2018年5月31日木曜日

Lazy

Deep Purple [ R.Blackmore/R.Glover/I.Gillan/J.Lord/I.Paice ]

Deep Purple の曲の中で最もカッコいいと思う曲。もちろん一番好きな曲でもある。
『Made In Japan』等のライブでの演奏も凄いし、色々挿入されているライブならではのアレンジも面白いのだが、今回はアルバム・バージョンを見てみる。アルバム・バージョンでも十分アドリブ的な曲だと理解出来るだろう。

まずはハモンド・オルガンのイントロ。教会音楽のような荘厳な雰囲気から、マーシャル・アンプを通した爆音&歪んだ音まで、ボリューム・コントロールのみでやっていて、とても面白い。歪む音は、音響で言う「割れた音」と同じ原理で、大きすぎる入力をすると、音量が許容量を越えて歪んで(割れて)しまう。ギターでの「ファズ」「ディストーション」「オーバードライヴ」等、原理的にはコレである。ハモンドをアンプに通し、小さい音なら問題なく綺麗な音、大きくすると歪んでしまうようにセッティングするわけだ。私もキーボードをギター・アンプに通してよく真似したものだ。

最初は「ソラド」の和音のフェードイン。静かに始まりが続くが、「ファソド」の和音から狂っていく。歪んだ音の登場だ。ライブではオルガンが壊れたのかと思うほど強烈で、実際に壊れたフリをして、Ian Gillan が「修理するまでちょっと待ってくれ」なんて言ったりしている場合もある。一度キレイな音に戻したと思ったらすぐにまた狂気の音になる。

しばらくすると、教会のような雰囲気はスッカリ消え失せ、ブルース調になり、「ファラシ♭」から「シドミ♭」の3連符の早弾きがいつの間にかリズミックになって、ブルーノート・スケールのフレーズになっていく。このあたりのリズミックなプレイが素晴らしい。

そして「ドミ♭ファー」のフレーズとともに長いイントロ(というか前奏)が終わり、ギターが参戦して来る。このあたりの展開も最高。みんなで合わせるブルーノートのリフも最高。ギターとオルガンのソロも最高。各メンバーの力量が試されるようなとても楽しくスリリングな曲だ。

そして忘れた頃に登場するボーカル。ボーカル登場の前に転調し1音上がる。この後もう1回転調してソロになる。だんだん上がって変化をつけつつ盛り上がる。
このようなアドリブ満載の曲はとても楽しい。そして最後に長い曲の終わりには雰囲気を変えた終わり方を用意してあって、最後まで大満足で終わるのだ。あぁ楽しかった。

2018年5月29日火曜日

Master Of Puppets

Metallica [ J.Hatfield/L.Ulrich/C.Burton/K.Hammett ]

基本的にリフで構成されている曲なので、コードネーム等はナンセンス。(しかし、音を表わせられなくなるので、ここでは一応コードとして書くが)
逆にリフ主体で作られた曲のカッコ良さを示したのが Metallica と言える。

「Em」から「D・D♭/C」を経て、6弦開放のミュート音とオクターヴ上から降りていくリフ。肝はダウンピッキング。ツブを揃え、ドライヴ感を出すために、すべてダウンのコダワリ。あえてオルタネイトを使わないとなると、このテンポでも相当早い。
続いて「Em」の5度の音が半音ずつ上がったり下がったりするリフ。5度音をイジると不安定な緊張感が増す。これも同じくダウンピッキングの嵐。
更に3番目のリフとして登場するのは、1小節すべて8分でダウンピッキングし、次の小節で細かいスライドのフレーズを挟むパターン。4小節で1パターンとなっているが、その4小節目が3拍しかない変拍子になっている。これがあるためにリズム的にも緊張感が生まれている。
このようにずっとダウンピッキングが続くので、1曲弾ききるには相当の体力・持久力が必要とされるのだ。

中盤は一転してコード感満載のアルペジオとメロディックなソロ。このあたりのクリーンで美しい部分も Metallica の醍醐味の一つ。「Em/D」「D/Cadd9」「Cadd9/Amadd9」「B7」を繰り返す。4小節のパターンだが、「2・4・4・2・4拍」のような感じになっている。このアルペジオを背景に美しいツインギターのハーモニーフレーズが登場。続いて James の単独ソロ。リズム・ギターの James だが、このようにソロ・プレイも上手いのだ。アルペジオ、ツイン・ハーモニー、そして Jame のソロと、いずれも16分の3連符が出て来て、それもそれぞれ違う箇所に出て来て印象的。

曲調は再びメタリックに戻る。今度は Kark のソロ。ストレッチ気味のフレーズや16分音符、ピッキングハーモニクスのアーミング等、多彩だ。
しかしソロよりも、この後のミュートして8分で上がり下がりするリフのようなフレーズが好きだ。細かなミュート音と「C」の伸ばすところの対比がカッコいい。

長い曲は、最後にバカ笑いの声で終わる。緊張感のある後だけに思いっきり笑い飛ばそう。

2018年5月28日月曜日

Black Dog

Led Zeppelin [ Jimmy Page/Robert Plant/John Paul Jones ]

Led Zeppelin の代表曲。個人的には一番好きな曲かもしれない。
特徴は何と言っても、ズレていくような変拍子のリズムとそれに絡むリフ。ギターとベースのユニゾンなので、慣れないとまったく演奏できない。私も最初はまったくダメだった。

まずメインのリフについてだが、すでにこれが変拍子で、合計15拍のリフと長く伸ばす「A音」。「A音」が伸びている部分にボーカルが入るわけだ。
この長く伸ばす音があるので、前が何拍かはあまり関係なくなって、それほど気にしないことになる。リズムのズレが生まれないからだ。

問題は次のパート。メインのリフの前半部分を繰り返す。これが5拍分。だが、実はこのリフの最初は8分休符のため、音が鳴っているのは4拍半。2回目からはこの休符を除いた4拍半のリフを繰り返す。4拍のリズムの中で繰り返すから、当然半拍ずつズレてしまう。その面白さを狙っているのだが、初めて聴くと訳が分からないか、間違っているように聴こえるくらいに不思議だ。頭で理解できないものは弾けもしない。そもそも、4拍半だと理解出来ただけではとても弾けない。

で、攻略法。他の人はどうやっているか知らないが、私の攻略法は次の通り。
まずリフは(ドレミで覚える必要はないが)「シレレ#ミシソーミー」だが、繰り返しのうちの1回目が終わったら、繰り返しとは思わない。次の「シレ」も前にくっついているメロディで、2回目は「レ#ミシソーミー」という別個の新しいリフと考え、これに次の「シ」がくっつく。3回目は「レレ#ミシソーミー」というこれも新しいリフと考える。つまり3種類のリフが出て来ると考え、繰り返しとは思わないようにする。
1回目が「シレレ#ミシソーミーシレ」で、
2回目が「レ#ミシソーミーシ」
3回目が「レレ#ミシソーミー」という具合になるわけだ。するとピタッとはまって気持ち良い。

このリフの部分に随分気がいってしまうが、次のパート「Hey, baby?」の部分のリフもシンプルながらとてもカッコ良い。これも頭が8分休符だ。
また、ソロはこの部分を背景にしたプレイで、ペンタトニックのソロだが、これもカッコいい。低いところから駆け上がってスライドから「A音」までいく。そのまま延々とソロが続くが、この最初のキメだけあれば、残りはアドリヴでいいだろう。

更に忘れてはならないのは、曲全体を支えるドラム。このドラムのノリ、安定感、存在感があるのが大前提で、これがいまいちだと台無しになる。特にバスドラの存在感は特筆もの。これだけでも John Bonham がどれだけ凄いか分かるというものだ。

2018年5月27日日曜日

Walk This Way

Aerosmith [ Steven Tyler/Joe Perry ]

Aerosmith の代表曲だ。この曲のリフを聴いてジッとしていられる人はいないだろう。思わず体が動いてしまう。そんな力を持ったリフを凄いと思う。
Run-D.M.C.がカバーしたことでも有名で、スティーブンとジョーは彼らのレコーディングやビデオにも出演したりして話題となっていた。

Run-D.M.C.がやったのはモロにラップだったが、Aerosmith のバージョンも辛うじてメロディがあるくらいで、魅力はほとんどラップだ。
意外にも Steven はそれまでラップにはあまり馴染みがなく、もともと Beatles が好きなようにメロディックな曲調に馴染んでいた。一方でアメリカ人らしくブラック・ミュージックにも影響を受けていて、そのあたりのミックスが彼の源流なのだ。当初はこの曲のラップ調の部分に苦労したという話しもある。ついついリズムを追うことになってしまうからだ。

当初、彼は練習するのに、歌詞ではなくスキャットで歌い込んだというが、このスキャットこそが、彼のスタイルを築く上で重要な役割を果たすことになる。後の曲の作曲時の様子などを見ても、結構スキャットで歌っているものが多いし、「Dude (Looks Like a Lady)」のように曲の途中でそのまま効果的なスキャットが出て来るようなものも多数ある。
ドラマーとしての腕も相当なもので、このあたりもリズム感の良さにつながっているのだろう。

さて、この曲、ジャム・セッションの中で、ドラマーの Joey がファンクっぽいリズムでプレイしていた際に、それに合わせた Joe が偶然弾いていたものから生まれることになるが、最初からリズミックだったことが分かる。曲の内容もセクシャルでストリートの黒人っぽい雰囲気も感じられるし、イメージ通りだ。

さて、ギターに関して一つ小さな疑問がある。
あの有名なリフは同じフレーズを2度繰り返すとというものだ。基本的に16分音符のリフで、1回目と2回目の間に16分休符がある。私は1回目と2回目は同じように弾いてしまうが、本当は休符を空振りして、2回目は1回目とは逆のピッキング・パターンになるのではないだろうか? リズミックに弾く時の基本として、休符の場合も空ピッキングをするというものがある。この曲は典型的なリズム重視の曲なのでピッタリだ。ダウン・ピッキングで始めた場合オルタネイトで弾くと、休符がダウンで、2回目の最初は今度はアップ・ピッキングになるはず。まったく同じフレーズを1回目と2回目で逆のピッキングで弾くのは意外に難しい。
ところが、ジョーが弾くのをよく見るとどうも1回目と2回目を同じように弾いているように見える。リズミックなプレイが得意な人はどう弾くのだろう?(昔からの疑問だ)

2018年5月26日土曜日

Heart Of Stone

Europe [ Joey Tempest ]

比較的地味目な曲だが、隠れた名曲と呼びたい。イントロや出だしが地味なので目立たないのだろうが、個人的に大好きな曲だ。

イントロは「D」と「Em」のリフで、ボーカルが入る直前にギターとベースが合わせる。コードをつければ「Am・G/D・E」といったところ。ボーカルが入っても、時折「C」が出て来るだけで、平凡に進む。

サビで一転し、ブ厚い3声のハーモニーになる。ライブでも3声でやっているのがさすが。Europe のライブ・ビデオか何かで練習しているシーンがあった。
コード進行は「C/D」「G/Em」「C/D」「Em」「C/D」「G/Em」「Bm」「C」。この曲は基本的にはこれだけ。

地味目の曲ながら、ソロがキラリと光る優れもの。まずコード進行を押さえておこう。
「Em」「G/Am」を4回繰り返し、4回目の最後だけ「Am/Bm」となる。ソロ後半はサビのコード進行と同じ。

ソロの出だしは、ハイポジションでの1音半チョーキングでスタート。その後のアルペジオのようなフレーズがなかなか。「シレファ#」「ラソ#ファ#レラソ#」という計3拍分の3連符だ。「Em」の5thの音から7、9、11、13とテンションの風味だ。続いてハイポジションでのコード・カッティングと決めのチョーキング、更にペンタトニックの早弾きで前半が終わる。この最後の早弾きは John Norum がよくやるプリング・オフを多用したものだ。4音が1パターンとなっている、キッチリした32分音符のフレーズ。
後半はメロディアスで最も好きな部分。後半3小節目の下降するメロディと1音置きに固定した音(このソロでは「ソ」)のフレーズが良い。これをもう一度繰り返し、最後はまた手グセのようなペンタトニックのプリング多用早弾きで締め。何度も弾きたくなってしまうソロだ。

2018年5月24日木曜日

Toe'n The Line

Pride & Glory [ Zakk Wylde ]

Black Sabatth と Ozzy とサザンロックが好き!で個人的好みとピッタリ一致。ソロになった Zakk Wylde のバンド Pride & Glory は一発で気に入った。「Ozzy らしくない」とか「こんなヘヴィなサザンロックがあるか」のような批判もあったようだが、当たり前だ、Ozzy + サザンロックなのだから。
今回はそんな Pride & Glory から、当時のライブで1曲目にプレイされていたこの曲を取り上げる。サザンロック・テイストは少ないが、アドリブのスペース満載の楽しくヘヴィな曲だ。ギターのチューニングは6弦が1音下げになっているので一番下が「D音」まで出る。

シャッフルのリズムとめちゃヘヴィなリフで始まる。「G#」3連が気持ち良い。その音色のまま「D7」のアルペジオがあったりするAパート。Bパートは「Em」から「G」「A」と上昇し元に戻る。直後の「D」「C#」「C」でのリフも気持ちが良い。ベースもウネっている。Cパートはスローなアルペジオのようなパートで「D7」「E7」を行き来し、スローダウンしたまま曲が終わる。
と思いきや終わらない。先ほどの「D」「C#」「C」でのリフが復活し、ベースとの面白い絡みがあって、ソロとなる。この辺りとても格好良い。

ソロは得意のチキン・ピッキングの早弾き+ペンタトニックのシンプル豪快系ソロだ。これもとても格好良い。とてもゆったりした2音チョーキングがあったかと思うとリズムの性格な超早弾き(1拍6連)があったり緩急も凄い。そしてもう一度歌に戻って終わる。

と思ったら、また終わらない。ワウを絡めた新たなリフが登場し、新たなメロディの歌も入る。「A7/G7」の部分で少し前の雰囲気を感じさせつつ、再びソロへ入る。
再びペンタトニックの豪快ソロ。アドリブとスローなチョーキングと早弾きのコンビネーションがこれでもかと続き、それにベースが激しく絡む。このあたりはサザンロック色はまったく感じさせず、Cream のソロのようだ。
ライブでは相当長い時間ソロがあってCDの倍くらいの演奏時間になる。このあたりも60年代後半や70年代みたいだ。ひたすら男くさい豪快な1曲だ。

2018年5月21日月曜日

Another Day

Dream Theater [ J.Labrie/K.Moore/J.Petrucci/J.Myung/M.Portnoy ]

プログレシヴ・メタル・バンド・Dream Theater の必殺のバラード。発表当時は「らしくない」と思ったものだが、慣れた現在でもとっても「らしい曲だな」と思う。
一聴して「シンプルな曲だな」と感じるが、実はとんでもない。そっくりコピーするのはほとんど不可能に近いくらい全パートとも複雑で難しい。それなのに、それを感じさせないということは「名曲」ということだろう。

まずイントロはピアノとその後のギターのメロディが印象的だが、「G#m9/onF#」「onE/onC#・F#11」の繰り返し。これは難しそうに見えるが、「シラ#ファ#」のメロディと降りていくベースと考えれば難しくない。9thにする必要もないかもしれない。ギターの部分は「G#m/D#monF#」「EM7/C#m7・F#」「G#m/D#monF#」「C#m/Eadd9」。
歌の部分は「G#m/EonG#」「G#m/F#sus4・F#」「E/B」「A/F#sus4・F#」で2回目は最後が「A/EonG#」となる。次のパートは「C#m9/B11onD#」「E/B11」「C#m9/B11onD#」「E/F#11」。

長くなるので、少し飛ばしてサビ前のストリングスの部分(繰り返しのボーカルも)が「B」「BonA」「BonG#」「F#11/E」となって、イキナリ転調し、「G」「C」「DonF#」「Em/Em9onD」「C」「Bsus4/B」「E」「F#」となる。比較的に解りやすくしてメリハリをつけている。
アウトロでイントロと同じ進行でサックス・ソロになっている。緊迫感のある曲調だからか、毛色の違う音になぜかホッとさせられる。

難しいのはコード進行や曲の展開だけではなく、ギターもメロディあり、ひねってある結構大変なアルペジオあり、かなりの早弾きのソロありで難易度は高い。
ベースも緩急織りまぜて大変だが、何といってもドラムだ。さすがは Mark Portnoy だが、例えば2拍目から3拍目にかけてのシンコペーションとか、8分のシンバルに対し、足で3連符を打つようなパターン。手数も多いし、ノリを出しながらこのレベルはまず無理と言っていいくらいに難しい。

2018年5月19日土曜日

Livin' On A Prayer

Bon Jovi [ Jon Bon Jovi/Richie Sambora/Desmond Child ]

1986年、Bon Jovi の大ヒット曲だ。高校1年生の私がハードロックに目覚めるキッカケになった曲で、とても思い出深い。
それまでハードロックというと、暗くて怖そうでマニアックというイメージだったが、Bon Jovi は明るく健康的で女の子もいっぱい、笑顔も多く楽しそうというイメージに変貌し、誰からも受け入れられるものとなり、その結果の世界的ヒットというわけだ。

私が気に入ったのは、そういう楽しさ、明るさももちろんあるが、特にこの曲はボーカルとギターだ。
まずボーカル。サビでのハイトーンが格好良かった。Jon にとって高音が少しキツそうなのが、逆にギリギリまではじけている感じで良い。その前の「Woo]」の部分の厚いハーモニーも「チーム」「グループ」といった仲間意識を感じさせ良い。
更に終盤で転調すると、何と一気に1音半も上がって高音になる。「こうなりゃヤケだ。いっちまえ」的なノリが楽しい。結構このボーカルでやられてしまっている人は多い。

そして何と言っても忘れてはならないのは MTV の影響力だ。何しろそもそも Bon Jovi のイメージを決定づけたのは MTV と言っても良いというくらい。楽しげな演奏シーンがメインで、前半は白黒のリハ風景、後半がカラーでライブ風景となっている。
そして、Jon が飛ぶ。ちょうど転調する部分でステージから一気に上へ飛ぶ姿は「スゲーッ」と盛り上がったものだ。

音楽的な話しをしよう。
ギターもまず音色が特徴的。最初のキーボードで雰囲気を作り、ベースが入り、ボーカルのセリフが入り、スネアの合図と共に最後にギターが入って来るドラマチックな展開。そしてあの音色。
マウス・ボックスとかトーキング・モジュレータとか呼ばれるもので、簡単に言うと、ギターの音を専用アンプで圧縮しホース(チューブ)へ送り、ホースを口でくわえて口の中を音を出す。それをボーカルのマイクで拾うというものだ。口の開け方によって音色が変わり、人間がしゃべっているかのようなギターの音に変換される。それであの「ウヮウヮ」といった音になる。Jeff Back や Peter Frampton、Aerosmith なんかも使っていた。

曲はいたってシンプル。「Em」「C」「D」が主で、サビは「Em/Cadd9」「D」「G/C」「D」といったところ。「Cadd9」ちょっとさわやかな感じ。
ソロもメロディックで、複雑なものではない。
最後の転調は、直前に「D」を3拍だけやる変拍子を挟んで「Gm」へと行く。サビは1音半上がるわけだ。「D」をドミナントと見なしているわけだ。嫌でも盛り上がる。

2018年5月18日金曜日

Free Bird

Lynyrd Skynyrd [ Allen Collins/Ronnie Van Zandt ]

サザンロックの雄・Lynyrd Skynyrd の代表曲。バラード曲だが、後半一転してアップテンポのソロ・コーナーになる。そのソロ・パートがギター少年に人気を博した。もともと7人編成の大所帯バンドだが、この曲もたくさんのギターが聴こえる。それにピアノとベースも絡むから、なかなかブ厚いサウンドだ。

イントロはアコースティック・ギターとオルガンとピアノ。ただのコードなのに、この出だしだけでこの曲と分かるから凄い。
「G/DonF#」「Em」「F/C」「D」の繰り返し。2回目からはエレキ・ギターのアルペジオが入るが、低音中心の少し珍しいパターンだ。3回目からはキーボードが消え、ゆったりとしたボトルネック奏法によるスライド・ギターがメインのメロディを弾く。なかなかドラマチックでカッコ良い。

前半部はなんとこれだけだ。「F/C」「D」を繰り返す部分はあるものの、ヴォーカルが入ってもボトルネック、低音アルペジオ、時折入るピアノが続く。歌詞が西部の男っぽい内容で雰囲気があって格好良い。スローテンポの中「I can't change」の「change」を伸ばす部分でギターも早いペンタトニックになっていて「変えられない」が強調されている。これを何度も繰り返し、怒濤の後半へ流れ込む。

いつの間にかテンポアップし、「G」「B♭」「C」「C」に変わる。2弦・1弦の15フレットから入る有名なソロだが、印象的なのはまったくのユニゾン・プレイになっているせいだ。チョーキングを多用しているが、ピッタリと合わせている。それなのに、わざとか偶然か時折違うフレーズになって、ハッキリと2本のギターであることが分かったりするのも楽しい。延々と同じコード進行でこれだけ多彩に変化をつけながら飽きさせないソロを聴かせられるのはさすがだ。
途中から4小節目の「C」のところで「C、E、F、F#、G」とリズムを合わせるバッキングが入ったり、ドラムを止めてギターだけにする箇所やスネアの連打の箇所があったりして、更に盛り上がる。
ギターはいずれもペンタトニック一発のフレーズだ。終盤は2本が完全に違うフレーズになっている箇所も増えるが、ユニゾンに戻る箇所ある。ソックリ再現よりはアドリブ重視でやりたい。
最終盤でのエンディングも仰々しい感じはするが、大作の終わりの相応しいと思う。

2018年5月17日木曜日

Young Man

西城秀樹 [ Jacques Morali/Henri Belolo/Victor Wills/あまがいりゅうじ ]

西城秀樹の訃報を聞いた。今回は追悼の意味も込めて彼の最大のヒット曲を取り上げる。

この曲は誰も知っている大ヒット曲で、私も子供の頃に飛び跳ねながら両手で「Y」「M」「C」「A」をやったものだ。この観客参加型も走りとも言える振り付けは、オリジナルの Village People にはなく、西城の発案だそうだ。「Y.M.C.A.」とは、「Young Man Can do Anything」のこと。

日本では曲名も『Young Man』で、さわやかな青春応援歌といったところで、当時人気者の西城秀樹のイメージにもピッタリといった感じだが、オリジナルの Village People の『Y.M.C.A.』はゲイ・ソングだというのは有名な話し。オリジナルの歌詞にはゲイにまつわる様々なキーワードが隠されているらしい。西城がカバーすることは当初は猛反対された。
しかし、さすがアメリカというべきか、ゲイ・ソングでも大ヒットし、現在でもあちこちでかかったりするのが凄い。オリンピックやプロ野球、プロサッカーでもよくかかる。

簡単にコード進行を見ておこう。イントロは「C7」で進み、歌が入る部分は「F」「F」「Dm」「Dm」「B♭」「B♭」「C7/B♭・C7」「B♭/Am・Gm」となる。これを繰り返し。
サビの部分は「C7」「F」「F」「Dm」「Dm」「Gm/GmM7」「Gm7/Gm6」「C7」といった感じ。

歌詞は見事なまでの青春讃歌。
「ほら見えるだろう、君の行く先に楽しめる事があるんだから」とか、「聞こえているかい、俺の言うことが、プライドを捨ててすぐに行こうぜ」「夢があるならば、戸惑うことなどないはずじゃないか」「青春の日々は二度と来ないから、思い出になると思わないか」「ほら両手上げて、足を踏みならして、今思う事をやって行こう」と歌う。明るく元気にさわやかに。
「若いうちはやりたい事、何でも出来るのさ」と、まさにそのまんま「Young Man Can do Anything」だ。 こんな曲最近はないな、と思う。
押し付けがましいメッセージだとウンザリする場合もあるが、ここまで徹底した青春讃歌だと逆に清々しさすら感じさせるから凄い。それだけエネルギーに満ちあふれているということだ。

2018年5月13日日曜日

Crazy Train

Ozzy Osbourne [ O.Osbourne/B.Daisley/R.Rhoads ]

Ozzy Osbourne の代表曲。Balck Sabbath をやめた後、ソロ第1弾としてこの曲を引っさげ登場して来たわけだ。後にソロで Balck Sabbath 以上の成功を収めるその輝かしい第一歩だ。

この曲(というかアルバム全体だが)で、オジーと並ぶもう一人の主人公が Randy Rhoads だ。若く小柄で色白な美少年が、見た目も音楽的にもオジーとの対比にもなっていて面白かったが、数年後に飛行機事故で他界してしまう悲劇的な彼の人生がよりドラマチックにしている。

さて、この曲はシンプルなハードロック・ナンバーで、出だしこそオジーらしい暗く重い感じで始まるが、すぐに一転して明るく軽快な感じに変わる。このリフもメタル界では超有名で、思わず弾きたくなる。6弦2Fの「F#音」をペダルにして、5弦の4Fや5Fを交互に弾く感じでメロディを作るものだ。

そして次のパート。明るく軽快だが、ギターは Black Sabbath バリにヘヴィだ。多分、ランディは Black Sabbath の Tony Iommi のギターの音を参考にして、ある程度似せているのだろうと思う。ランディでなくても周囲のスタッフがアイオミの音を目指したのかもしれない。Sabbathの『Never Say Die』あたりを聴くとそれがよく分かる。

この軽快な部分、リズムは16ビートだが、ライブでは4ビートで演奏される。16ノリの4ビートだ。そしてスタジオ盤にはないオブリガード(オカズ)をギターで色々入れる。この部分に限らず、あちこちに様々なオブリガードを入れるのが魅力の一つだし、ランディやその後の Ozzy Band のギタリストの味が出るというものだ。
オブリガードは曲の一番最初と最後にも入れられていて、一種のソロのようになっている。スタジオ盤にはない部分だ。

注目のギターソロ。出だしは1拍につき6音ずつのライトハンド奏法による早弾き。今では一般化したフレーズだが、当時は画期的な先端プレイだ。これに続いてメロディアスなフレーズと早弾きのフレーズが交互に出て来て、非常にメリハリの効いたソロだ。
このソロの部分は、他の部分にはない独自のコード進行になっていて、「F#m」から順に「E」を挟んで「D」というように降りて行くものになっている。前後が流れるようにつながる素晴らしい進行だ。

このソロに逸話があって、ウソか本当かは分からないのだが、スタジオで流麗なソロを披露した ランディが、音の太さと迫力を出すために、ダブルトラックにしたいと言い出す。それもエフェクト(ショートディレイ)によるダブリング効果ではなく、実際にもう一度弾くという。ただでさえ早くて複雑なフレーズをもう一度同じように弾けるものかと思いつつ、とりあえずトライさせると見事に弾いてみせたという。すると「今度はトリプルにしたい」と言う。一同呆れてしまったという話しだ。
トリプルにも挑戦したというが、完成した音を聴くと少なくともダブルまではハッキリと聴こえる。トリプルかどうかは分からない。
早弾きのところになるとズレが軌跡をなぞるような影武者になっているように感じられよく聴こえて面白い。

2018年5月12日土曜日

レモンティー

サンハウス [ 鮎川誠/柴山俊之 ]

実は大昔(1990年頃)に、シーナ&ロケッツ・ファンの女の子にこの『レモンティー』を聴かせてもらい、「まるっきり『Train Kept A Rollin'』のパクリじゃん」と馬鹿にした覚えがある。当時の私の理解はその程度だったのです。その女の子に謝罪したいです。ごめんなさい。

もうちょっとロックの歴史を知っていれば理解も変わってくる。
まずは『Train Kept A Rollin'』の複雑な背景については書いたが、簡単に言うと『Train Kept A Rollin'』自体がパクリだということ。パクリというと悪いイメージだが、普通のことだったということ。
なぜかというと、1960年代のロックはまだまだ市民権を得ていない時代、他のジャンルの曲をロック流に解釈・発展させて演奏するのは全く悪いことではなく、むしろ「カッコ良い」「いいセンス」というような事だった。
例えばアメリカの開拓時代のフォーク・ソングの『Red River Valley』をパクった Johnny & The Hurricanes の『Red River Rock』のような曲もあるし、クラシックの曲の一部を拝借することも日常茶飯事だ。Procol Harum の『A Whiter Shade of Pale』もバッハが元ネタだし、Cream の『Crossroad』だって Robert Johnson の『Cross Road Blues』だが、それをパクリという人いない。影響は明らかだが、元曲にはない魅力がプラスされている。

『Train Kept A Rollin'』の場合も、ブルース曲を組み合わせて作ったといったところで、そもそもオリジナルの Tiny Bradshaw Trio もジャズの Ella Mae Morse の『Cow Cow Boogie』をパクったという。

日本のロック黎明期においても同様で、『レモンティー』に限らず別の曲から拝借したものはいくらでもある。ロックの世界、文化、音楽を世に知らしめなければならなかった世代が分かりやすく日本語でロックを歌う。そこで原曲をそのまま訳し、カヴァーとして紹介した東京ビートルズのようなやり方ではなく、センスや雰囲気を見せる方がよほどダイレクトに伝わるというものだ。事実、これによりロックへの世界の扉が開いた人は数多い。レコード化する際の表記は「歌詞はオリジナル、曲は複雑な事情があります」とすれば良かったのだろうか。何しろ Yardbirds のオリジナルとも Tiny Bradshaw Trio のオリジナルともいえず、強いていうなら Johnny Burnette が元ネタかとなるが、それなら大々的に広めた Jeff Beck こそが?となる。だったら日本においては鮎川誠となるだろう。ロックが浸透している現代の B'z が洋楽をパクるのとは訳が違うのだ。

Jeff Beck がリフを強調して『Train Kept A Rollin'』を紹介したように、サンハウスの『レモンティー』もリフが強力だ。
Yardbirds よりももっと強力で直線的に前に出ている。彼の頭の中では「こうすればもっとカッコ良い」というのが聴こえてきたのだろう。

ところで、歌詞は柴山のオリジナルだが、これも元ネタがある。レモンといえばピンと来るのが Led Zeppelin の「Lemon Song」だ。実際、歌詞を見れば明らかにこの曲を意識しているのが分かる。
しかしこの曲は Howlin' Wolf の「Killing Floor」(1964年)が元といわれ、更に この曲はRobert Johnson の「Travelling Riverside Blues」(1937年)が、そしてArthur McKay & Roosevelt Sykesの「She Squeezed Me Lemon」(1937年)まで遡れるという(このあたりはネットで調べた)。
レモン一つでデルタ・ブルースまでつながる!

2018年5月11日金曜日

Train Kept A Rollin'

Yardbirds [ Tiny Bradshaw/Lois Mann/Howie Kay ]

Yardbirds の代表曲で Aerosmith もカバーしている有名曲だが、ルーツを探っていくとなかなか面白い曲だ。

Yardbirds のオリジナルではなく、作曲者の一人である Tiny Bradshaw の曲だ。1951年のブルース曲で、「Train kept a rollin'」「All night long」の掛け合いが楽しい曲だが、肝腎のあの印象的なリフはない。つまりあのリフは Yardbirds のオリジナルなのだ。
と思ったら、実はそうでもないようだ。Yardbirds が参考にしているのは、オリジナルの Tiny Bradshaw ではなく、1956年の Johnny Burnette Trio らしい。このバージョンにもあのリフはないのだが、面白いことにこのシングル盤のB面曲『Honey Hush』が何とあのリフなのだ(ちょっと違うが)。つまり Yardbirds のJeff Beck は Johnny Burnette のシングル盤を聴いて「B面のリフにA面の歌詞やメロディを乗せたら面白いんじゃね?」と思ったわけである。つまり、Yardbirds のあの名曲は、リフを作った Johnny Burnette Trio の Paul Burlison と、その良さに気づいた Jeff Beck がエライということになる。

ちなみに、70年代のバンド Foghat は、『Honey Hush』をカバーしているのだが、普通に聴けば『Train Kept A Rollin'』かと思ってしまう。本来こちらの方が『Honey Hush』らしいのだが、Yardbirds より後の時代だと『Train Kept A Rollin'』になってしまう。

更に面白いことに、というかややこしいことに、1967年の映画『欲望(Blow-Up)』の中で Yardbirds が『Train Kept A Rollin'』を演奏するシーンがあるのだが、権利を持つ音楽出版社が多額の利用料を要求したので、歌詞のみ変更し『Stroll On』という曲として演奏している。Jeff Beck と Jimmy Page のツインギター時代の貴重な映像として有名だ。

しかし考えてみると、これは『Honey Hush』のリフに『Stroll On』の歌詞ということになるので、『Train Kept A Rollin'』は無関係とも言える。しかし一般的に『Train Kept A Rollin'』の改作ということになっているのは、やはりあのリフのイメージが非常に強いからだろう。

各曲、各バージョンは Youtube 等で簡単に調べられるのでご参照あれ。

2018年5月10日木曜日

Boys & Girls

ARB [ 石橋凌 ]

これまでARBの曲を3曲取り上げて来たが、モロに代表曲というのはなかったが、これは正真正銘の代表曲だ。ノリの良いロックナンバーで、ARBが良質のロックバンドだったことを証明しているようだ。

この曲、作りは非常にシンプルだ。基本的にキーが「E」の3コードの曲で、それ以外は少ししか出て来ない。それなのにこれだけ格好良いのはノリの良い演奏とアレンジにある。ドラムも素晴らしいが、特にベースは良く考えられていて面白い。順に見ていこう。

印象的なイントロのギター・リフも「E」を「B」と「A」で出来ている。ほんの少し工夫してあるようだが、リズムに乗せて弾けば単にコードでもソレっぽくなる。
Aパートも同じ。リズムへの乗せ方と休符が肝かなと思う。ボーカルの迫力もなかなか。

続くBパート、「塀を飛び越えてみた」の部分。ここはベースが目立っていて、3弦(A弦)と4弦(E弦)の開放弦の音を挟んでスケールを上昇していくだけだが、とても印象深くオイシイ。
これに続いて、「今、音を立てて~」の部分から1、5、3度のリフのユニゾンでこれまた印象的だ。コードは「C#m」の後の「A」「B」「A」「B」の部分。
間奏のベースも凄く格好良い。派手なソロがなくても格好良さを出せるお手本のようだ。また2度目の間奏、というかブレイク後の合わせるところも格好良い。ノリに任せてガンガン行きながら、合わせるところはキチッと合わせる。
エンディングはだんだんテンポが上がって来る作戦で、嫌でも盛り上がるし、最後の最後は古くからあるようなギターのシメをゆったりとキメるという、全編最高級のアレンジだ。

2018年5月6日日曜日

あさごはんマーチ

杉田あきひろ/つのだりょうこ [ 宮川彬良/北吉洋一 ]

昔、NHK『お母さんといっしょ』内で歌われていた曲。久しぶりに聴いて子供が小さかった頃を思い出した。子供の曲らしく、明るく元気で分かりやすい感じだが、音楽的には意外にちょっと面白い。

まずは簡単にコード進行を拾ってみよう。まずはAパート。「F」「F」「D」「D」「Gm/B♭m・F」「E♭/D」「Gm7」「Fsus4/C7」「F/F6」「FM7/Dm7」という感じ。
続いてBパートは、「F/F6」「FM7/F」「D7/Em7」「Dm7/D」「Dsus4/Em」「Gaug/G」「C/D7」「C7」で、色々細工の跡が見えるコード進行だ。
そしてサビ。最初のコードが迷ったが「A♭7(♭5)/C」「F6」「FM7」「D」「D」「Dsus4」「Dsus4」「C/D♭」「C7/F」となり、間奏が「Dm/D♭7」を繰り返し、「Caug/F6」で元に戻る。
意外にも結構難しい上にテンポも早いので苦戦する。

「さあさ、朝だよ、朝ご飯
 朝、朝、朝、朝、朝ご飯
 しっかり食べよう朝ご飯」
というところがとても印象的。最初に「さあさ」と呼びかけているから、「朝、朝~」と続くところが面白く聴こえる。それまでどんどん動き回っていたコードが、この部分だけ徹底して「D」のみというのも面白い対比になっている。

更に直後の「朝ご飯、朝ご飯」でシメだが、「D♭」の部分、最初の「ご」の音がブルーノートにも聴こえちょっとドキッとする。これをブルーノートで歌えると、さりげない格好良さを見せられるように思う。