2018年2月7日水曜日

山河燃ゆ

NHK交響楽団 [ 林光 ]

1984年の NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』の主題曲。戦前・戦中・戦後の難しい時代を日系二世という更に難しい立場の主人公が生き抜き、恋や苦悩とともに歪んだ時代背景をも描いた文字通り大作のドラマ。見応え充分で劇的な展開は今でも楽しめる。
主役は松本幸四郎(当時)で、他に西田敏行、沢田研二といった豪華な出演者だが、特に大原麗子と三船敏郎が魅力的で印象に残った。

さて、音楽だが、このOPテーマ曲、バックの映像は1983年、インドネシアでの皆既日食のシーンで挟まれた、荒野に延々とつながる道を走りながら、走馬灯のように本物の写真が流れるといったもの。ドラマのイメージピッタリ。この広いだけの荒野の大地にも様々な生活の泣き笑いがあっただろうし、しかし時代は荒れているし、でも最後には日食も終わり、光が見えて来る・・・。

ドラマチックなファンファーレで幕を開ける曲は、すぐに主題が提示される。重々しさはそのまま時代の雰囲気を表わしている。
「Em」で続く中、更に緊張感を高める「F」が入り、展開するところは「Em」から「B♭」「Em」「C」「Am」「D」「G」と移り、次のパートへと入る。
このおだやかなパートは日々の楽しく懐かしい生活を表わしているのか。こんな時代でも、当然日々の生活があり、愛すべき家族や友人たちがいる。「G」「G」「C」「C」「G」「G」「D」「D」の部分だ。
しかしこの優しい感じの安定感が次第に歪んでいく。「G」から「D」「E♭dim」そして「Em」へ戻る。現実に引き戻されたかのようだ。

この曲を聴くと、どういうわけかシューベルトの『未完成』を連想してしまう。このあたり、近いうちに取り上げたいと思う。

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