2003年10月31日金曜日

Love Me Do

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

何とこのコーナー始まって最初のBeatlesである。各メンバーのソロ曲はすでに登場しているが、Beatlesとしてはこれが第1回目だ。私の場合は「一番好きなバンド」「二番目に好きなバンド」とあっても、Beatlesだけは常に別格で、1位、2位ではなく、ボクシングのランキングのように1位の上にチャンピオンがいるという感じだ。
当初はBeatlesだらけになるのではないかと危惧したほどだったが、逆にBeatlesは日常的すぎて、あえて「今日の一曲」というほどになることは滅多にない。

記念すべき第1回目のBeatlesはデビュー曲のこの曲だ。別にこの曲は最初にしようと狙っていたのではないが、とにかくこの曲だ。

この曲は、実はリリース当時の1962年,63年から2バージョン存在していた。デビュー時、Beatlesはドラムが不安定と言われ、プロのセッション・ドラマーのAndy Whiteがこの曲をレコーディングした。結局はRingo Starrのものが使われ、Andyバージョンはアルバムに入ったというわけだ。ちなみに『Anthology』では前任ドラマーのPete Bestのバージョンも聴くことが出来る。

Andyのドラムは軽快で歯切れが良く、さすがプロという感じ。Ringoの方がヘヴィで力強い。

この2バージョンだが、ドラムだけでなくすべてが別録音のため、細かなところが微妙に違う。ボーカルは、出だしのハーモニーの音量が違っていて、アルバムバージョン(Andyの方)よりシングルバージョン(Ringoの方)がJohnの声が大きい。Paulの方が主旋律っぽく、Johnの方が難しく聴こえる。

イントロは有名なハーモニカのフレーズだ。単純で分かりやすいフレーズで、明るいポップな感じだ。しかし、実はこの曲、彼らが下積み時代に3度目のハンブルグ行きの際、メンバーの一人で画家を目指すためにドイツに残っていたStuart Sutcliffeの死を知った頃に作られた曲なのだ。特に一番の親友であったJohnの悲しみは大きく、この曲のハーモニカの微妙なヴィブラートの揺れに悲しみを感じることが出来れば、相当の感性の持ち主だ。吹いているのはもちろんJohnだ。

2003年10月27日月曜日

サザンクロスの聖夜

島田奈美 [ 船山基紀/吉元由美 ]

昨日、超久しぶりに聴いたことで、すっかり島田奈美づいてしまった。「そうそう、この曲、好きだったんだ~」という感じだ。
第2弾は同じ2ndの3曲目のこの曲だ。アップテンポの曲の代表例のような曲で、元気が良くてノリがいい。

リズムはジャングル・ビートではないのだが、それっぽい雰囲気がある。とにかく「明るくノリ良く元気良く」という感じだ。ビッグなドラムサウンドがあれば、それだけで決まりだろう。

例によってキーが分からないが、多分プラスマイナス半音程度の誤差だろう。
イントロはまずベースから入る。「D音」をメインにしているが、ハネ気味のリズムやフレーズで早くもノリを全面に出している。
続いて登場するゴージャスな音のキーボード。ブラス系の音だろうが、歯切れが良く気持ちいい。コードを主体にサビと同じメロディを弾いている。
コード進行は「G」 「Gm」 「F#m7」 「Bm7」といった感じ。前に何かの曲でメジャー→マイナーの進行に弱いと言った覚えがあるが、イキナリここで出て来ている。パッと聴くと気づかないが、この進行が実にカッコいい。

コード進行的には「D」 「F#m」 「Am7」 「B7」 「Em・A7」 「F#m7・Bm7」 「Em7」 「A7」という感じだ。個人的には「Em」でなく「G」を使いたいところだ。
この進行の中では、3番目の「Am7」が抜群にカッコいい。これを強調するためか、2度目の繰り返しではグロッケンのような音で「F#m」のコードトーンを下って来るのだが、「ド#ラファ#ド#ド」というように、最後が半音階になるようにしてある。これで「Am7」が強調される。「Am7」がカッコいいというのは、この「ド」の音の使い方につきるからだ。

同様のカッコ良さはサビの最後にも出て来る。「Bm」を連発し「B音」を連発しておきながら、最後の最後で「Gm」で登場し「B♭音」が出て来る。そして「C」で締めるから次が最初に戻って「Dm」になっても繰り返しで「D」になっても大丈夫になる。調に対する辻褄合わせかもしれないが、それがカッコ良い聴きどころとするところが凄い。

サビの歌詞の出だしが「台風台風」と書いて「ウィリーウィリー」とルビがふってある。これは何語だろう?サザンクロスが見える場所だからオーストラリアや南太平洋の言葉なのだろうかと思っていたら、アボリジニの言葉らしい。

2003年10月24日金曜日

雪の招待状

島田奈美 [ いけたけし/芹沢類 ]

島田奈美は80年代後半のアイドルだが、大物にならずに芸能界から身を引いた。詳しくは知らない。

なぜ島田奈美を知っているのかというと、私が高校時代、同級生のある女の子からレコードをプレゼントされたからなのだ。しかし、その彼女とはつき合ったわけでもなく、プレゼントにどういう意味があったのかもよく分からないままになっている。
しかしもらった以上、聴かない訳にもいかず、あまりアイドルに興味がなかった私としては島田奈美は珍しい存在となっている。
で、その彼女と島田奈美は、容姿的にどこかオーバーラップする部分があって、清楚でかわいらしい雰囲気も良い印象になって、今思えばなぜ声をかけなかったのだろうと後悔する(笑)。私のタヌキ顔好きはひょっとするとここから来ているのかもしれない。

アップテンポの曲が多いことからも気に入って、一時期は積極的に聴いたものだ。当然、何曲かは気に入ったものもあり、今回、それを紹介することにした。
当時以来、15年ぶりくらいに引っぱり出して聴いたのだが、記憶が蘇りとても懐かしく、また予想以上に覚えていて驚いた。聴く前にピアノでこんな曲があったなと弾いてみたのだが、結構近い線で弾けた。その曲が今回の「雪の招待状」だ。2ndアルバムの1曲目だ。

まずオープニングだが、ディズニーっぽい壮大なパートと同じ繰り返しのピアノのフレーズが、寒い冬の中の暖かな心を連想させて、ムードがあって良い。
ドラムが入るとすぐに最初のヴァースだ。ほとんど4分打ちのピアノだけというシンプルなパート。Beatles好きの人間にはキーボードの4分打ちはどうしても心惹かれるものがある。コードは「Dm」 「C」 「B♭」 「A7」で、3度の音にあたる部分が上下に変化するパターン。Bon Joviの『Runnaway』を思い出した。

サビになると突然メジャーに変わる。マイナーの部分は神秘的な冬のイメージ。「静かすぎる夜、誰か窓の外で私の名前を呼んでいる気がしたの」という歌詞が良い。「気がした」ということで、実際にどうであったかではなく、心理状態を表現しているわけだ。断言する歌詞よりも、結局どうなのか分からない、どちらにでも解釈出来るというような幅のある歌詞が好きだ。
そしてサビは心を開放している部分。コードトーンを多く使った音程差のあるメロディが良い。

サビの一番最後の部分、「寂しさも溶けてゆくの」の部分のメロディがカッコいい。最高の決めのメロディだ。

2003年10月19日日曜日

Is't She Lovely

Stevie Wonder [ S.Wonder ]

実はこの曲には思い出がある。あまり詳しくは話さないが、10年以上も前の話しだが、都内のとあるスタジオ(新宿区内で寺の隣りにあった)で、私が初めてギターで弾かされた曲なのだ。インストとして録音して、イベントか何かで使うためのものだった。少しだけくずしてメロディを弾くだけの簡単な仕事だったが、とても緊張してガチガチだった。
その時点で、恥ずかしながらこの曲のオリジナルを知らず、Stevieの曲だとも知らなかった。リズムが良くて、ベースと合わせるところが印象的だなというくらいしか記憶に残らなかった。
しかし、その後に何度も頭の中に出て来てとても気になる曲になった。誰の曲かが判明するのはそれから数年後だった。邦題が『可愛いイーシャ(アイシャ)』となっているのも曲が発見出来なかった理由だ。

それにしてもStevieの曲はどれもリズムが最高だ。Beatles等の白人のバンドにはなかなかないものだ。表面的には8ビートでも、ノリは16になっていたりするものも多い。

それでいてとてもメロディアスで適度にポップだ。ボーカルはハイトーンなのに太い声で、歌い回しも上手い。さすが黒人の王という感じだ。

この曲もリズムが最高で、ドラムとベースだけあれば満足出来てしまう。

ハーモニカ(ブルースハープ)のソロも最高だ。伸びやかな部分、感情豊かなフレーズ、エンディングもずっと聴いていたい気分になる。

ハーモニカは私が挑戦したいくつかの楽器のうち、最も下手クソな楽器だ。小学校の音楽にも出て来た身近な楽器の割に「こう演奏したい」と思うものにまるで届かない。この曲のようなフレーズがさらっと出来たら最高だろうなと思う。思うように音をシャープさせるベンディングやヴィブラートが難しい。キレイにベンドが決まっているものがとてもカッコ良く聴こえる。

2003年10月15日水曜日

You

George Harrison [ G.Harrison ]

一昨年に亡くなったGeorge Harrisonのソロ作。ロックというよりもかなりポップな曲だが、実はこの曲は『Be My Baby』のRonettesの中心人物だったヴェロニカ(ロニー)のためにジョージが書いた曲なのだ。どうりでGeorgeっぽくないはずだ。
GeorgeとRonettes、いやロニーがどういう関係なのかと考えると、通の人ならすぐに分かる。Phil Spectorつながりというのが答えだ。ロニーはスペクターと結婚しており、スペクターとJohn LennonやGeorgeは70年代前半は仲が良かった。
この曲も「Wall of Sound」っぽい。

で、この曲だが、レコーディングも完了し、あとはロニーの歌入れだけというところまでいっていたのだが、なぜかここでボツに。仕方がないからジョージのソロ曲として使おうということになったのだが、ロニーのためのキーで録音されてしまっており、ジョージが歌うには高すぎる。そこでテープ回転を落として音を低くして録音し、それを通常のスピードに戻したものをリリースした。というわけで、ジョージの声が少々甲高い感じになっているのだ。

リリースは1975年のアルバム『Extra Texture(ジョージ・ハリスン帝国)』で、第1弾シングルとなっているが、演奏はすでに1971年に録音を終えている。 何と邦題は『二人はアイ・ラブ・ユー』だ。

歌詞は恥ずかしくなるような単純明解なラブ・ソングで、このあたりも70年代ポップスといった雰囲気だ。

曲はブラスセクションが入っていたりして、ロックバンドタイプの編成ではないのだが、これがジョンやポールではなくジョージだと思うと妙にハマる気もする。
その上、アルバムは落ち着いた雰囲気というか、派手な曲が少ないため、このアップテンポがとても際立つようになっている。

リズムは2ビート。ノリを良くする効果は絶大で、一気に軽快で楽しい曲となる。

2003年10月14日火曜日

Papa's Got A Brand New Bag

James Brown [ J.Brown ]

ソウル系の音楽は全然詳しくないのでよく分からない。この曲はソウルにも位置づけられているし、ファンクとされる場合も多い。ソウルとファンクというと随分違うジャンルのようにも思うが、本当はそうでもなかった。ソウルとは「宗教くさくないゴスペル」という感じだ。ゴスペルはリズム好きのアフリカ系の人たちが自由に賛美歌を歌ったのが始まり。教会で賛美歌を歌うというと、ヨーロッパ系の荘厳な感じをイメージするが、ゴスペルは、ほとんど教会でロック・コンサートをやっているかのようにエネルギッシュだ。ボーカルも最高だ。
そのゴスペルをロック・バンド形式で演奏したのファンクの始まりだろう。初期のものは歌詞などほとんど賛美歌だった。当然、黒人の色が強いためリズムがカッコいい。
この曲がソウルとファンクの両方に位置づけられるのも分かるというものだ。

さて、James Brownだが、60年代の生んだ天才の一人に数えられている。BeatlesやJimi HendrixやMiles Davisだけではないのだ。

何がそんなに凄いのか。それはその存在そのものだ。「天才」などと呼ばれる人は皆そんな感じだ。
パワフルなボーカルとともに個性的なダンスがユニークだ。「ズボンの中にアリが入ってしまった」等とジョークを言うようなものだが、Michael Jacksonのダンスを見ていると彼の影響力が分かる。

ダンスに目がいくのは、完璧なバックバンドがあってのものだ。演奏ミスをしたメンバーからは罰金を給料から引いたというし、賃上げを要求するメンバーはクビにするという厳しさ。

何度も警察に逮捕されている問題児だが、ファンクのリズムを提示したのは彼だといっても良いほど功績は大きい。

2003年10月12日日曜日

Lust For Life

Gamma Ray [ K.Hansen ]

Helloweenを脱退したKai Hansenが1990年に新たに結成したバンド・Gamma Rayの1stの1曲目。厳密には短いオープニングナンバーの「Welcome」があるが、実質的にはこの曲が1曲目だ。
Helloweenからのメロディックなスピード・メタルだが、よりドラマチックになっていて、オペラ的ですらある。

エネルギッシュでスピーディなギターに続いて登場するボーカルはRalf Scheepers。肺活量が凄そうな彼の抜群の歌唱力がこの曲をよりドラマチックにしている。パワーとスピードで押せ押せの曲だが、それを楽々とこなしているところが凄い。サビの部分をはじめ、ハイトーンが随所に出て来るが、まだまだ余力がありそうだ。

ギターはスピード・メタル系に多くある、ルート音をミュート気味にして16分を刻むものや全音符で伸ばすバッキングの使い分け、それに同じミュート奏法のバッキングにしても高い音と重低音の使い分け等、シンプルなバッキングでも楽しめる。

ギター・ソロ。これがカッコいい。一度クールダウンさせ、最初からはカッ飛ばさない。ツインギターによるシンプルなハーモニーで徐々に盛り上げていく。
そしてドラムの合図とともに本編に入る。前半はツインハーモニーを主体にしており、メロディックでクラシックの組曲のようなパートが楽しい。
後半は1人ずつ交代でソロをとっているが、それまでの雰囲気を引き継いでいる。そして最後はやはりツインでオーケストラのような雰囲気の決めのフレーズで結ぶ。
長いソロ・パートだが、ギターが好きな人には飽きずに楽しいパートだ。
そしてこの直後、再びハイトーンで声量のあるボーカルが登場。まったく素晴らしい。
ボーカルはエンディングではかなりのロングトーンを出しているので、これも忘れずに聴こう。

メロディックなスピード・メタルの曲としては最高峰の曲だと思う。ポップスでも通用する分かりやすいメロディに最高のスピード感。クラシックのような各パート。元気が出ることこの上なし。

2003年10月11日土曜日

Cotton Time

レベッカ [ 土橋安騎夫/NOKKO ]

レベッカ第3弾だ。夏の夕暮れのような雰囲気のムードのある曲。たんたんとしているところに美しさがある。「Cotton Time」とは、歌詞にもあるように「優しい時間」ということだろう。大好きな曲なので久しぶりにCDに合わせてギターを弾いてみたが、私のようなヘヴィ・サウンドではまるで雰囲気が出ない。軽やかで哀愁を漂わせながら弾かなければいけない。私には無理だ。

そのギターだが、かなりアレンジされていて、自由度は低いものの完成度は最高だ。とても面白い。
イントロは低い開放弦の「E音」を基に5弦を下っていくシンプルなものだが、その後の「Esus4」のジャーンとやるところが気持ち良い。

ボーカルが出て来てからはレゲエのように裏拍を強調したコード弾きだが、これは恐らくキーボードだろう。自己主張をせずにたんたんと弾いている。コードは「E」と「Bm7」だが、次の展開のところがなかなか。「A」 「A7」 「F#m」 「B」という感じ。

最高なのはこの次のサビのところだ。5弦で開放+メロデイになっていて、これはイントロと似たアプローチだ。しかしイントロは4音を下降するだけの繰り返しだったのに対し、こちらはメロディになっている。半音チョーキングが出て来たり、4弦で小さなプリングが出て来たり、とにかくムードがある。正確なリズムでたんたんと弾きつつ、チョーキングやプリングのところは粘っこく弾くと雰囲気が出る。ヘヴィ派の人ならピッキングハーモニクスを絡ませたくなるところ。

ソロはかなりシンプルだがその直前のギター、ベース、キーボードの合わせるプレイがプログレチック。バチッと決めないとカッコ悪くなってしまう。キーボードはピアノの音だ。

曲全体がかなり計算されて厳密なアレンジが施こされているが、それを感じさせないようにサラッと聴かせるところがさすがだ。

2003年10月10日金曜日

Hot Spice

レベッカ [ 土橋安騎夫/宮原芽映 ]

前回の「光と影の誘惑」以来、すっかりレベッカづいてしまった。あれから「光と影の誘惑」を中心に『REBECCA IV』を久しぶりに聴き直してみたのだが、いい曲は多いしとても新鮮に感じる。

で、今回取り上げるのはオープニングナンバーの『Hot Spice』という曲。実はこのアルバムを買った高校生の頃はこの曲だけは唯一好きになれない曲だった。
ところが今回、10年以上ぶりに聴いてみたところ・・・、これがハマる!カッコいい曲だ!

イントロ。まさにHot Spiceという感じの切れ味鋭いギターが最高。思わずJames Brownを思い出す。入れ替わりに登場するビッグなサウンド&グルーヴのドラムも最高。
レベッカの曲はどれもそうだが、ドラムがビッグなサウンドだ。比較的シンプルなパターンが多いが、それを単調にならずに最高のグルーヴを叩き出すのだから最高だ。

イントロのギターのコードは「Am11」だろうか。ちょっと違うかもしれない。表記的には「11th」の音があるのだから当然基本は「Am7」なのだろうが、「7th」の音は聴こえない(もちろんキーボード等、他の楽器には出て来る)。ストラト系のギターの乾いた音が最高だ。

ドラムと同時に出て来るキーボードはMIDIだろうか?かなり機械的な感じだが、それが生々しいギターやドラムと対照的でカッコいい。

ボーカルが登場するところからのコードもざっととってみた。「F」 「Dm」 「Em」 「Am」と来て、繰り返しの最後は「Am」でなく「A」。3回目の最後は「E7#9」、いわゆる「ジミヘン・コード」だ。こういうリズミックな曲にはつい使いたくなる。

さて、ソロだが、ギターソロだとばかり思っていたが、よく聴くとキーボードのようだ。 5度音程を下につけ(つまり4度のハモり)たハーモナイザーによるもので、YESの『Owner Of A Lonely Heart』を思い出した。ギターリフとドラムが主体になっていることや、曲の途中にオケヒットが出て来るあたりもこの曲がヒントになっているなと思うところだが、キーボードソロとは・・・。ところどころハモりの音程差が変化したりしているので、ハーモナイザーではないようだ。おそらくサンプリングだろう。

2003年10月8日水曜日

You Shook Me All Night Long

AC/DC [ A.Young/M.Young/B.Johnson ]

2001年のAC/DCの来日公演での1曲目。この曲が好きなので「演ってくれるといいな~」と思っていたら、イキナリ。イントロを聴いただけで全身鳥肌。そして短いイントロから続いて、一つの塊のような演奏が始まる。会場が波打っている。早くもぶっとばされそうな勢いだ。あれから何年もたった今でも、この曲のイントロを聴くだけで血が騒ぐ。

この曲のようなイントロは「何が始まるんだろう」「来るぞ来るぞ」と思わせワクワクする。曲がイントロとは全然違うもので、だからといって無意味なものではない。

イントロに続いて、バンド全員が入っての本編。休符の多いシンプルな曲だが、ここで最高なのはドラムだ。これまたシンプルこの上ない単純な8ビートを刻んでいるにすぎないのだが、とにかく最高。ハイハットが良いのだろうか。

サビに入る。ギターはアクセントの部分以外は何とアルペジオになる。これがポップ感を高め、キャッチーなサビとなる。パワーコードだけのパートの後に分かりやすいアルペジオが来るだけで随分コントラストがハッキリするものだ。このギャップがこの曲の醍醐味の一つだと思う。私はこのアルペジオもその前のパワーコードの部分も最高に好きで、聴けば必ず弾きたくなってしまう。

ギターソロは、そのバックのリズムギターが素晴らしい。基本的にはここまでのパターンなのだが、リズムが全然違う。リズムの裏をとっており、また別のパートになった感じで変化があり楽しい。ソロを弾くより、ベースやドラムと顔を見合わせて弾いている方が楽しいかもしれない。やはりこの曲はパワフルに楽しくやらなければ台無しだ。
8ビートのリズムに合わせ、Chuck Berryバリのダック・ウォークするAngusが目に浮かぶようだ。

2003年10月6日月曜日

光と影の誘惑

レベッカ [ 高橋教之 ]

出世作『REBECCA IV』というアルバムのA面最後に入っているインストの曲。レベッカと言えばNOKKOのボーカルだろうが、珍しくインストなのである。これが素晴らしい佳曲なのだ。バンドとしてのレベッカが見えるようで嬉しい。

まずピアノから入る。なかなかおいしいフレーズで、これだけでもコピーしたくなる。高音からキラキラと一気に下っていく。別に難しくもないので、少しでもピアノに興味のある人はコピーしてみると良いかも。ヒントとしてコードは「G」と「Cm」、1音目だけ和音で高い「D音」とその上の「A音」。

ピアノの後からが本編。ベースのハーモニクスでつないだ後、バンドの演奏に入る。リバーヴのたっぷりかかったリムショットを使ったドラムとヒューマンヴォイス系のシンセの音でムードを高めておいて、メロディを弾くのは何とベース。フレットレスベースのようだ。次にどういう展開になるのだろうとワクワクして待つことになる。

続いて登場はギター。ゆったりとしたメロディ。ビブラート等で自分の色を出しやすいパート。比較的あっさりと弾いているが、音が消える寸前までジックリと聴きたい。
コード的には「Bm」 「B♭6」 「Am7」という感じだろうか。

更に今度はキーボードの出番だ。このパートだけは8ビートとなる。コードは「C」 「Em7」 「G」 「D」という感じか。
こうやって順番に各楽器が登場するが、どれもソロではなく、曲に必要なパートばかりで曲を生かしたジックリとした演奏が求められる。しかもどの楽器のパートも、その楽器ならではの使用方法で、とても効果的だ。

タイトルに「光」「影」「誘惑」という言葉があるが、どれが「光」でどれが「影」なのか、そしてどれが「誘惑」なのか想像に浸りながら聴きたい。ピアノの音は「光」に違いない。ベースは「影」だろう・・・。別にパズルの問題ではないので、明確な答えを出す必要はない。「光」「影」「誘惑」という3つのキーワードを堪能しながら聴くだけだ。そうすると、このタイトルがピッタリであることが分かってくるはず。

終盤に入り、時折聴こえるベースのハーモニクスが効果的で、イントロと似たピアノのフレーズをはじめ、これまでに登場した各楽器がそれぞれの味を出しながら共演している。本当に素晴らしい。このようなムードのある曲は大好きだ。

2003年10月4日土曜日

Lady Jane

Rolling Stones [ M.Jagger/K.Richards ]

車の中のラジオでかかり久しぶりに聴いて感動した。アコースティックギターの弾き語り的な曲でギターは2本か・・・。効率の良い素晴らしいアレンジだ。
家に帰って、最初はピアノで弾き、やっぱりギターということで、結局ギターも持ち出してみた。あらためて美しい曲だぁ。こんなにシンプルなのに。

何が美しいかって、サビ(なのかな?2パートしかない曲だから・・・)の部分の最初のギターの音!コードは「E7」なのだが、ギターは低い「G#音」を鳴らしている。「Am」を挟んだ後の「D7」の時も「F#音」を出している。これも良いが、とにかく最初の「G#音」でもうメロメロだ。
また、「Am」の時の12弦ギターも効果的で良い。

その他、イントロもなかなか。まず最初のギターの出だしは1弦と4弦が開放弦なのだろうと思う。ギターは同じ音程でも開放弦と押さえた場合の音とではだいぶ響きが違う。開放弦が最も弦を大きく振動させることが出来るので美しい音なのかもしれない。
で、このイントロの出だしは「Dadd9」的な響きで、この「add9」に当たる「E音」が開放弦になるわけだ。4弦の方は低いルート音になる。
このフレーズに絡んで、12弦ギターのメロディが入るのだが、恐らく1弦をDにチューニングして1弦開放&2弦のメロディで弾いているのだと思う。つまり2本の弦でハーモニーになっているのだが、一つの音はずっと下の「D音」なわけだ。一部上下が逆転するところが面白い。

Mick Jaggerは決して上手いボーカリストではないけれど、最高に雰囲気のある歌を歌う。

2003年10月3日金曜日

Reality

Richard Thuderson [ J.Jordan/V.Cosma ]

邦題『愛のファンタジー』。1980年に大ヒットしたフランス映画『ラ・ブーム』のタイトル・トラック。ソフィ・マルソーのデビュー作だったように思うが、ソフィーの可愛さが印象に残るラブ・コメディだった。
映画だけでなくこの曲も世界的にヒットしたので知っている人も多いと思う。とにかく甘い甘い歌詞とメロディの必殺のラブ・ソングだ。
ボーカルも甘い声でムードを高めながら歌っている。私には逆立ちしても出来ない雰囲気だ。男っぽさはなく、軟弱なイメージすらあるが、女性はこんな雰囲気に弱いのかもしれない。

最初にギター・ソロについてだが、Steve Lukatherを平淡にしたような雰囲気で、基本的にはメロディをなぞるだけだが、終盤の盛り上がりなどはさすがだ。きれいにまとまっていて、この曲をプレイする場合、ほとんど同じラインを弾くかまったく別のソロにするかになるだろう。ほどほどに崩すというのはやりにくい。

では曲を細かく見ていく。例によってキーは分からないから仮に「A」として考えてみる。
まず、シンプルなイントロだが、「A」「E」までは良いとして、次の「G」「F#」というところが早くもせつなさを表現している。特に「F#」時の1音目の「B♭音」が最高だ。次の「E」の直前のコードは何だろう。「A#dim」のような音だ。

最初のヴァース。「A」「AM7」「Em」「F#」「Bm」「Dm」「A/F#m」「E」といった進行。「Bm」から「Dm」へ進む部分の転調がまた美しい。いや、1小節だけなので転調とは言わないが、「Dm」時の「F音」が美しいのだ。「Saw you standing there, I didn't know I cared」の部分の「didn't」の音だ。

そしてサビだ。コード進行は「A」 「C#」 「F#m」 「B」「Bm/E」「C#m/F#m」「D」「E」。2回目は最後が「D/E」「A」と変わる。
この中では「C#」のところが甘い感じ。「C#m」ではないところがラブ・ソング。美しいのはその後だ。歌詞的には「Illusion are~」の部分で、ここからは半小節ごとにコードが変わる。最初の小節が「Bm/E」だが、この「E」が美しい。「E9」にした方が「DonE」っぽくてもっと美しいかも。つまり「DM7/E9」のような響き。続く2小節目の「C#m」 「F#m7」は更に盛り上がる。この2小節だけで曲の良さは充分に堪能できるというものだ。

更には、サビのところで、和音を補強するようにアルペジオ(というにはかなり音数が少ないが)のような音使いで盛り上げる。これがかなり効果的。例えば最初の「A」のところは、コードトーンである「E音」「A音」「C#音」と来て、次のコードトーンである「F音」を伸ばす。「C#」が「C#m」でない音がこの「F音」だ。これを強調することで甘いムードが高まるというアレンジだ。

2003年10月2日木曜日

青い珊瑚礁

松田聖子 [ 小田裕一郎/三浦徳子 ]

この曲が流行っていた頃、私は小学生だった。大人気だった松田聖子だったが、私はそれほど興味はなかったが、テレビ等での露出が多いため嫌でも耳にしている上、小学校の運動会のダンスの曲に使われたので良く覚えている。ちなみに前年は『花笠音頭』だったため、この曲がとてもよく感じられた。(何度も練習させられたということは、何度も聴いたということ)

まさに青い空に白い雲、広々ときらめく海が似合う、夏にピッタリで開放的な気分になれそうな曲だ。伸びやかで晴れやかなボーカルも良い。

しかしそれ以上に曲が好きだ。特に好きなのはサビではなくヴァースの方だ。「あなたと逢うたびに~」という部分だ。

コード進行で言うと、キーが「A」として、「A」 「C#m7」 「Bm7」 「G」 「Bm」 「E7」という出だし。そしてほとんど繰り返しの「A」 「C#m7」 「Bm7」と進み、「E」で締める。
この直後が素晴らしいのだ。ジャーンと一瞬の「E♭」を挟んで、「D」「EonD」 「C#m7」 「F#m7」 「Bm7」 「Dm7」 「E7」といく。しかもリズムが半分になり、嫌でも注目するようになっている。

このうちの「EonD」と「Dm7」が最高だ。前者はベース音がそのままなのが最高だし、後者はこの小節だけ転調したかのように「F#音」ではなく「F音」に落ちる。このように私はメジャー→マイナーを思わせる(BmをDとすれば)進行に弱いのだ。

2003年10月1日水曜日

Layla

Derek & The Dominos [ E.Clapton/J.Gordon ]

昨年がラスト・ツアーだったはずのEric Clapton。なぜか来月来日する。これが最後のチャンスかと出かけることにしたので、最近よく聴いている。
この曲はClaptonの代表曲中の代表曲で、1970年リリース。邦題『いとしのレイラ』で、あまりにも有名。

有名な曲はたいていは分かりやすいパターンが多いのだが、この曲はちょっと変な進行だ。
印象的なイントロのギターのフレーズに続いて出て来る最初の歌い出しの瞬間の音。「あれっ?」と思う人も多いと思う。キーが「Dm」から突如「C#m」に半音下がるのだ。転調するにしても変な転調だ。しかもこの直後にコードが「F#」「C#m」と進んだ後、「C→D→E」と進む。ここで再び「あれっ?」となる。多分、コードだけを鳴らしていると何の曲か分からない上に間違っていると感じるかもしれない。基点を「A音」に置いて考えるとされほど不思議ではないのだが、コード進行的には変わっている。

変わっていると言えば、曲の前半と後半とで全く別の曲になっているのも面白い。後半は延々と続くピアノがメインでボーカルはナシ。結構印象的な部分で、特にコード「F」の部分でメロディが「G音」になる瞬間が好きだ。
背後ではDuane Allmanの繊細なスライドギターが抜群の雰囲気を醸し出す。このせつなさこそが曲のテーマなのだろう。

1992年発表のアコースティック・バージョンも有名だが、個人的にはオリジナル・バージョンの方がずっと思い入れがあり好きだ。やはりエンディングの長いピアノ・パートは欲しいところ。アコースティックの方はリズムも歌い方も全然違うので、興味のある方は一聴を。

この曲のエピソードとして、BeatlesのGeorge Harrison夫人・Patyを口説いた曲としても有名。Georgeが口説いた(?)『Something』と内容を比べてみるのも面白い。GeorgeとClaptonは親友で、1991年には一緒に来日公演も行っているが、さすがにClaptonのソロ・タイムでもこの曲は演奏されなかった。