウル系に影響されてるであろうマライアの声は、序盤は抑え気味にささやくような感じで歌い、後半には天まで届くような圧倒的な声量となる。まさに殻を破ってチョウが空を舞うイメージそのままだ。しかもそのチョウが最高に美しい。声も美しければ見た目も美しい。マライアは殻を破って更に美しく羽ばたくのだろう。

ささやくような部分はサナギのようでかわいらしい感じすらする。それでいて声のセクシーさ、後半の圧倒的な存在感、そして美、感情表現。女性の素晴らしさを全部持っているような曲だ。

曲はピアノで静かに始まる。まさに外に出る直前のようだ。この音は本物の生ピアノに違いない。最近ではサンプリングした音や、生だとしても周波数を細かくコントロールしているものがほとんどで、ピアノの音が好きな者には高音が強調され、抜けが良すぎるような音は違和感を覚えるものが多いが、この曲のピアノはまさに本物の音だ。

ピアノの音に加え、ベースの音も好きだ。土台を支える重低音は、主張することなく縁の下の力持ちに徹している。アタック音がそれほど強くなく、高音の成分も少ないこのような音が本来のベースの醍醐味ではないかと思う。

この曲のサビは重厚なハーモニーになっている。最近のマライアの曲は比較的このようなタイプが増えてきているように思う。私は重厚なハーモニーと自由にフェイクするリード・ボーカルというパターンが好きだ。この曲もその典型例だ。しかもマライアのフェイクはとてもテクニカルで、そしてエモーショナルだ。終盤はハーモニーが聴こえなくなってしまうほど引きつけられてしまう。

静かでムードのある序盤から圧倒的な後半、そして最後は静かなピアノで終わる。起伏が凄まじく、曲が終わる頃には本を読み終わったり映画を見終わった時のような心地よい疲労感すら漂う。わずか数分の曲だが、起伏に富んだ感情の旅を終えた感じだ。これこそが音楽を聴く価値であり、素晴らしい時間の過ごし方のように思う。

何だか最後は大袈裟な話しにまで発展してしまった。^_^;