2019年7月24日水曜日

Secret Loser

[ O.Osbourne/B.Daisley/J.E.Lee ]

1986年の『The Ultimate Sin』収録の2曲目。前の曲が終わると間髪入れずに始まる、ミドル・テンポのポップでカッコいい曲だ。
作曲者にボブ・ディズリーが入っているが、主な役割は作詞がオジーで作曲がジェイク、アレンジがボブという感じ。ジェイクのアイディアを具体的に仕上げていく感じだ。また、ヴォーカルのメロディ・ラインもオジーとボブがメインだろう。

曲を見ていくと、キーは「Em」(ただし、楽器のチューニングが全部半音下げなので実際は「E♭m」だが、ここではギター等のポジションに合わせて半音上げで表記する。当然レギュラー・チューニングの「Em」では合わない)。
「Em」と「C」で出来ているような曲で、間に「D」のアクセントを入れたりするだけのシンプルな作り。

Bパートだけちょっと捻ってあって、「D」「BonD#/B」「Em」「D」「B」「C/D」「CM7」「CM7」という感じになる。
またブリッジ部も「B/A」のリフでつないで、「C」「D」「D/Em」「F#m/Em」というように、全体的に上昇して盛り上がる感じになっている。このあたりは作りがBパートとよく似ている。

ギター・ソロ。前半は曲調に合わせたメロディックな感じだが、16分のシークエンス・フレーズが出て来るあたりから「ジェイク独演会」のようになる。この頃のジェイクのソロはシークエンスっぽいものが多くて、例えば「Bark At The Moon」とか「The Ultimate Sin」なんかも典型的だ。そして、そういうキッチリとしたフレーズの間にワイルドなフレーズが入るのが醍醐味で、ただのギター・グリッサンドですらカッコ良く聴こえる。
シークエンス・フレーズからコード進行が少し変わり、「Em」「G」「D」「F」となる。
後半は変体的ライト・ハンド奏法。左手2ポジション+右手2ポジションで、1拍に6音、1小節で24音の早弾きとなる。パッと聴くと「何かキラキラしてるなぁ」という印象を受ける。コード進行は「G」「DonF#」「A#onF」「DonF#」の繰り返し。「A#onF」がジェイクっぽい。これはソロのためのコード進行だ。

さて、ソロ以外のギターのテクニックを見ていきたい。
この曲は比較的グリッサンドが多く出て来るが、曲の一番最初の音がこれだ。グリッサンドはギターのテクニックの中でも最も簡単なテクニックだが、特にドライブしている音ではとてもカッコいい。
この時代によくあるようなLAメタル風のリフだが、アルペジオっぽいフレーズを入れることで独自性を出している。具体的には最初の「Em」と低い「E音」の刻みの後出て来る8分の6音目と7音目の「A音(4弦7F)」と「D音(3弦7F)」だ。

Aメロが始まって低い「Em」や「C」を伸ばしている音の間でアルペジオが聴こえるが、これがそれぞれの「add9」の音。例えば「Em」の場合なら「Emadd9」で、音は上から「B(1弦7F)、F#(2弦7F)、E(3弦9F)、B(4弦9F)、E(5弦7F」で、これを平行移動するだけだ。しかしヘヴィな響きの中で「9th」の音が聴こえるだけでオアシスが見えたような清々しさがある。
Bパートの最初の「D」の部分も聴こえる音は「Dadd9」だ。ジェイクはこの響きを多用する。ジェイクのオシャレさはこの音に負うところが大きい。

ソロが終わった後の静かになる部分。ブレイク後にギターが入って来るのもちょっとオシャレ。その前がワイルドなフィードバック音だった後に細い音でハーモニクスのプレイだ。これも対比が見事。
ハーモニクスのポジションを書いておくと、8分で2弦12Fを弾いた後、「1弦12F」「1弦12F、2弦7F、3弦5F」「2弦5F」「4弦3F、3弦5F、2弦5F」「1弦12F」「1弦5F、2弦5F、3弦5F/2弦5F、3弦5F、4弦5F、2,3,4弦7F」「1,2,3弦12F」となる。ハーモニクスは同音で違弦違ポジションもあるので弾きやすいポジションでOK。

この直後はまたアルペジオだ。といっても、フレーズっぽいアルペジオで、各コードで3種の音しか出てこない。コード進行は「Dadd9」「D#dim」「Em」「Em」でサビに戻る。「Dadd9」では「E(1弦開放、A(3弦2F)、D(2弦3F)、A」で得意の「add9」、次の「D#dim」は「E(1弦開放、A(3弦2F)、D#(2弦4F)、A」と1つの音が半音上がるのみ。いかにもギターで考えましたという感じだ。

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