2006年4月6日木曜日

Let Me Roll It

Wings [ P.McCartney ]

最近になってようやく『Back In The U.S.』のDVDを買った。2002年の来日公演から早3年半。しかし映像を見るとあの日の興奮が蘇る。中でもこの曲「Let Me Roll It」を気に入ってしまった。
昔からまあまあ好きな曲ではあった。人によってはまったく好きでない人、場合によっては「嫌い」と言う人もいるかもしれない。日本人には評価されにくい曲かもしれない。 もともとブルーズ・ベースの曲で、50年代からライブで鍛え上げたPaulらしい曲だと思う。ブルーズとロックが融合したような曲で、イントロは(サビと同じだが)オルガンの音が印象的なモロ、ブルーズ・タイプの入りだ。私はブルーズの匂いのするロックに目がないため、このイントロだけで最高に良い気分になれるのだ。このイントロを延々と繰り返し、たまにギターソロを乗っけるだけの構成だったとしても充分に満足してしまうだろう。

続いてギターのリフが入る。このリフが「汚い感じ」に聞こえる人は、この曲を好まないだろう。リズムが8分の12なので、リフもよくある4分の4や8分の8拍子とは雰囲気が違う。字余りに感じるかもしれない。このリズムがミソの一つなのだが、この曲の素晴らしさを強調しているのがドラムなのだ。

「ダダーン」とアクセントをつけて入って来る印象的なドラムがある。このライブでのドラマー・Abe(アベじゃないよ。エイブです)のタメが最高なのだ。イントロで良い気分になったら、あとはドラムだけ聴いていれば良い。それだけでこの曲の良さは分かるはずだ。

このライブのドラマー、Abe Laboriel Jr.は最高だ。リズムのアクセントを聴いているだけで最高のノリが感じられて、どの曲も最高峰のグルーヴになる。どんなに手数が多く複雑なリズムパターンになっても最高のノリが全面に出ている。特にこの曲は隙間が多いせいでそれがよく分かるのだ。リズムは機械のように正確に刻むだけでは楽しくないしノリも感じられない。タイミングが遅れる寸前のギリギリまでタメた上でぶっ叩く。リズムはモタるのが一番格好悪く曲をブチ壊しにするのだが、モタる寸前のギリギリまでタメるのが一番格好良いように思う(曲調にもよるが)。そして常に大らかな揺らぎを感じながらリズムを叩き出す。細かなテクニックを要する部分はどうしても表面的な部分に捕われてしまいがちだが、Abeは決して大きなノリを忘れない。きっと体の中にゆったりとしたノリが流れているのだろう。
ドラムに集中して曲を聴いてみるのもオススメだ。

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