2004年2月29日日曜日

ソイトゲヨウ

拝郷メイコ [ 拝郷メイコ ]

bayfmの昼の番組でしょっちゅうかかるために覚えてしまった曲。
おそらく、優しく暖かい気分になって癒されるような雰囲気や、その中にも生きてゆくというメッセージ性も含まれる歌詞が評価される曲だろうと思う。

「君じゃないと死んじゃうなんて、まさかそんなはかない命じゃないよ」「でも君の隣ならばきっと一番可愛い私でいる」のような表現は、ありそうであまりないと思う。
「君でないなら死んでもいい」というものならよくあるだろう。 同じメロディの繰り返しで「夢をみよう」「恋をしよう」「汗をかいてちゃんと食べてうんと眠ろう」「ソイトゲヨウ」「いつの日か紛れもない愛を知ろう」とある。
なんとなくJohn Lennonとかぶる気もする。

「ソイトゲヨウ」はもちろん「添い遂げよう」の意味だ。
どうしてタイトルが片仮名なのだろう。答えは分からないが、カタカナで書くと、文章ではなく一つのキーワードのように感じられるなと思った。
普通に「添い遂げよう」と書くと何だか大袈裟な話しになってしまうが、もっと軽い感じにしたかったのではないか。重い内容でも軽く考えるところから始めなければ、考える機会すらなくなってしまう。

しかし、私が気にいったのは、実は歌詞ではない。歌詞も良いと思っているが、一番気に入ったのは声だ。そう言われても、多分、本人は喜ばないだろう。この曲と、拝郷メイコという名前と、作詞作曲が彼女だということ以外は何も知らないが、ソングライターでメッセージ性のある曲を書いているとなると、一番重要なのは曲であり、どれだけ伝わるかだろうと思う。声や容姿の二の次と考えているのではないだろうか。

声を気に入るというのは、もしかするとシンガーとしてではなく、たんに女性の声としてかもしれない。(アーティストとしては尚更嬉しくないだろう)
幼さの残る甘い声とでも表現するべきか、こういう声を出す女性には共通の骨格がある。声質の多くは骨格で決まるのだから当然だが。アゴが横に広がっているような感じで、口が比較的大きめ。横にキューッと広がる感じ。下膨れという意味ではない。(こう書いてもイメージ出来ないだろうし、訳が分からなくなるので詳しくは書かない)
とにかく、口やアゴが好みである可能性が高いということだ。

実は彼女の顔は見たことがない。調べれば見れるだろうが、イメージを大事にしておくことにする。

2004年2月21日土曜日

You Really Got Me

Van Halen [ R.Davies ]

Van Halen衝撃のデビュー・アルバムに入っている曲だ。前の「Eruption」にド肝を抜かれて呆然としていると、たたみかけるように入って来るヘヴィなリフに再びKOされてしまう。とにかくカッコいいの一言!
最高のギター・サウンドだ。今でもこのアルバムのEddieのギターの音がベストだという人は多い。

さて、この曲は実は彼らのオリジナルではない。少し古いロックも好きな人ならよく知っているだろうが、Kinksという1960年代のイギリスのバンドの曲だ。
録音技術の進化のおかげで、10年以上も後のVan Halenの方が当然、良い音で録音されているが、演奏そのものは基本的には似たようなアレンジだ。「Kinksの曲をそのままやってみました」という感じである。

しかし、どう聴いてもVan Halenなのだ。そこが凄い。
まずはギターだ。合間にオカズを入れながらヘヴィなサウンドでワイルドに弾きまくっている印象だ。これだけで同じ曲が随分新しく聴こえるものだ。
ボーカルはオリジナルと近い感じだが、シャウトがDaveらしい。
リズム的にもオリジナルより早くなっていて、スピーディでキレが良い印象になっている。

演奏そのものはオリジナルに近い感じで、一番の聴きどころはやはりギターだ。ソロは古いロックンロール・タイプのチョーキングで入っておいて、途中でEddieのトレードマークであるライトハンドを絡める。
前の曲の「Eruption」はギターだけのソロのような曲で、ライトハンド奏法にビックリしつつもフリーで何でもOK状態なので曲にどう生かすかとは別のものだった。しかし続くこの曲で早くもその回答を示しているところが凄い。

もう一つ、この曲にはトリックがある。それはイントロだ。
ドラムもなしでギターだけでリフが始まる。どういうリズムで聴こえるだろうか。
普通に(?)音を追っていると、リズムが入ったところで突然リフが変化したように感じるのではないだろうか? 

頭から「ソララソ ラ」と聴こえるかもしれないがこれはリズム遊びの一種で、実際は、最初の「ソ」は前の小節の4拍半の音で、頭からは「ララソラ(1拍半休符)ソ」なのだ。 錯角させるのは、多分最初の「ソ」の前に入るギターのノイズだろう。ノイズといっても、もちろん意識してわざとに入れている音だ。「カカッ」と入るアレだ。 よく聴いてみてほしい。回答はKinksの方に書く。(^_^)

2004年2月14日土曜日

Strutter

KISS [ P.Stanley/G.Simmons ]

今日はバレンタイン・デー。そんなこととは何の関係もなく、KISSである。ド派手なメイクやステージ・セットで有名な彼らだが、意外にも(?)曲は素晴らしいものが多く、ただのイロモノではない。実は私は大ファンなのである。

大ファンの理由は、やはり曲なのだが、大きく分けて2種類のタイプが好みと合致する。 一つはBeatlesの影響を感じさせる素晴らしく美しい曲。Paul Stanleyの曲に多いがGeneのにもある。
もう一つは、Black Sabbathをアメリカンにしてオドロオドロしさを抜いたような骨太ロックだ。音が太いだけでなく、曲も芯がバチッと決まっていて、余計な装飾は最小限しかない。これは私がBlack Sabbathを好きなのとほとんど同じ部類のものだ。

さて、本日の曲「Strutter」だが、明らかに後者に分類される曲だ。KISS流骨太ロックの典型例だろう。
ギターのバッキングを聴けば、すぐにこれが古いロックンロール・タイプから来ていることが分かる。1950年代に繰り返されたギターのバッキングそのまんまだ。
これを歪みを持った太い音のギターでミドルテンポで弾く。メロディは1950年代ならメジャー系だろうが、KISSはマイナー調だ。これだけで最高にカッコいい。
メイクを含めたアヤシイ雰囲気のせいか、何かが起こりそうな惹き付けられる感覚すら漂う。

それでいながらサビはBeatlesバリのボーカル・ハーモニーだ。高音部はGeneだろうか。あれでGeneは結構高いパートを歌う回数も多い。

Beatlesバリの部分は一瞬だけで、すぐにAceがヘヴィなリフで切れ込んで来て骨太ロックの雰囲気に戻る。素晴らしくカッコいい!

ロック・ソングの善し悪しにはリフが重要な役割を果たす。カッコいい曲にはカッコいいリフがつきものだ。
この曲の場合、50年代風バッキングが最初のリフともいえるが、Beatlesバリのパートの直後の「Strutter!」と叫ぶ部分のリフが最高だ。とてもシンプルなところが骨太感を強調していて尚良い。

ギター・ソロ。やはりとてもシンプルで骨太だ。ペラペラの音で流麗に弾かれてもちっとも魅力ではない。どんなソロを弾くにしろ、サウンドはズ太い音であることが条件だ。
Aceのソロは本当にシンプルで誰にでも弾けるような感じだが、起承転結がハッキリしているせいかスリリングな感じがする。テクニックがなくてもカッコいいソロが弾けるという代表例のようだ。

最近、アメリカではKISSとAerosimithが一緒にツアーをしたようで、Joe Perryが飛び入りでこの曲をプレイしたそうだ。聴いてみたいものだ!

2004年2月10日火曜日

The Way It Is

Bruce Hornsby & The Range [ B.R.Hornsby ]

先日、ラジオでかかっているのを聴いて一発で気に入ってしまった曲だ。調べてみると、実は1986年のNo.1ヒットだった。
Bruce Hornsbyという人もまったく知らなかったのだが、かなり有名な実力派ミュージシャンで、Huey Lewis & The Newsの「The Valley Road」、Don Henleyの「The End Of The Innocence」といったヒット曲も彼のもので、他にもGrateful DeadのメンバーとしてやBob Dylan、Leon Russellといったベテランとの活動も知られている。知らなかったのは私ばかりなり。(^_^;

さて、この曲に限らず、彼の曲はどれもピアノ・サウンドが目立っているが、初めて聴いた時は最近録音されたMIDI系の音かと思った。しかし1986年なので自分で弾いているのだろう。音は本物の生ピアノとは思えないほどアタックが強くキラキラしたサウンドだ。しかし薄っぺらな音ではなく、私の大好きな中低音の暖かみは豊かなので問題なし。曲の構成はかなりシンプルなのに、なぜか盛り沢山に聴こえるのは、やはりこのキラキラのピアノ・サウンドのせいだろう。

ざっと曲をコピーしてみると、コード進行は「Am7」 「Em7」 「D」 「C」 「G」 「D」 「C」の繰り返しがほとんどだ。かなりシンプルだ。
「D」と「C」と「G」は何の数字もつけずに書いたが、実際は色々な音が混じっているので、複雑なコード名をつけるべきかもしれない。基本的には9thの音を多用していて、この3コードの時も多く出て来ている。7thもよく出て来て、これらの音がカッコ良く散りばめている感じ。

イントロの後、リズムが入って来るとすぐにピアノがバーンと3つのコードを順に鳴らす。裏で入るタイミングが最高にカッコ良い。コードでは「C」の部分で、最初が「ドレソシ」、次が「ドレソラ」、最後が「ドミソ」だと思うが、9thにトップの音が下がって来るパターンといえるだろう。このヴォイシングにもセンスを感じる。

サビに当たる部分と言えるのか、この最初のパターンから変わる部分もピアノがカッコ良い。音は「G」の時に「ラ」「シ」「ソー」、「F」の時に「ソ」「ラ」「ミー」、「C」の時に「レ」「ミ」「ソー」となる。やはり9th重視だが、この音の選び方!すぐには音をとれずに何度も聴き直してしまった。

ソロも聴きどころだ。基本的にはコードトーンを中心に崩しているのだが、とにかくカッコ良い。全部は紹介しきれないので、先のコードの繰り返しのうち、3回目の出だしの上昇ラインを例にすると「Am」の時が「ドミラシ」「ラレミミ」、「Em」の時が「ラシシレ」と来て下降ラインに入り「ソファ#レシ」。更に「D」の時は「ミレシファ#」と「レシソレ」、「C」の時は「ラソレシ」といった感じ。上昇ラインでは同じ音を連続するところもカッコいい。
選ぶ音は基本的にコードトーン、プラス7th、9thといったところなのが分かると思うが、スケールで考えてその場で弾いているだけかもしれない。

こんなピアノをさらっと弾けたら最高だろうなと思い、これからピアノに向かうところだ。

2004年2月4日水曜日

Jim & Janeの伝説

チェッカーズ [ 鶴久政治/藤井郁弥 ]

いきなりチェッカーズである。この曲はいつの時代の曲だろうか。1980年代なのは確かだと思うが定かではない。恐らく80年代後半だろう。久しぶりに思い出したこの曲、チェッカーズの中でもかなり好きな曲なのだ。「神様ヘルプ!」のようなおバカな曲より何倍も良い。
チェッカーズ自体にはそれほど思い入れがあるのではないが、かなり人気があったし、妹や弟が好きだったせいで、耳にする回数は多めだった。Beatlesっぽい戦略で売ろうろいう部分もあったのではないだろうか。当時、何度も「Beatlesみたいなやり方だな」と感じた覚えがある。

さて曲だが、好きな理由は、歌詞と曲の雰囲気が自分の中でマッチするからだと思う。日本語の歌詞の曲は、どうしても英語の曲よりも歌詞の比重が大きくなってしまう。
この曲の舞台は夜の道路で、バイクで飛ばしている。彼氏を事故で失った彼女を乗せて、彼氏を偲んでいる。だから楽しいドライブではない。
それでいながら他の車の赤いテールランプや対向車線のヘッドライト等が輝き、華やかなムードもある。悲しい場面に美しい風景。人の心は、たいてい複数の感情があると思う。1種類の感情だけということは稀だろう。特に相反するような感情が同時にあって、その複雑な気持ちを歌うような曲に魅力を感じる。

悲しい気持ちと嬉しい気持ちを歌う場合、大抵は悲しい歌詞に明るい曲調になるように思う。
この曲の場合もこれに似ていて、流れる車の輝きの風景と曲のイメージが合っているように感じるのだ。
走って行く車、走り抜ける事故現場といった次々に流れる風景は、時間の流れを強く意識させる。「動かない瞳が静かに濡れてゆくよ」という部分は、無情に過ぎて行く時間の流れの中で、彼氏と彼女の間の止まった時間を表わしていて、一方の時間は止まったまま、もう一方の時間も一緒に止めたいのだが、テールランプは次々に流れて行く風景。

この物語の中の「悲しみ」はとても分かりやすい悲しみだが、別に誰かが死んだりしなくても、誰にでも悲しみはある。その悲しみを振り切っていこうとするエネルギーを感じたい。爆音を轟かせながらバイクをぶっ飛ばす。若いエネルギーが一つの試練を越えようとする時の気持ちは誰にでも経験があり知っているはず。

悲しみ、流れ行く美しい夜の風景、若さ、越えて行く勇気。これらが分かりやすく伝わるのが魅力だ。