2003年11月24日月曜日

Get Back

Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]

オリジナル『Let It Be』では最後の曲だったが、『Let It Be...Naked』の1曲目を飾る。1曲目の意味は、アルバムタイトルと同様、「当時の状態(オリジナル)に帰ろう」ということだろう。作詞作曲はポール。

旧来のものとは、曲の前後の話し声が消える等、細かなこと以外は大きく変わっていないが、音質が格段に上がり、各楽器の分離も非常に良くなった。左右でジョンとジョージのギターがはっきりと分かれているためにそれぞれがどのように弾いているかも細かなところまで分かるようになった。

曲はほとんど「A」と「D」しか出て来ないが、ここまでシンプルな曲なのに聴きどころが盛り沢山なのが凄い。
まずはギターだが、珍しくリード・ギターとリズム・ギターの役割が逆転していて、ジョンがリードだ。もちろんソロもJohnが弾いている。Johnのソロというと、リズム・ギターの延長上にあるようなソロで勢いのあるものが多いのだが、この曲ではソロらしい単音のメロディによるソロになっている。スピードアップするフレーズも何なくこなしている。スピードアップするのは同じフレーズを2度繰り返した後の一番最後の部分で、ちょっと弾きにくいフレーズだ。スピーディな2弦から4弦への弦飛びもあるし、意外にテクニカルだ。

ソロよりも、サビで「Get back」と歌うPaulのボーカルの合間に出て来るフレーズが面白いかもしれない。こちらはリズム・ギターの延長にあるようなフレーズだ。4拍目に早い16分音符が出て来る。
スライドでアップして6弦9Fからの上昇フレーズ。5弦の7F、9F、4弦の7Fと、ここまでの4音は同じでその後がコードに合わせた早いフレーズ(というかコード)。「A」の時は3弦2弦1弦の順に9F、8F、9F(つまり「A7」の音)、「D」の時は7F、7F、8F(つまり「D7」)を押さえ、「チャララララ」と素早く弾く。簡単そうで意外に難しい。

この曲で最高にカッコいいのは、ゲスト参加のBilly Prestonのキーボード・ソロではないだろうか。エレピ(エレクトリック・ピアノ)でのソロだが、「Don't Let Me Down」同様、完全にアドリブのソロのようだ。細かな装飾音符がついたフレーズは、ジョンやポールが弾くようなものとは違う、正に本職のプレイだ。また、クラシック系のジョージ・マーティンのソロとも明らかに毛色が違う。ジックリと組み立てられたようなソロではなく、軽やかで、コードを崩したようなタイプだ。こんな感じでソロが弾けたら良いが、慣れないとなかなか難しい。(というか、私は弾けない)

ほとんど同じリズムのドラムもシンプルながら印象的だ。ずっと同じリズムで、スネアで「タッタカ タッタカ」とやっているだけ。「ジャーンジャーン」と合わせる部分だけシンバルが入る。ベースもポールにしては珍しくほとんどルート弾きの超シンプル。
複雑な構成の曲が増えていた後期にあって、タイトル通り「シンプルだった昔に帰ろう」ということなのだろう。

Beatlesはシンプルで印象的なものがとても多い。誰にでも分かるもので、しかも斬新なものを新たに生み出すのは本当に難しいだろうが、色々な曲のあちこちから次々と出て来て凄い。

このシンプルな構成のこの曲は学ぶことが多い。

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