2004年3月10日水曜日

2 Minutes to Midnight

Iron Maiden [ A.Smith/B.Dickinson ]

何と、Iron Maiden初登場だ。もう何度も登場していてもおかしくないくらい好きなバンドなのだが、今頃の初登場である。「Iron Maiden」とか「Aces High」とか、初登場に相応しい選曲がありそうなものだが、それも気紛れで決まるため、この曲で初登場を飾ることとなった。

この曲は名作『Powerslave』で「Aces Hight」に続いて2曲目に登場する曲だ。「Aces Hight」のような疾走感タイプではないが、アップテンポのハード・ロックンロールだ。「Aces High」でイキナリ最高潮に達した勢いをそのまま維持するに充分のパワーを持つ曲だ。

まず、リフがカッコいい。1980年代らしい開放弦を織りまぜた8ビートのギター・リフだが、2小節ごとに伸ばす和音にかかるビブラートがカッコいい。ワイルドな印象を与えている。

最初のヴァースとサビがアップテンポなのに対し、途中のブリッジ部でテンポが半分になる。よくあるリズム・チェンジではあるが、変化をつけられるし、何よりこれに続くサビで一気に盛り上げるには最高の効果になる。ここの部分のギターの3弦と4弦(おそらく)による和音が好きだ。最初は2フレットで1度5度(高低が逆なので度数は4度だが)1度3度に変化したりして、弾いていても何となく面白みがある。

この曲のギターソロは最高だ。特別テクニカルというわけでも感動的な泣きのフレーズがあるわけでもないのだが、ハマるソロだ。前半後半に分かれていて、最初はDave Murrayで後がAdrian Smithだろう。
前半はアームで変化をつけながら、ところどころに印象的なフレーズがちりばめられている。盛り上がりそうで盛り上がらず、一番最後にトリルで駆け上がるフレーズで締めるわけだが、少し音程の離れた音が登場するだけで気持ち良くなり、こういうソロもいいなとつくづく思う。
後半はキーが変わりテンポも落ちる。Iron Maidenは、2人のギタリストが順にソロをとる場合、出来るだけ違うバッキングパターンでのソロになるよう心掛けているそうだ。
後半のソロは音の選び方が面白い箇所が何回か出て来る。ペンタトニックによる単純なフレーズの中に出て来るので、特別斬新な音使いでないのにとても印象的だ。最後の方はタメの効いたフレーズの後、3連譜で下降し、印象的なソロを締め括る。
この後はバンドで合わせる部分が少しだけあるが、その合間にAdrianが弾くオカズ的なフレーズもまた印象的で耳に残る。そして耳に残っているうちにドラムが「ダダダダ」と盛り上げ、一気にリフ、そしてボーカルの部分に戻る。素晴らしいとしか言いようがない。

エンディング、ボーカルが「Midnight」と歌っている部分ではドラムがシンバルを入れる部分があって、これも印象的だ。効果的な演奏が随所に出て来る佳曲だ。

2004年3月7日日曜日

さくら

森山直太朗 [ 森山直太朗/御徒町凧 ]

昨年大ヒットした曲で、日本人なら誰でもウルウル来やすい卒業をテーマにした曲だ。この曲の歌詞を聞いてつくづく思うのは、卒業と桜の相性の良さだ。桜の美しさは1年の中ではほんの一瞬だけ。季節限定の、それも卒業の季節限定の美しさだ。

卒業というのは、自分が一歩成長した証であり、喜ぶべき節目であると同時に、友達や先生、中学時代や高校時代、大学時代といった自分の中の一つの時代との別れでもあり、これから始まる新しいステップへの不安も感じさせ、分かりやすいながらも微妙な感情が入り乱れるものだ。私は幼稚園の卒園式ですら同様の気持ちを持っていたことを今、思い出した。
この複雑な感情は桜の見事な美しさ、はかなさ、散り行く様、そしてまた来年へという希望などとオーバーラップさせやすい。「また来年」と言えど、忙しくて会えないかもしれないし、死んでしまっているかもしれないし、少なくとも今までのように毎日会うことはない。来年のことなど誰にも分からず、はかない願いだ。
「泣くな友よ、今、惜別の時。飾らない笑顔で、さあ」などと言われると余計に泣けて来る。別れが悲しい、会えなくて寂しいという感情だけでなく、今まで楽しかったね、ありがとうという感謝の気持ち、それぞれの道を頑張ろうという勇気など、様々な感情が混ざっている。

これを書きながら、日本でも入学を秋にしたらという声も聞くが、やはり卒業は桜と一緒に、と思った。

曲はピアノの伴奏だけのシンプルな曲だ。曲の構成そのものもかなりシンプルだが、サビの後半の部分の、「さらば友よ、旅立ちの刻」のコード進行が「A」 「E」 「F#m」 「C#m」で、その後の「変わらない笑顔で」の部分が「D」 「AonC#」 「Bm7」 「Esus4」 「E」となっていて、ベースの下降が綺麗だ。(例によってキーは少し違うかもしれない)

歌はファルセットを多様しているが、メロディの途中や歌詞の単語の途中で切り替えているところを見ると、たんに高音が出ないからファルセットにしているだけだろう。何度もスイッチする時は少し違和感を感じるが、歌詞に浸っているからそれほど問題ではない。

この曲を初めて聴いた時は、「卒業&桜なんて大昔からあるテーマを、いかにもというクサい歌詞で大袈裟に歌っているなぁ」と批判的に思ったが、しかしどれだけクサくても、このテーマは日本人の気持ちをとらえやすいのだなと思った。大ヒットして、夏になっても秋になっても冬になってもテレビやラジオでかかっていることにも嫌気がしそうだが、春を感じるこの時期になると、いつの間にか口に出て来るところに日本人を感じる。

2004年3月1日月曜日

白色彗星

宮川泰 [ 宮川泰 ]

映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』に出て来る強大な敵・白色彗星帝国のテーマソングだ。かなり印象的な曲なので、知っている人はすぐにピンと来るだろう。
あまりに強い相手で、見せしめのため月は吹っ飛ばされ、最後は主人公が命をかけて相討ちの玉砕でエンディングを迎えるという凄まじい内容で、悲しく寂しい気持ちで見終えた記憶がある。
それでいながら、この作品が『ヤマト』シリーズの最終回ではなく、この後、何作も続くのだ。この映画の後、テレビ版で、玉砕しないエンディングに変更され、それに続く形で話しは続く。子供ながらに違和感を覚えたものだ。

それはともかく、昔の子供向けアニメの曲と言ってバカにしてはいけない。とても荘厳であり、且つ敵のテーマに相応しい邪悪な感じや強大な感じが出ていて、素晴らしい曲なのだ。

まず第一にサウンドだ。パイプオルガンを使用している。昔はパイプオルガンといえばキリスト教の教会音楽用楽器と言っても良いほどで、神様のイメージにつながる。強大さを表わすにはピッタリだ。人間が神様に叶わないように、パイプオルガンの響きを持つ白色彗星帝国にも叶わないという雰囲気が漂う。

曲は最初に低音だけでテーマのメロディが流れる。長めのメロディを2回繰り替えし、アヤシイ雰囲気を強調している。
3回目。突然、それまでのゆったりとしたメロディに対する伴奏として16分音符でのアルペジオ的なフレーズが加わる。あまりの対比に、凄い早弾きに聴こえてしまう。

MIDI データファイルがダウンロードできます ]
(上記MIDI音源では3回目の早弾き部分からになっています)

この音使いがなかなか凄い。ハッキリ言って全てコピーするのは私には無理だ。一生懸命聴いたが、パイプオルガンの響きは倍音が多いため、聴き取りきれない。それでも雰囲気は分かると思う。
コード名が分からないような複雑な音使いも出て来て、難易度はかなり高い。キーボードやピアノで弾けるように何度かトライしてみてはいるが、とても難しい。

それにしても、この曲は本当にカッコいい。この早い16分音符が出て来るメインのパートの後もクレイジーな雰囲気を伝えるパートが出て来て、特にパートの最後を締める箇所に1拍目が休符で2拍目がコードをのばすパターンがあるが、一発でパイプオルガンみ魅せられてしまう効果が絶大だと思う。