2004年8月12日木曜日

Burning Heart

Vandenberg [ A.Vandenberg ]

オランダのハードロック・バンド・Vandenbergの初登場だ。1980年代のバンドで、ヨーロピアンなメロディと、なぜかアメリカ南部の匂いを合わせたようなバンドでその昔はフェイバリット・バンドだった。メロディックでありながらシンプルな作り&骨太な音というのは一つの理想形だ。シンプルというのは「単純で幼稚」というのとは全然別で、余計な装飾をそぎ落としている分だけ本物かどうかの見極めが容易になり、曲作りでも演奏でも難易度はかえって高くなるのだ。

で、この曲だが、彼らの曲の中で個人的に最も影響を受けた曲だ。曲というよりギター・ソロだ。
曲も良い。シンプルな『Am』キー(実際はチューニングが半音下がっているが)のバラードだが、イントロのギターもひとひねりしてあるし、ハーモニクスの音も印象的だ。
まず、ローコードの「Am7」の形(1弦〜5弦で順に0F、1F、0F、2F、0F)で抑えておき、5弦開放の「A音」を出し、4弦を弾いた後スライドさせる。この時にコードを押さえている全体(といっても2箇所だけだが)を2フレットずらし、4弦は4Fへ、そして2弦をピッキング(3Fになっているはず)し、4弦を先程とは逆の動き、つまり4Fから2Fへスライドさせ、更に5弦開放で落ち着く。そして1弦から4弦までのアルペジオ。これをもう1回(途中までだが)繰り返した後、2音の和音で締める。すべて2弦と4弦で、「5F、5F」「3F、4F」「1F、2F」「(前の音からスライド気味に)3F、4F」「1F、2F」「0F、0F」と弾き、5弦開放の後、ノーマル・ハーモニクス。一つ目は1〜3弦の7F、2つ目は同じく5Fだ。
2音の和音のところは、ピック(親指と人差し指で持つ)と中指で弾くが、ピックだけでも3弦をミュート(4弦を押さえる中指の腹で)すれば弾けると思う。

最初のヴァースは「Am」 「G」 「C」という進行で、「G」の時にベースが「B音」を出すことで滑らかな上昇ラインになる。ヴォーカルのメロディが上から下で、ベース・ラインが対比になっているわけだ。逆をやると『天国への階段』になる。

サビのところでエレクトリック・ギターがバーンと入って来る瞬間が格好いい。よくあるパターンだが、静かなところへ入って来る存在感のある音は最高だ。
音的には全音符でジャーンとコードを鳴らしているだけだが、終盤になるとソロの延長のような形で高い2音も入って来る。単純だが印象的であり感動も誘う。

さて、素晴らしいギター・ソロを紹介しよう。まず導入部は2つのパートがあって、それぞれがツイン・ハーモニーになっている。だから計4本のギターがないと出来ない。独特のムードを醸し出すパートだが、ライブではアルペジオっぽい弾き方でハーモニーの片方と2種類の目立つところだけをつないだようなメロディをギター1本で弾いている。凄いのは次の単音ソロからだ。

基本的に低い音を多く使っている。また、伸ばす音と短く切る音の対比を明確にしている。最初の1小節目でそれがはっきり分かる。
重要なのはビブラートだ。かなり揺れ幅が大きく早めのビブラートだ。当然、伸ばす音の時にビブラートをかけるのだが、音が切れる瞬間ギリギリまで表情があり、次の音を出す直前に瞬間的に装飾的にスライドで音を下げたり上げたりしている。この微妙な音の表情が凄いのだ。
タメもきいている。タメというのは、音を遅らせることだと思う。遅れすぎてモタっていると最高にカッコ悪い。モタる寸前まで遅らすことだと思う。これは難しい。「バカと天才は紙一重」というが、「モタりとタメは紙一重」だ。

ソロの締めは3連符だ。全編ゆったりとしたフレーズだった上に突然の3連符のせいで、とてもスリリングに聴こえる。そして最後の最後で高く伸びやかな音。かなり強烈なビブラートがかかっている。この最後のビブラートだけでもこのソロは最高のものになる。何と劇的なソロか!

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