1999年7月20日火曜日

Songbird

Kenny G [ Kenny G ]

この曲を初めて聴いたのはいつのことだっただろうか。周囲の空気が一辺におだやかな優しさに包まれた思い出がある。自分にはない雰囲気、価値観、目標、生き方の尊厳のようなものを感じた。彼の曲を色々聴いたが、最初に出会ったこの曲が一番だ。

この曲で感じたイメージと重なった不思議なイメージがある。

ある夏の早朝、人のいない公園。木陰のイスに座って、とても穏やかに流れる時間を過ごしている。時折、下に見えている池を魚が跳ねる。池の魚が跳ねるということを初めて知った。周囲をぼんやりと眺め、何をするでもない時間が経過していくだけ。この世からこの場所だけが独立しているかのような感覚に包まれている。

こんなイメージだ。もちろん個人的なイメージなので、この曲とは直接的に何の関係もない。第一、「Songbird」というのに、どこにも鳥が出て来ない。しかし、誰にとっても、その美しい鳥は本当はすぐそばにいるのかもしれない。だからといってそれは近いものなのか、遠いものなのか、誰にも分からない。

「Songbird」とは、音楽用語では「女性ボーカル」の意味で使う場合が多い。本来は「美しい声の鳥」という意味で、そのまま曲のイメージ通りだが、当然ながら「美しい女性」というイメージも出て来る。関係ない話しだが、なぜ宝石が美しいのか分かる気がした瞬間があった(個人的に宝飾品には全く興味がない)。それは美しい女性の瞳みたいだからではないだろうか。涙に潤んだような瞳は宝石のようだ。

Kenny Gのサックスに話しを戻す。おそらくソプラノ・サックスだろう。本当に優しくて穏やかでエモーショナルだ。「この曲を聴いてなごんでいるんだ」と言った人がいた。「なごむ」という言葉がとても心に響いた。「気持ちが穏やかになる」とほとんど同じ意味だが、ニュアンスが微妙に違う。

メロディにおいて、高音になればなるほど主張が強くなって、音量を大きくしたり、逆に周囲を小さくして目立つようにしたり、とにかく強烈になる場合がほとんどだ。 しかしKenny Gのサックスはそうではない。時に力強くなることもあるが、高音も優しく響く場合も多い。 彼は演奏中、アドレナリンが溢れるのだろうか?

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