1999年12月31日金曜日

Arabesque #1 E-Major

C.Debussy [ C.Debussy ]

1888年に出版されたドビュッシーの『2つのアラベスク』は、「ロマン時代のサロン曲のスタイルを反映した優雅で魅力的な曲」といわれている(調べてみた)。いまいち時代背景等は分からないのだが、ドビュッシー独特の印象派的な美しさの曲だということは分かるし、曲全体としては三部形式になっている。展開がある曲が好きな私向きの曲だ。

怒濤のような1999年、そして終わりゆく20世紀を想いつつ癒される。少し涙がにじむ。

美しいアルペジオから始まって、3連符が見事なパートに入る。左手は普通の8分音符なのに対し、右手が3連符と、弾く人は結構苦戦するだろう。
イントロのアルペジオは「A」 「Gm」 「A」 「E」 「F#m」 「B」という、意外なほどシンプルなもの。最初の出だしが「C#音」のせいか、はたまた次の小節に移る直前に経過音の「F#音」があるせいか、音をとってみて初めて「なんだ、たんなる『A』か」と気付く。

最後の「F#m」から「B」の部分での一番下の音が「F#音」から「E音」 「D#音」 「C#音」そして「B音」と下がっていくところがカッコいい。

問題の3連符も、音的にはシンプルそのもので、あえてスケール名にするなら「Eメジャー・ペンタトニック」ということになる。これを「ペンタトニック」というのはちょっと雰囲気が違うようにも思うが、ともかく音的にはそうなのだ。それを「ミファ#」「ド#ミ」「シド#」「ソ#シ」「ファ#ソ#」というように、一つ下から一つ上へというパターンで降りていくだけ。しかしこれを上記のような2音ひとまとめではなく、3連符のノリで弾くから難しい。そして美しい。
この3連符の部分だけでも弾けるようになりたいものだ。

以前これを弾いている人の指を横で眺めていたことがあるが、細くてしなやかでとても美しいと感動したことがある。音楽が美しいからそう感じたのか、弾いていなくても美しい指だったのかは分からない。

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1999年12月25日土曜日

Smoky

Char [ Char ]

日本が誇る偉大なギタリスト・Charだが、実はそれほど知らなかった。もちろん、有名なこの曲は知っていたが、それでも数回聴いただけだったし、そもそも聴いた頃は思いっきりメタル・ギターにはまっていた頃だったのでピンと来なかった。
それが、武道館にライブを見に行くことで予習のために色々聴きあさったのがキッカケでハマることになった。

今までほとんど聴かずにいたのが残念に思うほどカッコいい。今日は代表曲中の代表曲のこの曲を紹介するが、他にもカッコいい曲はいくらでもある。

何がカッコいいか。まず第一にギター・サウンドだ。ハッキリ言えば古くさいサウンドなのだが、極上の古いサウンドだ。こういうのを「古き良き時代の音」と言うのだろう。とても生々しい。Charと言えばムスタングを思い出すが、この曲の音は何だろう?いずれにしてもシングルコイルのストラト系であることは確かだろう。
サウンドが最高にカッコいいのが分かるのは終盤のギターのカッティングの部分だ。チャカチャカと弾いている部分をジックリと聴いてほしい。

さて曲だが、Charの曲はジャンル的にはロックだが、シンプルでありがちなロック・コードにいくつもヒネリを加えている。ありがちなコードとは、つまり「C」とか「Em」とかのことだが、Charはそれに色々なテンションを加えており、フュージョンのような音を出す。この曲で多く出て来るのは「Dm9」だろうか。リズムも16ビートでとてもオシャレに聴こえる。

イントロがなかなか難しい。難しいのはリズム・タイミングだ。簡単に聴こえるのはバッチリ決まっているからだ。スネア2発で曲が始まっている。本当はカウントが入るのかと思っていたら、ライブでも2発だけで曲に入っていた。
最初のコードは「Gm7onC」だ。押さえ方は2フレットをバレーしているだけだろう。これが半音ずつ上がっていくだけだ。16分の裏なので、体で覚えるしかないだろう。

コードだけでなく、ソロ・プレイでもフュージョンっぽさが漂っている。出だしに大胆なアームがトレードマーク的に出て来る。全弦の7フレットだろうか。コードでいえば「Bm7」か。大胆なアームから間髪入れずにソロに入るスピード感がたまらない。
フュージョンっぽいのはコードを感じさせるフレーズが多いからだろうか。それも9thの音を感じさせるものだったりすることろがミソだ。Jeff Beckっぽい感じもするが、あくまでロックの骨っぽさ、気合いが含まれているのが気持ち良い。中間のソロなどは素早いフレーズも出て来て、聴きどころ満載だ。

この曲で忘れてはいけないのはベース&ドラムの好プレイだ。ベースはかなり動き回っていてグルーヴを作り出す。ドラムも決めるところは決め、シンプルなビートを叩き出すところは安定感があり素晴らしい。ハイハットなどは最高だ。