The Beatles [ J.Lennon/P.McCartney ]
不思議な雰囲気の漂う曲だ。中学生の頃、まるで万華鏡のような曲で、ヴォーカルは猫のようだと感じたものだ。
まず不思議なタイトルだが、 John の息子の Julian Lennon が4歳前に描いた絵に触発されたのだとか、タイトルの頭文字をとると「LSD」になるとか色々あるが、ここでは音楽のみを取り上げる。
ハープシコードのようなイントロの音色は、電子ピアノにプリセットされていた「Music Box」という音色だという。イントロはリズム楽器がないため、これが何拍子なのかも分からず、ベースが入って来て分かるという具合。このベースこそ、この曲の最重要楽器だと思う。
曲のキーは「A」。これに対し、ベースは1小節に1音しか出て来ないが、「A音」「G音」「F#音」「F音」と下がる。
「F音」?
キーが「A」なのに? よく市販の楽譜には「AonF」とコード・ネームが書いてあるが、キーボードもここだけ「E音」は外して弾いているので、ベース音だけではなく「Aaug」みたいな扱いになるはずだ。しかし「aug」の使用例としても「?」なので単に「F」と解釈するべきか。しかしそれにしても「F」にしては「C#音」なのでこれも当てはまらない。いずれにしてもこの部分がとても不安定で、不思議な感覚を増幅させる。実に印象的だ。
この部分を繰り返しながら、「Dm」「DmonC」を挟み、Bメロへ。何とイキナリ転調する。それも全体が半音や1音上がるというようなものではなく、完全に別個なパート、別個のメロディでだ。
スイングするようなリズムになって「B♭」「C」「F」「B♭」「C」「G」と来てようやくここで安定するのかと思いきや、またしても転調し、しかも8ビートに変わる。サビだ。
「D」を挟んで、「G/C」「D」を繰り返すサビになる。ベースとギターがユニゾンで上昇するリフを弾いていて、完全にロックだ。ところが不思議なことにまた最初のキーが「A」の部分に戻るのだ。このあたりが万華鏡のように感じる部分だろう。
その他、サウンド・メイキングとしては、シタールあり、スライド・ギターあり、レスリー・スピーカーあり、そしてもちろんシンプルなアコギのストロークもあり多彩。
極めつけはボーカルだ。John のダブルトラッキングになっているが、恐らくテープ・スピードを違えて録音しているいるのだろう。実際の John の声より甘い声になっているが、サビはノーマルだ。明らかに狙って変えている。当時、テープ・スピードを変える装置もなかったが、レコーダーに供給する電圧を変えることでテープ・スピードを変えたという。凄いアイディアだ。
このテープ・スピード操作も不思議さを出している要因の一つだと思う。
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