2007年7月15日日曜日

(It's Just a)Smile

レベッカ [ 土橋安騎夫/NOKKO/Tommy Mandel ]

他の曲(何て曲だっけ?)の英語バージョン。日本語の方も好きだったが、英語バージョンの方が倍は好き。歌詞というか単語にムードがあるんだよね・・・。
特に、個人的に「Moon」という単語に魅力を感じているから、「Like your 'lashes in the moonlight...」というだけで、何かドキッとする。あくまで個人的な感覚の話しだが。

ところでこの曲、何となくRonettesの『Be My Baby』に似ている。サビの裏で「Be my, be my baby」と繰り返しハーモニーを入れるのと、この曲の「It's just a smile」と入れるのが似ているからだ。『Be My Baby』の方もそこが好きなのだが、ロマンチックさはこちらの方が上に思う。

その『Be My Baby』っぽい雰囲気の中でMadonnaっぽいヴォーカルのNokkoが歌う。いや、80年代はこういうヴォーカルが流行りだったのかもしれない。Cyndi Lauper等も似ている。それはともかく、日本版『Be My Baby』として海外でもヒットしそうなものだが・・・。

曲の構成自体はかなりシンプル。ヴォーカルに合わせてキーを操作したであろうことくらいか。
一応、サビのコードを書いておくと、「C#」 「A#m」 「F#」 「G#」といった感じ。
イントロの2つめのメロディのベースのオン・コードが綺麗だ。

2006年6月26日月曜日

Hello, Again~昔からある場所~

My Little Lover [ 藤井謙二/小林武史/KATE ]

もう10年も前のヒット曲だが、最近久しぶりに聴いたら「面白い!」と感動してしまった。My Little Loverは「Men & Woman」が好きで、歌はそんなに上手くないなぁという程度の印象しかなかったのだが、この曲は素晴らしい。
転調が楽しそうな感じがしたので早速ピアノをポロポロ弾きながら音を探ってみた。やっぱり面白かった。

まず、キーはEメジャー。最初のパートは普通だ。ざっとコード進行をメモっておくと「E」 「A」 「G#m7」 「C#m7」 「A」 「B」 「C#m」 「BonD#」という感じ。2回目は最後が少し変わる。
次のブリッジ部が面白い。「A」 「AonB」 「G#m7」 「C#m」 「A」 「G#7」 「C#m」 「Bm・A」という感じだが、良いのは2番目の「AonB」ではない。「G#7」のところだ。メロディには出て来ないが、「C音」が出て来る。スケール上に存在しない音で、ここだけハーモニックマイナーの響きになるわけだ。そして、これが美しいと思って繰り返しの2回目も期待して聴いていると2回目は最初の「C#m」の後で「F#m」に行ってしまい「あれー、平凡だー」とガッカリする。ところがその直後の「B7」で大胆な転調になりビックリするという寸法になっている。一番最後に「シラソファ#」と降りて来る部分だ。まったく素晴らしい!イキナリのGメジャースケールということだ。これは次へのつなぎを一足先にやったということなのだろう。

サビのキーはそのままGメジャーだ。「C」 「D」 「G」 「DonF#」 「C」 「D」 「Em」という感じで、「DonF#」にしてもよくあるものだがちょっと綺麗に聴こえる。2回目の繰り返しの「今も胸に響くよ」のところのメロディは美しいが、それはあまり出て来ない高音を伸ばし気味に歌うから余計にそう聴こえるだけだ。
「それは愛が彷徨う影」のところの最初「B7」がブリッジでの「G#7」と同じ使われ方で美しい。そして次に「Em」に行った後の「C#m-5」というのか「ConC#」の部分が良い。
その後更に「C」 「DonC」 「Bm7」 「Em」と来て、イキナリ「F」で転調したようになり「B7」で元のEメジャー・キーに戻る。最後の「見えなかった」の出だしの「見え」の部分は半拍前の小節に入っているので、まだコード「F」鳴っている時に音を出さなければならない。正確に出すのは結構難しい。

最後になってしまったが、歌詞もまた良い。昔の古傷というべきか、大好きだったあの場所をテーマにしている歌はどうしても甘酸っぱい思いにかられる。それでいて「波の彼方に果てが感じられる」「空に進み風を受けて」のようにとてもスケールの大きな印象を与える部分があって良い。人生を振り返ると色々ありすぎて細々した部分よりもっと全体的な大きな観点で考えるからだ。最後の「Hello, Again my old dear place」に思いを馳せる。

2006年4月6日木曜日

Let Me Roll It

Wings [ P.McCartney ]

最近になってようやく『Back In The U.S.』のDVDを買った。2002年の来日公演から早3年半。しかし映像を見るとあの日の興奮が蘇る。中でもこの曲「Let Me Roll It」を気に入ってしまった。
昔からまあまあ好きな曲ではあった。人によってはまったく好きでない人、場合によっては「嫌い」と言う人もいるかもしれない。日本人には評価されにくい曲かもしれない。 もともとブルーズ・ベースの曲で、50年代からライブで鍛え上げたPaulらしい曲だと思う。ブルーズとロックが融合したような曲で、イントロは(サビと同じだが)オルガンの音が印象的なモロ、ブルーズ・タイプの入りだ。私はブルーズの匂いのするロックに目がないため、このイントロだけで最高に良い気分になれるのだ。このイントロを延々と繰り返し、たまにギターソロを乗っけるだけの構成だったとしても充分に満足してしまうだろう。

続いてギターのリフが入る。このリフが「汚い感じ」に聞こえる人は、この曲を好まないだろう。リズムが8分の12なので、リフもよくある4分の4や8分の8拍子とは雰囲気が違う。字余りに感じるかもしれない。このリズムがミソの一つなのだが、この曲の素晴らしさを強調しているのがドラムなのだ。

「ダダーン」とアクセントをつけて入って来る印象的なドラムがある。このライブでのドラマー・Abe(アベじゃないよ。エイブです)のタメが最高なのだ。イントロで良い気分になったら、あとはドラムだけ聴いていれば良い。それだけでこの曲の良さは分かるはずだ。

このライブのドラマー、Abe Laboriel Jr.は最高だ。リズムのアクセントを聴いているだけで最高のノリが感じられて、どの曲も最高峰のグルーヴになる。どんなに手数が多く複雑なリズムパターンになっても最高のノリが全面に出ている。特にこの曲は隙間が多いせいでそれがよく分かるのだ。リズムは機械のように正確に刻むだけでは楽しくないしノリも感じられない。タイミングが遅れる寸前のギリギリまでタメた上でぶっ叩く。リズムはモタるのが一番格好悪く曲をブチ壊しにするのだが、モタる寸前のギリギリまでタメるのが一番格好良いように思う(曲調にもよるが)。そして常に大らかな揺らぎを感じながらリズムを叩き出す。細かなテクニックを要する部分はどうしても表面的な部分に捕われてしまいがちだが、Abeは決して大きなノリを忘れない。きっと体の中にゆったりとしたノリが流れているのだろう。
ドラムに集中して曲を聴いてみるのもオススメだ。

2006年3月1日水曜日

Turandot "Nessun Dorma"

Giacomo Puccini [ Giacomo Puccini ]

この曲を初めて知ったのは、何とロック・ギタリストが使っていたことによる。ドイツ人のUli Jon Rothが『Prologue To The Symphonic Legends』の中の「Brdge To Heaven」という曲がそれ。超高音が出る特注のギター・Sky Guitarで見事なギターを聴かせている。ヴォーカルも見事ながら、大胆でパワフルな部分と繊細で美しい部分をロック・ギターならではで歌い上げていて感動的だ。

トリノ五輪のフィギュア女子の荒川静香選手、本当に美しい演技だったし、この曲はピッタリ。フィギュアであそこまで感動したのは初めてだった。何も金メダルだったから感動したのではない。本当に美しく感動的だったからだ。4回転ジャンプとか高速回転といった大技に注目が集まりがちだが、荒川選手の演技は総合力の勝利。他の選手の時は「テクニック的に凄いなぁ」とか「ジャンプ失敗するなよ」と思いながら見ていたものだが、荒川選手の時は「美しい」と思った。細かなテクニックは素人にはよく分からないが、とても優雅だったし、この曲のイメージにピッタリだった。
大きな感動はこの曲の力によるところも大きいだろう。確か、開会式にも使われていたと思う。イタリア人にとってはかなり重要な曲のようだ。

20世紀初頭のイタリアの作曲家・Pucciniのオペラ曲で、アジアを舞台にしたものだから比較的有名だと思う。紫禁城(中国)のトゥーランドット姫が求婚者に難題を与え次々に死刑にし、男性へ復讐する。しかしタタールの王子・カラフがすべての難題を解き、その情熱で姫の頑なな心を開き、姫は初めての愛を知るというストーリーだ。中国名は『杜蘭朶』だそうだ。

この『Nessun Dorma』というのは「誰も寝てはならぬ」という意で、カラフがすべての謎を解いた後、尚も結婚を拒否する姫に対して、自分の名を当てたら潔く死を選ぶという王子(カラフ)からの謎を解くために、民衆みんなで名を調べろという命令のため「寝てはならぬ」ということになる。
王子の名を知る、召し使いの少女が拷問を受けるが、少女は衛兵の剣を奪い自刃。その少女の王子に対する想いを目の当たりにした姫が心を開く場面だ。

感動的で壮大な曲に、荒川選手のイナバウアー。イナバウアーは大した得点にはならないそうだが、ゆったりと優雅に決める姿がまさにトゥーランドット姫のイメージだ。

ちなみに、この物語のオペラはもう一つあって、有名なピアニストのFerruccio Busoni作のものもある。

2005年9月10日土曜日

欲望のドア

Red Warriors [ T.Kogure/D.Yukai ]

ずっと昔好きだったバンドだが、久しぶりに聴いた。この曲は特別好きだったというほどでもないのだが、改めて聴くと最高にカッコいい。

普段、曲を聴く時は曲:歌詞が9:1くらいの割合で聴いているので、この曲も何を歌っているのかまったく知らなかったが、歌詞が素晴らしいことに気がついた。
「素晴らしい」と言っても、崇高な内容というのでも、雄弁な詩人のようなものでもない。これはロックだ。「ロックの歌詞とはこうあるべき」という雰囲気を持っている。下品で生意気でバカっぽくて、でもよく聞くと結構奥が深そうで知的にも感じて来る。しかもグラマラスだ。演奏も含め、こういう雰囲気を感じさせる曲こそロックのカッコ良さだと思っている。

「平和の奴隷たちよ」「俺に魂の賄賂をあけ渡せば何でも出来るようにしてやる」ということだが、要するに普段の生活のしがらみを忘れ、ストレスを発散させてロックしよう、ということだと思う。
ロックに浸れば無限のイマジネーションが得られて空も飛べるし、悪魔的だとか背教者だと言われても構わないという気分になる。そういえばRed Warriorsの曲はそういうノリの曲が多い。

曲はかなりポップだ。特に「Let's go to the Sky」の部分などはポップスそのものだ。だが、Yukaiが見事に下品に歌ってくれる。しかも間髪入れずディレイのようなコーラスワークで更に2回繰り替えし品のなさを強調する。このボーカルだけでロックになるのだ。素晴らしい!

音楽的な部分にも触れておこう。コード進行はかなりシンプルだ。まずは「A」 「A7」 「D」 「Dm」だ。「D」から「Dm」にいくところは少しポイントだが、珍しいというほどではない。

サビの部分は「A」 「AonG#」 「AonG」 「D」 「F」 「A」 「B7」 「E7」となる。最初の4つは「A」からベース音だけ半音ずつ下降するポップスで多様されるパターン。当然のように下がるベースに対しメロディは上がっていく。しかも歌詞まで「Let's go to the Sky」だ。
ポイントは「F」のところで、それまではAメジャー・スケール上のメロディだから「F#音」が含まれるが、ここではコードトーンの「F音」が使用される。少しだけ転調したような雰囲気になる。更にその後の「B7」の場所でもコードトーンの「E♭音」が使用される。「A」の時は「E音」だし、この後の「E7」でも当然「E音」で終わる。半音違いのマジックだ。

「さすがプロ!」と思うわせるのはこの後の「平和の奴隷たちよ」の部分だ。なぜか少しだけマイナー調になった雰囲気がある。 4拍全部がアクセントになっている部分だが、コード的には「F」 「G」 「A」と平凡な並びだ。このコードに乗っているメロディもシンプルで、1拍毎に「(ミ)ファミレド」「シラシシ」「ド#」だ。分析すれば、すべてコードに合わせ、Fメジャースケール、Gメジャースケール、Aメジャースケール上の音だ。しかし最初の2小節はCメジャースケールと同じでもある。2つのスケールから音を上手にチョイスしCメジャースケールにしている。
そしてCメジャースケールはAmスケールと同一だ。つまり、曲のキーが「A」なのに、ここだけはAmスケールが登場することになるのだ。だからメジャーコードしか出て来ないのにマイナー調になった気がするのだ。「F」と「G」を「C」に対するサブドミナント、ドミナントと考えるべきかもしれないが、いずれにしろミソはコード「F」でキーが「C」になったようなパートだ。
つまらなくなりそうなパートを最高のパートに変えてしまう。16でスネアを入れるドラムも含めて素晴らしいパートだ。

2005年8月29日月曜日

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

サンボマスター [ 山口隆 ]

素晴らしい!一発でお気に入り!聴いた瞬間に「最高!」というのは本当に久しぶりだ。カッコ良すぎる!1回聴いて好きになり、10回聴いても100回聴いても飽きない。

きっかけはモチロン『電車男』。2ちゃんねるも利用しないし、本や映画も興味がなかったが、たまたまあいた時間にTVのチャンネルを回していたら綺麗な女性(伊東美咲)が出ていたので偶然みたのが初体験。「エルメスたん」と言っていたし、モロオタッキー系の情けない男(伊藤淳史)が出ていたからこれが「電車男か~」とすぐに分かった。
オタクを略称「ヲタ」と言うんだとか、4歳の息子が気に入って見ている『ケロロ軍曹』が出て来て、ヲタに評価されているのが分かったりでストーリー以外が面白い。ケロロ自体がヲタッキーだなと思っていたが、その他、阪神ファンがいたり、マチルダさんが出て来たり、「ああ、ヲタとはこういう世界か」と半分くらいは分かったつもり。最近は秋葉原(学生時代からアキバと呼んでいたのでアキバ系というと電気屋系かと思ってしまうが)が聖地になっているんだとか・・・。 くだらないと思いつつも見ているとエンデイングのテーマ曲がこの曲だった!(ちなみにオープニングは ELO の「Twilight」これも良い!)

演奏はサンボマスター。かなり個性的な太ったボーカル&ギター。見た目がカッコいいバンドは多いがどれも似ていて覚えられない。しかしこれならバッチリだ! ブレインもこのボーカル&ギターらしいが、彼も音楽ヲタっぽいな。でも天才肌だ。素晴らしい!
サンボというと、エンリヤエンコ・ヒョードルを思い出す。ヒョードルはPride王者で、確かサンボ出身だったと思う。ロシアの柔術の名前だ。バンドと何の関係があるのかは分からないし関係ないかもしれない。

何が気に入ったかって、全て気に入った。まず最初に耳に入るのはリズム。16ノリのカッティングが最高にカッコいい。ドラム最高! ポップス系の曲はあまりにも単純すぎるリズムが延々と続き、それだけで飽きてしまうのだが、こういうリズムを使うだけで「本物のミュージシャンだな」と思ってしまう。ポップスではなくロックなバンドであることがすぐに分かる。ギターやドラムのリズムだけでもう最高!

続いてコード進行。最初は「A」だが、次のコードで「ん?」と気になる。すぐにどんなコードか想像が出来なかったのは久しぶり。こういう知的好奇心をくすぐる部分は重要だ。すべて分かってしまってはつまらない。楽器を持って来て調べてみる。テレビの音だけで判断しているせいか、いま一つ分からないが「D#dim」か「D#9」だろうと思う。 カッコいいリズムに乗ってバカ騒ぎ、それでいて知的なコード進行。最高のコンビネーションだ!
コード進行は、「A」「D#dim」「DM7」「Bm7」「Bm7onE」と来て、「A」「D#dim」 「DM7」「Bm7」「C#m7」「Bm7」「D」 「A」となる。 「DM7」のところはベース音が「C#」で、他の音がいまいち聞き取れない。 ブリッジが、「Bm7」「C#m7」「D」「A」で2回目の最後が「E7」に。 サビは、「A」「D#dim」「DM7/D#m7(-5)」「C#m7」「Bm7」「Bm7onE」と来て、「A」「D#dim」「DM7/D#m7(-5)」「C#m7」「Bm7」「C#m7」「DM7」「E7」「A」となる。「D」「D#」「C#」あたりの半音のところが天才的。
ベースが印象的で、そのベース・ラインを聴き取った上で適当なコードを考えただけだから間違っているかもしれない。近いうちにCDを買ってみようかなと考えている。

エンディングの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜぇぇ」という叫びで『ケロロ軍曹』の曲との共通点を感じた。「頭からっぽでも・・・」というアレ。

2005年3月31日木曜日

Boku No Atama

Paul Gilbert [ P.Gilbert ]

Paul Gilbert といえば、泣く子も黙る早弾きギタリスト。難解な超高速フレーズをやすやすと弾いてしまう凄腕で、90年代には人気バンド Mr.Big で活躍、現在はソロで精力的に活動している。

その彼のニューアルバムの中の1曲がこれである。最初は Beatles のカバー「It's All Too Much」に興味がいっていたが、しかし「Boku No Atama」である。もちろん日本語の「僕の頭」の意で、歌詞も全部日本語。

以前、一時的に駒込や烏山に住んでいたくらいの日本好きで、寿司と焼そばと Puffy が好きで、Mr.Big の初来日時にはガクラン風の衣装を着たりする彼とはいえ、日本語とは! 日本語を勉強しているという噂はあったが、日本語スクールにまで通っていたとは・・・!

そのスクールで、「このギターは木で出来ています」「あなたの靴は何で出来ていますか?」というフレーズを習ったらしい。それを早速曲にしようというのが凄い。
そこで考えたのが「僕の家族は変な人で出来ています」というもので、しかし日本語として少し変だと指摘を受けたらしい。英語ならありそうなフレーズだが、確かに日本語では「出来ています」がおかしい。家族だから「構成されています」とか、「変な人たちです」と変えてしまわなければならない。
それで次に考えたのがこの「僕の頭はトマトで出来ています」だったという。

さすがに頭がトマトで出来ている人は考えることが違う。
トマトで出来ているという発想が凄いのではない。彼にとって未知の言葉の響きをすぐにメロディにしてしまうところが凄い。
彼のメロディに乗ったこの言葉は「僕の頭は~、トマト~で、出来ている」と、伸ばすところが実に自然だ。明治・大正の頃の作詞・作曲家は言葉の切れ目でフレーズが区切られるように気をつけていたというが、まさにソレだ。実に言葉がよく乗っていて聞き取りやすい。英語っぽいリズムに憧れる今風の日本語ポップスとはまったく逆の手法だ。日本語に慣れていない者ならではなのだ。

「でもトマトの方が、ナスより好きだよ」の接続詞「でも」が間違いではないかなどという些細な指摘は野暮だ。
それより、サビのハーモニー部「あなたの頭は何で出来てるか?」の Beatles チックな部分を聞いてほしい。重厚なハーモニーのせいでゴージャスになり日本語の曲っぽくない。考えてみれば日本のポップスはたいてい2声で3度のハモりだ。欧米はキリスト教の音楽の本場だから重厚なハーモニーが得意で、そのあたりも日本の曲と違う印象になる要因なのだろう。

このハーモニー部などは Paul がスクールで習ったフレーズそのまんまだ。最初の「僕の頭は~」の部分も習ったフレーズそのまんまなので、結局 Paul のオリジナルは「でもトマトの方が~」の部分だけということになる。

2005年2月26日土曜日

Jupiter

平原綾香 [ G.Holst/吉元由美 ]

「ジュピター」とは「木星」のこと。宇宙をテーマにしているだけあって何て美しい曲だろう。とても壮大なイメージの曲だ。
歌詞も相まって「Everday I listen to may heart ひとりじゃない この宇宙(そら)の御胸(みむね)に抱かれて」なんて歌っている。宇宙のような壮大なテーマを持つと宗教的な雰囲気が漂う。神も宇宙も圧倒的な存在だからだろう。

ところでこの曲、作曲が「G.Holst」となっているところからも分かるが、あの有名な組曲『惑星』の中の『Jupiter, the Bringer of Jollity』のメロディを拝借して作られている。聴いた瞬間に気が付く人も多いのではないだろうか。壮大なイメージはこのホルストの作によるところが大きい。と同時に、編曲者の坂本昌之も作曲者に近い活躍をしたといえるだろう。
この組曲『惑星』には冥王星が出て来ない。冥王星が発見されたのが、確か1930年代前半で、それから数年後にホルストは死去していたと記憶している。それから50年経ったため、著作権が消滅し、こうやって使用することが出来るようになったわけだ。こんな話しをすると、せっかくの壮大で神秘的な雰囲気がブチ壊しになってしまうが。

ちなみに組曲『惑星』の中では、個人的にはこの『木星』と並んで『火星』が好きだ。こちらもとても有名な曲なので機会があったら聴いてみてほしい。

少し曲を見てみる。テレビで聴いただけなので、キーが分からない。「D♭」だろうか? 変なキーなので「C」か「D」かもしれない。とりあえず「C」で考える。
「F」 「G」 「ConE」 「F」 「G」 「Am」 「AmonG」 「F」 「G」 「ConE」 「C」 「F」 「G」 「C」といった感じ。この次が好きだ。「ConE」 「G」 「Am」 「GonB」 「ConE」 「G」 「C」 「F」 「FM7」 「Dm7」 「Am」 「G」 「F」 「ConE」 「Dm7」 「C」 「Dm7onF」 「Dm」 「C」 「GonB」 「GonA」 と続く。
目立つのはオン・コードだ。コード進行に対してベース音が美しいということだ。特にコード・トーンの3度の音を使う場合が多いようだ。1・3・5度の中では3度が一番落ち着かない。しかしコードの長短を決める音でもあるから特長が強調されて美しさと神秘さが増すのかもしれない。
この他にもなかなかのコード進行があるのだが、コードネームだらけになってしまう恐れがあるのでこのくらいにしておく。

この曲を歌った平原綾香というアーティストを見たのもテレビで、紅白歌合戦にも出た。出だしの低音から最高音までかなり音程差がある曲で、何となく声楽っぽい雰囲気を感じていたら、やはり音楽系の大学出身なのだそうだ。声楽の勉強をしていたのかどうかは知らないが、どこか素人っぽさもあるのがかえって親しみを覚える。

2005年1月28日金曜日

Romantic Rights

Death From Above 1979 [ J.F.Keeler/S.Grainger ]

今日、初めて聴いたバンドだ。2002年にミニアルバムを出しているようだが、実質のデビューは昨年という新しいバンドだ。気に入ったのも新しくて面白いと思えたからだ。だんだん新しいものは耳に入らなくなりつつあるが、面白いものは面白い。

このバンド、何とギター・レスだ。キーボードもいない。何とベースとドラムだけというから、変なバンドだ。しかしそう紹介されただけで「えーっ、一体、どんな曲をやるの?どんな演奏になるの?」と考えるが、それだけで第一印象を与えていることになる。

最初はギターかキーボードのサンプリングかと思うような野太いベース音だ。(イントロはギターのサンプリングだろう)
歪ませてかなり高い倍音を含んだ音作りだ。
ギターがいないのだから、ある程度ギターの音域もカバーしなくてはということなのだろうが、とにかく抜群の存在感だ。メロディ楽器が他にないのだから存在感があるのは当然だが、それに拍車をかけるサウンド。

ドラムはひたすら16ビート。ほとんどバカの一つ覚えのようにハイハットを刻む。そしてベースがリフを繰り返す。これは病みつきになる!
曲には2つのリフしか出て来ない。これも極端な戦法だが、実に効果的だ。

惹き付ける理由は他にもある。新しいと書いたが、古い匂いも漂っている。
古いパンクのようでもあり、ニュー・ウェイヴのようでもあり、2つめのリフからはLed Zeppelinの味もするし、AC/DCやBlack Sabbathに通じるものもある。ハード・コアというべきかもしれないし、ダンス・ミュージックにも思える。

曲が斬新というわけではないのだが、そのスタイルというかアプローチが斬新なのだ。誰も見たことのない楽器を使用したり、動きをするのではなく、組み合わせやアイディアの勝利ということだろう。

機械的に刻まれるリフを聴いているだけで勝手に体が動き出す音楽。これこそロックだ!

2004年12月11日土曜日

The Bucket

Kings Of Leon [ A.Followill/C.Followill/N.Followilll ]

偶然、テレビでビデオクリップを見た。TVKの『Rock City』だ。何の知識もなかったが一発で気に入ってしまった。
どう見ても70年代のイギリスのバンド。小汚くて貧乏そうな風貌がたまらない。チープそうなヤツらが一生懸命やっている音楽はなぜか見ているだけでワクワクする。
ところが、これが新しいバンドで、しかもアメリカのバンドというから驚きだ。3兄弟がメインで、父親は厳格な宣教師というから更に驚きだ。

しかし、曲はやはり70年代風。とてもシンプルで覚えやすいリフがコードに合わせて平行移動するイントロ、パンクばりにダダダダと刻むだけのバッキング、そして途中で半分のリズムになるところ。初期 Black Sabbath を軟弱にしたような、新しめでは Oasis を貧乏にしたような、そんな雰囲気だ。いや、見た目が初期の Ozzy に通じるものがあるから余計にそう思うのかもしれない。ヴォーカルはサザンロック風でもある。

それに加え、ビデオクリップがまた70年代のようなチープさ。分割画面は大昔によくあったような手法だし、映像もただ部屋での演奏シーンを撮っているだけで、画質も鮮明ではないしCGなどあるはずもない。

音楽もビデオも、ただ一発やってみましたというだけのシンプルさ、潔さが最高なのだ。音楽的に凝っているかなどどうでも良いこと。耳に残るし、もう一度聴きたくなるし、ワクワク感もあるし、それ以上何が必要だというのだろう。

聞くところによると、本国アメリカよりイギリスで人気があるという。私がイギリスのバンドではないかと勘違いしたのも強ち見当違いでもないかもしれない。

演奏にも少し触れておくと、目立っているのは、ダッダッダッダッ(テンポは結構早い)と刻まれるリズムギターと、チープな音(これが良いのだ)のギターで入るオカズ、あとは愛想のないボーカル(これも良い!)だけ。刻まれるコードも何の工夫もないようなシンプルなもので、コピーするまでもない。

平行移動するイントロのギターにも触れておくと、今時こんなに簡単なギターのイントロってある? というくらいにシンプルだ。最もローポジションの「D」コードをオクターブ上げたものに、「A音」を加えてみるだけ。それをコードに合わせ平行移動。(「G」の時に加える音が「C#音」になるので、厳密に平行移動ではないが)

メインのリフは超シンプルなのに格好良い。しかもまさに平行移動。1弦の7フレット「B音」、5フレット「A音」、2弦7フレット「F#音」の3音だけで出来ていて、これを平行移動で畳み掛けてくる。このあたりが Black Sabbath っぽい感じがするのだ。
「Eighteen~」のところのオカズも、イントロと同じオクターブ上げの「D」だ。

こんなに簡単なのに格好良いとは「これがロックだ!」と大声で叫びたい。