1999年2月28日日曜日

Miss You

今井美樹 [ 布袋寅泰/岩里祐穂 ]

せつなくなってしまう曲だ。そのせつなさがとても美しい。初めて聴いた時から一発で気に入ってしまい、今井美樹も布袋寅泰も一気に高評価となった(自分の中で)。素晴らしい曲に素晴らしいボーカルだ。この曲のどこがそんなに気に入ったかジックリと説明したい。

キーワードは「ブルーノート」だ。直訳すれば「青い音」。「青い」は色のことではなく、「ブルーな気分」等で使うように「憂鬱な」「哀しい」というニュアンスだ。音楽ジャンルの「ブルーズ」も同じ意味だ。で、この「哀しみの音」だが、音楽にはある特定の音をこう呼ぶ。5度の音が少し下がった音だ。少しというのは半音までいかないからで、ギターのような弦楽器でないと表現出来ない音だ。ピアノの場合は半音下の音を装飾音符的に弾いてそのニュアンスを出す。文字で説明すると分かりにくいが、例えばキーが「Am」の時のペンタトニック・スケール「ラドレミソ」の中で、「ミ」より少し下がった音に当たる。5度の音はルート音に次いで安定している音なので、それが少し下がるということは、少しだけ不安定になって。それが哀し気な感じになるのかもしれない。何にしろ、ブルーズやジャズでは当然のように頻繁に出て来る音だし、この微妙な音程をどう歌いこなすかでボーカルの力量が問われる場合もあるほどなので、チェックしておいて損はないだろう。

さて、この曲で「ブルーノート」が出て来る箇所だが、連発で出て来るわけではない。しかしとても効果的で目立つ。最初は「夢のような気持ちになる」の「に」の音だ。耳をそばたててよく聴いてほしい。少し不安定な音になっているのが分かると思う。最初のヴァースのコード進行をざっと表記しておくと、「C・Bm7(♭5)」「E7・E7onG#」「Am」「EmonG」「FM7」「Em7」「Dm7」「Dm7onG・G7」といった感じ。

サビでもブルーノートが出て来る。「想い出は輝く」の「が」の音だ。最初の時の音と全く同じ音だ。一番最後の「眩しさのすべてだった」の「だ」の音は「E♭音」だろうか。これもブルーノートとして判断して構わないと思う。

サビのコードは少し難しい。ベース音が考えてあるため音がとりにくくなっているからだ。「GonC・C」「Bm7onE・E7onG#」「Am7」「Gm7onC・C7」「FM7・ConE」「Dm7」「Dm7onG・G7」と、おそらく次のような感じだろうと思う。

「哀しみの美学」「破壊の美学」のようなものもあるのだろうが、実際の哀しみとはそんなドラマチックなものでない場合がほとんどだと思うが・・・。

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