2018年2月9日金曜日

未完成交響曲

Franz Schubert [ Franz Schubert ]

『山河燃ゆ』つながり第3弾だが、これはあくまで個人的連想で、実際には何のつながりもないので悪しからず。
個人的に、この曲調がどうしても戦前・戦中の美しさと狂気が混在する雰囲気を感じてしまう。そして NHK 大河ドラマ『山河燃ゆ』の世界とリンクしてしまう。歪んだ時代背景と、精一杯生きぬく美しさとが狂おしいまでの破滅的美学となって胸に迫るのだ。

シューベルトの『交響曲第7番』は一般に『未完成交響曲 ロ短調』の方が通りが良い。1822年の作だが、細かいことは知らないし、曲の背景も知らない。
好きなのは第1楽章。劇的で狂気を感じさせる曲調、ダイナミクス、コード、そして繰り返される主題に涙が出てほどの感動を覚える。

出だしは重低音に静かに響く不気味なメロディ。これから始まるヘヴィな物語を暗示しているようだ。
そういえば基本リズムが3/4拍子なのも『山河燃ゆ』と共通している。

最初のダブルピッキング(ギターのテクニックの一つ)のようなリフは、早くも美しさと重々しさが同居する。その理由は「Bm」の中での「F音」の使い方にある。「C#音」の時のハモリに「F音」の時と「E音」の時がある。この半音階の使い方が不安定さを増幅させる。このリフだけで格好良が、これに主題が乗ってくる。時折入る和音が波乱含みの時代背景を思わせる。

「Bm」が何小節か続いた後、「D」「EmonG」「Aaug」「D」「F#7」と続く。「Aaug」のところは自信がないが、そう聴こえる。
更に2回目は「Bm」を4小節繰り返した後、「D」「Gm」「Em7」「F#7」と続いて行くのだが、「Gm」の時にも「A音」「C音」「E♭音」のディミニッシュのような和音から入って不安定さを増幅させる。

盛り上がりが絶頂に達した瞬間、突然ホルンだけのロングトーンが残る。闇の中からの一筋の光のように。「D音」だ。
そして2つ目の主題が流れる。キーは「G」に変わる。少し安心感のあるメロディだが、1回目を聴かせると2回目にすぐ狂おしいような展開に変わる。このあたりが狂気の時代を感じさせる部分だ。安心したと思うとすぐに狂気、静と動の対比ももの凄い。
「G」「D」「D」「G」「E」「E」「Am」「D」となる。3コードは「G」に対し「D」と「C」になるので、「E」はとても不安にさせる。この「E」が最高に格好良い。

そしてイキナリ「Adim onC」が響く。先ほどのホルンのロングトーンとは一転し、暗くヘヴィなブレイクがある。そして狂気の劇的な展開の連続。
その中で2つ目の主題が聴こえてくる中、今度は美しい展開をみせる。狂気から美へ。 すると再び最初に戻り、何も変わっていないことを思い知らされる。まったく凄い展開だ。

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