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2018年9月25日火曜日

Imagine

John Lennon [ John Lennon ]

超有名曲で、John Lennonの理想の世界を表わしたような曲。静かに切々と語りかけるようなPVも印象的。
「Happy Xmas」という曲の歌詞の中に「War is over, if you want it」というのがあった。「戦争を終わらせるには(武力や政治や宗教の思惑が絡んだ難しい話しではなく)、ただ、あなたが想うだけでいい。その「あなた」が世界中にいれば自然に戦争は終わる。(逆に言えばやりたいヤツがいるから戦争は起こるということだ)」というような意味で、「ただ想うだけでは何も変わらない」という反論があるだろうが、まず想うことが大切で、それが沢山の人に広がれば力(Power To The People)になるという考え。
これと同じく、「人の想い」のようなものを大事にした内容だと思う。この曲も「想像してごらん」と優しく呼びかけ、「しがらみや制限がない世界を想像しよう」と呼び掛ける。ただ想像するだけでは何もならないと思うかもしれないが、想像すら出来ないのでは話しにならない。まずは第一歩として重要なのだ。
ジョンは静かに語りかける。

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

こういうことを想像していると心が落ち着き、和らぎ、安らかになるようだ。
ジョンは決して強制しない。「神を信仰しないと地獄へ落ちるぞ」とも言わない。「あなたもいつか仲間になれれば」と願うだけ。

「想うだけ」「想像するだけ」「願うだけ」というと、まるで無力なもののようだが、それがすべてのスタートになる。「世界が一つに? 無理に決まってるじゃん」というのでは何も始まらない。「無理と思ってもいい。でも、ただ想像するだけなら出来るよね? やってみよう」ということなのだ。

曲はこれ以上ないくらいにシンプルだ。
最初は「C」と「F」だけ。一瞬「シ」の音を含めた「CM7」の音になるが、コードの流れをつけるための「シ」だろう。
「ラ シ♭ シ」が少し浮遊感を感じさせて、どことなく夢の世界にいるような気分にさせる。そう、そこは夢の世界かもしれないし、想像の世界なのだ。

次のパートも「F」からベースだけ下がっていくような音使いで、「F」「FonE」「FonD」「F」「G」「G7」となる。よくコピー譜なんかでは「FonE」を「Am」、「FonD」を「Dm7」にしてあるものを見かけるが、あくまでジョンは「F」から下がっていくだけのイメージで作っていると思う。

「You may say」のところからがキレイで、コード進行は「F」「G」「C」「E7」の繰り返し。ゆったりと、淡々としている中だと「E7」が劇的に聴こえる。

ベースもドラムも最低限という感じで極めてシンプル。それだけにピアノの存在感が大きい。
ピアノもシンプルすぎるくらいだが、こうなると弾き方の強弱まで真似したくなる。

実際の音だが、出だしの「C」の音は、中央の「ド」のオクターヴ下と2オクターブ下の「ド」を左手で抑え、そのすぐ右(高い音)の「ミ」と「ソ」を抑える。つまり、中央から高音側は何もない。意外に低い音だ。裏拍の「ド」は左手の親指だけ。小指の「ド」はずっと伸ばして、コードチェンジの時だけ鳴らす。ヘヴィすぎないように優しめで(聴こえないのはダメ)。そしてどの音もとても深いタッチで弾く。「ラ シ♭ シ」はちょっと軽めだ。
「F」になっても左手はずっと変わらず、右手がちょっとだけ変わる。ピアノをやっている
人はすぐ音を沢山重ねたがるが、この曲はシンプルさが肝。ピアノ・テクニシャンには退屈極まりない曲だろうが、ほとんど和の侘び寂びの世界のようにシンプルさを追求する。オブリガードもソロもいらない。

この曲は「天国がないのを想像してごらん」とか「宗教がないのを」という歌詞があるために、宗教者からは不評だ。宗教を否定するということは、共産主義者だとか、イギリスでは葬式では使用してはいけないとか、色々言われているが、そういうことではなく、本来、宗教というのはもっと自由であるべきもので、権威づけなくても、立派な教義がなくても、信じればそれは宗教だ。「キリスト教の教えでは」とか「仏教では」と考えるから小難しくなってしまうが、それは宗教が生まれてから時間が経ち過ぎて複雑化しすぎているからだと思う。
この曲で歌われているように「想像してごらん」ということ自体が実は宗教だ。ジョンは決して宗教を否定しているのではない。宗教にまつわるシガラミとか権威とか掟とか上下関係とか、そういう面倒くさいものを嫌っているだけで、本来の宗教心は自分の心の中だけにあるものだ。このあたりは小乗仏教の考えにも近いかもしれない。

「いつの日か世界から戦争がなくなり、一つになったら」と願うこと自体が宗教だ。しかし、「そう思うなら教会に寄付をしろ」とか「それならまず他宗教をつぶせ」とか「広宣流布して折伏だ」とか、そういう方向になるとまた違う方向に行ってしまう。
まずは自分自身が心穏やかにそういう世界を想像し、「そんな世界がいいな」と思うこと。「そのためには隣人を説得して」とか思わない。今月のノルマのためでもなければ自分の宗教的地位のためでもない。
ジョンは静かに穏やかに語りかけてくる。ただ、真に願っているのか、それが重要だ。理想についてよく考え、思い続けることが力になると言っているのだと思う。

2018年8月25日土曜日

I Am The Walrus

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

サイケデリック時代の代表のような曲だ。そして Beatles でもトップクラスのカッコ良さを誇ると思う曲だ。どこか不気味さ、不安定さを感じさせるようなところがある。
曲名からして『不思議の国のアリス』の世界だし、「Walrus(セイウチ)」なんて滅多に題材に挙がる物ではないし、タイトルからして「私はセイウチ」とは強烈だ。曲中に出て来る「egg man」は「ハンプティ・ダンプティ」のことだろうか。

この曲はギターが入っていない。その代わりのメインはキーボード。少し歪んだ音のエレピ。
「B」で始まって、チェロ等と一緒になる2小節目から「B/A」「G/F」「E」「E7」「D」「D7」となる。よく聴くと「G」や「F」の時の2拍目に変な音が混じっていて、5度の音が半音や1音上げているようだ。意図はよく分からないが、不気味さ、不安定さを出す狙いかもしれない。
ヴォーカルが入ってからは「A/AonG」「C/D」「A/AonG」「C」「D」「A」のような進行になる。次のパートは「A/AonG」「D9onF#/F・G」「A/AonG」「F」「B」「B」「C」「D」「E」だ。シンプルなのに奇想天外な響きが不思議だ。

この曲はチェロを中心にしたストリングスが重要で、曲の印象を決定づけるような存在感がある。オブリガード的に色々なオカズが入っていて、これがまたカッコいいし、サイケっぽい感じを出していると思う。

エンディングは「A」「G」「F」「E」「D」「C」「B」と順番にどんどん下がっていく。これの繰り返し。その中でストリングスは高い「ラ」「シ」「ド」のようにどんどん上がっていく。これもサイケな感じ。

歌詞がまた面白くて、出だしから「I am he」as「you are he」as「you are me」and「we are all together」だ。奇想天外だ。全編こんな感じで続いていく。 「ググーグジュー」というセイウチの鳴きまね(?)も印象的で面白い。

2018年7月3日火曜日

Lucy With The Sky With Diamonds

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

不思議な雰囲気の漂う曲だ。中学生の頃、まるで万華鏡のような曲で、ヴォーカルは猫のようだと感じたものだ。
まず不思議なタイトルだが、 John の息子の Julian Lennon が4歳前に描いた絵に触発されたのだとか、タイトルの頭文字をとると「LSD」になるとか色々あるが、ここでは音楽のみを取り上げる。

ハープシコードのようなイントロの音色は、電子ピアノにプリセットされていた「Music Box」という音色だという。イントロはリズム楽器がないため、これが何拍子なのかも分からず、ベースが入って来て分かるという具合。このベースこそ、この曲の最重要楽器だと思う。
曲のキーは「A」。これに対し、ベースは1小節に1音しか出て来ないが、「A音」「G音」「F#音」「F音」と下がる。
「F音」?
キーが「A」なのに? よく市販の楽譜には「AonF」とコード・ネームが書いてあるが、キーボードもここだけ「E音」は外して弾いているので、ベース音だけではなく「Aaug」みたいな扱いになるはずだ。しかし「aug」の使用例としても「?」なので単に「F」と解釈するべきか。しかしそれにしても「F」にしては「C#音」なのでこれも当てはまらない。いずれにしてもこの部分がとても不安定で、不思議な感覚を増幅させる。実に印象的だ。

この部分を繰り返しながら、「Dm」「DmonC」を挟み、Bメロへ。何とイキナリ転調する。それも全体が半音や1音上がるというようなものではなく、完全に別個なパート、別個のメロディでだ。
スイングするようなリズムになって「B♭」「C」「F」「B♭」「C」「G」と来てようやくここで安定するのかと思いきや、またしても転調し、しかも8ビートに変わる。サビだ。
「D」を挟んで、「G/C」「D」を繰り返すサビになる。ベースとギターがユニゾンで上昇するリフを弾いていて、完全にロックだ。ところが不思議なことにまた最初のキーが「A」の部分に戻るのだ。このあたりが万華鏡のように感じる部分だろう。

その他、サウンド・メイキングとしては、シタールあり、スライド・ギターあり、レスリー・スピーカーあり、そしてもちろんシンプルなアコギのストロークもあり多彩。
極めつけはボーカルだ。John のダブルトラッキングになっているが、恐らくテープ・スピードを違えて録音しているいるのだろう。実際の John の声より甘い声になっているが、サビはノーマルだ。明らかに狙って変えている。当時、テープ・スピードを変える装置もなかったが、レコーダーに供給する電圧を変えることでテープ・スピードを変えたという。凄いアイディアだ。
このテープ・スピード操作も不思議さを出している要因の一つだと思う。

2018年7月2日月曜日

Stand By Me

John Lennon [ Ben E. King/Jerry Leiber/Mike Stoller ]

オリジナルは Ben E. King で、更に遡れば苦黒人霊歌の「Lord,Stand by Me」という曲になるが、そういうことは置いておいて、ここでは John Lennon がカヴァーしたバージョンを取り上げる。
John のバージョンは1975年に録音されており、とても格好良くてヒットもした。

When the night has come and the land is dark
And the moon is the only light we'll see
No I won't be afraid, no I won't be afraid
Just as long as you stand, stand by me

夜が訪れて大地が暗くなる時
月明りしか見えなくなる
恐れはしない
ただ君がそばにいてくれれば

有名な出だしの部分の歌詞だ。実に素直で素朴で説得力がある。1986年に River Phoenix で有名になった映画『Stand By Me』そのままの若者の危うさ、不安定さを感じさせるような微妙な空気感がある。

曲の組み立ては実にシンプルで、コード進行は「A」「A」「F#m」「F#m」「D」「E」「A」「A」を繰り返す。「So darlin', darlin'」の部分だけ「A」を引っ張って、後は繰り返しだ。

原曲はベース・ラインが印象的だが、John のバージョンは少しテンポ・アップして、アコースティック・ギターが全面に出ている。カッティングがカッコいいが、慣れないと意外と難しいかもしれない。ダウンストロークの時はブラッシング(ほぼミュートしてコード・カッティング)でアップストロークの時にコードの音を出す感じ。もう少し厳密に言うと、ダウンストロークの時も、普通にコードの音を出しておいて、出した瞬間に右手の親指の付け根あたりでミュートする感じだ。(単に右手でミュートしてコードを鳴らさないようにしても感じは出る)

ソロはスライドで、原曲を少し意識したようなプレイだ。コードを崩したような音使いで印象的で、似たようなプレイをしたくなるメロディだと思う。原曲のストリングスによるソロよりずっと素晴らしい。

ボーカルの聴かせどころは何と言っても「So darlin', darlin'」だ。ほとんどこの部分がカッコ良いかどうかですべてが決まると言っても良いくらいだ。
Johnのボーカルはここが最高にカッコいい。ちょっとだけハスキーな感じでワイルドなシャウトをしている。この曲はカヴァーも非常に多く、色々な人が歌っているのを聴いたが、Ben E. Kingを含めてもJohnのバージョンが一番カッコ良く聴こえる。

2018年6月29日金曜日

Please Please Me

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

Beatles のデビュー2曲目で、イギリスを制覇した曲。ハーモニカとボーカルハーモニーが印象的で、元々はもっとスローな曲で Roy Orbison 風だったらしいが「テンポアップして元気いっぱいにしたら格好良い曲になった」ということらしい。
出だしのボーカル・ハーモニーは○度のハモりというのではなく、片方(John)は下降ライン、もう片方(Paul)はずっと同じ音(E音)を歌うというもの。これを知ると、面白いので同じ音の方は歌いたくなってしまう。

このタイトル「Please Please Me」だが、「どうかどうか私を」では意味不明。最初の「please」は普通に「どうぞ」という意味だが、2回目の「please」は他動詞の「喜ばせる」という意味で使っているので、「どうが僕を喜ばせて」という意味になる。もちろん同じ単語を続けたのは狙ってやっていて、オシャレだ。
大ヒット曲だが、よく考えると結構エロい内容で、例えば最初の方の「I know you never even try, girl」なんかは、何にトライするのかは伏せてあるが・・・?タイトルからして結構エロいのだ。

この曲は、ベースもブンブン唸りを上げる感じでカッコいい。ルート連発だが、アクセントに小さなスライドを入れて、サビのところは結構動く。私はベース・ラインが大好きだ。

コード進行を見ていこう。イントロは「E」一発。歌が入ってからもしばらく「E」とちょこっと「A」で、間の合わせるところは1回目が「E・G/A・B」で2回目はユニゾンで「(一番低い)ミミ(オクターヴ上の)ミミシシ」と入る。サビは「A」「F#m」「C#m」「A」「E」「A/B」「E」「A/B」、展開するところは「A」「B」「E」「E」を繰り返す。
エンディングがなかなか良くて、「E」「A/B」を繰り返した後、コード一発とスネア・ドラムの8分打ちの「タタタタ」が4回繰り返されるところが格好良い。コードは「E」「G」「C」「B」とつなぎ、「E」で終わる。

この曲のキーは言うまでもなく「E」だが、途中やエンディングに少しだけだが「G」だの「C」だのが出て来る、これはダイアトニック・コードにないもので変だ。しかし独特な雰囲気を醸しているように感じるのではないだろうか。これは、モーダルインターチェンジといって、簡単に言うとキーを「Em」と見なす、というか「Em」のダイアトニックから借りて来た音ということ。「Eメジャー」なのに「マイナーっぽい響き」つまり「ブルージーな感じ」になるわけだ。
Beatles は意外にこういう使い方が多くて、単純なポップス曲なのに、なぜかどこかブルージーという時はこれが多い。

2018年4月15日日曜日

I Will

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

美しいバラード曲で大好きな曲の一つ。大袈裟に盛り上がるのではなく、サラッとした小曲なのも返って凄い。中学生の頃に知った曲で、受験期の冬によく聴いていたので、何となく冬のイメージと結びついている。

この曲で面白いのはベースで、Paul が口ベースをやっている。口でベースを歌っているわけだ。しかし、部分的には口で歌うには低すぎるところがあるので、テープ速度を高めにして録音したのだろうと思う。

そのベースラインだが、基本的にはシンプルなラインだが、ところどころルート音とは違う音になっている。具体的には最初の方の「B♭/C7」「F」「B♭/C7」「F~」と続くところで、「C7」に対し「G音」、「F」に対し「A音」になっている。いずれもコード・トトーンだが、そうすることでスムーズに盛り上がる感じの進行に聞こえる。

簡単にコード進行を抑えておこう。イントロなしでイキナリ始まるが、「F/Dm」「Gm7/C7」「F/Dm」「Am/F7」「B♭/C7」「F」「B♭/C7」「F/Dm」「Gm7/C7」で切り返し。2回目は最後の2小節をやらずに「F/F7」を挟み、Bパートへ行く。ここまで7thコードがよく効いている。

美しいBパート。「B♭/Am」「Dm」「Gm7/C7」「F/F7」「B♭/Am」「Dm」「G7」「C7」でAパートに戻る。
戻ってからの5小節は同じだが、6小節目がちょっと違う。リズムを合わせることで印象的なアクセントとなるのだが、その部分のコードが「Dm・B♭/F」。3回目だけ「F」の後の4拍目に「Fdim」が入りエンディングへ流れる。
エンディングは直前の「C7」を受け、「D♭7」だ。リードギターも「D♭」になっていて印象的。そしてすぐに「F」に戻り、美しいBパートを少し出して終わる。素晴らしい。

ギターは全編アコースティックのみだが、途中に少し出て来るオカズのフレーズが格好良い。少し早目のフレーズで、アタック感のある自己主張の強い音で弾いている。次のコードを意識して少し変化をつけているフレーズだ。

聴いた分にはあまり気づかないが、弾いてみると、あちこちシンコペーションしたくなるところがあるが、実際はどれも淡々と弾いているだけで不思議な感じがする。
例えばBパートの「Love you forever~」の「everの部分や、直後の「and」。メロディがシンコペーションしているので、楽器もそれに合わせるのではと思ってしまう。

2018年3月29日木曜日

Let It Be

The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

淡々としたピアノに乗せて Paul が訴えるように歌う、少し悲しげなバラードに聴こえるのは曲の背景を知っているからだからだろうか。
Beatles 最後のアルバムのタイトル・トラックだが、アルバムが出た時にはすでにバンドは瀕死の状態。末期状態の時に録音されたまま放置されていてテープの山を整理したものがアルバムになった。そして間もなく解散。 「なすがままに」というのは時代の流れに乗った Beatles そのものを歌っているようでもある。

この曲のメイン楽器はピアノ。ドラム、ギター、ベース、オルガンも入っているが、断然ピアノの印象が強い。
発売当時は「子供のピアノの練習曲」と蔑まれたようなシンプルなピアノだが、よく聴くとちゃんと工夫もあって、同じに弾くのは意外に難しい。
右手はコードの4分打ちがメインで、シンプルこの上ないが、左手がその合間をぬって動いている。Paul がベーシストだからか、彼のピアノは左手が独特。しかも左利きだから、少し強めの音になる。

イントロの場合、右手はコード、左手はその合間に音を入れつつルート音が中心だが、例えば最初の「C」から次の「G」へ行く時に一瞬左手の「F音」が入る。最初はコードトーンの「E音」と思っていたが、そんな単純な雰囲気ではない。
アクセントの付け方も、2拍目と4拍目を結構強調するのは、体の中に8ビートが聴こえているからに違いない。
繰り返しの多い伴奏だが、毎回微妙に違うのは生演奏ならではか。繰り返しの間の「C音」の連打も、超単純だがカッコいい。

この曲はアルバムでのものの他、シングル版は別バージョンになっている。なぜかアルバム・バージョンが一般的のようだが、個人的にはシングル・バージョンが好きだ。細かな違いは色々あるが、一番の違いは間奏のギターだ。オーソドックスなペンタトニック・ソロのアルバム・バージョンに対し、シングルの方はアレンジしたらしいメロディで、こちらの方が George らしい気がする。
また、この2つ以外にも映画『Let It Be』での演奏や、『Let It Be Naked...』のバージョンもあるのでご参照のほどを。

2018年3月3日土曜日

Love

John Lennon [ John Lennon ]

敬愛する John Lennon のラブ・ソング。ラブ・ソングというには生々しく恐ろしく素直というか素朴だ。超シンプルで淡々としている。

演奏もほとんどピアノだけでOKというくらいにシンプル。
イントロはピアノのフェードイン。「F#m」「C#7」「F#m」「D7」「G」「A7」「D」「F#m」「Em7」「A7」「D」というコード進行で、超シンプルなアルペジオでとても優しい音で弾いている。
歌が入っても同じ繰り返しで、Bメロだけちょっと変化がある。「F」「G」「D」「D」「Em7」「G」「D」「D」となって元に戻る。すぐに元に戻るところが「らしい」と思う。
歌が終わった瞬間に、再びフェードインする感じでイントロと同じピアノのアルペジオが聴こえて来る。
「愛」とは「かくもはかなく、しかし復活して繰り返される」という感じだ。

歌詞も恐ろしくシンプルで、「Love is real」「Real is love」のように「real」が「feeling」とか「wanting」とか「tuch」等に変わっていくだけ。それだけに、それぞれの単語に深い意味を求めてしまう。
唯一、ちょっと変わるBメロだけ歌詞もほんの少し変化を見せる。

Love is you
You and me
Love is Knowing
We can be

ここだけ他と違うパターンになっていて、「you」と「me」が出て来る。もちろん John と Yoko なのだろうが、「you」と「me」なので、誰と誰でも良い。「私」と「私の愛する者」でももちろん良いが、それだけではなく、相手が「家族」「友人」等はもちろん、「気に入らない奴」「嫌いな奴」「憎い奴」「異教徒」「侵略者」のような相容れない相手でも通じることに気づかされる。シンプルすぎて実に奥が深い。

2006年4月6日木曜日

Let Me Roll It

Wings [ P.McCartney ]

最近になってようやく『Back In The U.S.』のDVDを買った。2002年の来日公演から早3年半。しかし映像を見るとあの日の興奮が蘇る。中でもこの曲「Let Me Roll It」を気に入ってしまった。
昔からまあまあ好きな曲ではあった。人によってはまったく好きでない人、場合によっては「嫌い」と言う人もいるかもしれない。日本人には評価されにくい曲かもしれない。 もともとブルーズ・ベースの曲で、50年代からライブで鍛え上げたPaulらしい曲だと思う。ブルーズとロックが融合したような曲で、イントロは(サビと同じだが)オルガンの音が印象的なモロ、ブルーズ・タイプの入りだ。私はブルーズの匂いのするロックに目がないため、このイントロだけで最高に良い気分になれるのだ。このイントロを延々と繰り返し、たまにギターソロを乗っけるだけの構成だったとしても充分に満足してしまうだろう。

続いてギターのリフが入る。このリフが「汚い感じ」に聞こえる人は、この曲を好まないだろう。リズムが8分の12なので、リフもよくある4分の4や8分の8拍子とは雰囲気が違う。字余りに感じるかもしれない。このリズムがミソの一つなのだが、この曲の素晴らしさを強調しているのがドラムなのだ。

「ダダーン」とアクセントをつけて入って来る印象的なドラムがある。このライブでのドラマー・Abe(アベじゃないよ。エイブです)のタメが最高なのだ。イントロで良い気分になったら、あとはドラムだけ聴いていれば良い。それだけでこの曲の良さは分かるはずだ。

このライブのドラマー、Abe Laboriel Jr.は最高だ。リズムのアクセントを聴いているだけで最高のノリが感じられて、どの曲も最高峰のグルーヴになる。どんなに手数が多く複雑なリズムパターンになっても最高のノリが全面に出ている。特にこの曲は隙間が多いせいでそれがよく分かるのだ。リズムは機械のように正確に刻むだけでは楽しくないしノリも感じられない。タイミングが遅れる寸前のギリギリまでタメた上でぶっ叩く。リズムはモタるのが一番格好悪く曲をブチ壊しにするのだが、モタる寸前のギリギリまでタメるのが一番格好良いように思う(曲調にもよるが)。そして常に大らかな揺らぎを感じながらリズムを叩き出す。細かなテクニックを要する部分はどうしても表面的な部分に捕われてしまいがちだが、Abeは決して大きなノリを忘れない。きっと体の中にゆったりとしたノリが流れているのだろう。
ドラムに集中して曲を聴いてみるのもオススメだ。

2004年1月2日金曜日

Mother Nature's Son

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

昔から大好きな曲。大自然を感じさせる雄大な雰囲気が最高だ。
曲はPaulがアコースティックギター1本でたんたんと歌っている、とてもシンプルな曲だ。ギターも特に難しい箇所はないので、少し練習すれば誰でも弾けると思う。
とは言え、そこはBeatles、何の工夫もないような曲ではない。例えば、コードの「A」と「D」が入れ替わりに出て来る部分も、そのままのコードを弾いてもいまいちバラバラした感じで雰囲気が出ない。押さえ方を少しだけ工夫する必要があるかもしれない。
最も面白いのは、「テュテュテュ」の部分だろう。パッと聴くと気づかないが、よく聴くとギターとボーカルとでハーモニーになっている。最初のコードはたんなる「D」だが、ボーカルのメロディに合わせるように、1拍毎に「A音」「F#音」「G音」「A音」がトップの音として使われている。コード「D」からは外れる音も押さえ方を変えて使われている。

このボーカルとギターのハーモニー部に続いて、下降していくような部分も特に美しい。「D音」が半音ずつ下がって行って、「G」「Gm」「D」と続く。素晴らしい!思わず「Yeah」と言いたくなるが、Paulもここで言っている。

この後、アルペジオっぽい間奏になる。ここはギターが2本ないと出来ないが、やはり美しい。私はこの曲は一人でしか弾いたことがないため、アルペジオの方はコピーしたことがないが、2人ギターがいればこちらを弾いてみたくなるパートだ。
ちなみに、一昨年のPaulのライブではこの曲をPaulがギター1本で弾いた。間奏部はどのようになるのか注目していたら、全然別のコード進行で「Mother Nature's Son」を連呼するパートに変えていた。やはり間奏はギター2本で味が出るパートなので、一人ではやっても意味がないと判断したのだろう。

右上から聴ける私の演奏もその時のPaulのを参考にしている。

2003年12月24日水曜日

Happy Xmas

John Lennon [ J.Lennon ]

キリスト教の国でもないのに、クリスマスの季節になるとあちこちでイルミネーションがとてもキレイだ。ロマンチックな雰囲気が溢れる。
この曲の中にも「so happy Xmas, and happy new Year」と出て来るように、欧米では「クリスマス休暇」のようにしてクリスマスと新年を祝う。しかしなぜか日本では12月24日がメインで、25日が過ぎれば完全にクリスマス気分は終わり、新年を迎える体勢に切り替わる。今度は和風な感じだ。

この曲で歌詞で印象的なのは「War is over if you want it」の部分だろう。まったくその通りで、あなたが望めば戦争は終わる。「あなた」とは、ある特定の一人ではなく、誰かにとっての「あなた」であり、それは複数いる。英語で「you」の複数形も「you」なのに感心してしまう。
戦争を望む誰かがいるから戦争が起こるのだ。イラク戦争のあった今年はこれが実感出来る。しかし、人類と戦争は切っても切れない関係なのかもしれない。
いやいや、「人類」などと言っている間はJohnのメッセージを分かっていないことになる。それではまるでひと事だ。「私は戦争を望まない。あなたは?」これを繰り返し、ずっとつながっていけば、やがて「Happy Xmas」ということになる。

先日発売されたJohnのビデオクリップ集のDVDにこの曲のものもあったが、あまりに悲惨な戦争の映像に、思わず目をそむけたくなった。しかし、目をそむけようとも、これが現実なのだ。現実である以上、「目をそむける」「忘れよう」というような行為は逃げにすぎず、偽善者と呼ばれても仕方がない。まずは現実であることを知り、何が起こっているかを考えることから始めなければならないと思った。それがJohnのメッセージでもあるのだろう。

曲の冒頭でJohnとYokoがささやいている。前妻、前夫との子供に呼びかけており、「複雑な事情があってもクリスマスを祝おう」ということなのだろう。

演奏で印象的なのはマンドリンだ。たくさんのコーラスが出て来る壮大な曲だが、このマンドリンのおかげで素朴な感じもして良い。

エンディングまでしっかり収録されているバージョンは意外に少ないようだが、当初からのバージョンは感動する。長いリフレインが終わって演奏が終わって、拍手や歓声が聞こえるのだが、その中からやがて「Happy Xmas」の大合唱へと変化していく。

2003年12月8日月曜日

Starting Over

John Lennon [ J.Lennon ]

なんと23回目にもなるJohnの命日だ。まだBeatlesを知って間もない頃は、この季節にラジオ等でBeatles関連の番組が沢山かかり嬉しかったものだ。あの頃は「Johnの3回目の命日です」というような紹介だったのに、いつの間にか、もう23回目だ。月日が経つのは本当に早い。
この日だけはJohnの曲を聴いて、色々思いにふけりたい。様々な彼のメッセージを思い出すだけでなく、自分自身の昔のピュアな心を思い出す日でもある。夢中でラジオを聴きあさっていた時代の気持ちを忘れないでいたい。

さて曲だが、鐘のような音に続くイントロはギターでコードをジャラ~ンと弾き、ボーカルと同時に曲が始まる。イキナリ歌から入るパターンはメロディを印象づけるのに有効だし、そういえばBeatlesの曲にもよくあった。

ざっとコードを拾ってみると、「A」「Aang」「A6」という風に「A」の5度の音が上がったり下がったりするだけだが、このパターン、結構Johnは得意としている。
次のパートはイントロとちょっと似ているが、「A」「Aaug」「Bm」「E」「Bm」「E」「C#m」「F#」「Bm」「E」という感じで続き、特に「F#」がドラマチックだ。
中間部は「G」「Am」「D7」「G」「Em」「Am」「D7」「G」「E」となって元に戻る。
全体としてはBeatlesの香りも漂う、60年代風の曲だと思う。

リズムはシャッフルだ。新しく始まった80年代について「再出発」を歌っているのだが、この直後に暗殺されてしまうため、まるで「天国への再出発」のような気持ちで聴いてしまいがちだが、この軽快なリズムは「くよくよ考えるな」と言っているように思える。「新しい誓いを立てて、元気を出していこうじゃないか」というメッセージかもしれない。

「Why don't we take off alone」からの部分がとても好きだ。ポジティヴな雰囲気が更に強調されて元気が出て来るようだ。 

Johnがこれだけやる気を出していただけに、23年前のこの日がとても残念だ。

2003年11月24日月曜日

Get Back

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

オリジナル『Let It Be』では最後の曲だったが、『Let It Be...Naked』の1曲目を飾る。1曲目の意味は、アルバムタイトルと同様、「当時の状態(オリジナル)に帰ろう」ということだろう。作詞作曲はポール。

旧来のものとは、曲の前後の話し声が消える等、細かなこと以外は大きく変わっていないが、音質が格段に上がり、各楽器の分離も非常に良くなった。左右でジョンとジョージのギターがはっきりと分かれているためにそれぞれがどのように弾いているかも細かなところまで分かるようになった。

曲はほとんど「A」と「D」しか出て来ないが、ここまでシンプルな曲なのに聴きどころが盛り沢山なのが凄い。
まずはギターだが、珍しくリード・ギターとリズム・ギターの役割が逆転していて、ジョンがリードだ。もちろんソロもJohnが弾いている。Johnのソロというと、リズム・ギターの延長上にあるようなソロで勢いのあるものが多いのだが、この曲ではソロらしい単音のメロディによるソロになっている。スピードアップするフレーズも何なくこなしている。スピードアップするのは同じフレーズを2度繰り返した後の一番最後の部分で、ちょっと弾きにくいフレーズだ。スピーディな2弦から4弦への弦飛びもあるし、意外にテクニカルだ。

ソロよりも、サビで「Get back」と歌うPaulのボーカルの合間に出て来るフレーズが面白いかもしれない。こちらはリズム・ギターの延長にあるようなフレーズだ。4拍目に早い16分音符が出て来る。
スライドでアップして6弦9Fからの上昇フレーズ。5弦の7F、9F、4弦の7Fと、ここまでの4音は同じでその後がコードに合わせた早いフレーズ(というかコード)。「A」の時は3弦2弦1弦の順に9F、8F、9F(つまり「A7」の音)、「D」の時は7F、7F、8F(つまり「D7」)を押さえ、「チャララララ」と素早く弾く。簡単そうで意外に難しい。

この曲で最高にカッコいいのは、ゲスト参加のBilly Prestonのキーボード・ソロではないだろうか。エレピ(エレクトリック・ピアノ)でのソロだが、「Don't Let Me Down」同様、完全にアドリブのソロのようだ。細かな装飾音符がついたフレーズは、ジョンやポールが弾くようなものとは違う、正に本職のプレイだ。また、クラシック系のジョージ・マーティンのソロとも明らかに毛色が違う。ジックリと組み立てられたようなソロではなく、軽やかで、コードを崩したようなタイプだ。こんな感じでソロが弾けたら良いが、慣れないとなかなか難しい。(というか、私は弾けない)

ほとんど同じリズムのドラムもシンプルながら印象的だ。ずっと同じリズムで、スネアで「タッタカ タッタカ」とやっているだけ。「ジャーンジャーン」と合わせる部分だけシンバルが入る。ベースもポールにしては珍しくほとんどルート弾きの超シンプル。
複雑な構成の曲が増えていた後期にあって、タイトル通り「シンプルだった昔に帰ろう」ということなのだろう。

Beatlesはシンプルで印象的なものがとても多い。誰にでも分かるもので、しかも斬新なものを新たに生み出すのは本当に難しいだろうが、色々な曲のあちこちから次々と出て来て凄い。

このシンプルな構成のこの曲は学ぶことが多い。

2003年11月21日金曜日

Dig A Pony

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

話題の『Let It Be...Naked』が発売された。今までのオリジナル『Let It Be』は解散後に外部プロデューサーによって編集&ダビングされて制作されたものであり、本来、Beatlesが作ろうとしたものではないと言われている。実際、アルバム『Let It Be』は、当初は『Get Back』という名で、初期の生々しいロックバンドとしての演奏を重視した形で録音されリリースされる予定であった。ミックスも終わり、ジャケット撮影まで行われていながら、内容がいまいちだったためそのままお蔵入りとなっていたものが解散後に同名の映画のサントラ盤としてリリースされた。しかしオーケストラや女声コーラス等がダビングされており、『Get Back』の主旨に反する仕上がりとなっていたため、30年以上も経過した今になって、「装飾のない裸の姿」という意味で『Naked』のリリースとなったわけだ。
で、実際、聴いてみて、確かに無駄な装飾がそぎ落とされ、生々しいバンド演奏になっている。音は現代のテクノロジーで格段にクリアになっている。素晴らしいの一言だ。 1曲目はオリジナルの『Let It Be』とは違い「Get Back」だ。本来の主旨に帰るという意味とかけてあるのだろう。

しかし、実際のところは、これは現代のテクノロジーが可能にした技を駆使した歴史の捏造ではないかという意見もある。
当初の『Get Back』制作の際に録音されたものはかなり完成度の低い散漫なものであり、故にお蔵入りになった。
今回はこの時の膨大なテープの中からベストプレイだけを抜き出し、つぎはぎして編集されたのだ(曲によるが)。良いところばかり選択しているのだから良い演奏なのは当たり前だ。
これは「生々しいバンド演奏」とは正反対のアプローチということになる。生々しく見せるのに成功しているだけであり、実際は生々しくないのだ。裸に見えるが、実際は化粧だらけというわけだ。
うーん、なかなか難しい問題だ。どう評価すべきだろうか、悩むところだ。

しかし、実際のところは、これは現代のテクノロジーが可能にした技を駆使した歴史の捏造ではないかという意見もある。 当初の『Get Back』制作の際に録音されたものはかなり完成度の低い散漫なものであり、故にお蔵入りになった。 今回はこの時の膨大なテープの中からベストプレイだけを抜き出し、つぎはぎして編集されたのだ(曲によるが)。良いところばかり選択しているのだから良い演奏なのは当たり前だ。 これは「生々しいバンド演奏」とは正反対のアプローチということになる。生々しく見せるのに成功しているだけであり、実際は生々しくないのだ。裸に見えるが、実際は化粧だらけというわけだ。 うーん、なかなか難しい問題だ。どう評価すべきだろうか、悩むところだ。

2003年11月16日日曜日

I Call Your Name

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

あまり有名でない曲なので知らない人も多いかもしれない。初期のJohnの曲で、ロックンロール・タイプの曲だ。カウベルの音が軽快なミドルテンポの曲で、よくありそうなロックかと思いきや、やはり彼らの曲、ヒネリが効いている。

まず聴いてすぐに気がつくのはギターソロの部分のリズム。イキナリここだけシャッフルに変わるのだ。これを違和感なく聴かせるのは結構難しいかもしれない。ベースは完全に4ビートのノリ。ドラムは8だ。少なくとも、ここの部分で曲の雰囲気が大きく変わることはチェックしたいところ。

曲は「7thコード」の連発だ。コード進行的には「E7」「C#7」「F#7」「B7」といった感じ(2小節ずつ)。
非常によく聴かないと分からないが、2回目の繰り返しの部分で「A」「Am」「E7」という部分が一瞬出てくる。「I call your name」と歌う部分だ。コードを鳴らしている方のギターをよーく聴くと分かる。まるで気がつきもしないような部分だが、この進行がある方が圧倒的にカッコいい。

「A7」「C#m」「F#7」「C7」「B7」というところは最高にカッコいい。リードギターとベースのユニゾンになるバッキングが古いロックンロールタイプのものだが、少しだけ違う。例えば「A7」の部分で言うと「C音」「C#音」が出て来て、コードトーンで言えばマイナー3度からメジャーへいく。カントリー系によく出て来るフレーズだが、実に効果的だ。
また、「C7」「B7」と半音下がる進行もとてもカッコいい。シンプルなロックソングかと思いきや、実によく練られていて驚く。おそらくバンドでこの曲をやろうとしても簡単にはいかないだろう。

イントロを含め、リードギターがずっと印象的なフレーズを弾いている。これはGeorgeの12弦ギターの音だろうか。オクターブ違いの音が聴こえる気がする。印象的な音とフレーズで、曲の重要な要素になっていると思う。

2003年10月31日金曜日

Love Me Do

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

何とこのコーナー始まって最初のBeatlesである。各メンバーのソロ曲はすでに登場しているが、Beatlesとしてはこれが第1回目だ。私の場合は「一番好きなバンド」「二番目に好きなバンド」とあっても、Beatlesだけは常に別格で、1位、2位ではなく、ボクシングのランキングのように1位の上にチャンピオンがいるという感じだ。
当初はBeatlesだらけになるのではないかと危惧したほどだったが、逆にBeatlesは日常的すぎて、あえて「今日の一曲」というほどになることは滅多にない。

記念すべき第1回目のBeatlesはデビュー曲のこの曲だ。別にこの曲は最初にしようと狙っていたのではないが、とにかくこの曲だ。

この曲は、実はリリース当時の1962年,63年から2バージョン存在していた。デビュー時、Beatlesはドラムが不安定と言われ、プロのセッション・ドラマーのAndy Whiteがこの曲をレコーディングした。結局はRingo Starrのものが使われ、Andyバージョンはアルバムに入ったというわけだ。ちなみに『Anthology』では前任ドラマーのPete Bestのバージョンも聴くことが出来る。

Andyのドラムは軽快で歯切れが良く、さすがプロという感じ。Ringoの方がヘヴィで力強い。

この2バージョンだが、ドラムだけでなくすべてが別録音のため、細かなところが微妙に違う。ボーカルは、出だしのハーモニーの音量が違っていて、アルバムバージョン(Andyの方)よりシングルバージョン(Ringoの方)がJohnの声が大きい。Paulの方が主旋律っぽく、Johnの方が難しく聴こえる。

イントロは有名なハーモニカのフレーズだ。単純で分かりやすいフレーズで、明るいポップな感じだ。しかし、実はこの曲、彼らが下積み時代に3度目のハンブルグ行きの際、メンバーの一人で画家を目指すためにドイツに残っていたStuart Sutcliffeの死を知った頃に作られた曲なのだ。特に一番の親友であったJohnの悲しみは大きく、この曲のハーモニカの微妙なヴィブラートの揺れに悲しみを感じることが出来れば、相当の感性の持ち主だ。吹いているのはもちろんJohnだ。

2003年10月15日水曜日

You

George Harrison [ G.Harrison ]

一昨年に亡くなったGeorge Harrisonのソロ作。ロックというよりもかなりポップな曲だが、実はこの曲は『Be My Baby』のRonettesの中心人物だったヴェロニカ(ロニー)のためにジョージが書いた曲なのだ。どうりでGeorgeっぽくないはずだ。
GeorgeとRonettes、いやロニーがどういう関係なのかと考えると、通の人ならすぐに分かる。Phil Spectorつながりというのが答えだ。ロニーはスペクターと結婚しており、スペクターとJohn LennonやGeorgeは70年代前半は仲が良かった。
この曲も「Wall of Sound」っぽい。

で、この曲だが、レコーディングも完了し、あとはロニーの歌入れだけというところまでいっていたのだが、なぜかここでボツに。仕方がないからジョージのソロ曲として使おうということになったのだが、ロニーのためのキーで録音されてしまっており、ジョージが歌うには高すぎる。そこでテープ回転を落として音を低くして録音し、それを通常のスピードに戻したものをリリースした。というわけで、ジョージの声が少々甲高い感じになっているのだ。

リリースは1975年のアルバム『Extra Texture(ジョージ・ハリスン帝国)』で、第1弾シングルとなっているが、演奏はすでに1971年に録音を終えている。 何と邦題は『二人はアイ・ラブ・ユー』だ。

歌詞は恥ずかしくなるような単純明解なラブ・ソングで、このあたりも70年代ポップスといった雰囲気だ。

曲はブラスセクションが入っていたりして、ロックバンドタイプの編成ではないのだが、これがジョンやポールではなくジョージだと思うと妙にハマる気もする。
その上、アルバムは落ち着いた雰囲気というか、派手な曲が少ないため、このアップテンポがとても際立つようになっている。

リズムは2ビート。ノリを良くする効果は絶大で、一気に軽快で楽しい曲となる。

1999年3月2日火曜日

Oh My Love

John Lennon [ J.Lennon ]

アコースティックギターとピアノ。美しく優しく、せつない曲だ。静かに始まり、静かに終わる。冬が終わり、春になろうとするこんな日に似合うような気もする。

「Oh my love for the first time in my life」と言い、「My eyes can see」と言う。ジョンもヨーコも再婚・子持ちだし、当然「first time in my life」であるはずもないのだが、それをあえて「first time」と歌う。真の愛はこれが初めてなのだ。 その告白に合わせるように、正直に一生懸命相手に伝えようとしているピアノがまたせつない。か弱い感じでありながら、色々動き回るフレーズがそう感じさせるのか。 このピアノはJohnではないだろう。 「出会った時から僕は目が見えるようになった」と歌う。「世界中のすべてのものが生まれ変わったように見える」と。ふと、その逆もあるのではないかと思った。

コード的には「Am」「G」「C」を中心にしたもので、全編似た感じだ。しかし1箇所、とても気に入っているのはサビの部分。やはり「Am」「G」「F」「C」なのだが、2度目は「F」の部分が「Fm」になる。(音をとらずに書いているので少し違うかも。2拍ずつメジャーからマイナーになるのか)「G#音」がせつない。これは『Imagine』で使われるコード「E」と似ている。「G#音」は「E」のコードトーンでもあるからだ。

ピアノの音にメロディ、そしてジョンの優しくもどこか寂しそうな感じもする歌。どこまでもせつない曲だ。

しっとりと歌うとキレイだろうから、ギターとピアノで演奏してみたかった曲でもある。