2003年12月13日土曜日

Over The Hills And Far Away

Gary Moore [ G.Moore ]

私の大好きなギタリストの一人だ。1990年代はブルーズに行ってしまったが、本来はハードロックの人だ(本人は「本来はブルーズだ」と言いそうだが)。この曲は、そのハードロック時代末期の曲で、故郷のアイルランドを強く意識して作られた作品『Wild Frontier』に入っている。
この曲もリフなどにアイリッシュなムードが漂っている。アイリッシュなメロディは意外にも日本人好みするもので耳に馴染みやすい。

何と言っても圧巻はギター・ソロだ。アームを使ったトリッキーなフレーズから入ると、すぐに超高速フレーズになる。一聴するとライトハンドでのタッピングのように聴こえるが、Garyはライトハンドはやらない。答えは左手によるタッピング的なハンマリング&プリングの連続なのだが、それにしても本当に超高速だ。これはGaryの得意技の一つなのだが、開放弦を絡めないハンマリング&プリングのの超高速トリルなどは人間技とは思えないスピードだ。私も挑戦したが、とてもではないがあのようなスピードは出せない。左手の薬指や中指を、ああも早く動かすことが出来るものなのだろうか。不思議でしょうがない。
ソロの最後はピックでのトリルで上昇するフレーズだが、凄いのは一番最後の1音、決めのロングトーンのビブラートだ。これが出来るだけで一流のギタリストと言えるかもしれないほど感動を増幅させる。

Garyはボーカルもギターも両方こなすフロントマンだが、私としてはギタリストとして見ている部分が大きい。
この曲にしろ、ライブにしろ、素晴らしい太い音で本当に気合いの入ったソロを弾く。とてもテクニカルで早弾きも多いのに、単なる腕自慢コンテストのようにならないのは、やはり根性の入った迫力のピッキングと劇的なビブラートのせいだろう。

この曲で唯一残念なのは、ドラムがあまりに平坦だということだ。それもそのはず、これは人間ではなくマシーンだ。最近は人間のようなノリを出すプログラムも可能だそうだが、1987年の時点ではまだ無理だったようで、完璧ではあっても、あまりにつまらない。これが曲の感動を随分引き下げていると思う。これはこのアルバムの全ての曲に言えることだ。
しかしそれを嘆いていたり批判したりしていてもしょうがないので、その分、Garyのギターやボーカルを堪能すべきだろう。

転調した後、エンディングでもソロが出て来て、おそらくフリーで弾いているのだろうが、こちらもカッコいい。Garyのギターは「気合い」とか「根性」という表現が似合うのが理解出来ただろうか?

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